オウガテイルになったんだが   作:腹ペコ

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家探しの話です




ソイヤッ!

正直なところ一から巣を作るというのは無理だ。というか面倒くさい。

 

だって手がないんだもの

 

 ゲーム中は全く気にすることでもない事だったがなってみると何と致命的か!食べる時も犬食いを強制されるし武器も作れない。これで巣を作るなどまず無理だ。上手く口で咥えてやるにしても面倒くさい.....

 

という訳で何かテキトーな建物を探すぞ

 

「はぁ...」

「了解だ」

「分かりやした」

 

 テキトーな建物を探してそこにまたテキトーに藁やら何やら置いたりすれば....

あら不思議!あっという間にお家の出来上がりです!

 自分たちがいるのは贖罪の街。周りは建物だらけだ。テキトーに良さげな建物を見つけよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

バカだった......

 建物っていうのは人間が作るものだ。用途は様々あるがこの贖罪の街....街、街だ!街は家やビルの集まりで家は人が住む場所だ。いや当たり前なんだが。

 人が住む為にはキッチンやらトイレやら必要なものは色々あるが一番はドアだ。入れなきゃ意味がないし知らない奴に泥棒に入られても困るわけだからそれに伴い鍵もある。

何が言いたいかというとだ......入れない......

 

 ドアは人間のサイズに合わせてあるからオウガテイルでは大きすぎて当然入れない。鍵がかかっていても開けられない。そもそも手がないからな!

自動ドアも電気がきてないから開かないし...

うーむ....そうだ!掘削してみるか!

 

「くっさく?」

「何だそれは」

「聞いたことないでやすね」

 

掘削っていうのはまぁ....見れば分かる

手頃な壁を見つけ取り敢えず歯で...歯で....噛めない

 

オウガテイルの額にあたる部分が尖っておりその上歯の前に牙まであるので歯で削ろうとすると

 

「何やってるんです?」

「それがくっさく?ってやつなのか」

「腹でも減ったでやすかね」

 

突っかかって出来ないんだなぁ...

じゃあ牙でやってみるか、これだったらピッケルみたいな感じで出来るんじゃないだろうか。

 

 

「ボスー?」

「ダメだ、これは何か考え込んでいるな」

「しばらく見てておきやすか」

 

無理やん....

顔を壁に向けると牙は上に向く。なので顔を下げて削ろうとしたんだが顔、というより頭の大きさが牙より少し小さいくらいになっていた。そのため削ろうとしてもすぐに頭がぶつかり全然削れない。削っている間も視界が地面に固定されてるしな....

 

ということで次は口を開けてやってみることにした。オウガテイルの牙は下顎に付いているので口を開いてやれば何かこういい感じに出来るんじゃなかろうか。

 

 

 

・・・ダメこりゃ

削る速度も遅い上に何より顎が疲れる。数を増やしたやろうにもそれじゃあ横に広がり過ぎて倒壊するかもしれない。

うーむ.....

 

 

そうか閃いたぞ!

 

「どうしました?」

「今度は何を考えついたんだ?」

「聞かせてくだせぇ」

 

いやいや聞かせるまでもない。見てれば分かる。

 

そうだ自分はオウガテイル、アラガミなのだ。確かに人間とは違い手がないしサイズもデカい。

・・・だが!自分たちには!人間より遥かに高い膂力がある!

 

ドアが開かないなら蹴破ればいいじゃない

 

いやいや開いてもサイズが合わないから蹴破り損だ。

で、あれば....

 

入れないならぶち開ければいいじゃない

 

見つけた手頃なビル。そこから少し離れる。他の仲間にも下がるように言ってから自分は助走をつけてそのドアも何も無い壁に

 

ソイヤッ!

 

突撃した。

 そうだ、入口が小さいなら大きい入口を.....すなわち穴を開ければいいのだ。人間には出来ずアラガミのパワーあってこその文字通り力技だ。

 まぁ壁にヒビが入っていたしポロポロと破片がこぼれていたので何回か体当たりすればぶち破れると思っていたが一発とは。思った以上に脆かったらしい。

 自分より少し大きい穴があいた。これなら余裕を持って入れるな。閉められないというのが難点ではあるが...まぁそれは仕方ない諦めるしかない。休める建物があるだけラッキーというものだ。

 

よし、お前らも入って....

 

声をかけると何故か他のやつらは自分から距離を取っていた。

 

なんだなんだ?

 

自分の後ろに実は大型種がいるとか?

それは流石に気配で分かる

一発で穴をあけたことにビビった?

それは壁が脆かったからだ

 

おいおい今のは壁が脆かったからで....

 

「ボス...そこから出た方が...」

 

どうして?

 

「その建物....」

 

なんだ?

 

「崩れやすよ?」

 

 

ガラガラと天井が落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・どうやら自分の体当たり一発で崩れる程脆い建物だったらしい。

体中が滅茶苦茶痛い。痛いで済んでいるのはアラガミで感謝か。人間だったら確実に死んでるだろうしな....

 

・・・最初から穴あいてる建物探そう....

 

「そ、そうですね」

「おっそうだな」

「そうでやすね....」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




※2017/12/31

感想欄にてご指摘がありましたので修正しました。今更何をと、仰るかもしれませんが...お許し下さい。理由は本文に挿入した通りになっております

説明不足で申し訳ありません。
ご指摘ありがとうございました。

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