Fate/Grand Order~農民は人理修復を成し得るのか?~   作:汰華盧顧

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すみません、遅くなりました!
新生活が始まってなかなか筆跡時間がとれずにいまして……。
これからも不定期更新が続くと思います。
それでもよければ、待ってやってください。


(勝手に)大改造ビフォーアフター!~肥料の計算ミスったら殴られても文句言えないと思う~

リヨンの町の戦いから3日。カルデア組はオルタが本拠地としているオルレアンへ向けて、町を巡って仲間を増やしつつ、順調に進軍していた。

 

 

彼らがこの3日間に倒した敵対サーヴァントは4騎。

 

アルトリアを見て突撃をかまして開幕カリバーされたランスロット。

 

マリーとアマデウスによって倒されたサンソン。

 

諜報活動中にヘマをしてバレたデオン。

 

そしてアーチャーなのに白兵戦を仕掛けたアタランテ。

 

 

幾多の戦いを乗り越えた一行は、とうとうオルレアンを視認出来る位置にたどり着いたのだが…………。

 

 

 

「……………ねぇジャンヌ。一応聞くけど、アレがオルレアンなんだよね………?」

 

「…………場所はあっています」

 

 

 

オルレアンは原型を留めないほどに変わり果てていた。

 

上空に大量のワイバーンが飛び交うのはまだわかる。

問題は城と、その周辺だ。

立香は道すがら、ジャンヌにオルレアンの城について話を聞いていた。

 

 

彼女曰く「とても立派で凄いです!」らしい。

 

 

……………その話を思い出した立香は再度城を見る。

 

 

 

「……ジャンヌの感性って、変わってるね」

 

「な!? ち、違います! 私が見た時の城はあんな風では無かったんです!信じてください!」

 

 

 

ジャンヌにあんな物呼ばわりされた城は、そう呼ばれてもおかしくない程に酷かった。

白かった壁は薄暗い紫に変わり、至るところに気持ち悪いナニかが張り付いたり、壁を突き破ったりしている。

 

エミヤが投影した望遠鏡で見てみれば、城には至るところに不気味な装飾が施されている。

 

ハッキリ言って悪趣味だった。

 

 

 

「ありゃ『工房』だな。どうやら敵さんにはキャスターがいるらしい。………ところでセイバー。お前さん、アレを知ってるみたいだな」

 

「…ええ、以前聖杯戦争で会ったことが」

 

 

 

突然クー・フーリンに話題を振られたアルトリアは、ぶっきらぼうにそう答える。

思い出すのは第四次聖杯戦争で戦ったあのキャスター。罪のない子供達に暴虐の限りを尽くし、なぜかこちらを他人と間違え、追いかけ回したあの男。

出来れば二度と会いたく無かった。

 

 

 

「まぁアレに関しちゃどうとでもなる。いざとなったら宝具で燃やしちまえばいいしな。………問題はその周りだな……。 なぁ聖女サマよう、彼処はもとからああだったのか?」

 

「い、いえ。私がいた頃はそうでは無かったはずですが…」

 

「ということは……」

 

「十中八九、彼女の仕業だろう。………覚悟した方がいいぞマスター」

 

 

クー・フーリンが指し示した先を見て立香とエミヤが顔をしかめる。

 

そこにあるのは、城を囲む広大な農場。

これがもとからある畑ならなんの問題も無かった。

 

だがつい最近処刑されたばかりのジャンヌが知らないと言うことは、この畑はジャンヌの没後に出来たもの。

その短期間にこの大規模な畑を作るような人物は、思い当たる中に一人しかいなかった。

 

 

 

「またアレと闘うと思うと気が参りますが、彼女に会えるなら、そのくらい乗り越えて見せましょう……。

あぁエフィーナ、今会いに行きますからね………!」

 

 

 

やる気満々のアルトリアがずんずん進み、その後ろには重たげな雰囲気の被害者達が続いていく。

そんなチグハグな光景を見たマリーと事情を知らないサーヴァント達は不思議そうに首を傾げていた。

 

 

 

◇=====◇

 

 

 

「あーーもう! トロトロともどかしいわね! 早く来なさいよ!いっそワイバーンでもけしかけてやろうかしら!」

 

「ダメですよマスター。ワイバーンごときじゃ効果なんて出ません。どのみち彼らはここに来なきゃいけないんですから、今は待ちましょう」

 

「むぅ………わかったわよ………」

 

 

 

城の最深部、ジル・ド・レェの魔改造が施された玉座に座り、遠見の魔術が掛けられた水晶を覗くオルタを嗜める。

 

今はオルタに動かれては困る。

なんとか流れを元にとはいかなくても、せめて原作に沿って行くように調整したんだ。これ以上のズレはなにがなんでも回避したい。

 

 

 

「マスターはそこで座って、ポップコーンでも食べててください。味はどうします?甘いのとしょっぱいのがありますが」

 

「……甘いのがいいわ」

 

 

 

ポップコーン(キャラメル味)を食べて顔を綻ばせるオルタを横目に、この3日間の事を思い出す。

 

 

城に帰ったボクはオルタを部屋のベットに寝かせ、ジル・ド・レェのもとに今後について話に行った。

 

顰蹙をかって傀儡にされる事も覚悟していたが、意外なことにちゃんと話を聞いてくれた。……なんであの人いつもこうじゃないんだろうか。普通にしてればいい人なのに。

 

とりあえず話は通せたので、オルタに許可をもらいに行った。負けず嫌いなオルタがネックだったが、びっくりするくらいあっさり通った。

 

───何故か顔を真っ赤にして目を合わせてくれなかったが、もしかしてアレか?

寝かせたときにほっぺをムニムニしたのがバレたのか?

どんだけ初なんだよ可愛いなオイ。

 

 

 

「ところでエフィーナ。アレで本当に大丈夫なんでしょうね?」

 

「その辺は問題ありません。これだけの規模なら十分に仕事を果たしてくれますよ」

 

 

 

オルタがアレと言ったのは城を囲む広大な農場。ボクのスキル【農地作成:EX】で作成した、オルタを守護する為の防壁の一つだ。

 

【農地作成】はその名の通り農地を作るスキルだが、これには農地にした面積に比例して製作者のステータスを上昇させる効果がある。

 

ボクが農地にしたのはオルレアンの外周一帯。かなり苦労したが、そのぶんボクのステータスは大幅に上がっている。今のボクならアルトリアとの鍔迫り合いにも勝てるハズだ(たぶん……)。

 

 

もっとも、ボクのステータスアップは副産物にすぎない。そもそもボクのステータスを上げたところで大して役に立たないし

 

本当のメインは農場に仕掛けたトラップの数々だ。

 

殺傷性は高めだが、まあ死んだりはしないだろう。

狙いはカルデア組の消耗。サーヴァントが相手なら、このくらいがちょうどいい。

 

 

 

 

──────そう考えたのだけど…………。

 

 

 

 

(あ、あっれぇ~~!?)

 

 

 

遠見の水晶を覗き込む。

そこに映るのは、右ストレートを叩き込む大玉トマト。

地面を抉り進むキュウリ。弾け飛ぶとうもろこし。

そして、必死に応戦するカルデア組。

 

 

 

(よ、予想以上に苦戦してる……… もしかして、やり過ぎちゃった……!?)

 

 

 

流れを調整しようとしたボク自身が、とんでもないポカをやらかしていた。




流れが悪いですが、次で一気に進められるようにします。

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