人魚を釣り上げたので世話する事にした   作:ちゅーに菌

17 / 19
どうも気持ち久し振りのちゅーに菌or病魔です。

今回のサバフェスとりあえずストーリー見終えて、同人力3種今の時点でそれぞれを50万ぐらいにして一旦リンゴしゃぶるの止めたんですけど……。

なんかもう2部どころか、XXのフォーリナーとBBホテップ(特大ネタバレ)とか見たらなんかもうどうでもよくなりました(ヤケクソ)。

というわけで人魚さん分の欠乏症によってこのままでは別に人魚さんの小説を書いてしまいそうなので、ストーリーの様子見は止めてとりあえず再開しようと思います!(恐るべき意思の弱さ)


人魚さんと炒飯

 

 

 

 

 2015年の現代。

 

 輝かしい成果は続き、人理継続保障機関フィニス・カルデアにより人類史は100年先までの安全を保証されていたはずだった。

 

 しかし、近未来観測レンズシバによって人類は2017年で滅び行く事が証明されてしまった。何の前触れもなく、何が原因かも分からず。

 

 カルデアの研究者が困惑する中、シバによって西暦2004年日本のとある地方都市に今まではなかった、観測できない領域が観測された。

 

 これを人類絶滅の原因と仮定したカルデアは人類絶滅を防ぐため、実験の最中だった過去への時間旅行――レイシフトの決行に踏み切り、至急レイシフト適性を持つマスター候補生が魔術協会及びSCP財団からの選抜、または一部公募される事となった。

 

 しかし、誰も予想だにしていなかっただろう。

 

 その決定の僅か3日後に聖堂教会の埋葬機関No.2 イブ・ツトゥルによる襲撃が行われようとは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ……もう! どういうことよ!?」

 

 頭を抱えながらカルデアの廊下を進む女性が歩いていた。まだ、幼さが残る容姿をしており女性というよりは少女に近い年齢に見える。頭に手をやっているせいで髪型が乱れ始めているが、それどころではない程動揺しているらしい。

 

 廊下で彼女とすれ違う他のカルデアの職員らは一瞬だけ彼女に気を止めたが、すぐに各々の職務に戻るといった光景が繰り返されていた。

 

 彼女の名はオルガマリー・アニムスフィア。

 

 こう見えても人理継続保障機関フィニス・カルデアの所長を務める女傑である。

 

 彼女の様子に明きらかな動揺が見られるのは、今日の昼間に起こった出来事に由来する。

 

 埋葬機関No.2 イブ・ツトゥルが侵入したとの警報が鳴り響いたのである。

 

 聖堂教会の埋葬機関と言えば人間のまま異端と戦う代行者の中でも更に怪物中の怪物が所属する組織であり、ただ実力のみで選ばれた殺し屋集団と言っても過言ではない。

 

 その中でもイブ・ツトゥルと言えば"黒"の二つ名を持ち、聖堂教会の最終駆逐装置等とも揶揄される。聖堂教会も相当出し渋っているか不明であるが、滅多な事ではイブ・ツトゥルが出てくる事は無く、凡そ半世紀程の間隔で埋葬機関として活動している。

 

 一度埋葬機関としてイブ・ツトゥルが動き出せば、殲滅対象は終わるまでの間、地域ごと或いは国ごと"黒く新雪のような肌触りの何か"に閉ざされ、外部から若しくは内部からの一切を遮断される。

 

 そして全てが片付いた後は黒いモノは跡形もなく消滅し、覆われた場所はあらゆる有機物の一切が消え去った世界が広がるばかりなのだ。

 

 故に黒。

 

 しかしイブ・ツトゥルは正体はほとんど明かされておらず、神代から生きる真性の化け物という話もあるが、10~11世紀程から見掛けるようになったとも言われているため要領を得ない。少なくともここ数十年では人型であり、かなり大柄な麗人だという事程度が確定している情報である。

 

 ちなみにカルデアの要請でブラックリストに入っているフランチェスカ・プレラーティと交流があり、彼女の依頼で動く事も多々あるらしい。

 

 兎に角、埋葬機関でも指折りの実力者が侵入して来たとなれば基本的には戦闘目的の施設ではないカルデアの管制室は阿鼻叫喚。

 

 "あちら側"から誤報との報告が入るまでは皆気が気では無かっただろう。まあ、尤もここに未だに平静を保てていない者もいるわけだが。

 

 あちら側とは人理継続保障機関フィニス・カルデアには施設の更に下に作られた、カルデアの倍以上の規模を持つ施設のことである。

 

 その施設の名は"セクターカルデア"。そして、運営団体の名は"SCP財団"。世界経済の6割以上を掌握し、影から世界を己の理念に則り席巻してきた最大勢力の神秘組織だ。

 

 まあ、財団を功績だけで言えばそのようになるが、要は魔術教会と聖堂教会とアトラス院を足しても尚大規模で、神秘の秘匿を特に重んじている組織と捉えればそれでいいだろう。

 

 現セクターカルデアの所長であり、管理者と名乗る者はオルガマリーに対してこう言った。

 

『人類はこれまでにおよそ25万年もの歴史を歩んできた。しかし、その歴史のうち特筆すべきは僅か4000年に過ぎない。国々の歴史で言えば更に短くなるであろう。

 

ならば我々は25万年に渡って何をしていたのか?

 

そのほとんどを、理解の外にあるものを恐れて、洞窟の中で小さな焚火を囲み身を寄せ合って過ごしていたのだ。

 

何故太陽が昇るのか、どうして水面に月は浮かぶか、あの赤々とした夕空は如何にしてそこにあるのか、それを明らかにすることよりも、岩壁に刻まれた人頭を持つ巨大な鳥の神秘こそが真に迫るものであった。

 

そして我々はそのような存在を"神"と、あるいは"悪魔"と呼び、許しを乞い、救済の祈りを捧げた。形や真相はどうあれ確かにそこに"神"は"悪魔"は居たのだよ。

 

時は流れ、それらは神秘の減退と共に次第に衰え、我々の数は多くに増えた。恐れるものは数を減らし、世界はより理に適ったものへと移行した。しかしそれでも、不可解なるものは決して消え去る事はない。まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように。

 

人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。他に我々を守るものはいない、我々自身が立ち上がらなければならない。

 

人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。目を背けたくなる事もあろう、しかし誰かが見つめ続けねばならぬのだ。

 

確保、収容、保護。それこそが"管理者"である私の使命なのだよ』

 

 管理者――ナイア・ルラトホテップ博士の真意はどうあれ、その言葉は確かにオルガマリーの心を震わせた事を覚えていた。

 

 まあ、彼女が密かに尊敬している当の本人は超の付く快楽主義者であり、今この瞬間も彼女を悩ませる原因であるが、言わぬが華というものだろう。ちなみにオルガマリーが後で知ったことだが、言葉の大半はSCP財団の職員向けパンフレットに書いてあったりもした。

 

 カルデアの理念は100年先の人類史の存続を保証すること。そして、財団の理念はあらゆる異常存在の確保・収容・保護を行い、人類が知らぬままに遠ざけられた世界を維持する事にある。

 

 故に100年先の未来の保証するカルデアは、財団にとってあまりに都合のよい団体であった。故にこの奇妙な関係は成り立っていると言えよう。

 

 かつてSCP財団はカルデアの創設にあたり莫大な資金援助及び技術提供を持ち掛けた。

 

 それに対して前所長マリスビリー・アニムスフィアはとある事情で手に入れた莫大な財をもってしても、カルデアの設備や研究面においてはやや足りないと言わざる得なかった彼にとってそれは渡りに船。寧ろ提示された条件があまりに好条件だった為、不信に思われる程であった。

 

 そして話し合いの果てに、この南極の秘匿された山脈に大規模"生物系SCP収容セクター"を建設し、その上に計画段階よりも一回り巨大になった人理継続保障機関フィニス・カルデアが建てられたのである。

 

 その契約のひとつにカルデアの警備はセクターカルデア側が大部分を担当している。

 

 ちなみにオルガマリーの恩師であるレフ・ライノールは何故かナイア博士と少々重要な話があるとのことでナイア博士を連れて足早に去っていった。理由は不明である。

 

(冗談じゃないわ! 埋葬機関よ! それも災害級のNo.2! 並大抵のサーヴァントだって相手にならないでしょ!? そんなのが紛れ込んだかもしれないのよ!? 誤報? 世界最強無敵の財団のデータバンクが誤報なんてどうやって信じろっていうのよ!?)

 

 彼女は頭を抱えながらも生物的本能には抗えず、食堂に立ち寄った。

 

「え……?」

 

 すると彼女の思考は停止した。

 

 それというのは食堂の隅にチャーハンがいたからである。彼女がそう思ったため、その表現は適切である。

 

 実際には食堂の隅の方に近い席にそんなものがあったのかというレベルの大皿に山のように乗った超山盛りのチャーハンが置いてあったのだ。

 

 南極(ここ)ならば食料の無駄としか思えない状態である。

 

「ちょ……なにやって……!」

 

 職員の奇行か、大量の米の消費期限が近いのか。出来れば後者であって欲しいと願いながら、彼女はチャーハンの後方に回り込んだ。

 

 

 

『Aaaaa――n』

 

 

 

 回り込んだらなんかいた。なんか、スゴいのがいた。少しでも魔術の素質のあるモノならば近くにいるだけで濃厚に感じる余りにも古い魔力の残光が滲み出ているなんかである。

 

 そのなんかスゴいのは蓮華でチャーハンを掻き込んでいるのである。

 

「え……? へぁ……? はぁ……?」

 

 朝から色々あり過ぎて遂に脳のキャパシティがパンクし、声を漏らすばかりで思考が完全に混乱するオルガマリー。すると彼女の頭の中で何故かナイア・ルラトホテップ博士が爆笑しながら腹を抱えて転げ回っているイメージが沸き、無性にイラッとしたため、どうにか現実へと思考を戻した。

 

『………………』

 

「あ……」

 

 しかし、時既に遅し。近くに立たれたため、なんかスゴいのは蓮華を下から咥えたままオルガマリーを見つめていたのだった。

 

 結果として互いに目が合い、暫く両者動かない時間が続く。

 

 しかし、そんな静寂を打ち破ったのは意外にもなんかスゴいのの方であった。

 

『Grrr……(さっ)』

 

「べ、別に取らないわよ…」

 

 なんかスゴいのはオルガマリーから超山盛りチャーハンを遠ざけて、ちょっと威嚇するような唸り声を上げながら隠すような素振りを見せた。

 

 無論、その巨大さ故に一切チャーハンは隠れていない。オルガマリーが一番に思ったことといえば凄まじい怪力だということぐらいのものである。

 

『Aaaa――』

 

 その言葉を聞いてか、ソレはチャーハンを元の位置に戻すと蓮華でまた食べ始めた。

 

 オルガマリーは何とも言えない気分になりなからそれを見つめるだけであった。

 

「となり失礼するよ」

 

「え? あ、すいません」

 

 するとオルガマリーの後ろから声を掛けられ、ハッとした彼女は通路側から席側に少しずれる。

 

「悪いね、お嬢ちゃん。ありがとう」

 

 オルガマリーが退いたことにより、ピザを持ったカソック姿のとても背の高い女性がそこを通り抜け、チャーハンを食べている何かより隅に近い、ひとつとなりの席に座った。

 

(あれ……? あんな職員いたかしら?)

 

 遅れて少し冷静になったオルガマリーの頭に疑問が生まれる。彼女は少なくともカルデアの職員の顔と名前は全て把握しており、こちら側の食堂であちら側の職員が食事を取ることは稀であるということも把握している。故に疑問に思ったのである。

 

「全く……人間一匹風情が何でもかんでも溜め込むもんじゃないぞ? お姉さんそういうのよくないと思うの」

 

「あはは……」

 

「まあ、いいや。ほら、適当にあった野菜を少し乗せたバーニャカウダのピザだ」

 

「うわ! 美味しそう……」

 

「当たり前だ。こちとらお前の何億ば……何百倍生きてると思っている」

 

「今、ぜったいサバ読んだよね……?」

 

「冷める前に食え」

 

「アッハイ」

 

(え……? 今の声……)

 

 丁度、カソック姿の女性が話している対面の位置は超山盛りチャーハンに隠れる形となり、オルガマリーからは見えない位置に当たるのだが、そこにいるであろう人物の声に覚えがあった。

 

 彼女は意を決して見える位置――カソック姿の女性の背後に移動した。

 

「ロマニ!? あなた何してるの!?」

 

 それはオルガマリーの考えていた通りの人物であり、カルデアの医療部門のトップであるロマニ・アーキマンその人であった。

 

「あ、マリー。あはは、悪いねちょっと早めのお昼頂いてるよ」

 

「俺が無理矢理頂かせたよ」

 

 ロマニからはなんともいえない気の抜けた返事がカソック姿の女性の副音声付きで帰ってくる。特にいつもならば悪いことでもなんでもないのだが、朝から頭を抱えている今のオルガマリーにとっては火に油を注ぐようなものであった。

 

「あなたねぇ!? 埋葬機関No.2がカルデアに入り込ん――」

 

「ん? 呼んだ?」

 

 オルガマリーの目の前、というよりも彼女がカソック姿の女性の背後で立っており、そこから返事が聞こえ、彼女は言葉を止めた。

 

 カソック姿の女性がゆっくりと彼女の方へと振り返る。その姿は青藤色の長い髪が三つ編みで纏められ、 怖いほど深く濃い蒼の瞳をした女性であった。

 

「え……?」

 

「彼女は?」

 

「ああ、彼女はオルガマリー・アニムスフィア。ここの所長だよ」

 

「おお、なら挨拶に行く手間が省けたな」

 

 カソック姿の女性は席から立ち上がると、懐から何かを一枚取り出してそれをオルガマリーに向けた。オルガマリーはそれを恐る恐る受け取った。

 

 

 

"聖堂教会所属 埋葬機関

  No.2  黒のイブ・ツトゥル"

 

 

 

 それは非常に簡素な名刺であった。裏を返せば住所と携帯の電話番号も載っている。

 

「え……?」

 

 本日既に何回目かわからない疑問符をオルガマリーは上げ、笑顔のカソック姿の女性と名刺との間を交互に何度も往き来した。

 

「や……」

 

「や?」

 

 

 

「やっぱりいるじゃないぃぃぃぃ!!!?」

 

 

 

 その日、カルデアにオルガマリー所長の悲鳴が響き渡ったという。

 

 

 

 

 




ロマニが苦労する話だと思ったな、アレは嘘だ。作者、おんにゃのこ虐めるの大好き(おっきーを見ながら)。

最近ゲゲゲの鬼太郎を原作に、羽衣狐っぽいものを主人公に、まなちゃんを妹に、おっきーをヒロインにした"犬山さんちのハゴロモギツネ"もよろしくお願いします(ダイレクトマーケティング)。



あ、ちなみに今回の水着金入れる前に先に使っておこうと手持ちの無料石で60連したらジャンヌ×3、牛若丸×2、ばらきー×2が出ました(爆弾発言)。

友人に殺されそうになりました(嘘偽りない実話)。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。