超超高校級の78期生 作:天星
さて、結論から言おう。
DVDプレイヤーが全滅した。
新しい部屋に案内する度に『幸運』の少年が何かしらをやらかし、機材が吹っ飛んでいくのだ。
その度に超超高校級の
って言うか、江ノ島にそんな事を考える余裕は無い。
「や、ヤバい……どうしよう……」
予備も含めて全部壊れたのでもう外から調達するくらいしか方法が無い。
まぁ、学外にも協力者は多数居るので、適当にプレイヤーを持ってきてもらい、少しの間だけ正門を開けば調達自体は何とかなるのだが……
「……このままやっても、間違いなくまた全滅する」
あの『幸運』の皮を被った悪魔なら間違いなくまた全滅させてくる。
いや、それだけならまだ良い、いや、決して良くは無いのだが……
下手すると搬入作業中に目を覚まして正門から悠々と脱出される恐れもある。
いやもう、彼一人だけなら脱出させた方が良いんじゃないだろうか?
「……いやいや、ここで弱気になってどうすんのよ。
そんな事したら絶望が希望に屈したことになる」
というわけで却下だ。
ではどうするか?
DVDを使わずに別の動機を用意する? いや、どうせ何かの不運で妨害されるだけだろう。
彼だけを隔離する? いや、彼に近づいただけでモノクマが誤作動してもおかしくはない。
彼の能力を封印……できるならさっさとやってる。
…………八方塞がりである。
「…………なら仕方ない。ダメモトでやってみましょうか」
完全に追い込まれた江ノ島が取った秘策とは……
『っていうわけでお願いします! その幸運を何とかしてください!!』
「え? いや、そんな事言われても……」
『幸運』の少年に土下座して頼み込む。これしかなかった。
いや、土下座してるのはモノクマなんだけどさ。
「お願いします!!」
「中の人出てきた!? って言うか江ノ島さん!?」
誠意を見せる為にわざわざ潜伏を解除して江ノ島自身もやってきた。
ちなみにここは『幸運』の少年の個室なので他の人には見られてない。
外への放送に関しても今の状態は流さないようにしている。
「江ノ島さん……って事は、あっちの江ノ島さんは戦刃さんなんだね」
「うえっ!? 何でその名前を!?」
「えっと……視聴覚室でモニターに頭を突っ込んだ衝撃で大体思い出したからね」
「どんだけ幸運なのよ!! アホじゃないの!?」
なんかもう最初の計画なんて完全に破綻してる気がするけど気にしてはならない。
「そういうわけなんでその(私にとって)絶望的な幸運を何とかして下さい!!」
「いや~、何か哀れだからできるなら僕も手加減したいんだけど、これは生まれつきだからね」
むしろ生まれた時からだったのかその体質。
「そこを何とか! 何かあるでしょ!?」
「う~ん……とりあえず適当に頑張ってみるよ。
近づいて欲しくない場所があったら先に言ってくれるかな」
「OK! それじゃあ頼むわよ!」
こうして、超超高校級の幸運と超高校級の絶望の交渉は終了した。
原作における超高校級の希望と絶望が手を組むという謎現象。
なお、こうやって幸運が頑張って手加減してくれないと不幸なコロシアイが一切起こらない模様。
あと、何かダンロンじゃなくてめだかボックスか何かになってる気がしてきたけど気にしない。