もしも遊戯王GXに転生した奴が恵まれてなかったら 作:夜想曲
甲板に出てディスク使えとか言うおっさんの勢いを「まだ持ってないから」の一言で鎮めつつ、新たなデッキを手に取る俺。そこで何故か沢渡さんが耳打ちをしてくる。
「……まさかとは思うが、海デッキだからと言って《リトル・キメラ》メインの炎属性獣族デッキじゃあるまいな?」
「そんなピンポイントなことめったにありませんよ。ただなんか楽しそうだったのでそのアイデアいただきます」
「畜生余計な一言を!」
「あーほらさっさとデュエル
席に着き、互いのデッキをカット&シャッフル。
自分のデッキをでんと起き、おっさんはちょいとコインを出した。500円玉?
「なぁ、物は相談なんだが……先行くれんか?」
「まさかの買収ッ!?」
このタイミングで来んのか!?というか、うん。まぁ。
「コイン一個じゃ人命も買えませんよ? まぁ貰いますけど」
「それじゃ先行いただきだっちゅーのよ。ドロー!いきなり行くぜ、《マーメイド・ナイト》を召喚し《大波小波》を発動! 自軍の水属性モンスターを全て破壊し、手札からその数まで水属性を新たに召喚する!」
ソリッドビジョンがなくてよかった、ほんとうによかった。こっちに影響がないとはいえ津波はちょっと恐怖を感じる世代なのでな……あれ、アカデミアって地震きたら噴火とか津波とか危なくね?
「この効果で《
沢渡さんも違和感を覚えたせいか、デュエル中に横槍を入れてくる始末だ。
「なぁ、おっちゃんよ。そのカードは《海》をコストにフィールド
ある意味当然の疑問に、怪しげな笑顔で返すおっさん。そういうぐふふな顔はヤメテホシイナー。
「ぐっふっふ、それが意味は大有りだっちゅーのよ。このカードを特殊召喚すればな!ダイダロスを生け贄に、《海竜神-ネオダイダロス》に進化させる!そして当然《伝説の都 アトランティス》を発動ォ!」
おお、十代戦では出てこなかったストラク販促カードじゃないか! 確か破壊じゃないからミドラーシュもイチコロなんだっけ?(ミドラ下で出せるとは言っていない)
「おいおい、そんなの聞いてないぜ? アトランティスが『海』扱いだから条件は整ってるとして、あのダイダロスが進化したってことは、全体除外とか……?いやそれじゃダメだな」
「へっへ、教えてやるさ。このカードは『海』をコストに、互いのフィールドと手札のカードを全て墓地送りにするのよ! しかもこのカードは無傷! 次のターンで手札1枚で何か出来るはずもなし、ワシの華麗な勝利が完成だっちゅーの!ガハハ!!」
「手札無いしバトルも無いからターンエンドでいいですね? ドロー、モンスター召喚します。バトルで」
淡々とデュエルを進める俺。あっけに取られるおっさん。目が点になる沢渡さん。戦闘破壊されるネオダイダロス。
それもそのはず、俺が召喚したカードはこの世界には存在しないのに割と目立たなさそうな、それでいて堅実に強いデッキを組めそうなことで知られるカード群、
「えー、リンドブルームがモンスターと攻撃する場合、互いのモンスターの攻守はそれぞれ自分のモノと入れ替わります。よってこっちは1800に、ネオダイダロスは1600に。いやーやっぱパワーだけの守備力低いカードはツクヨミとか攻撃封じとかに弱いですよねー」
「「ちょっと待ったァーーー!??」」
はい、恒例のテキスト確認たーいむ。
「何じゃこれ。攻撃力0なのに守備力1900無いとどれだけ攻撃力あっても倒せんのか……」
「というか墓地に落ちたカードもなかなか珍しいカードじゃないか。《ナイト・ドラゴリッチ》? 融合モンスター絶対破壊するマンだなこりゃ」
「というかこれ珍しい種族じゃの。ドラゴン族も本格的に分類が適当になってきとる。海竜と恐竜も入れると何が何やらだっちゅーの」
「いや、恐竜はまだわかるだろ……うん? この《デブリ・ドラゴン》てのはドラゴン族なんだな。守備2000か……コントロール奪われた後のことも考えてるとは……」
いや、それ偶然っす。
しばらく俺のターンは終わらなかった。はやくターンエンドしたいんですけどー?
女神「仕事した?」
死神「してない」
爺神「と言いつつも肩入れ?」
死神「してない」