ダンジョンに天パ侍がいるのは間違っているのだろうか   作:TouA(とーあ)

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フィン様フィン様、打ってたら途中からメガネかけた韓流ドラマの主演男性の名前にしか読めなくなった件について。※ドラマ名『(ピー)のソナタ』

あ、前書きにこれ書いたら皆さんもそうとしか読めなくなってしまうか。まぁいいやw

ではどうぞ!




お見合いという名の・・・

 

《黄昏の館 とある和室》

 

 

 「あ、あの、師匠?僕たちをなんでこんなところに・・・」

 

 「そ、そうですよ!なぜリリたちを【ロキ・ファミリア】のホームに連れて来たんですか!それにこの様な、と、東洋の衣服まで着させて!」

 

 「まぁ少し待て。いま、呼んでくる」

 

 

 ベルとリリは銀時に連れられ、【ロキ・ファミリア】のホームである《黄昏の館》に訪れていた。

 その際にリリは紅に金箔が降られた着物を、ベルは黒と白が基調の着物。銀時もベルとお揃いの着物を着ていた。

 ちなみにリリの着付けは狐人(ルナール)の女性が、男性側は褐色のアマゾネスが担当した。どちらも銀時の知己である。

 銀時は二人にそう言うと席を立ち、襖の向こうへと消えた。

 

 

 「全く何を考えているんですかあの人は・・・この衣服も動きにくいですし・・・」

 

 「ハハハ・・・でも似合ってるよリリ。すごく綺麗だよ?」

 

 「〜〜〜〜〜〜〜っ!ベ、ベル様はずるいです」

 

 

 顔を赤らめたリリにベルは気づいた様子はない。ベルはそんなリリよりも気になっている事があった為だ。

 

 

(ここはヴァレンシュタインさんがいるホームなんだよね・・・)

 

 

 想いを寄せている、加えるなら憧憬そのものの女性が在籍しているホームに心が落ち着かないのだった。会えるのでは、という僅かな期待が胸を膨らませる。

 

 

 「連れてきたぞ〜」

 

 「銀時、僕はまだ書類の仕事が・・・・・・これは?」

 

 「フィ、フィン・ディムナさん!?」

 

 「フィン様!?どうして・・・」

 

 

 二人が驚くのも無理はない。

 ベルからしてみれば雲の上の存在である【ロキ・ファミリア】の団長であり、数少ない【Lv.6】の冒険者。リリを含めた女性からしてみれば見目麗しく人気のある俗に言うモテる男であったからだ。

 

 フィンは少しだけ黙考し、事態を把握すると二人とは机を挟んで反対側に腰を下ろした。銀時もそれに続きフィンの横に座る。

 

 

 「少しだけこの状況に面食らってしまったよ。知っているかもしれないけど【ロキ・ファミリア】の団長を務めさせてもらっているフィン・ディムナだ」

 

 「ヘ、【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルです!よろしくお願いします!」

 

 「リリルカ・アーデです。よ、よろしくお願いします」

 

 

 ベルは上擦った声で、リリは平静を装った声でフィンに自己紹介をする。銀時は既に口を押さえて笑いを堪えていた。

 

 

 「それで銀時、どういう事か説明してくれるよね?」

 

 「オメェが昨日言ってた様にいい小人族(パルゥム)を連れてきた。そんだけだ」

 

 「はぁ。これは東洋でいう“お見合い”というものだよね?婚約を望む男性女性が第三者の協力を得て出逢うという。僕は目の前にいる綺麗な着物に身を包んだ彼女とのお見合いをセッティングされたという認識でいいのかな?」

 

 「お、おおおおお見合い!?婚約!?」

 

 「なっ!最初に聞いた話と違うじゃありませんか!どういうことですかサカタ様!!」

 

 

 縁もゆかりもない話に目を回すベルと聞いてなかったことに焦り、憤慨するリリ。フィンも銀時の答えを待っていた。

 

 

 「ウチの団長も早いとこ身を固めなきゃなんねぇ。だがフィンは自身の持つ崇高な目標に寄り沿い、強く在れる小人族(パルゥム)じゃなきゃ納得しねぇ。そんな時、出逢ったのが仮にも【Lv.6】である俺に真っ向からツッコミを入れることが出来るテメェだったってこった」

 

 「評価されたところそこですか!ツッコミだけですか!リリだってしたくてしてるんじゃないんですよ!」

 

 「ちょっ、リリ落ち着いて・・・」

 

 

 フィンは納得した様にゆっくりと頷いた。相反する様に激昂のするリリをベルが宥める。

 

 

 「オイオイ、女の憧れフィン様だぞ?玉の輿だぞ?何が不満だっつうんだよ。所詮、女なんざ男を担保かアクセサリーぐらいにしか思ってねぇんだから十分だろうが」

 

 「酷ッ!?思ってませんよ!何でそんなに女性に対して偏屈なんですか!リリは兎も角、フィン様に失礼でしょ!」

 

 「うん。僕も流石に傷ついたよ銀時。本人を前にそれを言うのはどうかと思うなぁ」

 

『お、お料理をお持ちしました・・・』

 

 「み、皆さん!料理が来たんですって!少し落ち着きましょう!ね?」

 

 

 変な方向にヒートアップする会話を一回ストップさせようとベルが提案する。

 スーっと襖が開くと、少しばかり豪勢な活けづくりを両手に抱えた割烹着姿の金髪の女性が恭しく入室してきた。

 

 

 「ヴァレンシュタインさん!?!?か、可愛ブフッ!」

 

 「ベル様が落ち着いてください!!」

 

 「てめーが落ち着け」

 

 「君が落ち着きなよ・・・」

 

 

 料理を運んできたのはアイズだった。

 割烹着姿のアイズの衝撃に鼻血を吹き出したベルはそのまま幸せそうに机に突っ伏した。

 

 

 「と、取り敢えずいただきましょうか・・・?」

 

 「そうだね、ではいただきます。」

 

 

 突っ伏したベルを除いた三人・・・否、アイズを含めた四人は運ばれてきた料理に舌鼓を打った。だがリリだけは気まずいままであったので深く味わうことが出来なかった。

 

 

 「それにしても・・・銀時、こういうことは事前に連絡してもらわないと困るなぁ。僕もそうだけど目の前にいる二人も随分と困ったはずだ」

 

 「フィン様の言う通りです。もう少しだけでも話してく────」

 

 「うわぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

 「急にどうしたんですか!まだ何もいってないでしょ!」

 

 

 耳の前に手を当てて二人の意見を聞いていた銀時は、突然泣き声を上げ机に突っ伏した。なぜか師弟の格好が同じになるという奇跡も同時に引き起こした。

 

 

 「僕はねぇ!良かれ良かれと思ってやったんですよ!ファミリアの為にこのお見合いをセッティングしたんですよ!君にはわからないでしょうね!」

 

 「フィン様・・・どうしたんですかこれ」

 

 「あ〜〜ねぇアイズ。このお酒、もしかしてドワーフ用の度数の強い酒じゃないのかい?」

 

 「わからない。でも銀ちゃんにお酒もってこいって言われたから適当に持ってきた」

 

 

 なんとなく理由を察したフィンとリリ、きょとんと首を傾げるアイズ、未だに突っ伏したままのベル、泣き叫ぶ銀時。お見合いは既にカオスになりつつあった。

 

 

 「でもね!僕の何がわかるって言うんですか!ファミリアの何がわかるって言うんですか!僕はこのファミリアをッ変"え"た"い"ッ!!!」

 

 「ちょっと黙ろうか」

 

 「グフッ!!」

 

 

 フィンの手刀が首に落とされた銀時はいとも簡単に意識を刈り取られた。

 その光景を見たリリは苦笑いを浮かべるが、アイズは気にした様子もなく食事を進める。

 

 

 「さて、本題に入ろう。僕は銀時が言ったようにとある目標がある。その為にも小人族(同 族)の異性、つまり伴侶が必要なんだ」

 

 

 フィンはリリに一から説明した。

 小人族(パルゥム)は他の種族に比べて、その可愛らしくも小さな外見も相まって、種族としての潜在能力が最も劣っていると言われている。事実、他の種族と比べて武勇伝や伝記は圧倒的に少ない。

 そんな中でも古来から小人族(パルゥム)の最初の栄光であり、誇りとされている『フィアナ』という()()()()()小人族(パルゥム)の心の拠り所となっていた。

 だが来たる『神時代』により、『フィアナ』の信仰は一気に廃れた。下界に降りてきた神たちの中にその姿はなかったのである。そして止めを刺された小人族(パルゥム)の低種族であるという自意識に拍車がかかったのであった。

 リリの目の前に悠然と構える異性の同族は、一族の再興の為にオラリオに来て、冒険者となり、名声を手に入れ、同族たちの旗頭になる為にここまで上り詰めたのだ。

 

 

 「銀時は賭博で身ぐるみはがされたり、娼婦館に通って金を湯水の様に使ったり、お酒をベロベロになるまで飲んで他人に迷惑をかけたり、見て聞いての通り、まるでダメなおっさん、いわゆる“マダオ”ではあるけれど、人を見る目があることは僕が()()()()知っている。おふざけ半分で君をここに連れて来たりはしないだろう。だから一族の再興を望む者として、改めて君に問おう。僕の婚約を受ける気はあるかい?」

 

 

 「────すみませんフィン様。受けることは出来ません」

 

 

 フィンの問いに少ししてリリは返答した。

 その返答に困った顔をしたフィンは首を横に少しだけ振ると、口を開いた。

 

 

 「ふぅ・・・なんとなくそんな気はしていたよ」

 

 「リリはベル様の隣にいると心に誓いました。ヘスティア様にも誓いました。それに────」

 

 「それに?」

 

 「サカタ様がベル様を()()()()()()以上、リリが傍にいなくてはなりません!絶対にベル様をマダオに染まらせてなるものですか!」

 

 

 リリの決意の上に見える鬼の形相にフィンは柔らかい笑いを浮かべた。だが内心は女の子は怖いなぁ・・・と震えていた。

 

 

 「取り敢えず二人を起こそうか」

 

 「そ、そうですね・・・」

 

 

 ベルを起こした後は解散の運びとなった。

 ベルは普通に起きたのだが、師である銀時はそのまま突っ伏したまま動かない。予想以上に一撃が重かったようだ。

 

 こうして終わった銀時の思いつきお見合い作戦であるが、更なる波乱が銀時らを襲うことなど知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 煌々と燃える薪がパキッと佳い音を鳴らす。

 辺りは薄暗く、薪が照らす光だけが周囲を薄く照らしている。

 

 

 「フェルズ。中層で起こった問題はどうなっている?」

 

 「【ヘルメス・ファミリア】に続いて【剣姫】にも依頼した。明日には発つだろう。万が一が起こったとしても十分対応できる戦力だ。心配には及ぶまい」

 

 「ふむ」

 

 

 2メドルを超える男神が暗闇向かって問い掛けた。

 声に反応する様に暗闇から全身を黒衣に包んだ者が音を立てずに現れた。

 

 

 「────リドたちはどうだ?」

 

 「問題ない。人目をつくことなく移動できたようだ」

 

 「そうか・・・・・・やはり、()の者の様な存在が無くてはどうも不安になる」

 

 「()()()の事を考えても始まらないだろう。過去を顧み、友に思い馳せるのは全てが片付いてからでも遅くはない。幸い、我らには悠久の時がある」

 

 「そう、だな。では頼んだぞフェルズ」

 

 「あぁ」

 

 

 再び、黒衣に包んだフェルズと呼ばれた者は闇へと消えた。

 男神は静かに目を瞑ると、絞り出す様に虚空に向かってゆっくり言葉を紡いだ。

 

 

 「いずれ全てを語る時が来る。いずれ全てを知る時が来る。その時、貴殿はどうするのだろうな。()の者の様に()()()()()と豪語するのか。それとも全てを掌から零すのか。なぁ────サカタ銀時」

 

 

 その問いは誰にも届くことはなく静かに霧散し、闇へと消えた。

 

 

 

 

 

 




はい終わりました。待たせてしまい申し訳ない。

この小説、本当は終わりまで見えているんです。ゴリラとは違い、最終回まで見えているんです。

多分、30話。いや、書きたいこと、捕捉していったら30話超えるかもしれません。ですがエタったりはしないので絶対。ここに誓います。


毎度恒例謝辞。

『現実逃避の神様』さん、『チュッパチャプス』さん最高評価ありがとうございます!!

『L 11 エルエルフ』さん、『ンゴロニウム』さん、『雑賀衆』さん、『くろがねまる』さん、『たい焼き屋台』さん、『のる』さん、高評価ありがとうございます!!

感想も楽しませて頂いています。みなさんのご意見を見ながらニヤニヤしてますw


しかし今回・・・あのネタ使ってしまったけど大丈夫だろうか。消されたりしないかな?まぁなるようになれ。


次回予告 “ティオネ様 降臨”


ではまた次回!感想評価お待ちしてます!!


P.S.浅田真央選手、お疲れ様でした!勇気をありがとう!

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