艦これ海上護衛戦   作:INtention

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もう8月じゃないですか…。早いものです。

最近、食べ物集め(春イベ)に失敗したりして艦これへのモチベーションが下がっていましたが、艦これ氷祭りに参加して急回復しました。思ったより艦これしてて大興奮でした。DVD化しませんかね?


第十七話 来客

「久し振りだな」

「お久し振りです、高橋少将。突然どうされたのですか?」

 

横須賀の第七艦隊長官室に現れたこの男は連合艦隊第三艦隊司令長官を務める高橋少将だ。

第三艦隊は東支那海や南支那海と言った比較的内地に近い海域を担当する艦隊である。現在では主力艦のほとんどが他へ移った結果、後方部隊として働いている。

第七艦隊は同じ後方部隊として、駆逐艦を融通して貰っている仲だが、第三艦隊は来月には解体が予定されている。

突然発表された事であり、なぜこの時期なのかは分からない。前線の艦娘を増やすためだ、という話もあれば、今までは対中亜の監視任務に就いており、それが解除されたのだという話もある。

後者は第四艦隊の井上提督から聞いた物だが、根拠に欠けるため信憑性が低いように思える。

このように海上自衛軍で様々な噂をされている話題の第三艦隊の長が直々に来たのだから俺が驚くのも無理はないだろう。

 

思い当たる事と言えば、第三艦隊の解散後、麾下の第五水雷戦隊を貰い受ける話が進んでいる事だ。その打合せに来たのかも知れない。だが、せめて事前にアポくらいは取って欲しいものだ。

 

三日月は高橋の突然の来訪に驚きながらもコーヒーを淹れて来る。

 

「砂糖とミルクは入れますか?」

「いや、塩はあるかい?」

「塩ですか?」

 

三日月が首を傾げた。

 

「塩を少し入れるとコーヒーの香りが引き立つんだよ」

 

そんな話を他の提督から聞いた事がある。エチオピア人はそうやって飲むらしい。

 

「持って来ます」

 

三日月はバタバタと部屋を出ていった。

高橋は俺のコーヒーに添えられた2個の角砂糖とミルクピッチャーを見て鼻を鳴らした。

 

「出来た秘書艦だなぁ」

「はい?」

「何でもない」

 

コーヒーの事だろうか。

高橋提督はいつものように愛想がない。二人は黙って三日月が戻って来るのを待った。

 

「お待たせしました!」

 

三日月が持って来たのは食堂に置いてある瓶入りの食塩だ。

高橋は食塩を受け取ると、コーヒーに振りかけ、無言で返した。

そのままコーヒーを美味しそうに飲む。

 

どうやらお気に召したようだった。

少し変わったところがある人だなぁ。

 

「最近どうだ、忙しいか?」

「ええ。常に作戦中ですので」

 

食塩を抱えたまま立っている三日月を座らせる。

 

「今日来たのは、第七艦隊(7F)への引き渡しに関する話だ」

「はい」

「本当は全部お前の所に移してもいいかと思ったんだが、色々あってね」

「え…」

 

初めて聞く話だ。

第三艦隊は巡洋艦で構成された第16戦隊に、名取を旗艦とする第五水雷戦隊を保有している。

これまでの話では水雷戦隊を貰い受ける予定だったが、第16戦隊(16S)も含まれていたのか。

 

「今度、横須賀で連合艦隊の長官会議があるだろう?」

「はい」

「あれは今後の戦略や、新造艦の割当を行う会議だ」

「そのために集まるんですか?」

「ああ。艦の取り合いで揉めるからな」

 

これまでは艦娘を持っていなかった上、任務が護衛艦隊と同じだったため出席していなかったが、自前の艦娘を持てた事と、前線に輸送を行う任務を受けたために俺も呼ばれている。

 

艦娘が欲しいのはこの艦隊だけではない。取り合いになるのは分かる。

 

「しかし、そういう事は軍令部が決めるべきでは?」

「軍令部は艦娘に疎い人が多いからな。艦娘は最高軍機だからカタログスペックしか公開されていない。配備の決定は軍令部がしているが、新しい艦娘程強いという訳ではないから、連合艦隊司令部の意見を尊重する傾向にある」

「なるほど」

 

艦娘のよく分からない所の一つに、順番通りに建造されない点にある。

護衛艦なら"たかなみ""おおなみ""まきなみ"と順に造って行くが、艦娘は特型の次が陽炎型、その次は睦月型など、ランダムとしか言いようのない順番で造られる。

本体に合った艤装を付けるためらしいが、詳細は軍機だそうだ。

 

「そんな訳で、就航したばかりの艦娘に混ざって第三艦隊(3F)も競売に掛けられるって話だ」

「競売…」

「まあ、俺も好き勝手やられるのは嫌だから手は打つ。お前はこれまで通り五水戦を所望しておけば良い」

「分かりました」

 

今日の高橋少将はかなり饒舌だ。

俺と高橋少将は正直のところ仲が良い訳ではないため、何か裏があるのではないかと思ってしまう。

俺が考え込んでいると、高橋は伝えたい事は伝えたのか、席を立った。

俺と三日月の方に向き直り、

 

「ガキの面倒はお前に任せる」

 

高橋はそう言って部屋を出た。帰り際、何か独り言を放ったようだが、それは聞き取れなかった。

高橋が帰った後、三日月と顔を見合わせた。

 

「忙しい人だなぁ」

「……」

「三日月?」

「…そうですね」

 

三日月は何か思い詰めた顔をして、カップの片付けを始めた。

 

 

 

長官会議の朝、俺は司令部に仁王立ちしていた。

 

「異常はないか?」

 

書類を手にした参謀長の保科が答えた。横では秘書艦がメモを取っている。

 

「ジャワ海で空襲があり、輸送船に被害がありました」

「ジャワ海」

 

三日月は海図を持って来て示してくれた。インドネシアのジャワ島とカリマンタン島の間にある海峡。首都ジャカルタからも程近い。

 

「インドネシア空軍が出動しましたが、補足できず。代わりにシンガポールに進出していた中国空軍が撃退したとのことです」

「ほう。やるなぁ」

「上海のニュースでは大々的に宣伝してるみたいですよ」

「まあ、そうだろうな」

 

久しぶりの大戦果という事なのだろう。海軍戦力を消耗した中国軍は空軍力を全面に押し出しており、各地に戦闘機隊を駐留している。平時なら嫌悪される所だが、自国戦力を損耗したくない中小国は日本の空母部隊や中国空軍を受け入れる事が増えている。

 

「後は…、ビスマルク海で潜水艦を発見、撃退したそうです」

「今度は東か」

「ポートモレスビーに派遣される陸自を載せた輸送船を守る第八艦隊が見つけたとの事です」

 

第八艦隊は巡洋艦を中心とする軽快な艦隊だ。ソロモン諸島を守る精鋭部隊でもある。

ソロモン周辺は大型艦より巡洋艦戦隊や潜水艦の襲撃が増えているため、八面六臂の活躍をしている。

 

「台湾やトラックを経由しているのでホットなニュースではありませんが、報告は以上です」

「ありがとう」

「今日は長官会議ですか?」

「そうだ。オークションで水雷戦隊を落としてくる」

「オークション?」

「いや、何でもない」

「しかし五水戦を受け取るのにかなり時間がかかっていますね」

 

冗談が通じずに取り消していると、三日月が呟いた。

 

「確かに。もう一、ニヶ月は経過しているな」

「簡単には決まらないかも知れません」

「しかし、三日後の船団は第五水雷戦隊を投入予定ですが…」

 

すぐに移籍するかと思い、計画に組み込んでいたため、三日後には出撃できていなければ不味い。今から調整をし直すのは非常に面倒である。

 

「それでしたら勝ち取らなきゃいけませんね!」

「そうだな。気を引き締めていこう」

「はい。司令官!」

 

俺は三日月を引き連れて会議室へ向かった。




もうすぐ有明のイベントですかね。
個人的にメインは1日目なので、金曜が平日だと苦労する社会人です。
もちろん有給を取りました。会社のメンバーで何人が気が付いているか、気になるところです。

今月の艦これカレンダー。イケナイ香りがする。

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