超超高校級の78期生 作:天星
江ノ島盾子は学級裁判でのあまりの事態に気絶してしまったが、幸いな事にそれはほんの少しの時間だったようだ。
……まぁ、ずっと気を失ってた方が本人にとって幸せだった可能性がかなりある気がするが……きっと気のせいだろう。
同人「器物破損とはヒドい言い草ですな。拙者の創作物には魂が宿るのですぞ?」
博打「……まあどっちでも構いませんわ。どうせオシオキを受けるのは確定でしょうし」
軍人「あ、そうだったわね……」
言うまでも無く『器物損壊事件』は最初の裁判の『傷害事件』より更に低い犯罪だが……そんな事を気にする人は居なかった。
暴走「だが待ってくれ! どうして石丸を! あいつを殺したんだ!!」
プロ「そ、そうだよ! どうして!!」
博打「クロを誤魔化す為にちょっと変わった殺人を演出しようと思いましてね。
被害者がクロ、奇想天外だと思いませんか?」
暴走「その為だけにあいつを殺したっていうのか!?」
博打「正直言うと、動機が動機だったので被害者は誰でも良かったのです。
しかし、黒幕に『被害者が死んだ』と思わせる必要もありました。
なので、今までの被害者とクロを選んでしまうといくら想像力に乏しい黒幕であっても偽装死の可能性を疑ってしまうでしょう。
ですから、それらの人物を除外して、くじ引きで決めました」
くじ引きで被害者を決めて殺すなんてどう考えても絶望サイドの人間の行動だがそんな事にツッコミを入れる人物は居なかった。
って言うか、江ノ島の想像力はそんなに乏しくなく一般人感覚ではむしろ豊かな方だ。ただの超高校級に人外の行動を想像しろというのは少々酷だろう。
幸運「ちょっと質問いいかな?」
博打「どうぞ」
幸運「その気になれば山田くんみたいに偽装殺人もできたよね? どうしてそうしなかったの?」
博打「それは簡単です。する必要が無いと判断したからです」
幸運「……つまり、わざわざ何かしなくても蘇生できるって事かな?」
博打「さあどうでしょう?
私から言えるのは『あの日私たちは完全な殺人を達成する事は不可能だった』という事です」
幸運「うーん……石丸くんを復活させるには……うわっと!」
幸運の少年がブツブツつぶやきながら歩いていると
そして、少年が倒れた先には……
アイ「きゃぁっっ!」
都合良くアイドルの少女が立っており、転んだ勢いのまま床に押し倒してしまう。
いわゆるアレだ。ラッキースケベという奴だ。
野球「お、おいてめぇ! 舞園さんに何してやがんだ!!」
風紀「そうだそうだ!! 風紀が乱れているぞ!!」
アイドルのファンである野球選手が文句を言い、駆けつけた風紀委員が取り締まろうとする。
クマ『ちょっ、えええええええええ!?
ななな何でここに居るの!?』
プロ「どどどどどういう事!?」
暴走「い、石丸!? 生きてたのか!?」
風紀「む? 騒々しいな。風紀が乱れているぞ?」
クマ『そういう問題じゃねぇえええええ!!!!!』
念のためもう一度言っておくと、今回の被害者である風紀委員の少年がやってきた。
まさか探偵が検死結果をごまかしたのかと思いそちらの様子を伺うが……
探偵「ど、どういう事!? そんなバカな! 確実に死んでいたはず!!」
眼鏡「どういう事だ! 説明しろ苗木!!」
珍しい事に探偵までもが驚いているようだ。
ついでに噛ませが何か言っていたがスルーする。
風紀「あ、そうだモノクマ」
クマ『え? あ、はい。何でしょうか?』
風紀「僕の死体なんだが、きちんと焼却処分してくれたかい? 放置しておいたら腐ってウジが湧いてしまうからね」
クマ『え、えっと……しょ、証拠品なんで冷凍保存してあります』
風紀「うぅむ……まあ良かろう。後でキチンと片付けておいてくれたまえ!」
あ~、確かに死体の処理は面倒だ。外ならともかくこういう閉鎖空間だと……
クマ『ってそうじゃなくて! どういう事!? 死体って言ったよね!? 死んだんだよね!?』
風紀「ん? 風紀が乱れたら例え地獄の底からでも駆けつけるのは風紀委員として当然の事だろう?」
クマ『そんなわけあるかぁぁあああああ!!!!
ゲホッ、ゲホッ』
少々叫びすぎたようで喉を痛めたようだが、そんなどうでもいい事を気にする親切な人は居なかった。
超超高校級の風紀委員 追記
文字通り、地獄の底からであろうと風紀の乱れを感知するとやってくる。
その時、死体が蘇るのではなく本当に『やって来る』ので彼の肉体は増える。
なので、強い相手と死闘を繰り広げる場合、死亡と復活のサイクルを繰り返す事で死体がどんどん増えていく事になる。それをそのまま放置すると環境汚染に繋がるので後で本人の手で片付けられる。
彼の凄さを一言で表現すると『カムクラ君が裸足で逃げ出すレベル』