鬼哭血風録~相思相殺~【FGO×ドリフターズ・捏造コラボイベント】   作:みあ@ハーメルンアカウント

1 / 19
【注意書き~当シリーズを最初に読まれる方は、必読でお願いします~】

この小説は以下の設定を含みます。この中に苦手な物が含まれている場合、このままそっ閉じ推奨です…!

・ドリフターズとFate/GO、版権同士のクロスオーバー二次創作です。かつ登場作品の違う男女キャラクター同士の恋愛要素を含んでいます。
・カップリングは土方(ドリフ)×沖田(Fate)です。彼ら以外のクロスオーバー男女同士の会話やスキンシップはありますが、そちら側には恋愛の意図はございません。恋愛要素はあくまで土方×沖田のみです。
・土方さんと沖田さんは「敵対関係」になります。恋人同士の殺し愛展開がNGの方はご注意ください!
・作中は史実の人ネタなんかも混じってるので、キャラ崩壊してる可能性が(汗)また薩摩弁の嗜みはないので、思いっきり間違ってる可能性大です。どうか寛容な目で見てやって下さい。
・FGOのマスターぐだ子ちゃんは、公式設定に合わせまして名前を男性主人公と同じく「藤丸立香」にしてあります。この子がセクハラ魔設定なのはだいたいプレイヤー(作者)の所為ですごめんなさい。
・ドリフキャラ所有の宝具の名称・能力その他は、完全に作者の捏造です。その場のノリとか話の都合とかで作られているので、かっちりとした設定があるわけでもないです(汗)
・ノッブとのぶのぶは別人なのに、土方さんは何故かあっちと同じ人という世界観ガバガバ設定。
・序盤はコメディ多めですが、キャラの生き死にについて扱っている物語になりますので、シーンによってはシリアス&少々重たく感じられるかもしれません。苦手な方はご注意くださいませ。
・ちなみにタイトルの相思相殺という四字熟語は、山田風太郎先生の甲賀忍法貼からお借りしました。作業中は陰陽座さんの“蛟龍の巫子”と“愛する者よ、死に候え”をBGMにしてます、とさりげなくおすすめ。
・なお当作品は、全く同じ内容の小説と表紙イラストをPixivにて投稿しております(ユーザーマイページにPixivアカウントへのリンクがございます)。あちらでは既に完結済みの作品ですが、こちらのサイトでも手が開いた時に随時投下していきたいと思います。
・そして最後に――本作に登場するキャラクターは全て、実在する歴史人物・団体とは一切関係ございません。登場する歴史人物・団体のファンの方で不快に思われた方には深くお詫び申し上げると共に、その人物・団体への悪意等は一切ないことをここに明言しておきます。


設定というかほぼ駄文でしたが、上記のようなトンデモクロスオーバー作品にお付き合い下さる心の広い方がいらっしゃいましたら、どうぞ本文にお進みください!



前ノ章
Act.1 邂逅流転


澱のように停滞していた思考が、急速に浮上する。

戻ってきた五感が最初に自覚したのは、浮遊感。宛ら、あてもなく海底を漂っているような気分だった。0と1から成る幾何学的な二重螺旋が、緩やかな滝のように視界を流れ落ちていく。霊子演算という概念を知らない男の目に、それはただの奇怪な紋様として映った。

 

(ここは、どこだ)

 

男は目を細め、ここへ至るまでの経緯(いきさつ)を追想した。

 

(また、世界に棄てられたのか。俺は)

 

先程まで、己はオルテという国にいた――はずだった。

廃棄物。現世を憎み、世界を廃滅させる者として、黒王の手足となり、人を殺し、国を焼いて、戦乱を撒き散らすためだけに生かされる存在であった。

天の示す理から外れた、人ならざる者。それが彼であったはずだ。そんな彼を棄てられし者として、受け入れた世界であったはずだ。

だが。またしても天の理は、彼をその世界からも弾き出したというのだろうか。

 

(――あの男。島津は、)

 

何処へ消えた。否、消えたのは己の方であったのか。

泥と鮮血でまだらになっていた手袋は、いつの間にか漂白されたように元の色へと戻っている。しかし、あの薩奸の横面を殴り抜いたときの感触は、未だこの拳からは消えていない。

 

薩摩藩士。義理も恩情も忘れて幕府を裏切り、俺を、俺たち新撰組を殺した、新政府の狗め。

 

誰もいない虚空を睨み据え、奥歯を軋ませる。男の目は、ぎらぎらと滾っていた。その昏い輝きは地獄の業火にも似て、彼の中に刻まれた憎しみの深さを物語っている。

憤怒。絶望。後悔。そして――怨嗟。

その男の存在は、“復讐”という言葉そのものだった。

 

「……官軍が、憎いかね」

 

不意に、何者かの声が降ってきた。天からの声。そう言った形容が正に相応しい。

だが、男はそれを不思議とは思わなかった。

 

(そうとも。俺は、あいつが。あいつらが、憎い。憎い。にくい。ニクイ――)

 

呻くように、男は言った。腹の底に響く、憎悪を漲らせたその声に応えて――世界が一転する。舞台幕のように左右へ割れた、虚構空間。その向こう側、溢れる白い光の中に背の高い人影が立っていた。

 

「ならば今一度、私の手を取りたまえ。その為に私は、死せるきみをここへ喚んだのだ。

――箱館政府陸軍奉行並、いや……新撰組副長、土方歳三義豊」

 

声の主によって、差し伸べられる掌。今度はあの、奇妙な洋装(ドレス)を着た女ではなかった。

この世の総てを憎み、歪んでいた悪鬼の形相に、一瞬だけ人らしい表情が浮かんだ。それは懐古、というべきだろうか。洋式戎服を纏った長い腕が、迷うことなく持ち上がる。

 

男――土方歳三義豊は、この時、三度目となる生を受け入れた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。