超超高校級の78期生 作:天星
江ノ島盾子はちょっと呆然としてた。
せっかくコロシアイが起きそうだったというのに謎の超能力に邪魔された。
最初に邪魔された日から2~3日ほど経過を見たが、『夜時間に男女が二人きり』という条件を満たす事でほぼ確実にあの風紀委員を自称する超能力者が飛んでくる。
モノクマで適当に妨害を試みても凄い速度で移動するので振り切られる。実際には走っているのではなく瞬間移動を連続して使用していたので妨害など不可能だが、彼女がそれに気付く事は無かった。
今度は風紀委員に土下座して頼み込もうか? いやいや、そんな事はできない。
彼女にもプライドというものがあるのだ! そう易々と土下座なんてできない!!
……え? プライドなんてあったのかって? あるに決まってるじゃないか!
というわけで対策を練る。
……二人きりになると確実に感知してくる。
ならばそれを崩せば良い。
とりあえず実験だ。幸運の少年の部屋に適当にモノクマを仕込む!
そうすればアイドルが来ても男1女1クマ1で条件が狂うはずだ!!
って言うかそうであって欲しい!!
……結論から言うとあっさり成功した。
「苗木くん! 今度こそ不審者が部屋に来ました! 助けてください!!」
「……あれ? いつもならこのタイミングで石丸君が来るんだけど……まあいいか。
しっかし不気味だね。何者だろうね?」
「そうですね。あの、できれば今日は部屋を交換してもらえないでしょうか?」
「うーん……そうだね。
僕の幸運があれば犯人を捕まえられるかもしれない。やってみようか」
「は、はいっ! ありがとうございます!!」
この一連のやりとりを聞いて江ノ島が嗚咽を上げて涙を流したのも無理は無かろう。これでやっとコロシアイが起こるはずだ。
本当に長かった……
……そして翌日。
幸運の少年が見たのは包丁を腹に刺されて血を流すアイドルの少女の姿だった。
「っっ!! これはっ!!!
……ん? …………なるほど、そういう事か」
扉を開けっ放しにしていたため声が漏れたらしい。探偵の少女も部屋にやってきてアイドルの少女を目撃する。
「苗木くん、どうし……っっ!!
……ああ、そういう事」
そして、噛ませ……もとい、御曹司の少年もやってくる。
「苗木、どうし……おいどういう事だ、説明しろ苗木!!」
それを言い切るのとほぼ同時に放送が流れる。
『死体が発見されました。一定時間の後に学級裁判が始まります』
……この時、江ノ島は大声を上げてガッツポーズをしていた。黒幕としての威厳なんて完全に吹っ飛んでる気がするが、一応誰にも見られてないのでセーフだろう。きっと。
この後、続々と人がやってきて事件現場を見ていく。
「っっ!! ど、どうしてこんな事に!?」←江ノ島に扮した軍人
「っ! ……」←野球(犯人)
「あン? これは……」←暴走族
「こ、これ、夢だよね! そうだよね!!」←プログラマー
「こ、これはっ!! ……ん?」←風紀委員
「……ふむ」←同人作家
「おやおや、これは一体どういう事でしょうね」←ギャンブラー
「……なるほど」←格闘家
「そ、そんな!! どうしてこんな事に!?」←水泳
「あわわわわ! どどどどういう事だべか!?」←占い
「ひええええええ バタリ
あっひゃひゃひゃ!! う~ん? こいつはいただけないねぇ」←文学からの殺人鬼
『それじゃあさっきの放送の通りに一定時間後に学級裁判がはじまります。
最初だから流れを説明するんで、体育館に集まってね~』
Q、何で超超高校級の風紀委員はわざわざ瞬間移動で走ってるん?
A、「風紀委員が廊下を走って風紀を乱すわけにもいかない!
だがしかし! 風紀の乱れを感じたら可能な限り早く現場に辿り着かねばならない!!
よって僕は走らないかつ速い移動をする瞬間移動を常用しているのだ!!」
Q、……何で普通に走っているフリを?
A、「最初は現場に直接瞬間移動していたんだが現場に居たおじいさんがビックリして心臓を止めてしまった事があってね。
何とか蘇生には成功したんだけど、僕が図らずとも風紀を乱してしまった事に変わりない。
その時の反省を生かして普通の人間にできるレベルの動きに見えるように瞬間移動を使う事にしたんだよ」
Q、……あ、はい。ありがとうございました。
A、「これだけで良いのかい? これくらいならいつでも協力させてもらうよ!」