オウガテイルになったんだが 作:腹ペコ
まだまだ未熟ですね
今回はちょっと長めです。
シユウを倒すと早速エミールの捜索を始めた。倒す前も索敵がてら探したが見つからなかった。どこかに隠れているのかそれとも既に....なんてな。
この辺りで隠れると言ったら教会だろう。建物の中というのは安心感がある。出入口が一つしかないのであまり良い判断とは言えないが。
「僕の盟友がこの程度死ぬわけがない。それに借りを作ったままにしておくなんてフォーゲルバイデの恥さ。華麗に見つけてみせるよ」
と言っているがその顔には焦燥が見えている。・・・それも当然か。
ここ極東はアラガミ激戦区と呼ばれているくらい新種や大量のアラガミが発生する。フェンリルの保護を受けられずに生活している人間ならまだしも、おぼっちゃま育ちの貴族が1人で生き延びるには過酷な環境だ。
まだ半日程度しか経っていないとはいえ生きていられるかどうか....
割れたステンドガラスを見上げ少しぼうっとしているエリック。
「おい....体調が悪いなら....」
ガラッ
背後から音が聞こえすぐさま振り向く。ぼうっとしていたエリックもそこは体に染み付いているのか反射的に銃口を向けた。それはすぐに下ろしたが。
そこには金髪で薄汚れてはいるがいかにも貴族、といった服を着た俺と同じくらいのヤツがいた。
「エミール!?」
隣のエリックの反応からコイツがエミールのようだ。
「エリック!?おお我が友よ!また生きて会えるとは!」
神機を置きエミールと抱擁を交わすエリック。全く戦場で武器を手放すのは危険極まりない。やれやれこういう警戒心が薄い部分があるからまだまだ放っておけない。
「喜ぶのはいいが神機を手放すな。再会早々死にたくないだろ」
「あ、あぁすまない」
警戒をしながらエリックに注意する。珍しく素直に謝り神機を手に取る。ひとまずは安心か。
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僕はエリナを逃がした後なんとかアラガミから逃げ切ったんだ。しかしそこで力尽き倒れてしまってね。全く情けない...
目が覚めると見知らぬビルの中だった。背中が妙にチクチクしてね。どうやら藁に寝かされていたようだった。そこで周りを確認するとすぐ近くにオウガテイルがいたんだ。恥ずかしながら恐怖の叫びをあげてしまったよ。
しかし騎士たる僕はすぐに落ち着きを取り戻し考えた。通路はオウガテイルのいる側しか通れない。1体しかいなかったので僕でも何とか倒せるんじゃないか...とね。
だがそのオウガテイルが一声をあげると仲間が集まり通路を塞がれたんだ。卑怯者め!思わず叫ぶと同時に思ったよ、僕はここで死ぬのだと。だからシュトラスブルク家の男として、騎士として、みっともない最期を遂げる訳にはいかない。
武器は何もなかったが己の拳と騎士道精神でオウガテイルに向かっていった。逃げ回って疲れていたこともあったのだろう。何度か弾き返されるとそのまま意識を失ってしまった。
そして目を覚ますと.....なんと!オウガテイルの背中に乗せられていたのさ!乗せられていたと言っても荷物のように、だったが。意外にスピードが出ていたから降りるのはこわ.....危険だと感じて落ちないようにしたんだ。
数匹の群れでどこかに向かっているようだった。その目的地がさっきの教会のすぐ近くだったのさ。そこで僕を降ろすと彼らは咥えていたこのジャイアントトウモロコシ1本と数日分の食料の入ったバックを置いたんだ。
正直呆然としてしまったよ。アラガミは捕食本能に従い人を喰らう闇の眷属、そんな印象は崩れ去ってしまったよ。思わず感謝の言葉が口をついてでてしまった。それを理解したのか1体のオウガテイルが頭を下げ、それに習うように他のオウガテイルも頭を下げた。エリナや僕を襲ったアラガミとは何か違う...僕はそう感じた。
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「ということがあったらしい...実に興味深い」
「理性あるアラガミ....もしや特異点か?」
「いやそれと思しきコアの反応はない」
「ではアラガミが進化したと?だとしたら危険極まりない。今はそのオウガテイルしか確認されていないがそれが中型種大型種となった場合、危険度は今までの比にはならないぞ」
「しかしそのオウガテイルたちは人間に友好的なようじゃないか」
「アラガミと共存しろとでも?知性があるならそれは何か思惑あっての事だろう。ゴッドイーターでもないただの人間をアラガミが助ける理由があるか?太らせて食べるという訳でもなく食料だけ持たせて逃がすなど....全く理解できない」
「ヨハン、キミは少し考えすぎなんじゃないか?全てがそうだとは言いきれないが、知性があるなら人間と仲良くしようという個体が出てもおかしくはない」
「ペイラー、私はきみのように楽観的ではないのでな...計画を急がなくてはならないか....」
「私としてはそのアラガミと対話してみたいところだけどね」
「アラガミとの対話など不可能だ」
「神が人になるか、人が神になるか....案外その答えは、すぐそこにあるのかもしれないね」
3月がすぐそこまで迫っていますね。
逃げる2月とはよく言ったものです、最近時間が経つのが妙に早く感じます。気づけば1年が終わってますし。
この間 思い返せば 2年前。
まだ若い方なんですが自分....