オウガテイルになったんだが 作:腹ペコ
軽く見て回る程度で探していたので早めに帰ることにした。新居を本格的に探すのは明日からにしよう。別に急いで決める必要はない。この辺りは大型種も滅多に見ないし中型種もそう多くない。そのため小型種の数が多い比較的安全な地域と言える。たまに来るゴットイーターに見つからなければ自分たちを脅かすようなものも無い、はずだったんだがなぁ....
「ボス!ボスー!」
家までの道、向こうから1体のオウガテイルが叫びながらこちらに向かってきた。叫ぶと他のアラガミに見つかる危険がある。あとで注意しよう。
ただ事じゃないと何となく分かるが現実逃避気味にそう考えた。
「大変です!ゴッドイーターが!」
このまま思考放棄して逃げたいが仲間たちを見捨ててはおけない。のんびり散歩気分から戦闘時の頭に思考を切り替える。ゆっくりとした歩みから足早に家を目指す。
走りながらだ、何があったか詳しく話してくれ
○○○○○○○○
物陰から獲物の位置を確認する。
コクーンメイデンという名前のアラガミが三匹。それぞれの距離はさほど離れていないので焦って接近すれば一気に針で穴だらけになるかもしれない。であれば針を飛ばして仕留めるのがいいだろう。
観察すると定期的に視線を変えているようだ。三匹がバラバラのタイミングで変えているが視線の向きが三匹一緒になることがある。そのタイミングで飛び出し一斉に針での攻撃....だろうか。
自分で指示を出すというのは初めてだ。だからなのか何だかモヤモヤする。別にどこが痛いわけでも腹が減っているわけでもないんだが....これが不安というものだろうか。
「俺がよしと言ったら飛び出して針飛ばしだ」
「分かった」
「了解ー」
「オッケイ」
俺が班長として指示をするということは既にボスから伝わっているので特に反対の声もなく応じてくれる。
後は俺次第だ。モヤモヤに押し潰されそうだがボスに任されたのだ。であればやるしか無い。
昔は気ままに食べていただけでこういったモヤモヤを感じることも、ましてや"俺"などと自分のことを認識することもなかっただろう。それ以前に死んでいたかもしれない。だが今こうして俺が俺で生きていられるのはボスのおかげだ。ボスには感謝しかない。
・・・そろそろか
獲物の様子を見て仲間に準備をさせる。後は俺がよしと言うだけだ。だが....
アレは....?
今まさに飛び出そうとした瞬間俺たちの獲物を狩るものが現れた。
・・・人間、ゴッドイーターだ。
ゴッドイーターを見たら撤退するように言われている。実際に戦う様子は見たことはないためボスが脅威に感じる理由が分からなかったが確かにアレは恐ろしい。コクーンメイデンがあっという間に狩られてしまった。俺たちも出来る事ではあるがあれは速すぎる。
慌てて撤退を指示する。焦りながら後ずさりしていると何かにぶつかる。そしてそれが大きな物音を立てる。物陰に隠れているため姿は見られていないが確実に何かいると思われたはずだ。
こうなれば形振り構っていられない。
「全員バラバラに逃げろ!合流地点は家だ!」
○○○○○○○○
そのゴットイーターは追ってきたのか?
「は、はい!3人いまして2人と1人に別れて」
ふむ.....2人と1人か。
エリックがいたということはまだ第一世代の神機が活躍してるだろう。2人がそれぞれ剣と銃でオラクルに限りがある銃が単独行動するとは考えにくい。よって1人は単独行動可能な実力を持ち剣の神機を使う....
ソーマとかリンドウだったら詰みだなぁ(遠い目)
まぁコクーンメイデンを討伐したらオウガテイルを見つけたから追ってみたということも...いやないか。わざわざ別れてまでオウガテイルを追う理由がない。
ここ極東においてオウガテイルは雑魚だ。それでも普通の人間にとっては脅威に変わりないので見つけたら狩るくらいはするだろうが....目標でもないのに逃げるアラガミをわざわざ襲う?シュンとかカレルだったら報酬や素材目当てで有り得る...か?であれば単独で動ける実力があるのではなく勝手に行動しているとも考えられる。
2に入ってないからまだまだ問題児っぷりは健在のはずだ。たしかカレルも深追いする傾向があったはず。家がバレるかもしれないな。
お前らここらで適当な建物に隠れてろ
「了解」
「そんな!」
「ボスはどうするんで?」
一旦家に戻る、あとでちゃんと戻ってくる
取り急ぎ他の仲間を避難させなくては。リンドウだろうがシュンだろうがどちらにせよゴッドイーターに変わりはない。オウガテイルなど簡単に狩ることが出来るだろう。
まだ無事でいてくれよ...
11時頃、7話部分に家探しの話を入れます