超超高校級の78期生 作:天星
校内放送に導かれて
壇上には一体のモノクマが座っていた。
『え~、それでは、これから『学級裁判』について説明します。
一回しか言わないから、オマエラよーく聞くんだよ?』
江ノ島もどうやら調子が戻ってきたようだ。モノクマっぽい喋り方で自然と話せている。
この後ルールを説明するが、要約すると以下の通りだ。
・一定時間後に裁判を開く。その前にできるだけ証拠とか集めとけよ。
・裁判が始まったら誰が
・またしばらく時間が経ったら多数決でクロを決めるよ。
・クロを当てられたらクロはオシオキ。外したらクロ以外オシオキ。
・オシオキ=処刑。
大体こんな感じである。
『オマエラ、ちゃんと理解したかな?
それじゃあ調査パートスター
「フン、こんな茶番には付き合ってられんな」
モノクマの宣言に水を差したのは……噛ま、御曹司の少年である。
実は江ノ島にとってここで水を差される事自体は(割と珍しく)計算通りであった。
しかし、それは潜伏させている姉の軍人の少女にやらせるというマッチポンプの予定だったのだが……まあこの際どっちでもいいや。
彼には見せしめに死んでもらおう。
『キミィ、学園長であるこの僕に逆らうのかい?』
「学園長だか何だか知らんが、こんな茶番に付き合う必要は無い」
『う~ん、それなら仕方ないねぇ。
召喚魔法発動! グングニルの槍!!』
モノクマが呪文っぽい言葉を宣言すると御曹司の少年の周囲に太い鉄の串が多数出現する。
この程度は『超高校級の空間歪曲者』や『超高校級の魔術師』の技術があれば事前の仕込みさえしておけば普通に可能である。
そしてそれは御曹司の少年へと真っ直ぐ突き立てられ……
「貴様……誰に向かって武器を向けている!!」
串が突き刺さる前に謎の影が割り込み、全ての串を叩き落とした。
当然、御曹司の少年は無傷だ。
『ちょ、えええええっっ!? 何が起こったの!?』
「ふん、愚民が。
俺が御曹司であるから以外に理由が要るのか?」
『要るよ!? 要るからね!?』
さて、この辺で彼の能力について説明しておこう。
彼は超超高校級の御曹司である。
御曹司である以上、常に最高級の執事が居るのは当然の事だ。世界に刻まれた真理と言っても良い。
故に、彼が呼べばいついかなる状況であっても執事は駆け付ける。
更に、彼が使役する執事は超一流である。
故に空間に突如現れた鉄串を一瞬で全て叩き落とす事など造作もない。
そこに雇い主の許可は不要だ。故に自動的に叩き落とす。
……長々と語ってきたが、実際には執事などという人物は存在しない。
しかし、『彼は御曹司である』『御曹司には執事が居る』『執事なら鉄串など容易に叩き落とす』『故に彼は怪我などしない』という完璧な四段論法が世界に真理として成立している事は確かだ。
故に彼はこの理論を成立させる事ができる。
『彼は御曹司である』『故に彼は怪我などしない』
シンプルであるが故に完璧な理論により、鉄串如きでは怪我などはしないのである。
しかし、こんなシンプルな理論すら理解できない江ノ島はただただ混乱するばかりである。
『と、とにかく、学級裁判してもらうんだからね! 解散!!』
とりあえずそう言って強引に押し切るしか無かったようである。
超超高校級の御曹司
『因果の支配者』と謳われた人外級の御曹司
御曹司であるが故に受けられる様々な恩恵を過程をすっ飛ばして受ける事ができる。
彼が紅茶を飲みたいと思えば目の前にテーブルとお茶が入ったティーセットが現れ、脱出スイッチが欲しいと願えば即座に現れる。
彼の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』