オウガテイルになったんだが   作:腹ペコ

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真面目パートが続いているのでそろそろバカにしたい所です




新居を求めて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が落ち辺りは暗闇に包まれる。明かりがないので人間だったらまともに活動すらできないが、アラガミの体になった今では特に問題なく活動できる。とはいえ夜に動く意味もないので何人か見張りを立ててそれ以外はほとんど寝ている。

 

 

 他、というより通常のアラガミは獲物を探して昼夜関係なく動き回っている。食事さえすれば体の疲労も関係なく動けるからだ。獲物を見つけ喰らう。そして体力を回復し、また獲物を探す。その繰り返しでアラガミは活動している。

 

 自分たちはある程度食わずにいても我慢が出来るので問題ないが、通常アラガミはそんな事は出来ない。本能の赴くままに喰らうだけである。だから自分はともかく他のヤツらも我慢出来るのは不思議なのだが...いや、今気にすることではない。

 

 

 

「ボス...」

「これからどうするんです?」

 

 

 

 念の為ゴッドイーターも活動しないであろう夜まで待ちそれから仲間と共に家まで戻った。もしかしたら誰か戻っているかもしれないと思ったが、そんなことは無かった。何処かに逃げ延びたと信じたいところだ。どれくらいの仲間がやられたか分からないが、今いる仲間は死なせるわけにはいかない。

 

 

 決めていることとしてはまず新しい寝床だ。いつ襲われるか怯えながら過ごしたくはない。夜も活動し続けるというのも手ではあるが、自分の精神的にきつい。出来ないわけじゃないが、正常な判断ができなくなりそうだ。もっとも肉体的には問題ないので、いざとなれば幾らでもするが。

 

 

「外で寝るのはダメなんですか?」

「バカか、他の奴に襲われるに決まってんだろ」

 

 

 幸い、とは言いたくないが数が減ったので小さい建物でも充分になった。呑気に散歩したときにちょうどいい建物をいくつか見掛けた。取り敢えずはそこで・・・

 

 

「ボス、一ついいでやすか?」

 

 

ん?

 

何か意見だろうか。それともいい寝床を知っているとか。

 

 

「かなーり前、ボスに会う前に見つけたんでやすが」

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

贖罪の街から少し離れたそこにはこの時代に珍しい林があった。純粋な植物の多くがアラガミに食い荒らされている事から分かる通りこの木々は通常の植物ではない。植物型のアラガミである。

 

 

「どうかした?」

「いえ、何でもないです」

 

 

この植物型のアラガミの特徴として触れたアラガミなどに反応し自動的に排除する事が挙げられる。あくまで植物型なので移動することはないし近づいても触れさえしなければ襲われることもないのでこの集落においてアラガミ装甲壁の役割を果たしている。

 

 

「最近はアラガミの侵入も少ないから作業が捗るなぁ」

「そうですね〜このまま平和に過ごせればいいんですけど」

 

 

しかし大型種や中型種にはあまり効果がない。強行突破され足止めにすらならない有様だ。とはいえそれでも外よりは安全である。それに一人だがゴッドイーターが定期的に物資の供給や安全管理などに訪れる。常駐している訳でもない上に、非公式でもあるがゴッドイーターが来てくれるというのはやはり安心感が違う。

 

 

「そういう時こそ気を締めていかないと」

「ですね、頑張りましょう」

 

 

安全もある程度は確保され、食料生産も軌道に乗り始めている。この分なら外部居住区に入らずとも、安定した生活が送れるのではないか。そういった矢先の出来事であった。

 

 

「え....」

「嘘でしょ....」

 

 

小型種程度ならば容易く仕留められる筈の木々。それらを抜けて数匹のオウガテイルが現れた。それは彼らにとって間違いなく絶望であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次の投稿は3月になります。
余裕があればもう1話投稿したいのですが...

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