謎の至高Xオルタ   作:えっちゃんの羊羹

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16話です。

感想、誤字報告ありがとうございます。

えっちゃんの見た目年齢を考えるとセイバーが15歳程度で剣を抜いているのでその年になってしまう。
ついでに言うと第二再臨の衣装に3-2とか書いてあるし中三の可能性が出てくる。

つまり、オバロ世界でえっちゃんは未成年。


16話 営業

 組合についたモモンガ達は周囲を見回し、ゲンナリする。周囲の冒険者達は宿の時とは違いほとんどが金や銀の中堅冒険者だ。モモンガとナーベラルは周囲の喧騒を無視して壁際に陣取る。

 Xオルタは念のため依頼のチェックをしに掲示板を見に行く。Xオルタのメガネは翻訳効果が含まれる為3人組の中で唯一依頼の判別ができるのだ。ちなみに、製作時にレンズの厚みまで再現したのでXオルタの視界は若干ぶれてしまっている。

 

 掲示板の依頼を他の冒険者の後ろから覗こうと飛び跳ねたり目を細めたりしているXオルタを待つ間、モモンガは手持ち無沙汰だ。暇つぶしにモモンガは薬師の関係者が近付くためにどんな手を使うか考えはじめる。直接接触を図るのなら3人の誰に近づくのか。

 まず、ナーベラルは一番可能性が低いだろう。町に着いてから目立つ行動は何もしてないし、その外見から下手に声をかけるとナンパにしか見えないから交渉相手には不向きだ。

 そうなるとチームリーダーの自分かポーションの出所であるXオルタか。

 自分に直接声をかけるのなら社会人として真っ当な感性を持ち、交渉もしやすそうだ。しかし、もしXオルタに声をかけるのならその外見の若さから与し易いととった可能性がある。幼いのは見た目だけだからそうそう手玉に取られることはないだろうが、そういう相手には充分に注意しておく必要がある。

 

 考えが纏まりつつあったところにXオルタが戻ってきた。4人組の冒険者を引き連れている。銀等級、自分達より2つ上の階級だが、この場に限れば特に優れているというわけではないだろう。彼等が薬師が用意した接触手段だろうか。警戒心を強め耳をすます。4人組の内の蜘蛛のような手足の男とXオルタの会話が聞こえてくる。

 

「あの2人がえっちゃんの仲間達かな?かなり腕が立ちそうだね」

「うん。ちょっと相談してくる、ね」

 

 走り寄ってくるXオルタを見ながらモモンガは頭を抱えたい気持ちを抑える。

 

「何があった?」

「同じ仕事をしないかって誘われました。どうですか、マスター・モモン?」

 

 先ほどの親しげな会話はモモンガにはXオルタがこの4人組に籠絡されたように見えた。薬師の手勢がXオルタを先に狙い、成功させた可能性があると見てモモンガは警戒心を強め、4人のリーダーらしき帯鎧の戦士に目をやった。ほかの冒険者チームと比べ少し若い気もするが他に目立った特徴はないか探していく。

 

「貴方がエックスさんの師匠のモモンさんですね。私は『漆黒の剣』のリーダーのペテル・モークです。よろしくお願いします」

「あ、ああ、私はモモンです。それで、仕事とはいったい……。具体的なお話を聞かせていただけますか?」

 

 思索を遮られモモンガは焦りながら答える。Xオルタの外見年齢を考えれば仕方ないことだと理解しているが、友人の師匠と呼ばれるのは居心地が悪い。

 ペテルと名乗った青年が率いる4人組はその答えを聞いて受付嬢に依頼して部屋を一つ用意させた。7人がそれぞれの席に着く。

 

「さて、仕事の話をする前に簡単な自己紹介をしておきましょう」

 

 漆黒の剣というチーム名からはじめて青年は1人ずつ紹介していく。先程、Xオルタと話していた軽薄な男はルクルット、最も老けた髭を蓄えた落ち着いた雰囲気の男がダイン、最後に紹介された最年少の少年がニニャ、二つ名を『スペルキャスター』といい特殊なタレントを持つ天才的な魔法詠唱者らしい。

 

「素晴らしい才能をお持ちなんですね」

 

 タレントは生け捕りにした陽光聖典のメンバーから手に入れた情報にあったこの世界独自のいわゆる「生まれながらの才能」だ。モモンガはその話を興味深く聞いていた。

 

「別にすごいことじゃないですよ、この街にはもっとすごいタレント持ちもいますし」

「バレアレ氏であるな!」

 

 Xオルタが調べていた薬師の名前が上がりモモンガの警戒心が上がる。

 自分達を調べるつもりなら逆に情報を集めてやろうという気持ちと未知の能力への好奇心が重なりモモンガは口を開く。

 

「……その方は確かこの街の薬師ですよね。どんな方なんですか?」

 

 4人が顔を見合わせ、納得したように続ける。

 

「この都市では有名なんですが流石に遠くの都市までは知られていなかったのですね」

「確か、昨日この街に着いたばかりなんだよね」

 

 ルクルットの猫撫で声に頷くXオルタを見ながら何処まで話したのかと思いつつモモンガは口を開いた。

 

「ええ、この街には昨日来たばかりであまり知らないんです。よろしければ教えてくれませんか?」

「名前はンフィーレア・バレアレ。有名な薬師の孫にあたる人物です。多分聞いたことがあるのは祖母の方のリイジー・バレアレでしょう。彼が持つタレントはありとあらゆるマジックアイテムが使用可能という力です。使用制限があるものも問題なく使えるらしいです」

「……ほう」

 

 モモンガは警戒心を押し殺し声を出す。Xオルタも今の話を聞いて真面目な顔でナーベラルと言葉を交わしていた。

 

「どうかしましたか?」

「ああ、いえ、なんでもありません。次は私たちの番ですね」

 

 誤魔化すようにモモンガは自分達の紹介に移る。

 

「まずはご存知のようにこの子がエックス、そしてこちらがナーベ。私はモモン、チームのまとめ役にあたります。よろしくお願いします」

 

 互いに自己紹介を終えたことで仕事の内容の確認を始める。

 仕事の内容自体は単純なモンスター退治だ。強いて特徴的なことを上げれば出来高制になっているといったことだろう。途中ニニャが貴族に対する悪感情を抱いていることが明らかになったが仕事を共同で進める事についてはおおむね同意できただろう。

 

「では、報酬は頭割りということでいいですね。それでなんですがともに仕事を行うのですし、顔をお見せしておきましょう」

 

 モモンガはそういうとヘルムを外す。

 

「黒髪黒目というとこのあたりの方ではないですね。ナーベさんもそうですし南方にそういう顔立ちの国があると聞きますが……そちらですかね?」

「ええ、かなり遠方から来たんですよ」

 

 ペテル以外の3人のおっさんという言葉に苦いものを感じるが再びヘルムをかぶり、言葉を続ける。

 

「それで協力するなら互いの疑問をこの場で解決した方が良いかと思いますが、何か質問はありますか?」

「はい!」

 

 ルクルットの手がぴんと上がる。ほかに質問者がいないことを理解してやけに大きな声でナーベラルに質問を投げかける。

 

「おふた方はどのような関係なんでしょうか!」

 

 静寂が舞い降りた。モモンガがその意味を理解する前にXオルタが口を開いた。

 

「兄妹、です。マスター・モモンとナーベは兄妹、です」

 

 モモンガとナーベラルの顔がXオルタに向く。Xオルタはしてやったりという顔でつづけた。

 

「聞かれたので正直に答えました」

 

 やはり今朝の事後報告はまずかったのだろう。後悔しながらモモンガは言うべき言葉を考えていると席の反対側で別の爆弾が落ちた。

 

「惚れました!一目惚れです!付き合って――」

 

 こちらの爆弾は処理されたようだ。ニニャがルクルットに文句を言っている。

 

「あなたみたいな悪い虫が付かないように兜をしたり顔を隠して身内じゃなくて別の恋愛とかの関係に見えるようにしているんじゃないですか?そのあたり察してちょっと落ち着いてくだ――」

「れ、っれれんあい!何を言うのですか!アルベド様という方が!」

「おま‼何を言っているんだ!ナーベ!」

「あ!」

「「あ」」

 

 モモンガは失言をしたナーベラルの背中をたたき慰める。

 立て続けに漏れていく情報に対し、互いのチームのリーダーが言葉を交わす。

 

「……仲間がご迷惑を。今の話は聞かなかったことにしますね」

「ああ、いえ……ありがとうございます。あまり知られたくはないことなので」

「では質問はもうないということで問題ないですよね?」

 

 ペテルは周囲を見渡し話を終えた。

 

「では、モモンさんたちの準備ができ次第出立しましょう」

 

 全員が立ち上がり準備が必要なモモンガたちから先に部屋を出る。組合受付まで戻ると先ほどとは違う種類の喧騒に包まれていた。中心にいるのは金髪の少年でその姿を見てXオルタがわずかに声を上げる。モモンガがまさかと思い少年と話す受付嬢に目を向けた。驚きの表情を見せた受付嬢はそのままモモンガに近づいて一言告げた。

 

「ご指名の依頼が入っております」

 

 周囲の視線が一息に少年から自分に移ったのがわかった。背後でナーベラルが戦闘態勢に入ろうとしたのをXオルタがおびえたように抱きしめることで力ずくで止めた。ものすごく焦っている気配が伝わってくるが問題はないだろう。戦闘態勢より焦りの方がこの場の雰囲気にはふさわしい。

 

「一体どなたが?」

「はい。ンフィーレア・バレアレさんです」

 

 その名前でモモンガは悟った。ノートに書いてあった有能な現地人の薬師だ。つまり、先ほどまで薬師の手のものかと疑っていた漆黒の剣はただの営業上手な冒険者でしかなく、自身が警戒して狙っていた獲物は今やっと姿を現したのだ。

 

「初めまして。僕が依頼させていただきました。それで実は依頼を――」

 

 モモンガはとっさに思考をめぐらし最善策を考える。そして話し始めた少年の言葉をモモンガは手を上げて止めた。

 

「私たちは既に別の仕事の契約を交わしている。その依頼を即座に引き受けることはできない。なので――」

 

 一歩引いているようなペテルに視線をやって続ける。

 

「先ほどまでいた部屋で詳しくお話を聞かせてもらっても?」

「僕の方は全然問題ないですよ」

「漆黒の剣の皆さんも立ち会ってもらってもよろしいでしょうか?」

 

 いくらか戸惑いの声が聞こえるがモモンガは何とか契約したことを違えずにこの少年の話を聞けそうなことに安堵する。そして部屋から出てきた7人は8人になって再び部屋に戻るのだった。

 




ちょっと短い。

絵柄を見るとJKにしか見えないえっちゃんですが18いってないと思うのでみため15以下の小娘です。覇王将軍より若いです。

あとペテルはリアルにいたら凄腕の営業マンになれると思う。
原作でも最初にモモンに目をつけてうまく取り入ろうとしてうまくいったし目の付け所がシャーフだね。
死んだけど

感想評価批判意見たくさんほしいです。お願いします。

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