ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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実写化について言ってきたが、ビジュアルみて気づいた。

────あれ?万斉は?

鬼兵隊の他の幹部は色々出てるのに万斉だけ出てねぇ。なんでや。調べたら配役いねぇし。なんてこった。いやまぁ《紅桜篇》だから殆ど出番ねぇけど・・・やっぱ配役無いのかね?

勝手に配役考えてみましょうか。
三味線が武器って所から・・・桐谷健太とか?
語尾の《ござる》から・・・佐藤健とか?

こんなところでどうでせう?

まぁ取り敢えず五話どうぞ。






怪物祭

 

 

 「こんな時間まで何してやがる?」

 

 「ぎ、銀ちゃん・・・・・・えっと」

 

 

【ロキ・ファミリア】のホームである“黄昏の館”。辺りは既に闇に包まれており、照らすのは街灯と建物から漏れる光のみだ。

 銀時はそのホーム前の門で恐る恐る中へ入ろうとするアイズに声を掛けた。

 

 

 「はぁ、聞くまでもねぇか」

 

 「・・・・・・・・・ごめんなさい。【ゴブニュ・ファミリア】に愛剣(デスペレート)を整備に出してて、代剣としてレイピアを借り受けたの。慣れる為に潜ってて・・・」

 

 

【ゴブニュ・ファミリア】は武具や防具、装備品の整備や作製を行う鍛冶の派閥だ。知名度は同業大手の【ヘファイストス・ファミリア】を下回るものの、作り出す武具の性能そのものは勝るとも劣らない、質実剛健のファミリアだ。【ロキ・ファミリア】をはじめ、冒険者にコアなファンが多い。

 

 アイズの恰好は上から下まで完全武装。誰がどう見てもダンジョンに潜っていたのだとわかる。

 銀時は頭をガシガシ掻いで、俯くアイズをいつもの気怠げな双眸で見つめて言った。

 

 

 「散歩でも行くか?」

 

 「・・・・・・うん」

 

 

 二人は冒険者で湧き立つ比較的明るい中央広場(セントラルパーク)の方向へ足を向けた。

 冒険者の豪気な笑い声が響く中、二人はあまり口を開かなかった。だからと言って気不味い訳ではなく、二人の間に流れる心地好い沈黙を楽しんでいるだけであった。

 

 

 「あ、じゃが丸くん・・・」

 

 「おや、買ってくかい?今なら安くしとくよ」

 

 

 アイズが足を止めたのは一つの露店の前だった。

 その露店は北のメインストリートにある銀時らのホーム“黄昏の館”と中央広場(セントラルパーク)の途中にあった。

 露店には気の良さそうな獣人の店員が一人いた。夜という事もあって機材の殆どが片付いている。今は売れ残ったのを捌いている様だった。

 

 

 「そこのお兄さんも買ってきなよ。安くしとくからさ」

 

 「俺ァもう()()()()と夕飯食ったからなぁ。アイズは?」

 

 「まだ・・・・・・じゃあ二つちょうだいおばちゃん」

 

 「はい、まいど!・・・お兄さんはいいのかい?」

 

 「いいっていいって。また今度な」

 

 

 銀時は自分の腹具合を見て店員の言葉を断った。

 アイズは買ったじゃが丸くんに夢中だが、店員は顔をしかめた。売れ残ったのである。

 

 

 「そうかい。小豆(あずき)クリーム味が残っちまったよ。どうするかねぇ・・・」

 

 「おばちゃん、何味だって?」

 

 「んん?小豆(あずき)クリーム味だよ。意外と合うって人気でねぇ・・・」

 

 「何個余ってる?」

 

 「三つだよ」

 

 「よし全部買おう」

 

 「えっ本当かい!?まいど!!」

 

 

 銀時は小豆(あずき)クリーム味のじゃが丸くんを受け取るとアイズと一緒にその場で食べ始めた。

 アイズはじゃが丸くんを二つ食べた銀時に視線を送った。それはもう・・・鳥肌が立つぐらいの。

 気づかない銀時ではないので言葉を発することなく、アイズの要望に応えた。小豆(あずき)クリーム味のじゃが丸くんの()()()()()()()()()()()()()

 

 その様子は仲の良い兄妹そのもので、微笑ましいワンシーンだった。

 

 

 「ごちそうさん。おばちゃん、明日は揚げたてで頼むわ」

 

 「気に入ってくれた様で嬉しいよお兄さん!だけど明日は東のメインストリートの所で店を出すんだよ」

 

 「いつも移動してんのか?」

 

 「違うよ違うよ。明日は祭りじゃないか。稼ぎ時だからねェ」

 

 「明日は怪物祭(モンスターフィリア)だよ。銀ちゃん」

 

 

 店員が言い、アイズが補足した祭、“怪物祭(モンスターフィリア)”とはオラリオの中でも上位に位置する【ガネーシャ・ファミリア】主催の年一回開かれる祭りである。

 目玉は東のメインストリートにある【ガネーシャ・ファミリア】によって円形闘技場(アンフィテアトルム)で行われるモンスターの調教(テイム)である。

 その他にも手軽に食べられる串料理を含めた露店や怪物祭(モンスターフィリア)に因んだ小物やアクセサリーが販売されており、冒険者だけでなく商人や民間人の活気で満ち溢れる催しでもある。

 

 

 「そういやぁそうだったな。気が向いたら行くわおばちゃん」

 

 「まぁそう言わず来ておくれよ。お兄さん!」

 

 

 二人はもう一度店員に『ご馳走様』と言い、帰路に付いた。店員は明日の準備に忙しいと額に汗を滲ませながらせっせと動きはじめた。

 

 二人は他愛もない話を交わし合い、ホームである“黄昏の館”にたどり着いた。門番の団員に通してもらい、館に入った。・・・そこまでは良かった。

 

 

 「夜遅くまで少女を連れ回していい御身分だな銀時」

 

 

 魔王(リヴェリア)がいた。

 腕を組み、片方の手には杖を持ち、仁王立ちし、額に青筋を浮かべている魔王が。顔に浮かべているのは笑顔。勿論、目は笑っていない。

 銀時の背に嫌な汗が伝い、顔色はみるみる青く染まった。ちなみにアイズは銀時の背に隠れている。

 

 

 「いやぁ〜別に連れ回してはないですよ?ただ散歩してただけで・・・」

 

 「はぁん?散歩も連れ回すも意味は一緒だろう?ホントにいいゴミ分だな銀時」

 

 「なんか違ぇ!発音が違ぇよ!!」

 

 「嫁入り前の娘を、うら若き娘を、夜に連れ歩いてる時点でゴミだ、クズだ、そこらと同じ塵芥だ」

 

 「隠す気無しか!気持ちが剥き出しじゃねぇか!殺意が漏れてんじゃねぇか!・・・・・も、もうリヴェリアさんったらアイズの事になるとムキになるんだから。いやぁねぇもう・・・ね?アイズ。」

 

 「リヴェリア、銀ちゃんを許してあげて。銀ちゃんは私を夜の街に連れ出してくれただけだから」

 

 「違ェェェェェ!!!間違ってないけども!!その言い方は誤解を招いちゃうから!!やめてェェェェ!!」

 

 「ほう?銀時、言い残したことはあるか?」

 

 「待ってくれ!その杖おろして!!ママには嘘ついちゃいけなっ────」

 

 「ママじゃないリヴェリアだァ!!」

 

 「ちゃぶァッ!!」

 

 

 リヴェリアの杖術の縦殴りによって銀時は地へと叩きつけられた。鈍い音が館に響き渡る。

 アイズは地に伏している銀時を見て顔を青ざめた。見慣れた光景ではあったが鳥肌が立った。恐る恐る目の前にいる魔王を見るとそれは大層綺麗な笑顔でアイズに微笑みを向けていた。

 

 

 「色々言いたい事はあるが・・・まぁいい。遠征が終わった後だからしっかり体を休めておけ」

 

 「うん、わかった。・・・ごめんなさい」

 

 

 アイズの謝罪にリヴェリアはこれみよがしに溜息をつく。反省しているのがわかるとリヴェリアは母のような眼差しを向けた。アイズは自然と体を小さくしてしまう。

 

 

 「うぅえっぷ・・・アイズたんとリヴェリア、後は銀時か・・・何しとるん・・・おえっぷ・・・水、水ちょうだい・・・」

 

 

 三人の傍をロキが通りかかる。

 足元は覚束ず、顔色は悪い。何より凄まじく酒臭かった。

 ロキは三日前の『神の宴』からこの調子だった。フィンやリヴェリアの制止を聞かずやけ酒をし、宿酔。馬鹿にしようとした女神に逆にやり込められたのが原因であるとリヴェリアたちは聞かされていた。

 

 

 「で、何やっとるん?」

 

 「アイズが銀時にこの時間まで連れ回されてな。私が銀時に少々灸を据えていたところだ」

 

(少々っていう威力かこれ?銀時、地に伏して動かへんやんか・・・・・・・・・まぁでもアイズたんとデートしたなら当然の報いやな)

 

 「じゃあアイズたん、明日のフィリア祭はうちと回ろなー。勿論、拒否権は無しや」

 

 

 ロキは強引に約束を付けて言い逃げした。

 アイズはそれが自分のことを気にかけてくれる優しい心遣いなのだと理解した。だから断るつもりはなかった。

 

 

 「さて私も戻るとするかな」

 

 「リヴェリア・・・銀ちゃんどうするの?」

 

 「世話役(ラウル)にでも伝えておくといい。勝手に拾ってくれるだろう。」

 

 「そう・・・・・・だね」

 

 

 数分後、銀時に肩を貸すラウルの姿を哀れみの視線で見つめる団員の姿があったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほんと人多いなぁおい。これじゃあの店も見つかんねぇや」

 

 

 “怪物祭(モンスターフィリア)”当日。

 銀時は昨日偶然訪れたじゃが丸くん屋の露店を探していた。理由は簡単。糖分が足りないからである。

 だが大きな催しだけあって人が街路を超えて溢れ返っている。街路には人の流れが出来ており逆らう事など不可能であり、人とぶつかる事はざらだった。

 

 

 「ご、ごめんなさい」

 

 

 銀時がぶつかったのはフードを被った少女だった。少女は銀時とぶつかったあと軽く謝罪し人の波へ再び呑まれて行った。

 たったそれだけ。それだけの筈なのだが銀時の手にはそこそこの重みのある包みが握られていた。先程まで()()()()()()()()()筈なのに。

 銀時は再びじゃが丸くんの露店を探し始めた。探しながら先ほどの包みの口を開き中を物色し始めた。

 

 

 「中々入ってんな・・・俺より持ってんじゃん。1万ヴァリスぐらいか」

 

 

 包みの中は金貨であった。

 銀時はその金貨の一枚を親指で弾いては受け止め、弾いては受け止めを繰り返した。まるで何かを待っているかのように。

 

 すると突然、白い着物の袖を引っ張られ、路地裏へと連れ込まれた。

 

 

 「返して下さい」

 

 「何を?」

 

 「盗った金貨を返して下さいって言ってるんです!!」

 

 

 銀時を路地裏へと連れ込んだのは先ほどぶつかった少女であった。

 少女は銀時にキッと鋭い視線を送っている。だが銀時はいつもと変わらないやる気のない顔を崩さない。

 

 

 「それってこれのことか?」

 

 「それです!!返してください!!」

 

 「良く言うぜ。俺の金貨をぶつかりざまに盗ったくせに」

 

 「────ッ!?」

 

 

 少女は驚愕に目を見開いた。それが全てを物語っていた。

 先ほど、銀時とぶつかった時に少女は銀時の金貨の入った小鞄(ポーチ)をスったのだ。それを見抜いた銀時はお返しとばかりに少女の金貨の入った包みをスった。それに気付いた少女が銀時に自身の金貨を返してもらう為に路地裏へと連れ込んだのだった。

 

 

 「ま、相手が悪かったな。俺からスろうなんざ百年早ェ。それにツメも甘ェ」

 

 「・・・・・・・・・」

 

 「それに盗みって奴ァ、相手の懐に手ェ忍ばせる度に知らず知らずてめーの懐からも大事なもんが零れてるもんだ」

 

 「・・・どうすれば返してもらえますか。」

 

 

 少女が銀時の目と目を合わせよう上を向くと今まで被っていたフードが脱げた。

 そこから覗いたのはひょこひょこ動く獣の耳。少女は犬人(シアンスロープ)だった。今まで隠れていた栗色の尾が左右に揺れる。

 

 

 「まぁ頼みごとするなら通すべき筋を通してもらわなくちゃならねぇ」

 

 「・・・こんないたいけな少女に何を頼むって言うんですか」

 

 「そりゃあ・・・・・・」

 

 

 

───────・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

 「ケーキって・・・」

 

 「ケーキを舐めちゃいけねぇよ。綺麗な形に照り輝く果物。そしてたくさんの糖分。これほど整ったもんもあるめぇよ」

 

 

 銀時と犬人(シアンスロープ)の少女は東のメインストリートから少し外れた喫茶店で向かい合って座っていた。

 幸せそうにケーキを頬張る銀時を見た犬人(シアンスロープ)の少女は苦笑をこぼす。少女は目の前にいる男の持つ子供がそのまま大人に育ったかのような雰囲気を不思議に思った。だがすぐに切り替え、本題に移った。

 

 

 「それで・・・ケーキ奢りましたから返してくださいますよね?」

 

 「小鞄(ポーチ)に入ってた俺の金貨を返してくれるんならな」

 

 「なっ!あの小鞄(ポーチ)、全く入ってませんでしたよ!?最初から殆ど空っぽだったじゃありませんか!」

 

 「しらばっくれてんじゃねぇぞ。入ってたから。祭を豪遊できるぐらい入ってたから」

 

 「入ってませんでしたよ!!子供にケーキ奢らせた挙句にたかるなんてどういう大人ですか!!」

 

 「ハンッ。自分(テメー)子供(ガキ)だって知ってる奴はもう大人だよ。大人はちゃんと罪を償わねぇと」

 

 「ちょっ待ってくださいよ!!必要なんですよ!死活問題なんです!」

 

 

 立ち上がる銀時に犬人(シアンスロープ)の少女は銀時の手を掴み制止の声をかける。その顔は焦りで埋め尽くされていた。

 

 突如、銀時たちがいる店にギルドの職員であろう見目麗しいエルフの女性が店の中に飛び込んできた。

 

 

 「サ、サカタさん!!」

 

 「ん?俺?」

 

 

 ギルドの職員であろうエルフの女性は銀時の近くまで近寄って耳打ちした。

 

 

「闘技場からモンスターが逃げ出しました。人手が足りません。力をお貸し下さい」

 

 「はぁ、何やってやがる【ガネーシャ・ファミリア】の連中は・・・」

 

 

 銀時とギルドの職員が目の前で話しているのを見つめる犬人(シアンスロープ)の少女は何か異常事態が起こったという事だけしか分からなかった。そしてなぜこんなダメな大人をギルドの職員が頼るのかを頭の中で一人問答していた。

 

 

 「ではよろしくお願いします。どうかその【白夜叉】の力、お貸し下さい」

 

 「しっ【白夜叉】!?この死んだ魚の様な目をした人がッ!?あの【白夜叉】!?」

 

 「おいコラ、どういう意味だそれは。ホントにギルドに突き出してやろうか、あぁん?」

 

 「すみません!ホントに驚いただけなんです!!許してください!」

 

 

 思わず思ったことを口に出してしまった犬人(シアンスロープ)の少女は驚きを隠せなかった。

 ケーキを幸せそうに頬張り、年下の少女から金をたかるようなマネをする大人が第一級冒険者だとはどうしても思えなかったのだ。

 銀時は思考に沈んでいる犬人(シアンスロープ)の少女を見下ろして言い放った。

 

 

 「おいガキ。やるべき相手は選ぶこった。その()()も分かる奴は分かるからな」

 

 「────ッ・・・・・・はい」

 

 

 一瞬だけ落とされた声量に背筋が震えた。一瞬にして寒気が全身を襲った。そして徐々に離れていく男が本当に【白夜叉】だったのだと認識した。

 机には自身が持っていた金貨の包みが置かれてあった。中身を確認しなくても何も盗まれていない事もわかった。

 自分の愚かさに嫌気が指すと共にとんでもない相手と口論してしまったのだと過去の自分を苛んだ。

 

 

 

 「あ、返し忘れてしまいました・・・・・・・・・」

 

 

 

 少女の手には大して金が入っていない小鞄(ポーチ)だけが残り、店の外では獣の遠吠えが轟いていた。

 

 

 

 

 




はい五話終わりました。急ピッチで仕上げたのでたぶん雑です。はい。気づいたら修正します。

前書きで言いたい事は言ったので何を言うべきか。

まずはお気に入り1000件突破しました。ありがとうございます!!これからもこの二次小説を宜しくお願いします!


犬人(シアンスロープ)の少女って誰なんでしょうね。うわぁ誰だろうなぁ(棒)


ではまた次回お会いしましょう。感想、評価お待ちしてます!

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