ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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お久しぶりです!!

そこそこの量は書いたのでお楽しみください!!

前章までのあらすじはタイトルに書いてます。はい。


事件は会議室ではなく、ラブ○テルで起きてました!!

 

 

 

「オ゛ェェェェェェェェエエエエエエエエ!!」

 

「………ふんっ」

 

 

 陽が昇り始めた早朝、ラブ(ピー)テル横の路地裏。

 銀時は吐いていた。其れはもう流れ落ちる滝の如く、マーライオンの如く、口から吐瀉物を吐き出していた。

 隣には顔を赤らめたまま、心配そうに銀時を見つめるリヴェリアがいる。だが口は尖っており、何か不満があるがことが見て取れる。

 

 

「お、おい……」

 

「にゃっ……んんっ、何だ銀時」

 

「あ、あの……俺、悪いんだけど…な、何も覚えて……ないんだ…けど」

 

 

(何で悪いとか思ってんの俺!?何でちょっと気遣ってんの俺!?気持ち悪いんだけど!!)

 

 

「そ、そうか……グスッ」

 

 

  (何でグズっちゃってんの!?何でちょっと乙女出してんの!?振り向きたくても振り向けないんだけど!?)

 

 

 吐瀉物を地面にぶち撒けまくってもう胃液しか出てこない銀時はこれからどうしようかと思考する。だが二日酔いのせいなのか思いの外良い案が出て来ない。

 

 

「………ズズッ、つ、都合が良いな。私も覚えていない。二人とも覚えが無いんだ……な、何も無かった。其れでいいではないか。お、お互い…今回の事は……忘れよう。うん、忘れよう」

 

 

(忘れられる訳ねーだろうがァァァァ!!こんなとんでもイベント!!)

 

 

「そ、そうか……な、なんか…すまなかったな」

 

 

(すまなかったって何!?オイもう何言っても気持ち悪いことしかならねェぞ!!)

 

 

()せ、気持ち悪い。実際な、何も無かったかもしれないのだ」

 

「そ……そうだな。何も…無かったよな。酔い潰れてただ同じ場所で寝てただけだよな、きっと」

 

 

 二人はラブ (ピー)ホテルの路地裏から時間差を置いて出ると、各々が反対方向を向いた。互いに目は一度も合っていない。

 

 

「そ、そろそろ帰ろうか……団員の皆が心配してるかもしれん」

 

「あっ…べ、別々に帰った方が良いね。や…ややこしい勘違いされても………アレだし」

 

「じ、じゃあね……銀時」

 

「あ…あぁ」

 

 

(何で社内恋愛みたいになってんのォォォォォォ!!同伴出勤をバレない様に別々に行くみたいなカンジになってんのォォォォォォォォ!!)

 

 

 お互いが別方向に向かって歩き出した瞬間、銀時は奇声を上げながら無我夢中にオラリオをひた走った。

 一方のリヴェリアはと言うと────。

 

 

「グスッグスッ……ぎんときのばぁか」

 

 

 一人グズりながらオラリオの街をふらふら歩いた。

 なぜ泣いているのかという理由はリヴェリア以外、知り得ることは無かった。唯一、後に遭うドS(フィン)だけはなぜ泣いているのか察する事が出来た。

 

 

 

 

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 

 

 

 

「オ゛ォ゛ェェェ……気持ち悪い」

 

 

 暫くがむしゃらに走った銀時は再び気持ち悪くなり路地裏で吐いていた。それを見掛けたウェイトレスが一人、銀時に近寄ってくる。

 

 

「ぎ、銀時さん…大丈夫ですか?」

 

「………シルか」

 

 

 銀時らが打ち上げの時に使っていた店“豊穣の女主人”の店員である“シル・フローヴァ”である。

 シルは銀時の背中を擦り、介抱する。幾らかマシな表情になったと判断したシルは銀時に問うた。

 

 

「あの銀時さん」

 

「……ん?」

 

「リューと何かあったんですか?」

 

「へ?リューと?」

 

 

 銀時はリヴェリアとの出来事を“豊穣の女主人”の店員や【ロキ・ファミリア】の団員達に知られていないか、その一点だけが不安だったのだが新たにシルの口からもたらされた情報に混乱する。

 

 

「さっきまでリューと買い出しに来てたんです。それで吐いている銀時さんを私が見付けて『介抱しないと』とリューに言ったんです。するとリューが『あんな不埒な男苦しめばいいんです』って言って先に帰ってしまって……」

 

「………」

 

「昨日私は忙しくて銀時さんの方に関わってないから……何か、心当たりでも有りますか?」

 

「…リューはどっちに行った?」

 

「あっちですけど」

 

「すまねェ!」

 

 

(リヴェリアとの不祥事をリューが知ってる可能性が有るぅぅ!?そういやアイツ、俺の横で酌に付き合ってくれてたな!!マズイぃぃ!)

 

 

 昨夜の事を徐々に思い出し始めた銀時はリューに口止め、加えて昨日に何があったのか諸々聞き出す為にまた走った。

 リューの背中が見えてくると銀時は力を振り絞り、リューの正面へ回った。息切れしながらもリューに問いかける。

 

 

「ゼェハァ、ゼェハァ……リュー」

 

「な、何ですかサカタさん」

 

「昨日の事なんだが……」

 

「き、のう…ね」

 

 

 銀時の“昨日”という言葉に顔を顰めるリュー。

 その表情から銀時はリューが昨日何があったのかを知っていると確信した。

 

 

「いやぁ…あの、さ、昨日の事は俺、全く覚えてなくて……」

 

「何も覚えてない、ですって?」

 

「そうなんだよそうなんだよ……それで何が起きたかちょっっっと聞きたいかなぁって銀さん思っちゃってさ?何か…知ってる?」

 

「………」

 

 

 銀時はあくまで“覚えてない”という体でリューにカマかけた。何も知らないのなら其れは其れでこの話は終わりだからである。

 

 

「ホントに……覚えてないんですね」

 

「あ…あぁ。だから何かあったのなら教えて欲───ぶべらっ!!」

 

 

 リューから放たれた渾身のストレートが銀時の頬に突き刺さった。

 何度も空中で回転しながら銀時は吹き飛ぶ。起き上がると鼻血がポタポタと零れ落ちていた。そして銀時は何で殴られたのか、なぜリューも()()()()()()()分からなかった。

 

 

「わ、私の()()を奪っておいて……何も覚えてないなどとよく言えましたね!!!最低です!ホントにお酒の勢いだけだったんですね!!幻滅しました!!……もう私の前に現れないで下さい!!」

 

 

 そうリューが銀時に向かって吐き捨てると目に涙を浮かべながら走り去っていった。

 銀時はそんなリューの背中を見ながら暫し放心した。そして────。

 

 

(……私の純…潔?私ってどーいう事だ?え?リヴェリアのじゃなくて…え?リューの?……………えっ?え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え!!!!!)

 

 

 事の大きさに気付いた銀時は何もかも忘れたくて二度、オラリオをがむしゃらに奇声を上げながら走った。

 

 

(まさか俺は…俺はァァァァ!!リヴェリアだけでなくリューもォォォォ!?そんな、そんなバカな!信じない!信じないぞぉぉ!!これが現実なら二つ名が【白夜叉】から【妖精と一発(エルフキラー)】になっちゃうんだけど!?夢なら醒めてェェェェ!!)

 

 

 

 

 

 

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 

 

 

 

 

 

「銀ちゃん?」

 

「アイズぅぅぅぅぅ!!」

 

 

 一周回って【ロキ・ファミリア】のホームに帰って来た銀時は丁度玄関から出て来たアイズと鉢合わせた。

 アイズの何時ものキョトン顔に心底安心した銀時は目に涙を浮かべながらアイズに抱き着いた。例えるなら青ダヌキに便利道具をせがむ丸眼鏡の少年と同じ図である。

 

 

「どうしたの銀ちゃん?」

 

「俺は…俺は……汚れちまったんだよ真っ黒な灰に」

 

「?」

 

 

 銀時の言っている意味がピンときていないアイズはただ首を傾げるだけだった。

 それが銀時にとってどれだけ助かる事実だったのかアイズは知らない。アイズが知らないという事は他の団員の面々も知らない可能性が大きいという証明でもあったからだ。

 

 

「銀ちゃん帰ってくるの遅かったね……朝帰り?」

 

「朝帰りじゃねェェェェ!!」

 

 

 

 “朝帰り”の意味を理解していないアイズ。

 アイズが問うたのはそのままの意味であったのだが銀時はそう受け取る事は出来なかった。今の状況と合致し過ぎているのもあるからだ。

 

 

「ぎ、銀ちゃん……声大きい。鼓膜破れちゃうよ」

 

「処(ピー)膜なんて破ってませんんん!!」

 

 

 銀時はもはや気が動転してきちんと意味を受け取らない、というより勝手にそっち路線に言葉が脳内変換している。肩に手をおいて決死の表情でアイズに訴えかける銀時の目は血走っていた。

 

 

「だってもう朝、だよ?」

 

「あ…あ、朝だけれどもやめろその言い方!!あ、あの俺、起きたらゴ…ゴ…ゴミ捨て場に転がってた!!の、飲みすぎちゃった!!アハハ〜〜〜!!」

 

「そうなんだ。さっきリヴェリアも朝帰りしてゴミ捨て場で寝ていたから秘密にしておいてくれって………」

 

「べっ別に一緒のゴミ捨て場じゃないからね!!俺のゴミ捨て場とリヴェリアのゴミ捨て場は全く別の所だからね!!一緒に寝てた訳じゃないからね!勘違いしないでよねっ!!」

 

 

 必死に弁明する銀時だがアイズはそれでも首を傾げるばかりだ。なぜなら銀時が勝手に自爆して勝手に慌てているだけだからだ。

 

 

「あっご飯出来てるよ」

 

「そ、そうか……今日のメシはなぁにっかなぁ〜〜〜!」

 

「えっと確か…お赤飯だよ」

 

「………せ、赤飯?何で?」

 

「何でって……オメデタだから?」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 

 アイズの言葉で全てを察した銀時はホームに帰らずにまたオラリオの街へ駆け出した。

 アイズはなぜ銀時があんなに苦しそうな顔をしていたのか分からなかった。暫く考えに耽っていると背後から声を掛けられた。

 

 

「アイズ」

 

「フィン」

 

「銀時は?」

 

「どっかに行っちゃった」

 

「そうか…早く帰ってくると良いけど。何せ今日は遠征やら何やらで祝えなかった銀時の()()()()をするからね。銀時の誕生日は10月10日で今日で丁度一ヶ月だから……アイズは何をあげるんだったかな?」

 

「ティオナやティオネと一緒に()()()を作ったの。東洋じゃ祝いの時はお赤飯を炊くって聞いたから……あとジャガ丸くん」

 

「ハハッアイズらしいや。僕は東洋から取り寄せた焼酎にしたんだけど、味気ないかな?」

 

「そんなこと無いよ。きっと喜ぶ」

 

「だと良いけどなぁ」

 

 

 準備がある、といってアイズは買い出しに出かけた。

 フィンはそんなアイズを見送り、優しく微笑んだ。遠征から帰って無事に全員で銀時の誕生日を遅れたとはいえ祝える事を心から嬉しく思ったからだ。

 

 

「僕とガレスはお酒で、アイズ達は手作りご飯……リヴェリアは何をあげたのだろう?まさかバージ………いや、号泣して顔をグチャグチャにしてたぐらいだから失敗したんだろうな。ハァ……」

 

 

 

 

 

 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ ✕

 

 

 

 

「オヤジィ〜〜〜もう一杯」

 

 

 銀時は酔っていた。昼間だとか関係なく呑んでいた。やってられない、酒の勢いで全て忘れよう、と溺れるまで飲むつもりだった。

 

 

「いやぁ銀さん、そろそろ止めといた方がいいんじゃないの?まだ昼間だぜ?」

 

「うっせ、男には呑まなきゃやってられねぇこともあるんでィ」

 

「すまない、最後に一杯あげてやってくれ。俺が持つ」

 

「へ…へ、へいっ!」

 

 

 銀時に渋っていた呑み屋のオヤジであったが、そこに現れた巨漢の男に気圧されとっとと酒を出した。

 

 

「お、オッタル………」

 

「スルメの礼だ。酒を飲んで忘れるといい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も…忘れる。昨夜のことは…………」

 

 

 

 

「お前もかいィィィィィィィィィィィィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ヒロインはリューかと思った?リヴェリアかと思った?残念!

オッタルさんでしたァ!!(ゲス顔)

本当の事実はどうなのか。それは読者の皆さんのご想像にお任せします(全投げ)。

次回からちゃんと本編に入ります。はい。今回はリハビリがてらでした。


ゲームの《銀魂乱舞》マジで面白そうですよね!!だが出る時期が悪い……モンハンとかドラゴンボールとかと被ってる。やめてくれぇぇぇ!!


ではまた次回!!感想や評価をお待ちしてます!!

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