ん、ここはどこだ?辺りは真っ暗で、ポツンと椅子が置かれてる部屋にいた。
あれ、ここどっかで見たな……。なんだっけ、たしか子供の時に死んだ時の……ああ、死後の世界か。
「あれ?あたしまた死んだん?」
「いえ、死んでませんよ」
声がした。前を見ると、おそらく女神様がいた。修道女みたいな格好をした女性の方。
「始めまして。女神エリスといいます。ここは、あなたの夢の中の世界ということになっ」
「…………誰ですか?」
「ええっ⁉︎」
なんか驚かれてしまった。いや、駄女神アクアなら知ってるけど、エリスなんて知らないんだけど。
「あ、あなたの家は一族でエリス教徒じゃないですか!なんで私を知らないんですか⁉︎」
「………?」
言われてあたしは少し考えてみた。………あー、確かになんかたまにララティーナがエリス様に仕える身としてどうのこうのって言ってた気も……。
ああ、エリス教徒の元締めの人か。いや、人じゃなくて神か。
「で?そのエリス様が何の用?」
「ええっ……あなたの家が信仰してる宗派の神様を目の前にしてるんですから、もう少し感動してくれても……」
「うっおー!スッゲー!エリク様だー!」
「白々しいし名前間違ってます!ていうか、さっきエリス様って言ってたじゃないですか!」
「あーもう、うるっさいな。で、何?あたしになんか用?」
「うう……女神なのに『うるっさい』なんて言われたの初めてです……」
だって、うるっさかったんだもん。つーか、いいから話進めてよ。
「まぁいいです。それで、その、最近は随分とニートライフを満喫してるみたいですね」
「何、女神様直々に説教?」
「いえ、その、謝罪させていただこうと思いまして」
「は?」
エリス様は申し訳なさそうな表情を浮かべながら、頭を下げた。
「ダクネスにお願いされ、あなたをニートから脱却させるために能力を一部封じたの、私です」
「ブチ殺す‼︎」
「だから謝罪しよ……ええ⁉︎ちょっ、待っ」
制止を無視して襲い掛かった。椅子ごと押し倒し、エリス様のマウントを取ると、手をワキワキさせながら邪悪な笑みを浮かべた。
「ま、待って!待って待って話を聞いてください!」
「無理無理無理無理。このおっぱい捥いであたしのものにする」
「ええっ⁉︎待って!胸には触らないで!」
「ハートキャッチ・○リキュア!」
言いながら、両手をエリス様の服の中に侵入させた。が、何か不自然な感触を察知し、それを掴んで引き抜いた。
「………ナニコレ?」
出てきたのは、パッドだった。
「………………」
「………………」
「………ごめん」
「謝らないで下さい!」
何も見なかったことを約束させられ、パッドを元に戻して話を進めた。
エリス様に大体の事情を説明してもらった。
「………つまり、ララティーナに頼まれて、ニートを防ぎたいからあたしの能力を封じたと?」
「そ、そうなんです。ラーメン屋でいい感じだったのに……先輩がすみません……」
「アクアはとりあえず殺すからいいよ」
思い出したら腹立ってきた。ハイパードロップキックをお見舞いしてやる。
「それで、あたしを呼び出した理由は?」
「それで、能力を戻そうと思います」
「マジでか⁉︎」
さっきパッド剥いでごめんなさいでした。これでまたあのニートライフに戻れる。
「けど、枷をつけます」
「いいよ別に枷くらい。なんでも言ーフェミア」
「ゆ、ユーフェミア?まぁいいです。枷は、能力で出したものの原価分、あなたの手持ちのお金から減ります」
「それどこの王族の次女⁉︎」
「もちろん、魔法に値段はありませんから、魔法を出す時は無料ですよ」
「…………」
まぁ、問題ないか。原価分しか払わなくて済むなら、価格の設定も何とかなる。
「そいつはどうも」
「では、これから苦労もあると思いますが、頑張って下さいね」
「あーい」
よし、上手くやりくりしよう。あれ、これどうやって帰ればいいんだろう。
しばらく辺りをキョロキョロ見回してると、下に魔法陣が現れ、そこに吸い込まれた。