転生してダクネスの姉になりました   作:フル・フロンタル

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第9話

 

 

朝、もう毎度のことだが、ララティーナの勢い良く扉を開ける音で目を覚ました。てか、今回はララティーナだけでなくカズマ、めぐみん、アクア達もいるし。なんでこいつらこんな早起きなんだよ。

 

「……起きろ!レイ!」

 

「起きてるよ……ギャーギャー騒ぐなマゾティーナ」

 

「変な呼び方をするな!」

 

怒るララティーナを無視して、布団から出た。

 

「うおおおおおお⁉︎」

 

直後、叫び声が聞こえた。カズマがあたしの作ったテレビとゲームソフトに夢中になっていた。

 

「お、おいおいおいマジかよ!なんでこんなんあるの⁉︎」

 

「能力がポンコツになる前に作った」

 

「ちょっと、私を睨みながら言うのやめてくれる?」

 

アクアに睨まれ返されたが、めぐみんが声をかけてきたので無視した。

 

「これは……なんですか?見たこともない物ばかりですが……」

 

「あー、えっと……遊具だよ。壊したらマジぶっ殺すから気を付けて」

 

「は、はあ」

 

引き気味に返事をするめぐみん。カズマがゲームソフトを漁りながらつぶやいた。

 

「古いゲームばっかだなー。ゲームキューブとか久々に見たよこれ」

 

「当たり前じゃん。あたしがこの世界に来たの7年前よ」

 

最新機種でW○iやプレ2くらいだろう。

 

「お、懐かしい。『ピ○ミン2』じゃん」

 

「やったことある?」

 

「ないよ。これ売ってたのいつ?」

 

「2004年」

 

「その時、俺4歳くらいだぜ。………って、何これ」

 

「え、知らないの?」

 

「うん」

 

64を知らないとは……これが若さか……。

二人でほんのりと懐かしんでると、後ろからララティーナがつぶやいた。

 

「なんだ、カズマはこのよくわからないものを知ってるのか?」

 

「あ、あー……俺の故郷で流行ってたものだよ」

 

「お、カズマ!これこれ、見て!」

 

「おう。……って、ス○ブラ?なんか古くね?キャラ少ないし」

 

「それ初代」

 

「マッジかよ!初代ってキャラこれしかいないの⁉︎初代なのにゲーム○ウォッチいないの⁉︎」

 

「プリンが初代からいたのに驚きっしょ」

 

「それな!DXからだと思ってた!」

 

「しかもな、初代って→Bとかないんだよね」

 

「え、それどやって復帰すんの?」

 

「嵌め殺しとか余裕でできるから」

 

「な、やろうぜ。なんか俄然気になってきた」

 

スマブラ談義で盛り上がってるあたしとカズマを見ながら、めぐみん、アクア、ララティーナが引き気味につぶやいた。

 

「………何を話してるのかわかりませんが、なんとなくダメ人間の会話であることは分かりました」

 

「ちょ、マジ無理なんですけど。オタク同士引かれあっててマジ引くんですけど」

 

「ダメな姉が増えた気分だ」

 

ボロクソに言われていた。ふん、なんとでも言え。

 

 

 

 

ギルドに行ったはいいが、最近魔王の幹部がこの辺りに住み着いたそうで、簡単なクエストが受けられないと分かり、しばらくはうちのパーティーはそれぞれやりたいことをする事になった。

あたしはやりたいわけではなかったが、たまにはまともに店番をすることにした。もうアイテム屋だけではやっていけなくなったので、魔王の幹部が討伐、或いは何処かへ去って行くまで、店で飲食店も始めた。実家にいた頃からの料理スキルがあるので、その辺の店より全然美味しいものが作れる。

まぁ、昼間か夜になるまで客なんて来ないんですけどね。と、いうわけで、カズマとゲーム大会である。仕事?客が来たらするって。

 

「………で、なんで私までこんな格好をしなければならないんだ……!」

 

「ほ、ホントですよ……!」

 

メイド服を着たララティーナとめぐみんが、必死に自分の短いスカートでパンツを隠そうとしている。こいつらは臨時の従業員だ。

 

「なんだよ、あたしが働くために、もしくは爆裂魔法のためになんでもするって言ったのは二人じゃん」

 

「「そ、それはそうだけど!」」

 

「だったらつべこべ言うな。あ、カズマ。こっちのレウス飛んだ。そっち行くかも」

 

「りょ」

 

約束通り、カズマと二人でゲームをしている。すると、ガチャッと店の扉が開いた。ビクッとするララティーナとめぐみん。あたしが視線で「接客しろ」と言うと、二人はじゃんけんを始めた。ララティーナが負け、肩を落として接客に向かった。

 

「……い、いらっしゃいませ。三名様でよろしいですか?」

 

「「「は、はい……」」」

 

男性三人が顔を赤くしながら頷いた。流石、性癖以外はまともなララティーナだ。これならすぐに話題の店となるだろう。

 

「では、あちらの席へどうぞ……」

 

顔赤くしなきゃいいのにな。照れると余計に男が喜びそうな顔になるんだよあの子。

ララティーナはメニュー、おしぼり、お冷を三人の前に置いた。

 

「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さい」

 

そう言って戻ってきた。あたしとカズマはその様子を見ながらニヤニヤと笑っていた。

 

「おかえりーwww」

 

「可愛かったよー」

 

「お、おまっお前ら!ぶっ殺してやる!」

 

「なんでもするって言ったのはあんたのほうじゃん」

 

「グッ……‼︎」

 

涙目で奥歯を噛むララティーナ。すると、「スイマセーン」と声が聞こえた。ララティーナは再び接客に行った。

 

「ごめん、カズマ。ちょっと料理」

 

「はいはい。まぁ、レウスレイア二頭なら俺一人でも余裕だから」

 

「よろ。めぐみん、手伝って」

 

「はい」

 

厨房に行って、ララティーナが聞いてきた注文を待った。

 

「オムライス、肉野菜炒め、ハンバーグセットだ」

 

「あいよ」

 

めぐみんに手伝ってもらいながらも料理を終えて、ララティーナに運ばせた。

 

「意外と手際良いのですね、レイ」

 

「あたし、基本的に出来ないことないから」

 

「自慢ですか?」

 

「うん」

 

「…………」

 

「あ、今、イラッとしたでしょ。次の接客めぐみんね」

 

「し、してません!イラっとなんてしてませんから!」

 

直後、カランカランと店の扉の開く音がした。

 

「ギャー!来たー!」

 

「ほらめぐみん、行きな」

 

「ううっ……」

 

顔を真っ赤にしためぐみんは、覚悟を決めたのか、すぐに顔色を変えて接客に向かった。あー、やっぱ女の子最高だわ。

そんなことを思ってると、さらに客が来た。

 

「カーズマ。二頭狩終わった?」

 

「おう」

 

「手伝って」

 

「あいよ」

 

 

 

 

お昼のピークが終わり、カズマはめぐみんを連れて爆裂魔法を撃ちに行った。

残るはあたしとララティーナの二人。いやーお昼だけでだいぶ儲かったなー。これだけあれば、今月の仕送りは困らないわね。

 

「ふぅ……疲れた……」

 

ララティーナが椅子に座り込み、机にもたれかかった。

 

「お疲れ、ララティーナ」

 

「ああ……流石に疲れた……。接客というのも楽ではないんだな」

 

「そりゃそうでしょ。………はい」

 

本気で疲弊し切ってるようなララティーナの前に、あたしはペペロンチーノを置いた。

 

「………? これは?」

 

「賄い。お昼まだでしょ?」

 

すると、天使を見るような目でララティーナはあたしを眺めた後、すごく良い笑顔で言った。

 

「いつもこんな姉なら良いのにな!」

 

「タバスコぶち込むぞ、鼻の穴に」

 

「鼻の穴⁉︎」

 

実際、あたしも疲れた。こんな事をこれから魔王の幹部が去るまでやると思うと本気で死ねる。

 

「はぁ……働きくない」

 

料理するのは嫌いではないが、それが仕事になると話も変わってくる。好きな事を仕事にしてしまうと、それも苦痛に感じるようになるのだ。

 

「ふむ、ホントにレイは料理がうまいな。とてもその外見から想像できんが」

 

「外見関係ある?ねぇ?」

 

「料理も上手いし掃除もできるし、洗濯もできる。頭も良いし、手先も器用で、たまに気遣いもできる。それがなぜニート志望なのか……」

 

「え、何。上げて落とすの流行ってんの?」

 

こいつはけなしたいのか褒めたいのかどっちなんだ。……っと、腹減ってきたな。

 

「飯にするか」

 

あたしも自分の分の料理を作る事にした。さて、何にしようか。どうせなら凝ったやつがいいなぁ。……そういえば、最近ラーメン食べてないや。……ラーメンか。

 

「………いいね」

 

「? 何がだ?」

 

「お昼」

 

決めると、あたしは調味料がたくさん入ってる引き出しを見た。強力粉や薄力粉、片栗粉などがある。

さらに冷凍庫の中を見た。ジャイアントトードの肉に付いていた骨があるな。

 

「………これで代用してみようか」

 

数時間後、完成した。とりあえずメニューに加えてみた。

名付けて、蛙骨ラーメン!なんて読むかはご想像にお任せします!

 

 


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