そしてまさかのえっちゃんスキル強化ー!もう今ならソルトに抱かれてもいいです!
オープンキャンパス用の小説も書き終わったし、気持ちよく投・稿・再・開です!
こちらのサイトからも見れるので良ければ読んでいってください。
それではどうぞ!(なお今回は殆ど原作そのままの模様)
サファイアを追うために別行動となったルヴィアさんと別れ、息を切らして走り続ける事十数分、だが、その苦労も虚しく、目の前に広がる住宅街から光の奔流が空へと昇って行った。やっぱり間に合わなかったか。
「だあーッ!ステッキの分際で主人を裏切るなんてほんといい度胸してるわね、あの馬鹿ステッキーッ!!」
「自業自得、では……?」
「黙らっしゃい!大体、アンタたちがダラダラと長ったらしく話してなきゃ間に合ってたかもしれないでしょうが!」
「マスターさん、この人怖い、です……」
「はいはい、俺のせい、俺のせい。えっちゃんは悪くないよー」
隣で全力で走っていた凛ちゃんはあの愉快なステッキが新たなマスターを得た事を察し、絶叫した。えっちゃんが正論を口にすると逆ギレして周囲に当たり散らす。俺は適当にそれを流しつつ、衛宮宅へ急ぐ。
「なあああ何これー!ホントに魔法少女なの!?ていうかいつの間に外に出たのー!?」
『いやー、あそこちょっと狭かったんで~』
「裸で外に出ちゃったの!?」
『お似合いです!とってもお似合いですから~』
「ちっともフォローになってないよ……」
不法侵入したその家の敷地内で見たのは、知り合いに見られたら悶絶間違いなし!なフリフリとした魔法少女服に身を包んだイリヤちゃんがガックリと項垂れる所だった。
『うー、やっぱり魔法少女はロリっ子に限りますね~!どこぞの年増魔法少女とは大違いです~』
愉快なステッキ――ルビーのその言葉に反応して、隣のあかいあくまからプッツンと血管が切れる音が聞こえた……ような気がした。
「ほーん、誰が年増ですってー?」
『あら~、誰かと思えば凛さん。生きていたんですね~』
「ええ、お蔭様でねー……本当に生きてるのが不思議なくらいよ」
『あは~☆それは大変でしたね~』
「この、よくも抜け抜けと……」
皮肉を軽く流されて、凛ちゃんは口元をピクピクとさせ、怒りに震える。
『それで、横の人達が協力者ですか~……――ああ、なるほど。そういう事ですか~』
「ん、どうした?えっちゃんの事ならもう知ってるんだろ?」
『いえ、気になっていたのはそちらの英霊さんじゃなくて貴方の方ですよ~。あのクソじじいがやけに気にかけてると思ったら、こういう事ですか~』
「それってどういう……?」
「ええい、何を訳のわからない事くっちゃべってんのよ!いいからこっちに来なさいルビー!誰がマスターか、キッチリ教えてあげるわ!」
ルビーはそんな凛ちゃんを放置し、俺を見て何か意味ありげな事を呟いた。
クソじじいとは恐らく
ルビーの言葉が気になり、問いただそうとしたが、その前に凛ちゃんの怒りが限界を迎えたらしく、口を挟んできた。
『いえいえ~、そんなの言われるまでもありませんよ~!なにせ、こちらにいますイリヤさんこそがわたしの新しいマスターなのですから~』
「はぁ?ちょっとあんた……」
「ち、違います!詐欺です!騙されたんですっ!気が付いたらこんな事になってたんですっ!」
「あー……もういいわ。だいたいわかったから」
ルビーの言葉で凛ちゃんの怒りは今まで蚊帳の外だったイリヤちゃんに向けられた。ぽけーっと成り行きを眺めていたイリヤちゃんは慌てて弁明をする。
その様子を見て、イリヤちゃんが愉快なステッキの
「とりあえずそのステッキ返してくれる?ロクでもないものだけどわたしには必要なのよ」
「は、はぁ……どうぞ」
困惑しながらもステッキを差し出すイリヤちゃんだったが、ルビーが折角手に入れた新しいおもちゃを手放す訳もなく。イリヤちゃんの意思と反してその手からステッキが離れない。
『ふっふっふ~。無駄ですよ~!既にマスター情報は上書き済みですからね~。本人の意思があろうとなかろうと私が許可しない限りマスター変更は不可能ということで……』
「ふんっ!」
『ゆあっしゃー!?』
凛ちゃんは怒りに身を任せて、ルビーを壁に叩き付けた。衛宮家の壁にクレーターのような罅が刻まれる。痛そう(小並感)
「上等じゃないのルビー……!それならもう一度マスター変更したくなるように可愛がってあげるわ……!」
『相変わらず情熱的な方ですねー。そんなに魔法少女が恋しいんですか~?』
「恋しいわけあるかー!あんなもん人に見られたら自殺モンよ!」
凛ちゃんが顔を赤らめてルビーの言葉を否定する。その傍では「私、今自殺モンの状況なんだ……」とイリヤちゃんがガックリと項垂れていた。
『しょうがないですね~。じゃあイリヤさん。「このやろー」と思いながら
「え、えっと。こ、このや、ろー?」
『いよっしゃあー!!』
「『オシリスの塵』!」
言われるがままにイリヤちゃんがルビーを振ると、凛ちゃんに向かってビームが放たれた!
いくら死なない程度のダメージとはいえ、知っていて防がないというのもアレなので、反射的に支援魔術で凛ちゃんを守る。
「きゃーッ!?なんか出たーーッ!?そして防がれたーーッ!?」
『イリヤさんの返答はこうです!「ステッキは誰にも渡さねぇ……国へ帰りな年増ツインテール」……にしてもなんで防いじゃうんですかー、おにーさん。あ、もしかして凛さんに弱みでも握られてるんですか~?』
「言ってないよそんなこと!?」
「ぐすん。実はソーなの」
「……何すんだコラーッ!!」
ルビーの言葉に悪ノリしてよよよ…と泣くフリをする俺。凛ちゃんは暫く呆然としていたが、状況を理解するとルビー――正確にはルビーを持ったイリヤちゃんに向かってガンドを連射した。しかし……
「うひゃあああッ!?……あれ?なんともない……?」
『お忘れですか~、凛さん?カレイドルビーにはAランクの魔術障壁や物理障壁など多くの力が宿っていることを!』
蹲るイリヤちゃんには傷1つ付かない。ルビーの言葉通り、カレイドルビーに転身した魔法少女は様々な恩恵を身に宿すためだ。普通の魔術師じゃ、この守りは崩せない。
『つまり!「今や英雄にも等しき力を得たこの私に年増ツインテールごときが敵うと思ってんのかー」……とイリヤさんが言っていますよ?』
「ちょっと!勝手なこと言わないでよー!」
……だが、それも万能ではない。凛ちゃんは溜息を吐くと、大粒の宝石を天に向かって指で弾く。瞬間、閃光が夜空を照らした。
「ひゃあっ!?なに……何なの!?」
「いけませんイリヤさん!めくらましです逃げてくださいーッ!」
「ごめん、少し眠っててね」
障壁内部からの零距離射撃、それがカレイドルビーの障壁を無効化する手段の一つ。
イリヤちゃんは光を直視してしまった為に目が一時的に潰され、混乱している。とてもじゃないが、まともに動ける状態じゃなかった。
凛ちゃんはイリヤちゃんのこめかみに指を向けガンドを放つ――
「……ふぇ?」
「……何のつもり、明日望?」
「いやー。イリヤちゃんは別に悪い事何にもやってないのにこんな目に遭うのは可哀そうかなーって」
しかし、そのガンドは天へと放たれた。俺が撃つ直前で凛ちゃんの手首を掴んで上に引き上げたからだ。
俺の言葉を聞いて少しは冷静になったのか、凛ちゃんは手を下ろした。
『ナイスですおにーさん!元になったのがあのロクデナシとは思えない程の善良っぷりですね!凛さんも見習って下さい!イエスロリータ、ノータッ……』
「あんたはちょっとは反省しなさいよッ!」
『ひでぶっ!?』
……ルビーに対しての怒りは収まらなかったようだが。ルビーは今度は地面に叩き付けられた。
「あうー……何が起こってるのか全然わからないよー……」
「『イシスの雨』。これで見れるようになったか?」
「あっ、はい。ありがとうございます、おにーさん」
「礼はいいよ。悪いのは全部このステッキとあっちの怖いおねーさんのせいだからな」
「ちょっと明日望!この馬鹿ステッキとわたしを同列にしないでくれるかしら!」
凛ちゃんが何か言っているが無視だ。実際、凛ちゃん達が私闘にステッキを使ったせいでこんな事になってんだし。
そんな中、地面に押さえつけられているルビーが話し出す。
『いやー、参りましたー。おにーさんのお蔭で助かりましたけど、こうもあっさり負け寸前までもっていかれるとは。これからいろいろ教育していかないとですね~』
「……ルビー、まだマスター変更しないつもり?」
『ええ!何度強要しようが無駄ですよ~。ルビーちゃんは暴力には屈しません!私の新しい
「あっそ。それならそれでいいわ。……あーあ、こんな小さい子を巻き込むのは本意じゃないんだけどねー」
ルビーの言葉を聞いて説得は無理だと諦めた凛ちゃんはイリヤへと言葉を投げかける。
「イリヤ。いい?今から大事なことを言うからよく聞きなさい。命じるわ――貴女はわたしの
「……は?」
イリヤちゃんはその言葉を聞いて、自分がとんでもなく面倒な事に巻き込まれたという事だけは理解したようだ。
……ここまでいったなら俺はもう要らないな。
「凛ちゃん、ちゃんと説明はしてやれよ。俺は適当に誤魔化してからそのまま帰るわ」
「はいはい、わかってるわよ」
「あ、あのっ!助けてくれたり、目を治してくれて本当にありがとうございました!」
背後から聞こえる声に手を振って返し、俺は窓から風呂場へと進入する。そして未だ伸びている士郎氏の頬をペチペチと叩く。
「おーい、士郎氏ー。生きてるかー?」
「うう……はっ!違う!電気が消えてたせいなんだ!許してくれ、セ、ラ……?」
「よっ。グッモーニン」
「明日望……?どうしてウチに……?」
「いやー。えっちゃんとのデートの帰りに偶然、怪しい奴が士郎氏の家に石を投げこんだ所を見てな。最終的には逃げられちゃったからちゃんと気を付けておけよって事を伝えるためにここで士郎氏を介抱してたってわけさ」
「ああ、そうか。なんか悪いな。折角のデート邪魔しちゃって」
「良いって事よ。それじゃ、あの可愛い家政婦さん達にちゃんと手当してもらえよ。また明日な」
「ああ、ありがとな。また明日」
後は士郎氏が上手い事言ってくれるだろう。窓から外に出て帰路へ就こうとする。
「マスターさん。もう少し、私を頼ってくれても良いんだよ?」
「え?いやー、こんな事でえっちゃんに頼るのもなーって。そんなに危ない事もしてないしさ」
すると、今まで後ろで黙々と雪見だ〇ふくを平らげ、ちょうど10パック目に突入したえっちゃんが口を開いた。
「それでも、です。私は一応、マスターさんの剣、です。……面倒ですけど、ちゃんと使ってくれないと拗ねちゃうよ?」
「あー……ゴメン」
「駄目です。許しません。マスターさんは、至急、私の機嫌を取るべき、です」
「……何処へ行きたいの?」
「木曜日の夜限定で和菓子バイキングをやっているという店を見つけました。そこに連れて行ってくれれば許してあげなくもない、です」
「はいはい、わかりましたよ。それじゃ行こっか、えっちゃん」
ああ、ホントえっちゃんは可愛いなあ!と脳内で狂気乱舞しながらも極力、顔には出さないようにして、俺はえっちゃんと共に夜の街へと歩き出した。
……この後、件の店を出禁になった事はまた別の話である。
わかりやすい伏線を少しだけ張ってみたり。ちゃんと回収できればいいなあ……