オウガテイルになったんだが 作:腹ペコ
リハビリみたいな感じなので短くなってます
この文量でも結構キツいので以前の文量に戻すにはそれなりにかかりそうです。
先輩が辞め、同僚が辞め、後輩が辞め...
仕方のない事だと思った。
毎日のサービス残業、上司の叱責、取れない有給。
むしろこんな職場を辞めない自分の方がおかしいと思った。
やりがいを感じるわけでもない、給料が良いわけでもない、好きな人が職場にいるわけでもない。
それでも仕事を続けていたのは仕事だったから。与えられたことを文句も言わずにこなす。それが自分という人間だったからだ。だから辞めなかった。何の立場も持たない時はそれしかなかった。
・・・・・・・
部長になった。
前任が定年退職したのでその代わりということだった。上司に媚を売り部下にはハードなスケジュールで仕事を押し付けていたクズだったのでせいせいしたという声をよく聞いた。
自分は、なんと思っていたか覚えていない。
「昇進おめでとう」
そんな心にもない言葉を掛けられた。
「君には期待しているよ」
そう言われ仕事を増やされた。
前任者とは違い仕事はこなすが積極的に媚を売っていた訳でもないので、使い潰せる人材程度にしか思っていなかったのだろう。
だとしても特に何を感じる訳でもなかった。
・・・・・・
部長として仕事を始めたが、言われ通り仕事量は増えた。
前任とは違って自分にはきちんと押し付けられていたのだろう。
部長ということで席も変わり部下の仕事ぶりがよく見えるようになった。明らかに寝不足な彼ら。机に突っ伏して寝落ちしている者もちらほら見えた。
前任者であれば叱責と共に仕事を増やすところだ。
自分はそんな彼らの机に缶コーヒーを置き書類を半分ほど持っていった。
ここまで疲労しているのに仕事を増やせばかえって効率が悪い。
当たり前のことをしただけだった。
決められたルーチンワークのように仕事を引き受けたに過ぎなかった。
・・・・・・
「部長!最近休んでますか?」
部下に声を掛けられてハッとする。また意識が飛んでいたようだ。
大丈夫だと答えパソコンに向かう。
「いや大丈夫じゃないでしょう」
彼は持っていた書類の束を置くとまた別の書類を持った。
「この書類はあと印鑑押すだけなので、後でよろしくお願いします。他の仕事は僕たちでやっておきますから」
いや、それでは皆の休む時間が無くなる。自分に任せろ。
「ダメですよ。適度に休まないと効率が下がるって言ったのは部長じゃないですか。僕たちの分までやっているんですから、僕たちより休まないと」
あ、あぁ.....
「分かったら休憩してください。さあ、さあ!」
わ、分かった分かった!
・・・・・
「他と比べ君のところは優秀だ」
以前とは違いそこには確かに賞賛が込められていた。
嬉しさなんて微塵も感じなかったが。
「期間内に仕事はこなすし離職率も大幅に減少している」
上司の前にも関わらず自分はぼんやりとしていた。
早くに仕事に戻らなければ、そう思った。
「これならもう少し仕事を増やしても良さそうだ」
少し、苛立ちを感じた。
・・・・・・
いつからだったろう
上司の言葉に苛立ちを感じたのは
いつからだったろう
義務から彼らの為の仕事になったのは
いつからだったろう
自分が部下を思いやるようになったのは
・・・・・・
死んだのは部下じゃなく自分だった。
失ったのは自分じゃなく彼らだった。
置いていった自分は置いていかれた気持ちなど分からない。
ずっと.....分からないままが良かったのに。
ぼんやり考えていたプロットとか大分忘れてるので思い出しながらやっていきます。
・・・前の自分は何を考えていたんだろうか。