もしも遊戯王GXに転生した奴が恵まれてなかったら 作:夜想曲
「Q.1発ネタですか?」「A.いぐざくとりー」な筈だったのに!
ぶっちゃけ、試験に落ちるとは思ってなかった。
「なので本気でビビりました。書類不備と配達ミスが重なるとかアカデミア運営はどうなってんですか」
「まぁまぁ、こうやって色々と持ってきてもらったんだしいいじゃないか」
例の不合格通知。何故か不合格書類の裏に「合格しました」通知が重なってて、どっちなんだと一晩悩んでました。しかも合格者向けのアカデミア制服+学校指定ジャージ&デュエルディスクのセットが郵送されてこなかったので、これは不合格だったかと半分諦めてました。
今日こうしてアカデミアからの連絡員が来るまではガチで神の無能さを祟ってました。こんにちは、朝日夕月と申します。一応主人公です。
ちなみに、この連絡員はまたも雇われな先日デュエルした試験官さんである。作業服の胸のとこには「沢渡」と書かれている。……だからエンタメに共感したのか?
「ところで沢渡さん、荷物の郵送っていつになります? 船についてはチケットが取れないでしょうし、せめてそっちの時間だけでも知っておこうかと思って」
「ああ、制服やディスクなどの荷物は郵送せずアカデミアで保管するらしい。つまり今は、既にあっちに向かった連絡船以外でアカデミア行きが可能な船を捜してる最中ってとこだな」
「それ都合が付かなかったら連絡船待ちですよね……転入生呼ばわりされません? 既に入学式からは省かれて授業も数日は取り逃しそうなわけですし」
「そのための教材だろう? 1年生が行う授業のテキストだけはさっき持ってきたじゃないか」
不合格通知を混入させた詫び状代わりなのか、授業が遅れることを踏まえてなのか。
「そうは言っても。そんなの船の中で読めばいいじゃないですか? ましてや数学とかは割と覚えてますし。微分とか」
「それ高校1年生の内容じゃないよな……?」
知るか。こちとら転生者だ、高校数学どころか大学は既に通り越している。事故でも自殺でも過労でもない何でかは知らないがなんか死んだ奴だ。死因なんぞどうせ無能神が手を滑らせたとかだろうし、糾明はしないでおいてやるからとっとと船を寄越せ。
「しっかし、随分と落ち着いているな。試験に落ちてたらどうするつもりだったんだ?どこか他の専門学校でも受けてたとか?」
「いえ、中卒でも割りの良いバイトがあったので」
「無計画すぎねぇ!?せめて滑り止め受けとくとかさぁ!!」
だって神が無能すぎんだもん。
何はともあれ、このまま沢渡さんが暇してるのもなんなので、テーブルですまないがデュエルでもしませんかと誘ってみた。ノリの良い返事だったと言っておこう。
「ところで、この間のデッキは何をコンセプトに組んだものだったんだい?」
「あー、実はあのデッキ気付いたらコンセプトが崩壊してたのでもう崩してるんですよね……」
シンクロエクシーズを見せびらかしてヒャッハーするデッキだとは口が裂けても言えない。
テーブルを用意し、デッキを2つ。転生者宜しくカードだけはいくらでもあったので、自分の境遇を知る為にちょっと2つほど組んでみた。何故あのような事故が起こったのか。
「…沢渡さんはデッキ持ってるんですね」
「一応アマの試合には出たりするんだよ。腐ってもアカデミアスタッフだぜ?」
そう言いつつ、お互いのデッキをカット&シャッフル。
「それじゃこちらの先行で。ちょっとデッキタイプを試してみたいので別デッキも含めてマッチお願いできます?」
「んー……船が見つかったら荷物纏められるか? 時間が許す限り付き合うぜ?」
「持ってるカードは全部詰め込んで、残りはこの80枚だけです。それじゃドローしますね」
1つ目のデッキ。今や懐かしい【ライトロード】デッキである。しかもシラユキ入れて殺意と邪魔っけをマシマシにしてみた。
「………手札事故が起こるデッキ構成にした俺が悪いのか?」
《同胞の絆》《アーチャー フェリス》《ビースト ウォルフ》《裁きの龍》《裁きの龍》
っ《死者蘇生》←NEW!
「ターンエンド……なんかもうデッキ交換したらそっちのワンキルが横行しそうなデッキ構成の筈なんですが、なんんやこれ」
「そんなに酷い手札なのか………正直言う。すまない!ドロー!《モンク・ファイター》を召喚し、生け贄にして《マスター・モンク》を特殊召喚する!」
何で岩石族?の代表三人集の二人が登場。もう一人は
「装備魔法《覚醒》を付けて攻撃……手札から何もなければワンターンキルだが……」
「それじゃあ2戦目行きましょうかー」
「ちょっと待て手札見せろォ!!」
2戦目、光の援軍でライコウが全滅。攻撃力がちょっと高いだけで手札にオネストもいないガロスさんは岩石族のおっさんどもに殴られて全身複雑骨折に終わりました。
「はい、次のデッキ行きましょ」
「そんなに酷い事故って、どんなデッキだ?見せてみろ………なんだこのインチキカードは。このデッキで負ける理由がわからねぇ…」
GX末期のカードプールと9期ぱうあーだからな。そりゃ強いよ。使えればだけど。
見たこともない強カードの束になのか、それを上手く回せないとのたまう俺の運の悪さになのか、閉口する沢渡さんを無視して、2つ目の紙束をシャッフル。
2つ目のデッキ。今回は、むしろネタ寄りに組んでみた。カテゴリ同士のシナジー溢れる関係性に物凄く嫌われてるらしいので、「カテゴリ名でサーチor特殊召喚」「カテゴリ特化したサポート」を意識して
「ドロー、《格闘ねずみ チュー助》を召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターンですね……《プリミティブ・バタフライ》を特殊召喚。そして手札から《孵化》使います」
「レベル5で特殊召喚できるモンスターか……ステータスは低いがそうやって使うんだな。レベル6、何出す?」
「《女帝カマキリ》で。あと地属性使うって知ってたら構成変えてましたごめんなさい。《ブレードフライ》召喚します」
「ちょ」
風属性・昆虫族をメインに組んだデッキ。初手から攻撃力2700を出せる程度には普通に回る以上、どうやら俺が嫌われてるのは正真正銘「カテゴリ」の存在らしい。【シャドール】も【ジェムナイト】も、俺がGX舞台で派手に暴走できる融合メインデッキを組んではみたが、どれも初手6枚~7枚の時点ではまともに動くこともままならない状態だった。
しかも、半公式にカテゴリ扱いされている
「チュー助に攻撃したいんですが、こんな序盤で《孤高の格闘家》使われると厄介なので《撲滅の使徒》で」
「凄い推理力だし正解だがひでぇな、次のドローでブレードフライどうにかできなきゃ負けたぞ?」
シナジーっぽいものがギリギリ見えそうな風昆虫。この程度ならばカードに嫌われることはなさそうだ。が、パワーが足りない。
1戦目はそのままごり押しで勝てたが、次のデュエルでは華麗なる孤高の黒帯格闘家ゴッドハンドスマッシュを受けモンスターが全滅。さらにマッチ戦最後のデュエルでは折角出した《デスサイズ・キラー》が《伝説の柔術家》に投げ飛ばされる始末。
9期のカードパワーがなければ生きていけず、そして9期のカテゴリ間における繋がりやすさナンバーワン仕様はむしろ俺の首を絞めることになるだろう。
……俺がアカデミアに持って行くデッキが決まったようだ。
駄神ズ「「いやだって普通にやったら他の作品と同じで十代と絡んで万城目と馬鹿やってではじまるじゃん」」
女神「いやまぁどうせレッドに入るのは決まってるけどね?」
爺神「ぶっちゃけ飽きとるじゃろ、そんなテンプレ」
死神「なおテンプレから外れた作品が叩かれなかった時代が無い模様」←NEW!