超超高校級の78期生 作:天星
江ノ島盾子は勝利を確信していた(フラグ)
学級裁判ではクロだと思う人が投票で決定される。
そして、その投票で最多票を獲得した者はクロか否かを問わず『オシオキ』を受ける。
そのオシオキの内容とは残虐な処刑。
直接手を下すのは江ノ島盾子なわけだが、彼ら彼女らも投票という形で間接的に手を下す事になる。
クロだけが死ぬか、クロ以外が死ぬかという2択なのだからまともな人間なら前者を選ぶのは明白ではある。そう理屈では分かっていても間接的に残虐な処刑を行ったという事実は彼らの心を蝕み、絶望を齎すだろう。
……そう、思っていた。
『それでは、オシオキタ~イム!
彼には野球選手に相応しいオシオキを受けてもらいます。
名付けて~、1000本ノック!!』
説明しよう。
これはマウンドの上に置かれたピッチングマシーンから時速200kmの野球ボールを次々に射出するというものである。
ボールの向かう先には十字架に鎖で磔にされたクロが居る。
たかが野球ボールと侮ってはいけない。メットの上からボールが当たった場合でも当たり所によっては昏倒するのだ。
バットは勿論、ミットもメットもプロテクターも無い彼が1000発ものボールを受けたら……結果は言うまでも無いだろう。
数発くらいはまともに受けても死なないだろう。しかし、だからこそクロの苦しみは長引き、残虐な処刑となる。
……実は最初は100発だったのだが、人外っぷりを見た江ノ島が不安になって10倍に増やしたのはナイショである。
『では~、スタ~トッッ!!』
ピッチングマシーンの電源が入り、グオングオンという不気味な唸り声を上げる。
数秒経過して安定状態に入ったのであろう。キィィンという甲高い音に変わる。
他の高校生たちはそれをフェンス越しに眺める事しかできない。止める術など、無い。
そして、最初の一発が放たれる!
カキィィィン
そして、それが打ち返される!!
『…………はい?』
そんな摩訶不思議な現象に直面しても心無きピッチングマシーンは止まらない。
ズガガガガッという効果音が聞こえそうな速さで次々とボールを繰り出し、カキキキキィィンという連続した効果音を放ちながら打ち返される。
『ちょ、ちょっ!? えええええっっ!? どどどどうなってるの!?』
……さて、この辺で彼の、超超高校級の野球選手の少年の能力について説明しておこう。
まず、究極の野球選手とはどういう存在だろうか?
それはあらゆるポジションで完璧に役割をこなす存在であると言えよう。
バッターであれば例え敬遠球であっても確実にホームランを叩きだし、ピッチャーなら一切打たせない投球を……するよりもあえてピッチャー返しを誘ってアウトを取る方が究極だろう。
ファーストやショート等の内野手であれば渡されたボールを速やかに捕球し、タッチアウトを取る。
外野手であれば捕球した弾を速やかに内野手へと回す……などという無駄な事はせずに自力で瞬間移動してベースを踏むだろう。
これ以外にもチームのリーダーとして指揮力やカリスマ性を発揮する、等が上げられる。
さて、ここで注目すべきはバッターとしての能力だ。
彼はいかなる状況であってもホームランを叩き出す事が可能である。
例え両腕が折れていようが、ピッチャーが180度真逆の方向にボールを投げようがホームランが打てるのである。
十字架に磔にされている事など障害にもならない。
彼がバッターボックスに立つ事とホームランを打つ事はイコールで結ばれているのだ。
数分が経過して1000個のボール全てが射出された。
その全ては打ち返され、野球選手の少年には傷一つ無かった。
「お、これで終わりか? オシオキってのも大したこと無かったな」
野球選手の少年は希望に満ち溢れた満面の笑みを浮かべていた。
超超高校級の野球選手
『常勝の先導者』と謳われた人外級の野球選手
本人が自重した為にリーダーとしての側面が目立ってこのような称号が付けられているが、選手としての質も人外級である。
一切身体を動かさずに放つホームランは実は対象がボールでなくても成立する。超超高校級のアイドルが彼を仕留め損ねたのも実はこの能力のせいである。
究極の捕球力、そしてアウトを取る能力を得る為に瞬間移動の能力を保有している。
間に障害物があっても瞬間移動は機能するので、閉鎖空間からの脱出くらい楽勝である。
彼の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』
イメージとしては禁書目録に出てくる一方通行さんと座標移動さんを足して2掛けた感じです。
学園都市基準のレベルだと18~19くらいかな。きっと。