超超高校級の78期生 作:天星
前回までのあらすじ!
軍人が探偵と殺人鬼に刺されたよ♪
『え、えっと……ええええええ!?』
「……8・9・10秒経過。判定は?」
江ノ島盾子は恐怖を感じた。
目の前の人外どもは顔色一つ変えずに軍人を殺した。
それこそ、虫を踏み潰すくらいの気軽さで。
彼女たちは軍人が黒幕だと確信していたんだろうか?
仮にしていたとしてもここまで容赦なく殺せるものなのだろうか?
と言うかあの様子なら一般人であっても躊躇い無く殺すんじゃないか?
もうこの人外どもの方がよっぽど絶望なんじゃないだろうか?
「で、どうなの?」
『……彼女は黒幕じゃないよ』
呆然と、そう言う事しかできなかった。
「そう、じゃあ起きなさい。戦刃むくろさん」
『…………はい!?』
「ん、ぅぅ……あ、あれ? 私、生きてる……?」
『えええええっっ!? いや、ちょっ、えええええええ!?』
この1分足らずのやりとりを振り返ってみる。
……明らかに凶器で刺されていたんで死亡確認なんてするまでもなく死亡判定を出してしまっていた。
しかし、実は死んでいなかったとしたら……
『騙されたぁぁああああ!!!!』
では、今回の犯人2名の能力について解説していこう。
まずは殺人鬼からだ。
超超高校級の文学少女の第二の人格である彼女は超超高校級の殺人鬼である。
さて、殺人鬼にも色々な種類がある。
スラム街生まれで周囲から殺して奪わねばならないという過酷な環境の生まれであったり、
殺人を生業とし、金持ちからの依頼を受けて要人を暗殺したり、
まぁ、これらのような性質であればまた別の称号が付きそうだが、要するに『殺人の動機は人それぞれ』という事だ。
で、問題の彼女の動機、それは『殺したいから殺す』という動機になっていないような動機だ。
『沢山殺したい』という願望を持つ彼女の能力、もうお分かりだろうか?
それは、何度でも殺せる能力。つまり、『殺した瞬間に相手を蘇生する能力』だ。
軍人は一応死んではいたのだ。すぐ生き返ったけど。
……ちなみに、彼女が今回動いた理由は江ノ島を騙したかったからとかではなく『殺しても文句を言われなそうだったから』であったりする。
続けて、超超高校級の探偵についてだ。
探偵として証拠品を見つけたり嘘を看破したりといった基本的な事が極めて高い水準にある事は説明するまでもなかろう。
ところで、探偵というものはある種の負の側面を持ち合わせている事をご存知だろうか?
よく言われるのは『探偵が事件を呼び込む』というもの。
彼女の身の回りでは有り得ないくらいに事件が頻発するのだ。勿論、すぐに解決するが。
これはあくまでも一例に過ぎない。探偵はいくつもの『お約束』と言えるものに縛られている。
詳しくは割愛するが、今回重要なのは『探偵は犯人にはなれない』というものだ。
探偵役が犯人という叙述トリックが冴える作品も存在するが、基本的には第三者が事件を紐解こうとする時に著しくアンフェアになるため邪道だと言える。
故に、彼女はどんな事をしようとも犯人になる事ができない。
今回はその能力を使って全力で軍人を殺そうとして黒幕を出し抜いたのだ。
「それじゃあ、そっちに行くわね。4階に居るんでしょ?」
『……その必要は無いよ。今からそっちに行く』
ヒドい不意打ちで騙されたが、負けは負けなのだ。
江ノ島は潔く投了する事を決めた。
超超高校級の
『輪廻の殺戮者』と謳われた人外級の殺人鬼。
快楽殺人者である彼女は1人の対象を何度でも殺す為に殺した直後に蘇生する能力を身につけた。
ついでに、効率よく殺す為にかすり傷でも死に至らせるとか、写真を切り裂くだけで相手を殺すとか、そんな能力も色々と持ってる。
しかし、蘇生した後は傷は一切残らないため犠牲者は白昼夢を見たと勘違いし、都市伝説になったりしてる。
彼女の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』
超超高校級の探偵
『真実の解放者』と謳われた人外級の探偵。
探偵としての人外の基礎教養は割愛しておく。
一度見た証拠品をいつでも取り出したり、他人の個人情報を把握する能力などがある。
本文中でも述べたように探偵としての負の側面も持っており、彼女の身の回りでは恐ろしい量の事件が発生する。誰も居ない所に暮らしていれば流石に発生しないが。
他にも様々な縛りがあるが……代表的なものは『犯人になれない』『事件解決まで閉鎖空間からは誰も抜け出せない』等である。
彼女の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』
超超高校級化することで負の側面が強化されるという……
ちなみに、本作には『叙述トリックやそれに類似するトリック』を貶す意図は一切ありません。何か53番目くらいの某作品に物申したい事があっても本作の感想欄などで発散するのはご遠慮ください。
……え? 何の事だって? 知らないなら気にしないで下さい。