王都を覆う闇が祓われてから数日が経過した。
街のいたるところで冒険者や衛兵たちが忙しそうに走り回り、被害状況の確認や復興作業を行っている。
未だ隠れているかもしれない怪物たちや、行方不明になっている人々の捜索。
そして、最も重要な役割が
こういった動乱の際は、根を張った犯罪組織の暗躍から、軽犯罪の蔓延までがつきものであるが、不思議なことに八本指は全くと言っていいほど活動を見せていなかった。
動きを全く悟らせないほど深くに潜ってしまってるのか、組織としてダメージを受けて立ち直れていないのかはわからない。
後者であるならば、根絶のためのまたとない機会であることは確かである。だが、蒼の薔薇は特に動くことができずにいた。
八本指撲滅のためにリストに上がっていた彼女たちが知りうる限りの関係施設は、今回の事件ですべてが壊滅状態にされてしまっていたため、現時点ではこれ以上追撃のしようがなかったのだ。
魔力や体力は消費したものの、肉体的なダメージや疲労は大したことのなかった彼女たちは、手分けして王都中をめぐっていた。
復興作業の手伝いもそうだが、今回の件で
特に前線に立っていた人々は、暗闇を恐れ、過剰なまでの明かりを焚くようになっていた。
比較的高価であるはずの<永続光>の施されたランプが飛ぶように売れ、以後、王都冒険者街はしばらく
そんな眠れない街の昼下がり、冒険者街の中心付近にある最も大きな酒場にて。
別れて王都中を回りながら、
普段であればいつもの酒場の奥、あまり目立たぬ位置を陣取っている蒼の薔薇も、この時ばかりはなるべく多くの人の目に触れる――といっても、いつもの魔道具を使っているのだろうか、やはり会話の音は聞こえてこない――二階のテラス席を陣取っていた。
「あちこちで復興作業は始まってるけど、まだみんなどこか浮ついている感じがするわね。興奮冷めやらぬというか、落ち着かない感じというか……」
「あまりにも犠牲になった人数が多すぎる。無理にでも勝利の喜びに酔いしれてないとやっていられないんだろう」
「冒険者もかなりの数がやられた。再起不能になったチームの事も考えれば、王都の二割以上の冒険者が活動を停止している」
「相対的にこれから忙しくなるかもしれない」
「一応、オリハルコン級以上の数は減っていないし、ある程度は組合が蘇生の面倒も見てくれるみたいだから……私たちはあまり影響を受けないと思うけどね」
少し寂しそうに笑い、残っていた紅茶に口をつけた。
先の防衛戦に参加していた冒険者の中から出た犠牲者には、<閃光>が使えるために実力が不十分であってもあの場に残っていた
そもそも
それによる所属冒険者の引退を少しでも減らすため、蘇生可能な状態の遺体については、ある程度蘇生のための費用を組合が肩代わりすることが決定したのだ。
もちろん、蘇生魔法の行使が可能なのがラキュース一人だけである以上、対象全員の蘇生をすぐに、というわけにはいかない。
チームですぐに蘇生費用が捻出できた数人についてはこの数日で既に蘇生を終えているが、今後しばらく、ラキュースは神官としての仕事が増えるだろう。
「でもよぉ、本当になんとかなってよかったよな。こういっちゃなんだが、今回ばかりはここで終わりかと本気で思ったぜ」
「あの二人に助けられたわね。最後なんかもうサトルさんの独壇場だったもの」
「一回ぶっ飛ばされた後だよな。明らかに戦闘力というかなんというか、それまでとは大違いの動きだったぜ。あんな奥の手を持ってたとはな……」
「リュウの魔法もすごかった。さすが私のリュウ」
「見たことない魔法を使っていた。特に最後の魔法は何?」
「私見だが、強力な行動阻害……恐らく、空間を捻じ曲げてその場に閉じ込める類の魔法じゃないかと思う。満身創痍のあの状況であれだけの魔法を絞り出すとは、正直信じられん」
「ちびさんよぉ、前にアイツのこと魔術師としてはポンコツとか言ってなかったか?ポンコツだったのはお前の見る目のほうだったな」
ガガーランが、残っていたサンドイッチを口に放り込み、ケラケラと笑いながらイビルアイを揶揄った。
怒り心頭、といった様子でテーブルを叩いてガガーランに詰め寄ろうとしたイビルアイだが、思うところがあったのか、悔しそうに震えながらそのまま席に戻った。
「そ、そこまでは言っていない!…言っていないが!あいつの魔力の質が良くないのは間違っていない、と、思う」
「魔力の質?」
「間違いを認めない辺りまだまだお子ちゃま。かわいい」
「やめんか!」
すり寄るティアを押しとどめ、小さく咳ばらい。
「文字通りだ。同じ魔力でも術者によって質がある。そもそも魔法は、その位階や種類によって発動のために込められる魔力の総量は大体決まっている。それ故に、全く知識のない魔法だったとしても、使用された魔力の量を感じ取ることができれば大まかに第何位階程度かは判別することができるんだ。だが、同じ魔法……例えば、第三位階の<火球>を使っても、術者によってその威力は違う。それを左右するのが魔力の質だ、と私は考えている」
一息ついて、机にあった果実水を口に含む。
「魔力の質が良いほど、同じ魔力量を込めた魔法でも威力は高くなる。リュウの最後に使った魔法に込められていた魔力の総量は……正直、とても多かったように思う。第五位階か、それ以上の魔法じゃないだろうか」
「第五位階以上ってことは……帝国の逸脱者に匹敵する可能性もある、ってことか?」
「あくまで可能性の話だが、第六位階魔法を使えると言われても納得はできる。……だが、あいつの魔力の質はそれほど良くない。位階魔法は使えないと言っていたが、もしあいつと私が同じ<火球>を唱えたとすれば、威力は私のほうが高くなる自信がある」
「単純に第五位階級の魔法を使用できるだけで十分飛びぬけてると思うんだけど……」
「あぁ、そうだな。それはそうだ、そうなんだが……」
イビルアイは、仮面越しに頭を抱えてしまった。正確な実力を見抜けなかったことがそれなりに彼女のプライドを傷つけていたようだ。
「普通、魔法詠唱者はその成長と共に使用できる位階が上がっていく。それは魔力の質も同様だ。どちらかだけが突出するということは普通はありえないことなんだ。ええい、一体何なんだあいつは!」
うがぁと自棄になるイビルアイをどうどうと抑えながら、ティアが口元にトマトジュースを差し出した。
吸血鬼なのだから血っぽいこれだろう、という洒落で時折誰かが頼む(そして怒られる)品であるが、この時ばかりは突っ込む気力もなかったのか、おとなしく仮面の下からストローを咥えて啜り始めた。
それを見たティアはなぜか恍惚とした表情を浮かべているようだが、恐らく碌なことを考えていないだろう。
「まぁまぁ、隠してる切り札なんて誰だってあるもんだ。結果として助かったんだから、素直に感謝しておこうぜ」
「それより、あれ以降二人の姿を見ていないことのほうが心配だわ。大丈夫だったのかしら……」
「冒険者組合には、"しばらく養生する"と言付けがあったそうだぞ。それなりに反動のある切り札を切る必要があった、ということだろう。蘇生が必要ならラキュースに声がかかるだろうし、考えすぎても仕方がない。案外、養生は表向きの理由で既に今回の件の裏取り……原因究明で
「……そういうって事は、やっぱり今回のアレは人為的に呼ばれた可能性があるってことか?」
「確証はないけど……奇妙なことはたくさんあるわ。まず、不自然なくらいに八本指に動く様子がない」
「今回の一件で大ダメージを受けたのならなおさらその損失分を取り戻そうと躍起になるはずだ。嵐の後のぐらついた街は付け入る隙が多くなる。もし奴らが今回の件に絡んでいないのなら、この機を逃すとは思えない」
「結局あの黒い……ハンターオブ……」
「
「あぁそう、それ。それがよ、貴族連中もそうなんだが……やたらと八本指関係も潰してたのはなんだったんだ?あれ自体の出所も謎なままなのがマズいよな」
不自然なまでに八本指の関係施設が襲われていたこと、今回の事件の被害を受けた貴族の多くが八本指とのつながりを持っていたこと――。
街は、既に元凶である
「単なる
「結果だけを見れば、"小を切り捨てた正義の強行"とも取れるな」
「……無関係の人間を巻き込んでおいて、そんなものを正義とは呼ばせないわ。手を引いている存在がいるなら、必ず止めなくちゃ」
家族、友人、知人を亡くし、泣き崩れる民たちの姿が思い出され、握りこんだ拳に力が入る。
彼女自身の信じる"正義"が、何もできなかった自分への無力感と失望は、次第に怒りへと変わっていった。
チャリン、と金属音が響いた。どうやら、新人のウェイターがフォークを一本落としてしまったようだ。
その音でハッと我に返った。あの戦いから、自分の中の不安定な感情に呑み込まれることが多くなっている気がする。
少しばかりピリついてしまった空気を一蹴するため、冷めてしまった紅茶を一気に飲み干した。
「"正義"についてはともかく。一つ気になる証言がある」
小さく挙手をしてから話し始めたのは、事件後の八本指施設跡を中心に情報を探り続けていたティアだった。
「騒動の前、例の娼館が冒険者に襲撃されたとき、近くに目撃者がいた。内容はほとんど例の
ティアは少しだけあたりを伺い、口元を隠すようにマフラーで覆いながら話を続ける。
それを見た面々は、不自然にならない程度に少しだけ耳を彼女のほうへと寄せた。
「冒険者突入から少しした後、
「……なんですって?」
「それと、もう一つ。その娼館の崩れた地下から、数か月前の日付が書かれた顧客リストが見つかった。廃棄のマークが書かれていたから古いバージョンだとは思うけど――。そのリストに載っていた人物は数人を除いて今回の事件で全員死んでる。生きているのは、何かの理由で既に王都を離れていた人だけ」
「つまり、あの黒い奴の初出は例の八本指の娼館で――ターゲットの情報源もそこだった可能性が高いってことか?」
「そう。最後の戦いの時、喚き声を上げて殺された男もそのリストの中に名前があった。あの時の反応を見るに、可能性はかなり高い」
「こっちも追加でひとつ。最近、八本指幹部が裏の魔道具商にモノを流そうとしていたらしい。直には見てないけど、異様な魔力のこもった杖、だったとか」
「……杖?」
ふと、ラキュースの脳裏に何かが引っ掛かった。引っかかったそれが何なのかを必死で手繰り寄せようとするが、直近に起こった様々な衝撃的事象が邪魔をしてなかなかうまくいかない。
「つまり、だ。八本指がどこかから手に入れたその杖を使って、娼館襲撃の時に冒険者を殺すためにアレが召喚された可能性が高いってことか?」
「術者の能力不足で暴走したと考えれば筋は通る。そこで、あの化物はリストを見つけた」
「例えば悪魔の類なら、
「……だけど、<
「悪魔でないとするなら、アレは……
湿った風が彼女たちの間を吹き抜ける。
<永続光>のランタンがその風で消えることはないはずだが、気のせいか、ゆらゆらと光が掻き消えそうになったように見えた。
王都を包む混沌の雲は、まだ晴れない。
ペテルは宿の窓から見える曇り空を仰ぎ見て、深いため息を吐いた。
ニニャが行方不明になってから手分けして周囲を捜索したが、二日経った今も足取りはまったく掴むことができていない。
冒険者組合にも問い合わせたが、多くの冒険者たちが先の戦いで大きな被害を受けている今、仲間の一人が行方不明になった事件を最優先に取り扱ってもらえるわけもなかった。
途方に暮れた漆黒の剣は
噂に聞いた宿泊先を訪ねてみたが、"養生のための面会謝絶"を理由に取り次いですらもらえなかった。
部屋の戸が叩かれたのは、頼る先もなくなった三人がニニャの姉の眠る宿の部屋で途方に暮れていた時だった。
戸を開けた先にいたのは、フードを深くかぶった二人組。
怪しげな風体に眉をひそめたペテルを押し込む様に部屋の中になだれ込んだ二人は、手際よく戸のカギを閉めた。
唐突に部屋に押し入ってきた二人を暗殺者か強盗かと身構えたが、フードを外した二人を見て目を丸くして驚いた。
「サトルさん、リュウさん!」
「やっほー皆。ニニャはいる?」
その場の空気に似つかわしくない明るい問いかけに、ペテル達は気まずそうに顔を見合わせた。
「……行方不明?」
「はい。お二人が事件を解決した後から……」
「お姉さんが見つかってからずっとふさぎ込んでたから心配でな。探しまわったんだけど手掛かりすら見つかってない」
「組合もそれどころではないと言って取り合ってもらえず困り果てていたところなのである。お二人はなぜニニャを?」
「ちょっと確かめたいことがあったんだ。……せっかくだからお姉さんの容態、診せてもらってもいい?」
彼らの案内した部屋は、奥の通りに面した窓のある少し狭い寝室だった。
両側の壁に沿う様に二つの簡素なベッドが置かれ、片方の傍にはずっとそこにニニャがいたであろう、木の丸椅子が置かれていた。
ニニャの姉は、安眠のためにとかけられた<睡眠>の魔法のおかげか、魘される様な事もなくただ静かに寝息を立てていた。
しかしながらその息は浅く、肌や髪に艶はなく、目の周りが窪んでいる。お世辞にも健康的な状態であるとは言えず、医療に覚えがあるものならば"死相が出ている"と表現するだろう。
サトルは、その顔を見て一瞬脳裏に誰かの顔が浮かんだ気がした。
それが誰だったかを思い出す前にリュウが魔法を使い始めたので、記憶の引き出しを開けることはしなかった。
「先日王都を襲った化物……
魔法を使用しているリュウのほうを向いたまま、サトルがポツリと呟いた。
「……なんですって?」
ペテルの背を、冷汗が伝う。
繋がってはいけない何かを繋げられてしまうような焦燥感が彼の心を焦がしていく。
証拠などない。ただただ状況だけを見て頭によぎってしまっただけ。
ルクルットもダインもそうなのだろう、サトルの方に顔を向けつつも、目の焦点がぶれているのがよくわかる。
次にサトルから告げられた言葉は、それらの掴みどころのない不安を現実のものにすると同時に、彼らに安堵を齎した。
「結論から言います。落ち着いて聞いてください。ニニャさんは、
「
「少なくとも、"邪神"そのものは調べた範囲では見つかっていません。……なので、特殊な魔道具や装備の類を使用して誰かが呼び出した可能性が非常に高い」
「広場での戦いの中、リュウに出所を探ってもらいました。その結果、召喚者としてニニャさんの姿が浮かんできたそうです」
「彼女の実力では、"邪神"と繋がる魔道具を所持した段階で間違いなく重度の狂気に陥り、囚われるでしょう。彼女の様子に変わったことや――何があっても
三人の脳裏にすぐに思い至ったのは――黒く捩じれた奇妙な杖。
ニニャが倒れ、運び出されたときも、協会に運ばれ治療を受けたときも、そして目を覚まして姉の近くに居るときも――絶対に手放さなかった杖。
ペテルは、最初に倒れているニニャを見つけたときに普段使用していた杖が近くで壊れていたのを思い出した。
「……杖。奇妙な杖を持っていました」
「そうですか。その杖が媒介で間違いなさそうですね」
「もし今も持っているなら早く見つけないと。もっと高ランクのやつを呼び出されると手が付け難くなる。それに――」
リュウの視線が、容体を調べ終えたニニャの姉へと移った。
サトルもリュウも、何かを深く考え込む様に何もしゃべらず、部屋を冷たい沈黙が支配する。
もう
あれ以上の脅威を生み出す可能性がある状態であるならば、それこそ
古い木製の床に両膝をつく。
そのまま、額も同様に床に擦り付ける様にして打ち付けた。
見えはしないが、後ろでも同じような動きをしている気配がある。ルクルットもダインも、同じ気持ちなのだろう。
「お願いします。どんな代償でも払います。仲間を、ニニャを、助けてください――」
数瞬の静寂。そして――
「では、彼女のお姉さんの身柄と――
ニニャは、手に持った杖の黒い輝きが増していく様子を感情のない瞳で見つめていた。
今彼女の心を満たすのは、自分達からすべてを奪ったこの国に対する乾いた憎悪のみ。
杖によって膨れ上がり煮えたぎったその心は、もはや彼女本来のそれを覆い隠すほど大きな狂気と、歪んだ愉悦に覆われてしまっていた。
枯れかけの魔力と、ありったけの体力だけでは足りなかった。
ならば、今自分が持ちうる己の全てを。
もはや、自分に振り返るべきものなどない。
体、命、心すべてを贄台に載せて、より強く、より残虐な存在を。
姉の命を弄んだ貴族を、権力を、民を、国を、全て――
杖に力を込めて念じる。
自分の全てを引き換えに、おぞましい何かが生まれようとする――
――最中、腰のあたりにチクリと痛みが走った。
何事かと意識を向ければ、杖から噴き出す魔力でボロボロになった革製の鞘から少しだけ飛び出した
黒く鈍く輝くその刀身を見た途端、もはや原型のないほど覆い隠された彼女の心の奥の奥から、一瞬だけ何かが浮かび上がる。
『―――ット、また――――――に―――――――のか?』
『――――――かよ、―――――――――んだ。――――?』
『――、――――に―――――――る。ニニャ―――――――て――――――である』
忘れられない声。
『本物が手に入るまでは、これが俺たちの漆黒の剣だ』
心地のいい声。
『おはよう、ニニャ』
『おーっす』
『おはようである!』
かけがえのない、声。
最初は飛沫程度であったその欠片は、次第に大きく勢いを増しながら浮かび上がる。
(みんなに悪いことしたな)
膨れ上がった思いが再び分厚い狂気に覆われて消えるまでの一瞬だけ正気を取り戻したニニャが抱いたのは、仲間たちへの思いだった。
そんな思いを、邪神が汲むわけもなく。
杖からあふれた邪悪な魔力が、ニニャを包み込んでいく。
濃密な魔力は次第に形を持ち、彼女の全身を靄が溢れる黒いローブが覆い隠した。
影に包まれたフードの奥に彼女の影はなく、ただ怪しい白い光が二つ、眼光の様に浮かんでいるだけだった。
やがて、黒く禍々しいオーラを纏ったその体はふわりと浮かび上がり、真っすぐ王城へと向かっていった。
【黒き使者の杖】<遺産級><製作品> 製作者:(文字化けしていて読めない)
*それは最果ての森の樹で作られている
*それは輝くトラペゾヘドロンが使用されている
*それは周囲の<正気度>を低下させる
*<意志力><対魔力>による抵抗判定を行い、失敗すると<狂気>のステータスを得る
*それを自らの意志で手放すことはできない
*"這い寄る混沌"との交信を可能にする
説明文
・"這い寄る混沌"・ニャルラトテップと交信するための魔石が埋め込まれた杖。
・彼は装備した者の欲望や憎悪を駆り立てる様に語り掛け、必要な力を与えると誘惑する。
・確固たる意志と十分な魔への備えがなければそれに抵抗することはできずに狂気へと堕ち、自らの欲望に身をゆだね、世界を混沌へと導こうとするようになるだろう。
・狂気に抵抗できるだけの意志力があっても、混沌への誘惑に耐えられなくては彼の悪意にのまれるのみである。
・自由を求め世界樹の元に生まれた体には、その誘惑は届かない。