クレヨンしんちゃん〜嵐を呼ぶ人類お助け大作戦!〜 作:ちりめん山椒
炎に包まれた管制室を目の当たりにしたしんのすけ達は息を飲んだ。見渡す限り火、瓦礫だらけ。そのほかにも所々に肉の破片のような間が見える。こんなもを幼稚園児が見たらトラウマ通り越して発狂ものだろう。事実しんのすけは震えており、今にも叫び出しそうなほどその顔は恐怖に染まっている。
「しんちゃん…」
しんのすけの状態を見て立香はパニックになりそうな頭を一旦落ち着かせた。自分も驚いているが、自分よりさらに幼いしんのすけの方がショックが大きいだろうと。
そんなしんのすけにひろしは声をかける。
「何が起きてるかわ分からないがしんのすけ。絶対に俺から離れるなよ。ここはもう安全な場所じゃない。だが安心しろ、父ちゃんがついてる」
ヒロシはしんのすけを抱き抱えて安心させるように優しく抱きしめた。
「そうよしんちゃん。私たちがついてるじゃない!だから安心しなさい」
みさえもひまわりを抱き抱えながらしんのすけに近寄り安心させるように頭を撫でた。
「父ちゃん…母ちゃん…。オラ泣かないゾ!今まで何度もこんなことあったけど、みんなオラ達は乗り越えてきたんだ!今回だって乗り越えてみせるゾ!」
しんのすけはひろしの言葉を聞いて今まで体験してきた出来事を思い出した。過去に何度も異世界に行ったことや、宇宙人や巨大ロボやオカマの魔女と戦ってきたことを。そしてそれを全て乗り越えてきたのだ。しんのすけは今更こんなことで怖がってられるか!と気持ちを引き締める。
「その意気だしんのすけ!それじゃあ周りにまだ生きてる人がいるか探しに行くぞ!」
「ブ・ラジャー!」
しんのすけはいつもの調子を取り戻し全員で手分けして生存者を探し始めた。しかし、残念ながら生存者はおらず、無事なのは管制室の中心にある地球儀にも見えるもの、カルデアスのみであった。
「くそ!生存者は無しか…」
「残念だけど、その様だね。どうやらここが爆発の基点のようだ。これは事故じゃない、人為的な破壊工作だ。」
「なんだって⁉︎いったい誰が!誰がこんな命を弄ぶようなことしたんだ!」
ひろしはロマンの言葉を聞き、この破壊工作の犯人に対して激怒した。人の命を簡単に消そうとしている黒幕が許せなかった。
すると管制室アナウンスが流れた。
『動力部の停止を確認。発電量が不足しています。予備電源への切り替えに異常 が あります。職員は 手動で 切り替えてください。隔壁閉鎖まで あと 40秒 職員は 速やかに_______』
「……僕は地下の発電所に行く。カルデアの火を消すわけには行かない。貴方達はすぐにきた道を戻るんだ。まだギリギリで間に合う。」
ロマンはそういうと地下えの階段を降りて行く。しかしひろし達はハイそうですかと行って従うわけもなかった。
「ロマン先生だけここに残すわけにはいかねぇな。みさえ!しんのすけ!ひまわり!シロ!立花ちゃん!ロマン先生の後を追うぞ!」
「行きましょうあなた!今ならまだ間に合うわ!」
「ほっほーい!ロマン先生もお助けするゾ!」
「うー!」
「アン!」
「はい!みなさん行きましょう!」
そうしてひろし達も地下への階段を降りていこうとした時、後ろの方にいたしんのすけと立香のところに小さい白い毛玉が飛び出してきた。そしてしんのすけの顔に引っ付いた。引っ付いた毛玉を顔から引き離してみるとそれはカルデアであった特権動物のフォウだった。
「フォウ⁉︎ぶじだったのね!よかった」
「おお〜!フォウですな。おまえは無事だったか〜」
「フォウ!ンキュ、フォーウ!」
と、そんなやり取りをしている間にヒロシ達は先に降りて行ってしまい見えなくなった。
「フォウも一緒に地下に行くゾ!」
「そうね!連れて行きましょうしんちゃん!」
そうしてフォウを連れて地下へ行こうとしたがフォウがしんのすけの服を加えて逆の方へ引っ張った。どうやらついて来いという意味らしい。
「お?向こうに何かあるの?立香お姉さ〜ん、フォウが向こうに何かあるって行ってるゾ」
「え?…もしかしてマシュ?マシュが向こうにいるの⁉︎」
「え⁉︎マシュお姉さんが向こうにいるの⁉︎早くお助けしないと!」
「フォウ!フォーウ!」
フォウはしんのすけ達の言葉に肯定するかのように鳴き、ある場所へと駆け出した。しんのすけと立香はフォウを追いかけて管制室の瓦礫の密集している場所に向かった。瓦礫を避けて奥に行くと下半身が瓦礫の下敷きになっているマシュを見つけた。すぐさま駆け寄り体を支えると閉じていた瞼が開き、しんのすけ達と目があった。
「「マシュ(お姉さん)!」」
「せ…んぱ…い?しん…ちゃん?」
「しっかり!今助けるから!」
「しっかりするんだゾ、マシュお姉さん!」
「…………いい、です……助かりません、から。それより、早く、逃げないと」
「諦めちゃダメだゾ!諦めたらそこで会議失敗だって父ちゃん言ってた!」
「そうだよ!諦めたらダメ!」
もう助からないと諦めるマシュを2人で叱咤激励しながら瓦礫をどかそうとするがビクともしない。すると管制室の中心にあるカルデアスが真っ赤な球体へと変化した。
『計測スタッフに警告。カルデアス状態が変化しました。シバによる近未来観測データを書き換えます。近未来100年までの地球において 人類の痕跡は 発見 できません。』
『人類の生存は 確認 できません。人類の未来は 保障 できません。』
『中央隔壁 封鎖します。館内洗浄開始まで あと 180秒』
このアナウンスがなり隔壁の閉まる音が聞こえてきた。
「……隔壁、閉まっちゃい、ました。……もう、外に、は」
「……うん、そうだね、一緒だね」
「オラもいっしょオラもいっしょ〜」
「うん。みんな一緒だよしんちゃん」
「エヘヘ〜、お姉さん達にはオラがついてるから泥舟に乗ったつもりで安心しなさい。エッヘン」
「もうしんちゃん。それを言うなら大船でしょ?泥舟だと沈んじゃうよ〜あはは」
「……………」
マシュはこんな状況でも笑っていられるしんのすけ達を見て複雑な表情をで俯く。するとまたアナウンスが聞こえてくる。
『システム レイシフト最終段階に移行します。座標 西暦2004年 1月30日 日本 冬木』
『ラプラスによる転移保護 成立。特異点への因子追加枠 確保』
『アンサモンプログラム セット。マスターは最終調整に入ってください。』
『コフィン内マスターのバイタル基準値に 達していません』
『レイシフト 定員に 達していません。該当マスターを検索中・・・・発見しました』
『適応番号48 藤丸立花 適応番号49 野原しんのすけ を マスターとして 再設定 します。』
『アンサモンプログラム スタート。霊子変換を開始 します』
どうやら機械が勝手に作動してるようである。
「…………あの……………せん、ぱい。しん、ちゃん。手を、握ってもらって、いいですか?」
するとマシュから弱々しい声でそんな言葉が溢れる。
「いいよ。つなごっ!」
「オラもつなぐ〜」
しんのすけはマシュの右手を、立香は左手を手に取りしっかりつなぐ。それに安堵したのかマシュの表情が穏やかになる。その後またしてもアナウンスが流れる。
『レイシフト開始まで あと3』
『2』
『1』
『全行程 999完了《クリア》。ファーストオーダー 実証を 開始 します』
○●○●○
しんのすけが気がつくとあたり一面瓦礫と火の海だった。目覚める前と状況が変わってないように思われるが、地面の感触が明らかに鉄の滑らかさじゃない。見てみると土の地面だった。思い出しても記憶の最後はマシュと立花と手を繋いだカルデアの管制室だ。外に出た覚えはないし、第一カルデアの外は雪山だ。来るときに登ってきたのだから間違えるはずがない。ならばいったいここはどこなのか。周りを見回しても瓦礫と炎だらけで誰もいない。あるのは自分が背負っているリュックだけだ。
とりあえずリュックを漁り中からお気に入りのお菓子、チョコビを取り出す。
「いや〜これがないと始まりませんなぁ。お股のおじさんも言ってたゾ、腹が減ってはいいクソもできぬ、って」
もちろん又兵衛はそんなこと言っていない。しかし今ここにはしんのすけ以外誰もいない。ツッコミがいないので又兵衛はそんなこと言ってないと否定する人がいない。まぁ、しんのすけの発言を聞いている人もいないのでそれだけがせめてもの救いか。
そしてしんのすけはチョコビを半分残し、リュックにしまう。
「ふぃ〜、満足満足♪それにしてもここはどこ?オラもカルデアで立香お姉さんとマシュお姉さんの手を繋いでいたはずなのに…。周りには誰もいないゾ」
しんのすけはとりあえずその場から移動することにした。その場にとどまっておくのは良くないとなんとなく感じたからだ。
「ここなんだか不気味だゾ…。まあいいや!とりあえず誰かいないか探しに行こーっと」
とにかくしんのすけは瓦礫の比較的少ない所を冬木の地を進んでいく。するといきなり背中に衝撃が走った。しんのすけは衝撃に耐えられず前に手をついて倒れてしまう。そして感じる背中の重さ、しんのすけ驚きた後から来た恐怖で身動きが取れない。しかし、しんのすけの背中から聞こえて来る声はとても聞き覚えのあるもの。人の声ではないがしんのすけが忘れるはずのない家族の声だ。
「アンアン!ハッハッハッ」
「おお〜!シロー!会いたかったゾ〜。も〜くすぐったいゾ」
「クゥーンクゥーン」
そう、後ろから突撃して来たのは野原家の飼い犬のシロだった。シロはレイシフトの前、しんのすけが付いて来ていないことに気がつき、しんのすけの匂いをたどって管制室に戻って来ていたのである。しかし、しんのすけを見つけた瞬間強い光に覆われて、気づけばこの冬木の地にいたのである。その後、もう一度しんのすけの匂いをたどり、見つけたので今度こそ変なことが起きる前にしんのすけの元に行くため、後ろから突撃したのである。
「シロに会えて良かったゾ!1人だと心細いしぃ〜。よ〜しシロ、わたあめ!」
「アン!」
シロはしんのすけの言葉を聞いて体を丸める。その姿は言葉通りわたあめみたいだ。
しんのすけはわたあめ状態のシロを頭に乗せ、また歩みを進める。これでしんのすけの心細さはだいぶん和らいだ。
とりあえず火の無さそうな場所を探して歩いていると女性の悲鳴が聞こえて来た。しかもその声は最近聞いたことのある声だ。というかぶっちゃけオルガマリーだ。
「お?この声はオルガマリーお姉さん?近くにいるみたいだゾ!シロ、さっきの声の所まで案内して!」
「アン!スンスン…、!アンアン!」
シロはしんのすけに残ったオルガマリーの匂いを嗅ぎ取り、匂いの方向へと走り出す。その後をしんのすけは追い、声のした方向へと駆け出す。
数分間走り続けると炎に囲まれた中に人影が見える。それを目指してしんのすけとシロは走り続け、その人影の前に到着した。その人影はしんのすけの予想通りオルガマリーだ。当のオルガマリーはしんのすけが現れたことに対して驚いており、口をパクパクさせている。
「よ!」
「っ⁉︎よ!じゃないわよ!なんで貴方がここにいるのよ!」
「いや〜そんなこと言われましてもいるからいるとしか言えませんなぁ」
しんのすけは自分達がなんでここにいるのかなど理由は一切わからない。
目の前が光ったと思ったら知らない場所に出ていたのだ。知っているはずがない。
「ヴゥ〜!アン!アン!」
そんなやり取りをしていると急にシロがしんのすけの正面に向かって吠えた。。急にシロが吠えたことに驚き視線を向けると、そこに居たのは骸骨。骸骨がゆらゆらと揺れながらこちらにゆっくりだ歩いてくる。
「おお〜!お姉さん、あれ何?新手のメケメケ団?骸骨だからスケルトンメケメケ団ですな」
しんのすけは骸骨の群れを見てそんな呑気なことを言う。それに対してオルガマリーは慌てた。
「何呑気なこと言ってるのよ⁉︎あれは龍牙兵よ!私たちを狙ってるのよ⁉︎いやよ、いやよ!まだ死にたくない死にたくない!」
命の危険を理解したオルガマリーは錯乱した。死にたくないと何度も連呼する。そんなオルガマリーのまえにしんのすけは立ち、まるで守るように手を広げる。
「オラは皆をお助けする事を決めたんだ!お姉さんだってお守りしてみせるゾ!オラは負けない、負けてたまるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
しんのすけが決意を露わにするように叫んだ。
_______________________________そして奇跡が起きた。
しんのすけの背負っているリュックからある物が飛び出した。それはかつて野原家の庭でタイムスリップした先の、戦国時代でもらったしんのすけの大切な刀。かつて「鬼の井尻」と戦の中で恐れられた武士の刀だ。その刀がしんのすけの叫びに呼応するかのように目の前に降りてくる。やがてそれは光り輝き、人の形を成して行き、その下にさらに大きい馬の形が形成されて行く。そして光が治るとしんのすけの目の前には馬に乗った1人の侍が現れた。侍は振り返りこう言った。
「サーヴァント、ランサー。真名
かつてしんのすけの目の前で死んだはずのオマタのおじさんが、しんのすけの目の前に現れた。
と言う事で、しんちゃんの最初のサーヴァントはオマタのおじさんこと、井尻又兵衛由俊でした。アクション仮面やぶりぶりざえもんとかいるじゃないか、と言われるかもしれませんが、個人的な理由が2つあります。
1つ目はぶりぶりざえもんだけじゃ流石に特異点攻略は無理だと個人的に判断。アクション仮面と同様、今後に出します。
2つ目がオマタのおじさんが誰よりも早く出したかった!!
以上の理由によりこうなりました。すいません。
それと、明日は学校の登校日なので明日は更新できないかもしれないです。書き溜めせずに気分が乗っているときに書いているので。すいません。
*淵深 真夜様、誤字報告ありがとうございます。
誤字・脱字・ご指摘ありましたらお伝えください。