比企谷八幡 in SAO   作:アカツキ8
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お待たせしました。
前回の続きです。街を出るとこまでの予定でしたが、そこまでやると1話で今までの総文字数を越える、なんてことに成りかねなかったので、今回は転移するところまでです。
前回、ベータテストを1ヶ月と表記したところを2ヶ月に修正しました。
原作タグもsaoからソードアート・オンラインに変えました。

今回は視点変更が多いです。

ではどうぞ。


第2話 蹴りと談笑

《side八幡》


「久しぶりだな、ハチ」

目の前の男が笑いかけてきたのを見て、俺は、つられて笑いかえす。

「あぁ。久しぶりだな、キリト」

俺はそう言って拳を突き出し、キリトは拳を突き合わせた。すると、小町が困惑したように訊いてくる。

「え?え?お兄ちゃん、このイケメンさんと知り合いなの?」

「あぁ、そうだよ。このイケメンさんと、お兄ちゃんは知り合いだ」

「イケメンさんは止めろって」

「事実だろ?イケメンさん?」

「いや、だから....。はぁ、相変わらずだな。ハチは...」

俺がニヤつきながら言うと、キリトは早々に諦めてため息をついた。
俺達のやり取りを側で聞いてた小町は目をしばたく。

「へぇ、珍しいね。お兄ちゃんがこんな風に人と話してるの初めて見たよ」

「そうか?」

「うん、いつも罵倒されてる所しか見たことないもん」

「いや、そんなことは......。なくはないな」


小町に言われて俺は気づいた。
確かに罵倒しかされてない...。というか、何故か罵倒がコミュニケーションとして成立しちゃってたな。雪ノ下に至っては、挨拶が罵倒だし。しかもそのあとも話しかける度に罵倒されるし。由比ヶ浜には『ヒッキーのバカ!』って言われるし、それに一色には何度もフラれて.....あれって罵倒なのか?まぁいいや。
そう考えるとキリトを弄ったりするのは、俺にとっては珍しいのかもしれない。

「まぁ、珍しいかもな。俺が罵倒されずに仲良くしてるなんて」

「罵倒されて仲良くって....ハチってどんな生活してるんだよ...」

キリトは俺に哀れみの目を向ける。

「おい、キリト。そんな目で俺を見るな。確かに俺は罵倒しかされてないが、それでもちゃんとコミュニケーションは出来てる。何にも問題はない」

「いや、罵倒でコミュニケーションが取れるってどういうことだよ。それに、それが問題じゃないっておかしいぞ」

「大丈夫だ。もう慣れたしな」

俺がそう言うと小町とキリトが同時に言う。

「慣れちゃダメだろ...」
「慣れちゃったんだ...」

そんなこと言われてもな...。俺は、やれやれと首を振る。

「しょうがないだろ。毎日罵倒されりゃ誰だって慣れる」

「ま、毎日.....」

それを聞いたキリトは顔をひきつらせたが、やがて俺の肩に手を乗せて、何故か可哀想な者を見る目をして言った。

「ハチ...」

「な、何だよ」

さっきとは違う声音の声を聞いて、俺はたじろぐ。
どうしたんだ?何かさっきよりも哀れみの感情が増してるような...。



「強く生きろよ...」

「余計なお世話だ!!」






俺が叫んだのを聞くと、キリトは笑って『まぁまぁ(笑)』と言って小町に話しかける。

「で、妹さんに聞きたいんだけど」

「おい、キリト。後で覚えとけよ」

「え?なんのことだ?」

「.....もういい」

俺はため息をついて額に手を当てる。あれ?雪ノ下の癖が俺にも....。
はぁ、やっぱりこいつと居ると調子が狂う。今度、こいつの弱味を握ったらアルゴにその情報を売り飛ばしてやる。
心の中でそう決心して、俺は小町に話しかける。

「じゃあ小町、さっきの続きだ。と、その前に。キリトも小町がフレンジーボアに乗ってるところを見たんだよな」

俺が訊くと何を今さら、と云うような顔をして言う。

「じゃなきゃ、訊きに来ないだろ。ハチってバカなのか?」

「ただの確認だ。それに、バカとは失礼な。これでも国語学年三位だぞ」

俺がムッとして言い返すと小町が横から口を挟む。

「数学8点の最下位だけどね」

「小町....そこは言うな」

これを聞いたキリトは目を見開く。そして次にあれ?と首をかしげる。

「8点....ハチ点....。なぁ、狙った訳じゃないよな?」

「アホか。テストでそんな下らない遊びをやるわけないだろ」

俺は呆れながらキリトに言った。
いや、本当に8点は狙ったわけじゃない。例え、その後に0を4つ付けて、『これで八万点だな。八幡が八万点....何てな』とか言って一人で密かに笑ってたとしても。

「そうだよな、それを聞いて安心したよ。というか、こんなことよりも、さっきの質問の続きをしないか?」

「そうだな。じゃあ小町、さっきの続きだ。そのフレンジーボアの体力は他のフレンジーボアとおなじなのか?」

小町は俺の質問に首を横に振る。

「ううん。他のフレンジーボアよりも二倍有るんじゃないかな」

『二倍!?』

思わず俺とキリトが叫ぶ。

「うわっ!?どしたの急に叫んで。小町、何か変なこと言った?」

小町の質問にキリトが首を振りながら早口で答える。

「いやいやいや。変というよりは、おかしいっていうか...」


「キリト、それ余り変わってないから」

「いや、だっておかしいだろ...二倍って」

「それは俺も同じだ。なぁ、本当に二倍だったのか?」

「何?お兄ちゃんは小町を疑うの?」

そう言って小町は俺の方をじっーーと目を細めて見てくる。その目はやめて!?店で女性用下着を見てた俺を見つめてた雪ノ下のジト目をおもいだすから!!あれ、黒歴史の一つだから!!
内心で焦っているのを誤魔化すように俺は答える。

「何を言ってるんだ小町。俺が小町の言うことを疑うなんて事が、あるはずがない。何なら、どんな嘘までも信じちゃうまである」

「.....ゴミィちゃんめ」

「その反応おかしいからね」

俺か突っ込むと、キリトが意外そうに言う。

「ハチって、シスコンなんだな」

「は?何言ってんだ。千葉の兄妹は、みんなシスコンだ」

「へぇ、それは知らなかったな。俺は東京だから」

「キリトさん。今のお兄ちゃんの冗談だからね」

「分かってるよ。それよりもどうして二倍だと分かったんだ?」

「書いてあったからだよ」

そう言うと、小町はスキル欄をタップして、俺達に見せてきた。俺とキリトは、それを食い入るように見つめる。

そこには『あー...これマジ?』と、思わず唸る内容が記されていた。



《sideイロハ》

「......死にたい」

ひとしきり悶絶した後、私は一言呟いた。

マジで何なんですかあの人。本当にマジで何なんですかあの人!?あんな意地悪しなくてもいいじゃないですか!!恋する乙女に悪戯して何が楽しいんですか!?
私も私で何であんなことを....。思い出しただけでも、恥ずかしくて死にそうになる。私、あんなキャラじゃないのに。どちらかと言うと悪戯して笑う側なのに。
さっきまでのキリトとか言う人のニヤニヤ笑いを思い浮かべる。
....何か無性に殴りたくなってきた。何だろう、戸部先輩が『っべー。マジやっべーわいろはす』とか言ってきた時と同じ感覚だ。一発グーで殴ってやる。
そう決意して私は立ち上がった。

「....絶対に許さない」
「おっ、やっと復活したか」

私が立ち上がると、横から男の人が話しかけてきた。

「あっ、えーっと...」

「そう言えば自己紹介してなかったな。俺はクラインだ。よろしくな」

「あ、私はイロハって言います。よろしくです」

私は普通に挨拶をかえす。

...おかしい。いつもの調子が出ない。いつもならここでもっと...。
私が疑問に思うと、顔に出ていたのかクラインさんが訊いてくる。

「どうした?深刻そうな顔して」

「いえ、大丈夫です。お気遣いなく」

私は再び考え込む。
あれ?どうしたんだろう。私ってこんな敬語使うキャラだったっけ。初対面だからかな?うん、絶対そうだ。

私は、いつも初対面の男性には愛想を振り撒いてることを頭の片隅に追いやって無理やり自分を納得させる。

パンチじゃなくてキックにしてやろう。ドロップキックで吹っ飛ばしてやる。頭の中で制裁方法をランクアップさせて、私はクラインさんに尋ねる。

「さっきのキリトって人、どこに行きました?」

「キリトならあそこで話してるぞ」

クラインさんの視線を追うと、先輩とキリトさ...いやキリトが話しているのが見えた。あんなことされて、さん付けで呼ぶのも何かおかしい。

「クラインさん。私たちも行きませんか」

「そうだな、じゃあいくか」

クラインさんと先輩の方に歩いていると、急に先輩達が小町ちゃんが出した何かに目が釘付けになった。

何だろう?....でもこれはチャンスだ。今なら確実にドロップキックを決められる。でもただ後ろから蹴り飛ばすだけじゃ面白くない。どうせだったら顔面から吹き飛ばしてやりたい。
そのためには.....

「クラインさん、ちょっと協力してもらってもいいですか?もし成功したら、彼女作るのに協力してあげます」

「何!?本当か、イロハちゃん!?」

うわ、凄い食いつき。やめた方が良かったかな。でもあの人とだったら同じような悩みを持つ者同士、仲良くやれそうですし、借りを作って成績を上げてもらうことも....。あ、そうだ。ついでに...

「もちろん本当ですよ。でも、もし彼女さんが出来たら、更に協力してもらいます!」

私はビシッと指を指してクラインさんに宣言する。

「おう!もちろんだ!でも、このゲームの中でしか協力出来ないぞ?」

「大丈夫です!無理やり連れてくるので。それに多分私が言わなくてもこのゲームにハマってるので自分から来ますし」

これを聞いたクラインさんが尋ねてくる。

「誰か来るのか...一体何に協力すればいいんだ?」

「ある男を落とすのを手伝ってもらいます。あの人を落とすのって、正直言ってライバルも多いし大変なんですよ。おまけに超鈍感ときてますし」

私は自分で言ってため息をつく。

マジで先輩の攻略難易度、高すぎじゃないですかね。多少意識させることは出来ても、ライバルが強大すぎて....。そうだ、キリトって人にも協力してもらおう。あの人先輩と仲が良いみたいですし、かなり利用できそうだ。もし断ったら、またナンパされたって周りに人が居る時に叫んでやる。

「へぇ、そんなモテ男が現実に....砕け散れちくしょう!」

「そうなんですよねー。ホント砕け散れ!って感じですよ。私、リアルでもビジュアルには自信は有るんですけど、あの人周りの人が美人ばかりで目が肥えてるのか、見た目じゃ動揺すらしてくれないですし」

私がそう言うと、クラインさんが『何!?』と、言って叫ぶ。

「何だその男は!?そんなやつは男の敵だ!!」

「やっぱりそう思いますよね!!私も女の敵って言われますけど、あんなリアルハーレム築いてる人には言われたくないですよ!」

私はクラインさんに同調するように勢いづいて言った。
自分自身もそのハーレムの一員になってることには触れないでおこう。

「任せとけイロハちゃん!!それにハーレムとか俺は許さねぇぞ!!男なら一人に決めろってんだ!」

クラインさんは、拳を握ってその腕を震わせる。

「交渉成立ですね!」

「おう!」

私が手を差し出すと、クラインさんも手を出してガシッ、と私達は握手をかわす。

「それじゃ行きましょうか」

「で、まず何をすればいいんだ?」

「キリトに話しかけるだけでいいです。振り向いた瞬間、私が顔面にドロップキックを食らわせるので、すぐにしゃがんでください」

私がそう言うと、クラインさんは頷いた後に、少し気の抜けた顔をする。

「そんだけだったらお安いご用だ。でもいいのか?彼女作りに協力してもらうんだから、もっと他にも手伝ってやってもいいのに」

「いいんですよ、それだけで。残りの分は先輩を落とすときに返してもらいますから」

「先輩?リアルのか?」

あ、ヤバ...でもいっか。どうせ後からバレることですし。

「はい、それよりも早くいきますよ。顔面にドロップキックをかますチャンスがなくなっちゃいます」

「あくまでも、顔面狙いなんだな....」

私が走り出すと、クラインさんは少し苦笑いしながら私についてくる。
そして、私は振り向いて笑顔で言った。

「もちろん!それぐらいやらないと面白くありません!」



なんだ、私もう全然元の調子に戻ってるじゃん。






《side平塚》

今、私は様々な愚痴を言いながら、フレンジーボアを次々とソードスキルで切り裂いている。最初、私は無心でひたすら切り刻んでいたが、『せっかくだから何か叫びながら殺ろう』と思い、最近の不満をぶちまけることにした。


「クラスのカップルとか....消えてなくなれ!!」ズバンッ
「『ライン告白で付き合い始めました!』とか、...私に報告するな!当て付けか!」ズバンッ

「インスタグラムにツーショットを公開するやつ!!爆ぜてしまえ!!」ズバンッ

「ん?」

何体目になるかも分からないフレンジーボアを斬った先に二人組の男女が街に戻って行くのが見えた。どうやら私の愚痴が聞こえてしまったようだ。悪いことをした。
しかし....

「ゲームの中でまでイチャイチャするんじゃない!」ズバンッ

再びソードスキルを発動させてフレンジーボアを切り裂く。もう百体は斬っただろうか。いい加減斬るときに言う台詞が底を尽きてきた。さて、そろそろ休憩にするかな。雪ノ下のやつも休んでることだし。それに、流石に私も疲れた。確かに斬ったあとにモンスターがポリゴン片になって砕け散る時に爽快感はあるが、自分で自分の傷を抉りながらやってたせいで逆に気持ちが沈んでしまった。次は純粋にこのゲームを楽しもう。陽乃にも申し訳ないしな。

そう思って、私は草原に座り込んだ。
しばらく空を眺めてボーッとしていたが、そういえば他のみんなはどうしてるかと、比企谷の方に視線を向けると一色と仲良く談笑してる姿が目にはいって来た。

そう言えば最近、学校でも一色と一緒に居ることが多いな。一色もサッカー部のマネージャーを辞めて奉仕部に入り浸っているしな。私は二人が話しているのを見て笑みを浮かべた。

比企谷は一色にも良い影響を与えたようだ。本当にあいつには驚かされることが多い。そう言えば最初から驚かされっぱなしだったな。まずは、あの腐った目だな。一体何があったらあんな目になるんだろうか?そして、次はあの下らん作文だな。最初に読んだ時は、『何だこれは!?』と、職員室で思わず叫んでしまったし、由比ヶ浜がクラスであの三浦に本音を話すようになるまで、良い方向に変えてしまった。
雪ノ下もあいつには特別心を許しているように思える。
それは、由比ヶ浜や一色にも言えることだが。

しかし材木座にまで影響を与えるのは辞めてほしかったな。ただでさえ比企谷並みに手のかかる奴だったのに、奉仕部に紹介してから授業中に小説を書くようになってしまった。
私が、

『材木座、授業中に小説は書くな』

と言っても、以前は大人しく止めていたのに、今では

『我の小説を読んでくれる者がいるのだ!!我は小説を書きたい!!それにこれはある意味、現国の授業になるのではないだろうか』

と言って反抗するようになってしまった。全く...屁理屈は比企谷だけで十分だ。

ため息をついて視線を上げると、比企谷の妹がフレンジーボアに乗って、比企谷を追いかけ回しているのが見えた。しかし足が速いな。通りすぎた所の草花が風圧で凄い揺れているじゃないか。
まぁ、せっかくの機会だ。そのフレンジーボアの角で背中をどついてやるといい。見てて面白いからな。

意地の悪い笑顔を浮かべながら私はその光景を眺めていた。しかし揺れる草花を見て唐突に私の脳裏に嫌な思い出の記憶が湧いてきた。
笑顔を無くした私はどんよりとしながら剣を腰から抜いて立ち上がり、比企谷達から視線を外して近くにいたフレンジーボアに狙いを定める。すると、フレンジーボアがこちらを見て少し駆け足になって反対方向に逃げ出した。

「ふふふ...何故逃げるのだ。少し待て、すぐに終わるから」

そう言って私は石ころを比企谷に教えてもらった投擲スキルで逃げ出したフレンジーボアに当てる。石ころを当てられたフレンジーボアは私が敵だとシステムが認識したので此方に体を向けて突進してくる。

「何でそんなに嫌そうに突進してくるんだ?私は敵だぞ、思う存分攻撃してくるといい」

私がそう言うとフレンジーボアはむしろ更に嫌そうに、システムに抵抗するかのように鳴き声を上げる。そんなに嫌がるほど今の私は怖いだろうか?確かに負のオーラは出ているかもしれんが....

すると、フレンジーボアはもう諦めたのか一直線に突進してきた。

「それでいい」

私はソードスキルを発動してフレンジーボアが攻撃範囲に入るのを待つ。そして入ってきた瞬間に思い切り叫びながら剣を振り抜いた。



「もうブーケトスは嫌だぁぁぁーー!!」





《side雪乃》

「ふぅ....大体こんなものかしら」

私は剣を腰にしまって息をついた。

もうソードスキルにも慣れたから、休憩しようかしら。それに、周りにモンスターが居なくなってしまったし。
そして私はその場に腰を降ろした。

それにしても、この世界は良いわね。もし現実でこんなに動いたら、私の体力はあっという間に尽きてしまうでしょうし。こんなにも思いっきり動き回ったのは、生まれて初めてかもしれない。

「比企谷君がこのゲームをやる時に毎回ついていこうかしら」

口に出して私は首を、ブンブンと横にふった。

そんな事言ったら、絶対に『いや、何でだよ』って言われるに決まっているわ。いや、無理矢理にでも...でも迷惑だったら...。

そこまで考えて私はあることに気づく。

何故私は彼に遠慮しているのかしら。今更、迷惑だ、なんて言われても大したことないじゃない。彼には初対面の時から罵倒をしているのに。それに今もほぼ顔を会わせる度に罵倒をしているし.....。
そういえば、何故彼はあそこまで罵倒されて平気なのかしら?材木座君みたいに地面を、のたうち回らなくても、普通はショックを受けると思うのだけど。
私は姿勢を変えて再び頭のなかで考える。

でも、それで良いのかもしれないわね。彼は軽口を叩いて流してくれるけれど、もし彼に嫌われたら私は死んでしまうわ。主に精神的に。

「ふふっ、こんなこと誰かに聞かれたら本当に死んでしまうわね」

私は笑みを浮かべて比企谷君の方を見る。

....何故、一色さんが一緒にいるのかしら?私もあんな風に積極的に話しに行けたら....。
唇を噛み締めて私は一色さんの姿を見る。

彼は性格が大人しいから、彼女のように明るい女性に惹かれるのだろうか。だとしたら由比ヶ浜さんにも同じことが言える。じゃあ私も....。いえ、それでは私らしくないわね。それにいきなり私がそんな風になったら引かれてしまうわ。しかも私はそんな事はやりたくないわ、恥ずかしいもの。それにもし比企谷君を取られたとしても、まだ愛人というポジションも....。

「流石にそれはないわ....」

思わず口に出して自分の考えを否定した。ただ、その未来を否定しきれないのが怖いわね。

再び比企谷君の方を見ると、そこには比企谷君の姿はなく、少し離れた所で小町さんに追いかけ回されていた。そこから少し離れた場所では、一色さんが男二人に話しかけられていた。そして何を言われたのか、いきなりしゃがみ込んでしまった。

「これだから低俗な男どもは....」

ありとあらゆる罵詈雑言を浴びせてやる。

そう決心して、急いで一色さんを助けに行こうとして立ち上がると、男二人の内、歳上だろう人が地面を叩き始めた。


「....あれは一体何なのかしら?なにか悪さをされているわけではないみたいだけど」

疑問に思いながら近くまで行くと、その様子を見ていた男の人がため息をついて一人で比企谷君達の方に向かって行った。

彼は比企谷君の知り合いなのだろうか。一色さんに聞こうとして、私は話しかける。

「一色さん」

「なぜ、私はあんなことを....ううぅ」

「一色さん」

「うぅぅーー.....」

駄目だ。何故か全く反応しない。
その後も何度か呼び掛けたが、全く反応しないので仕方なく隣の男の人に話しかける。

「あの、すみま「何で俺には彼女ができないんだー!!」.....」

私は踵を返してその場から離れた。やはり本人に聞いた方が早いだろう。

それにしても平塚先生と同じような悩みを抱えた男性とは.....。

比企谷君を追いかけて行った男の人を追いかけながら私はそう思った。そして、そういえば平塚先生はどうしてるだろう?と思って視線を移すと、ゆらゆらと体を揺らしながら立ち上がるのが見えた。

「一体どうしたのかしら?」

ただならぬその様子に、思わず立ち止まってその方向を凝視する。すると、平塚先生に攻撃されたフレンジーボアが怯えながら突進してくるのが見えた。

「モンスターでも恐怖は感じるのね...」

私がそう呟くのと同時に、平塚先生が何かを言うとフレンジーボアが諦めたように突進していった。

「哀れね....」

斬られると分かっていながら、システム上逆らえずにモンスターは攻撃してくるしかない。それにしても今の平塚先生はどんな顔をしているのだろうか。通常、感情何て持たないはずのAIのモンスターが恐怖を感じているように見える...。
そのままさっきの男の人を追いかけようとするが、平塚先生の叫んだ言葉に私は再び足を止めた。

「もうブーケトスは嫌だぁぁぁーー!!」

そう言ってフレンジーボアを切り裂くと、その場に仰向けに倒れてしまった。

「はぁ......。あの先生は....」

私は盛大に大きなため息をついて、額に手を当てた。
そして、先程の男の事は比企谷君に聞くことにして、平塚先生の方に歩みを進めた。


どうやら、このゲームの中でも私の気苦労は絶えないようだ。




《side材木座》

「くらえっ!!我が必殺の....エクスプロー!いや違うな..」

我はソードスキルでフレンジーボアを斬ろうとするが、良い決め台詞が思い浮かばず腕を止める。危うく爆発を引き起こすところであった。
うーむ、普段かいてる小説ではナイトメアスラッシャーとかを技の名前にしたりするのだが....。
試しに言ってみるか。

再び我は剣を構えてソードスキルを発動する。

「くらえっ!ナイトメアスラッシャー!!」

ソードスキルを食らったフレンジーボアはポリゴン片になって砕け散った。
やはりなにか違う....。そもそも何がナイトメアなのだ、剣は青白く発光するからそんな禍々しいネーミングは相応しくない。ならば....

「くらえっ!ジャスティスソーードッ!」

我はフレンジーボアを切り裂くと、地面に剣を突き刺して頭を抱えた。

いや、流石に今のは無いな。何だジャスティスって、小学校低学年でも思いつくではないか。
そこまで考えて我は愕然とした。


ナイトメアスラッシャーも十分幼稚ではないか!!!


何ということだ!!今にして思えば今までの決め台詞も全て....。いや!まだ我は小説に書くときは何か難しい漢字を使っているから大丈夫だ。しかし、いざ口に出すと....よくよく考えたら体育祭の時に言った『材木座クラァァッッシュ!』とか、なんの捻りもないではないか!あんな台詞を我は何百人の衆人監視の下、叫んでいたのか!?

我はその事に気づいて剣を抱えて転げ回った。

五分ほど経って、我は自分の状況を改めて見つめ直した。考えてみれば、もう我は常軌を逸した中二病として他校にまで知れ渡っているのだ。今更何を風評に怯えているのだ。そこらの名も知らぬ有象無象どもの罵倒など、奉仕部長の雪ノ下殿と比べたら.......。

調子を取り戻した我は、誰に聞いてもらうわけでもなく、剣を斜め上に掲げて叫ぶ。

「ふはははは!我は剣豪将軍義輝だ!猪どもよ、覚悟せよ!!!!」

そう言うと、我は近くにいたフレンジーボアに切りかかった。そしてポリゴン片になって砕け散るフレンジーボアを眺めながら我は心のなかで思った。


あの罵倒を軽くあしらう八幡のメンタルは尊敬に値するな、と。







《side八幡》


今俺は、キリトと一緒に小町のスキル欄を見ている。それによると、どうやらこれはビーストテイマーの上位互換のスキルのようだ。しかも、普通のビーストテイマーとは違い通常一体しか出せない使い魔を二体まで出すことが出来るらしい。他にも、戦闘中でなければ三体まで出せるとか、さっき見たようにテイムしたモンスターに乗れるとか、小町の言うように使い魔の体力等ステータスの上昇など様々な事が書いてあったが要約すると大体こんな感じだ。ここまで見た俺達は、キリトが小町と同じようにチャレンジしてもできなかったことと、このぶっ壊れ性能から、このスキルをユニークスキルでは?と疑った。

そして更に読み進めると、ひときわ目を引くものがあった。

それは、このスキル固有の使い魔の存在を示す文だった。その使い魔は《幻狐》というテイム不要のモンスターで、レベル10から呼び出せるようになるらしい。小町のレベルは今は5だから、まだしばらくは呼び出せない。これを見て俺達はユニークスキルだと確信した。
そして小町に俺たち以外の人がいるときは無闇に使わないように言いつけた。こんなのが知れ渡ったら、大騒ぎになる。もしそんなことになったら小町が、熱心なゲーマーどもからの質問攻めで、多大な迷惑を被ることになるからな。そんなことになったら俺がそいつらを抹殺しないといけなくなる。だから、他のユニークスキルが何個か発見されるまでは公言は避けた方がいい、と俺が判断して、キリトもそれに同意した。
ゲーマーの抹殺については同意してくれなかったが。

すると、キリトがスキル欄を眺めながら俺に訊いてきた。

「なぁ、この幻狐ってどんなモンスターだと思う?」

「多分キツネじゃないか?」

俺がそう答えると、キリトが顔をしかめて言ってくる。

「そんなの文字からして分かるだろ。俺が聞きたいのは、どんな性能を持ってるかってことだよ」

「そんなの出してみないと分からないだろ」

キリトは『そうだよなぁ』と言って考え込む。
いくら考えても想像の域を出ないのに無駄なことを....。内心でキリトのゲームバカっぷりに呆れていると誰かがキリトに話しかけた。

「おい、キリト」

どうやらこの男はキリトの知り合いのようだ。キリトは返事をしようと後ろを振り返った。

「ん?クラインじゃな「○ねぇぇー!!」グハッ!?」

「キリト!?」
「キリトさん!?」

何だ今の!?キリトが振り返った瞬間に誰かがドロップキックしやがった!!しかも、顔面にいくとは....リアルだったら鼻の骨が折れてるぞ!!

しかし、見事な連繋プレー....話しかけた男がキリトが振り返る寸前でしゃがみ、その上をもう一人がジャンプして、キリトの顔面に綺麗なドロップキックをかました。蹴られたキリトは小町にぶつかりそうになったが、寸前でフレンジーボアの角で弾かれて、更に遠くまで飛んでいく。そして十メートルほど先の地面に背中から落ちる。

キリトを蹴った人の顔を見て一瞬驚いたが、俺は落ち着いて言った。

「一色、お前いきなり蹴るって随分と過激な挨拶じゃないか?」

「いろはさん、流石に蹴るのはどうかと思うよ」

俺と小町がそう言うと、一色は何故かスッキリした顔をしながら言った。

「あの人には、これぐらいしないとダメなんですよ」

「いや、何で?」

「先輩は知らなくていいです」

えぇー...何だそれ。こういう言い回しをする時って大体教えてくれないんだよな。雪ノ下と由比ヶ浜もそうだった。
俺が聞き出すのを諦めると、小町が尋ねる。

「いろはさん、小町は聞いてもいいですか?」

「うーん....小町ちゃんだったら大丈夫かな」

「やったー!」

小町は一色の近くによって話を始めた。

「あ、先輩はそこで大人しくしててください。来たら、そこの人と同じようにドロップキックしますから」

「分かってる」

俺は頷いて大人しくその場から動かない。
しかし何だこの扱いの差は....女子って本当によくわからん。取扱説明書とか誰か作んねぇかな。ま、どうせ役に立たないだろうけど。
とりあえずキリトを起こしに行こうとすると、さっきキリトに話しかけた男が話しかけてきた。

「なぁ、あんたがイロハちゃんの先輩か?」

そう言えば誰なんだこいつは。一色の事を名前にちゃん付けで呼んでるから一色と面識はあるんだろうけど...。

「そうだけど」

「へぇ、あんたが....」

そう言って、目の前の男は俺の事をじっと見つめる。

「何だよ」

「いや、何でもない。俺の名前はクラインだ。よろしくな」

「....俺はハチマンだ。とりあえずよろしく」

俺は不審に思いながらも、挨拶をした。
このクラインという男なんか怪しいな。まじまじと、俺を見てきた理由も分からないし、一色とあんな連係プレーをする所から考えても警戒した方がいいかもしれない。
訝しげに思っていると、起き上がったキリトが顔を擦りながら歩いてきた。

「イテテテテ....ったく。まさか蹴られるとはな....」

「おっ、起きたかキリト。悪いな、まさかイロハちゃんが蹴るとは思わなかったわ」

「嘘つけ!!」

俺は思わず突っ込んだ。
キリトはクラインがしゃがんだのを見る直前に顔面を蹴られたから気づかなかったろうけど、俺はがっつり見たぞ!あの連繋プレーを!

「まぁ、しょうがないさ。ちょっと弄りすぎたしな」

キリトは苦笑いをしながら一色の方を見た。

....こいつら一色と何があったんだ?しかもキリト、一色を弄るって何て恐れ知らずな....。

すると、クラインが俺に密かに耳打ちしてきた。

「実の事をいうとな、彼女作るのに協力してやるって言われてよ。思わず乗っちまった」

「え?そうなの?」

「あぁ、ついに俺にも春が来たぜ...!」

クラインは拳をグッと握って、感極まったように空を見上げた。あれ?こいつ涙を浮かべてないか。
そうか、この人は平塚先生と同じ人種だ。あの人みたいにいい人かどうかは、分からないけどな。
俺はこの様子を見て警戒心を解いた。

....まさかとは思うが、一色は平塚先生を紹介するつもりじゃないだろうな。確かにこの二人なら上手く行くかもしれないけど。

心に一抹の不安を抱えながら、俺はクラインに声をかける。

「まぁ、あれだ。頑張れよ」

「おう!」

クラインは俺に向かって親指をたてる。
....やっぱり不安だ。こいつみたいに明るく対応する人間は大体根っからのバカの事が多い。いや、平塚先生には好都合なのか?もしかしたら、クラインの性格だと相性がいいんじゃ....。
いや、俺がこんなに心配しても意味がないか。本当に一色が平塚先生を紹介するつもりなのかも分からないしな。


とにかく先生に、やけ酒ならぬ、やけ食いに付き合わされるのはもうごめんだ。






その後、一色との話を終えた小町が、『みんな一緒に休憩しませんか?』と、提案すると、キリトが『せっかくだから眺めの良い場所に行こう』と言ったので今は、総勢八人で始まりの町を一望できる場所で休憩している。

平塚先生は何があったのか、呼びに行ったときには雪ノ下に頭を撫でられていた。そして、思った通り、一色は平塚先生をクラインに紹介した。そして、これまた思った通り、二人は相性がいいらしく、今は仕事の愚痴を言い合って盛り上がっている。
うん、やはり俺は絶対に働かないぞ。目指すは専業主夫だ。現実味が薄いのは分かっているが....。
チラチラと聞こえてくる話を聞く限り、社畜してるなぁ、と思わずにはいられない。

それにしても、材木座を呼びに行ったときは大変だった。キリトとクラインは何となく察してたけど、こいつ人前で堂々と自分が中二病だと公言しやがった。おまけにそれを聞いた雪ノ下が、

『あなたには羞恥心というものがないのかしら。ここでは見た目が良いから多少は見過ごせなくはないけれど、正直貴方の事を知らない人の前でそんなに堂々と中二病だと公言しないでほしいわ。貴方みたいな社会不適合者と知り合いだと思われたくないもの。それに――」

と、いつも以上に長く、辛辣な発言を受けたにも関わらず、

『我は恥など捨てた!!今の我に恐れるものなどなにもない!!あ、小説の酷評は別です』

と、いつもなら訳のわからない言葉を口走りながら地面を転げ回ったところを、何故か誇らしげな顔で宣言した。
雪ノ下が俺に助けを求めたが、俺は首を振って雪ノ下と同じように額に手を当てた。

はぁ....由比ヶ浜の言う通り、こいつにはソードアートオンラインをあげるべきじゃなかったな。すでに末期だと思っていた中二病が悪化してしまった。
まさか、前以上に手がつけられないことになるとは....。


先程までの出来事を振り返っていると、一色が話しかけてきた。

「先輩、クラインさんと平塚先生良い感じじゃないですか?」

「そうだな。平塚先生は今まで一人で何でもやって来たせいで他の男は近寄り難かっただろうが、クラインはそんな事は気にもしないだろうからな」

本当に平塚先生にはピッタシの性格の持ち主だな。これ様子だったら、最後まで.....ってことも十分に有り得る。

そのまま一色と話していると雪ノ下も混ざってきた。

「でも、平塚先生が暴走しないか心配ね。このゲームの中に居るときは私達が目を光らせてるからいいけど、現実で会う、ということになったら....」

『....確かに』

俺と一色が同時にいう。
すると、一色が身を引きながら俺に言ってきた。

「な、なんですか先輩。私と全く同じこと言って『何だ、気が合うな』みたいな感じに、さりげなくアピールですか。正直ビックリしましたし、嬉しくないこともなくはないですけど、やっぱりもっとハッキリと言われる方が私的にも嬉しいですし男性的にもどうかと思うので、次はもっと堂々と言ってきてください。お願いします!!」

そう言って一色は頭を下げた。
あれ?フラレるパターンじゃない?どうしたんだこいつ。何か病気にでもかかってるんじゃねぇのか?そういえば今日は何かいつもと少し様子が違ったような...。

そう思って俺は一色の頭に手をのせた。

「えっ....な、な、な、何ですか。本当に急にそんな「一色、調子が悪いなら無理せずに病院に行った方がいいぞ」.....」


『.....................』





....................................



....................................



....................................



「何だこの空気。俺なんか変なこと言ったか?」

本当に何だったんだ今の沈黙は。マジで俺変なこと言ったか?俺が釈然としない顔をしていると小町が言った。

「ゴミィちゃん」

え?断言したよこの子

「ハチ.....」

「お前は本当にブレないな....」

「八幡....やはりお主はお主のままだったか...」

「イロハちゃんの言った通りだ.....」

おいまてクライン、何か聞き捨てならんぞ、その言葉は。

「...流石、と言うべきかしら」

そう言ってみんなは俺の事を蔑んだ目で見てくる。
一色はガックリとして言った。

「はぁぁぁーー.....。ま、先輩ですからね。私がバカでしたよ」

一色は呆れながら言った。
俺は『何だよ、心配してやったのに』と、言おうとしたが視界の端に捉えた夕焼けの光を見て思わず顔をそちらに向けた。
すると、他のみんなもつられて顔を向ける。

そこには絶景、と言って差し支えない光景が広がっていた。眼下に広がる草原に夕焼けの茜色が反射して何とも言えない絶妙な色を放ち、その上にフレンジーボアの影が落ちて、その明暗の差が、また風情を感じさせる。
そして、なんと言ってもこの大パノラマだろう。広がる茜色の空、そこに浮かぶ雲、湖に反射する夕焼け、遠くに見える夕暮れ時の始まりの町の風景。全てが組み合わさって、およそこの世には存在しないレベルで美しいとすら思わせる。



「凄い。....メチャクチャ綺麗...」

しばらく、全員がこの絶景に呆気にとられていたが小町がポツンと呟いた。
それを皮切りに、さっきまでのことは無かったように全員が喋りだした。

「本当に綺麗だ。マジでこの世界作った茅場ってやつは凄いな」

クラインがそう言うと全員が頷く。
その後もしばらくこの風景を見ながら全員で雑談していた。
やれまた、このメンバーで集まろう。一緒に狩りをしよう。もし機会があったら現実でも会おう。など、様々な話をした。
今日初めて会ったとは思えないほど俺達とキリトとクラインは意気投合していた。

すると、クラインが思い出したように言った。

「悪い。6時にピザ取ってるのすっかり忘れてた。俺はそろそろ落ちるわ」

6時!?もうそんな時間なのかよ。じゃあ俺達は二時間ぐらいここで喋ってたのか。凄い時間がたつのが速く感じるな。それほど、この時間が楽しかったのか...。

「じゃあ俺と小町もそろそろ落ちるか。晩飯作らないといけないしな」

「そうだね。じゃあ明日もみんなで集まろうよ!明日は結衣さんも来るしさ」

「そうね。私も行こうかしら」

「じゃあ私も行きます!」

「我も行っていいのだろうか」

「何を言ってるんだ材木座。君だけ除け者にはしないさ。無論私も行くぞ。クラインも来るだろ?」

「シズカが来るなら喜んで行くぜ!」

クラインがそう言うと平塚先生は顔を背けて頬を染めた。

「よくもそんなことをぬけぬけと....」

誰だ、この人は。俺はこんなうぶな反応をする平塚先生など知らないぞ。

「とにかくだ!明日もまたこのメンバーで集まろうぜ!今度は俺の会社の連中も連れてくるから、2パーティー組んで一緒に狩りも出来るしな」

「そうか、それは楽しみだな。じゃあ小町、ログアウトするか」

そして俺達はメニュー画面を開いてシステムからログアウトのボタンを探す。するとクラインがメニューをいじりながら訊いてきた。


「なぁ、ログアウトのボタンってどこにあるんだ?」

「え?クラインさんもですか?私も見つからないんですけど。先輩、どこを開けば有るんですか?」

雪ノ下達も俺の方を見た。

「いや、俺も見つけられない。キリトはどうだ?」

「俺もだ。おかしいな、もしかしてバグか?」

キリトが首をかしげるとクラインがあっけらかんと言う。

「まぁ、初日だからな。こんなバグもあるだろ」

「ログアウト出来ないって、このゲームじゃ、かなり致命的なバグだな」

俺の言葉を聞いたキリトが頷く。

「要は閉じ込められた、ってことだからな。今頃運営は必死になってると思うぞ。」

「だろうな。これで詫びのアイテムとか配布されたりするだろうし別に俺は構わないが、クラインはドンマイだな」

「ヌオオオォ!!俺のマルゲリータがァァ!!」

クラインが叫ぶと全員が笑った。
すると、唐突に始まりの街の鐘の音が響いてきた。

「お兄ちゃん、この音なに?」

「鐘の音」

俺がそう言うと小町に頭を叩かれた。痛くはないが、若干の衝撃が走る。
キリトが苦笑いしながら付け加える。

「6時になったことを伝える鐘だよ」

「へぇー、ありがとうキリトさん!ゴミィちゃんとは違うね!」

おい、ナチュラルにゴミィちゃんで呼ぶなよ。文句を言おうと口を開いた瞬間、体が白い光に包まれた。

「うおっ!?なんだこれ!?」
「比企谷君、これはなに!?」

「この光....強制転移か!!」


そして視界は完全に真っ白になった。



ちょっと終わり方が雑ですが、そこは目をつぶってください(笑)
次回も今回と同じか、もしくはそれ以上の長さになると思います。

あと、ここで設定で書き漏らしたことを書いておきます。
次回、八幡の目が浄化されます。

では、また次の話で。