クレヨンしんちゃん〜嵐を呼ぶ人類お助け大作戦!〜   作:ちりめん山椒

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頭の中にある書きたいことをアウトプットするのは難しいですね。語彙力と客観視の能力が足りない事を直視させられます。


目の前に綺麗なお姉さんがいたらナンパが礼儀、だゾ

「おお〜! お姉さんがシリマルダシのお尻に吸い込まれていったゾ!」

 

「…何が起こった。小娘を奪い取ったあの術は何だ!」

 

レフは己の望んだ光景からかけ離れた結果、そしてそれを齎した術を理解することができず激昂する。

 

「何なんだ貴様は! 貴様の所為で計画が滅茶苦茶だ!」

 

「んもぉ〜、そんなに怒ると持病の血圧上がるゾ?」

 

「私は高血圧ではない!」

 

「でも顔真っ赤だゾ? そんなに鼻息荒くしないで深呼吸したしようよ。 ほらヒッヒッフーヒッヒッフー」

 

「このクソガキィ!!!」

 

怒鳴るレフなどどこ吹く風としんのすけはシリマルダシを眺めている。その間にこちらに向かっていた又兵衛達がたどり着いた。立香がしんのすけを抱き抱えレフとの間にマシュが盾を構え立ち塞がる。

 

「しんちゃん! 大丈夫? 怪我してない? ごめんね一人にして…」

 

「んもぉ〜しょうがないなぁ。 オラは優しいから許してあげるゾ、次からは気をつけるんだゾ?」

 

「調子に乗るでないしんのすけ。お主が勝手に行動したのだろうが」

 

「ほぉーほぉー、爆弾先頭ってやつですな」

 

「それを言うなら独断専行ですよしんちゃん」

 

『いやそんなにほのぼのしてん場合じゃないよ皆! 今は目の前に集中しなきゃ!』

 

通信越しのロマニの声で皆注意をレフに向ける。対するレフは湧き出る怒りを抑えようと必死でありしんのすけ達の方へ意識を向けていなかった。

 

「……ふぅ。こんな事にムキになる必要はない。どうせ人類は消え去る、このような事は些事に過ぎないのだ。そうだ、気にするなフラウロス」

 

ブツブツと独り言を呟く様は別の意味で危ない人物に見えるが本人は自分を客観視できる余裕がないので気づく事はなかった。ようやく落ち着いたのかレフはしんのすけ達に向き合うと張り付けたような笑みを浮かべた。

 

「予定は狂ったが改めて自己紹介しよう。私の名はレフ、レフ・ライノール・フラウロス。貴様達人類を処理するために使わされた2015年担当者だ。」

 

「もうわかっているだろうドクターロマニ。共に魔導を研究した学友なのだ。最後に忠告しておいてやろう。カルデアはもはや用済みになったのだ。この時点で人類は既に滅んでいる。」

 

『レフ教授、いやレフ・ライノール。それはどう言う事ですか? 2017年から未来が見えなくなったことと関係が?』

 

「関係ではない。もう終わってしまったと言う事実だ。カルデアスが発する磁場によってカルデアは存続しているようだが外は既に消滅している。」

 

「じぶぁ〜?」

 

レフは無視した。

 

『なるほど、外部との連絡が取れないわけじゃなく、連絡を取れる相手が既に消え去っているわけですね』

 

「やはり賢しいな貴様は。先に始末できなかったことが悔やまれる。」

 

「だがそれも虚しい抵抗だ。カルデアも2016年を過ぎればこの宇宙から消え去るのだ。今更どうしようが無意味、無価値。お前達は己の愚かさ! 我が主人からの寵愛を失ったがために人類史から人類の否定をもたらされた!この結末はもはや誰にも変えることなどできないのだ! フハハハハハハ! 実に愉快だ!」

 

一人語るレフの嘲笑が洞窟内に木霊する。皆が苦しげに下を向く中、はっきりと否定の言葉を紡ぐ小さな存在がいた。しんのすけだ。

 

「そんな事ないゾ! オラ達は今まで沢山の地球のピンチをお助けしてきたんだゾ! お前みたいな爆発もみあげの野望なんてとーちゃんの足の臭さに比べたらどーって事ないゾ!」

 

そのしんのすけの言葉に皆が顔を上げる。しんのすけの表情は翳りなどなく真っ直ぐとレフを見据えている。

 

「貴様が何をほざこうが結末は変わらない。せいぜいありもしない希望に縋って野垂れ死ぬがいい。……おっと、そろそろこの特異点も限界か、セイバーが余計な手間を取らせたせいで長居し過ぎたか」

 

レフがそういうと突然洞窟が振動し始めた。いや、洞窟だけではなくこの空間______世界そのものが崩壊を始めているのだ。

 

「それではさらばだロマニ。それとマシュと適正者二名。私も暇ではなくてね、次の仕事へ向かわなくてはならない。君たちの結末を楽しむのはここまでだ。」

 

「______時空の歪みに飲まれるがいい。私も鬼ではない、最後の祈りくらいは許容してやるとも」

 

そしてレフは空間に溶けるように姿を消した。その間も揺れは続いており一刻の猶予もない。

 

「ドクター! 至急レイシフトを行ってください! このままでは私たちはともかく先輩としんちゃんが!」

 

「わかってるとも、既に実行しているさ! でもそちらの崩壊の方が早いかもだ! その時は諦めてそちらでなんとかして欲しい。ほら、宇宙空間でも数十秒は平気だと言うじゃないか」

 

「ちょっと黙っててくださいドクター! 怒りで冷静さを欠きそうです!」

 

「うぉうぉうぉうぉう! オケツがブルブルするゾ〜。ケータイごっこブルブルブルブル〜」

 

「そんな事をやってる場合じゃないぞしんのすけくん! とにかく皆固まるんだ! シロくんもフォウくんもこっちに!」

 

「アンッ!」「フォーウ!」

 

アクション仮面の言葉に皆がひとかたまりになる。サーヴァント達が盾になるように覆い被さった。ドクターが通信越しに何かを言っているが、聞き取る前に視界は白一色に塗りつぶされた。

 

 

○●○●○

 

「フォーウ、ンキュ、キュ」「アンアン! クゥ〜ン」

 

「おうおうかわいいでちゃねぇ〜。何か食べるかい? きのみ? 魚? 犬の君はお肉かな〜? 猫かリスか分からない君は何を食べるのかな」

 

壁も天井も白い一室に絵画から出てきたと言われても疑われないであろう程の美女と小動物達が戯れていた。そしてその物音に反応して二つの影が備え付けられたベットから起き上がる。

 

「ふあ〜あ、よく寝た〜。お? ここどこ?」

 

「んん〜、おはようしんちゃん。…確かにどこだろう?」

 

しんのすけと立香だ。二人の起床に気づいた2匹は二人の元へ駆けていく。

 

「アンアン!」

 

「おお〜! シロ〜お前もいたのか〜。よーしよしいい子だゾ〜」

 

「フォウ君も元気そうだね。…できれば体をテシテシするのはやめてくれるかな?」

 

「フォウフォーウ、ンキュ?」

 

シロはしんのすけに飛びつくと嬉しそうに頬を舐め、フォウは立香の体をテシテシ叩く。

 

「おや、気がついたようだね。よしよしそれでこそ主人公というものだ。おはよう二人とも、意識はしっかりしてるかい?」

 

その光景を眺めていた美女から声をかけられ二人はそちらに目線を送る。一人は怪訝な表情を浮かべ、一人は汽笛を鳴らした。

 

「シュシュポポシュシュポポ ポッポー!!! お姉さ〜ん! オラと人生という名のレールを明日に向かって駆け抜けていかな〜い?」

 

「う〜んそれはとっても魅力的だね。でも今はまだお預けだ」

 

「つれませんなぁ〜。そんなお姉さんも魅力的でス・テ・キ♡」

 

「しんちゃんはいつもブレなくてある意味すごいね…」

 

「いや〜それほどでも〜」

 

しんのすけは美女にメロメロである。そして美女もしんのすけのノリを軽くいなしており大人の余裕を感じさせる。立香はしんのすけのどこでも変わらないノリに少し引いた。

 

「ところでお姉さんのお名前はなんでいうの? オラは野原しんのすけ五歳! 綺麗なお姉さんが大好きで引き割りより小粒納豆の方が好きな春日部に住んでるちょっぴりシャイなオ・ト・コ・ノ・コ♡ 気軽に『しんちゃん』って呼んでね。うぇへへ〜」

 

「知っているとも。君は大変興味深いからね」

 

「ほんと〜! オラってそんなに有名〜?」

 

「私は藤丸立香です。えっと…私は引き割り派かなぁ」

 

「そこは答えなくていいと思うよ? 私はダ・ヴィンチちゃん。カルデアの協力者さ、というか召喚英霊第三号みたいな?」

 

「ほぉーほぉー、ダビンチお姉さんかぁ。なんかカロリーナ先生にお声が似てるね」

 

しんのすけはメキシコで共に苦難を乗り越えた女性を思い出す。彼女と踊った事は今でも宝物の一つだ。

 

「その人のことはよく分からないけど世界は広いからね、似たような声の人がいたっておかしくないんじゃないかな? とまぁ話はこれくらいにして君たちを待ってる人達をこれ以上待たせるのも良くない。君たちは管制室へ行きたまえ」

 

そう言ってダ・ヴィンチはしんのすけ達に部屋を出るように促す。しんのすけのナンパにより未だ状況を理解できない立香は待っている人物に心当たりがなかった。

 

「待っている人ってドクターですか?」

 

「そういえばとーちゃんかーちゃんがおりませんな。そのかんげーしつにいるの?」

 

「ロマニの事かい? 彼も待っているけどあんなのどうでもいいでしょ。もっと大事な娘がいるだろう? 主人公勘ってやつがまだまだなってないなぁ。ちなみにしんちゃんのご両親もそちらにいるとも」

 

「もっと大切な娘…ッ!?」

 

彼女に言われて立香はハッとする。その様子を満足そうに見るダ・ヴィンチはしんのすけと立香を見据えて言葉紡ぐ。

 

「さあ、いい加減立ち上がる時だよ二人とも。ここからは君たちが中心になる物語だ。君たちの判断が我々を救う事になるだろう。

 

人類を救いながら歴史に残らなかった数多無数の勇者たちと同じように」

 

ダ・ヴィンチの言葉を受けた立香はこれから先どのような事が起こるのか不安を感じるが、話の意味を半分も理解できないしんのすけは元気よくベッドから飛び降りた。

 

「ん〜、オラよくわかんないけどオラはオラがやりたい事をやるゾ。 まずはとーちゃんかーちゃんひまに会いにいくゾ! 行くぞシロー! 出発おしんこーきゅうりの浅漬けー!」

 

「アンッ!」

 

そうしてしんのすけとシロは部屋を飛び出していく。

 

「私もこれから先のことはよく分からないけど、しんちゃんを見てると何とかなるかもって思えてくるよ」

 

「それでいいさ。自分が見て、感じて、選んだ選択肢が自分を形作っていくんだから。…じゃあいこうか」

 

「はいっ!」

 

そうして二人と1匹は先に出たしんのすけとシロに追いつこうと部屋を出た。そして部屋を出た先の廊下で女性職員をナンパしてるしんのすけを見て力が抜けた。




管制室の話も入れたかったけどキリがいいのででここで区切り

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