CrackleCradle 4人目の冒険家   作:光陽@海神

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前回のあらすじ
ある日突然幽紀がトレジャーハントをしに出かけて行った。しかし、二日後になっても連絡がこない。
そこで心配になった荒士は様々な道具と武器を持ち、幽紀の捜索に乗り出すことにした。
果たして幽紀は無事なのか?


一話 ステージ1

 ここはとある研究施設。ここに何かが隠されていると噂を聞きつけ、飛び出した幽紀。きっとこのどこかにいるはずだと確信する。

「俺だって、幽紀の速さに及ばないけど…」

 確かに幽紀は速い、しかも速いだけではない。恐ろしく強い。だが、ショットガンをリロードするときは基本スピンコックだ。しかもその理由は「カッコイイから」である。

「俺だってカッコイイところ、見せてやる!」

 そう言い巨大なダクトを進んでいたら、行き止まりに差し掛かる。下は開いていてこの先は降りて進まなければならない。

「やれやれ、降りなきゃいけないのか。」

 もしも降りた先で戦闘などなったら少し面倒だ。

 それでも、

「やるからには、派手にやるか!」

 そう言い飛び降りる。床に着地し、あたりを見回す。すると視線の少し先の方に先端に銃口をつけた二足歩行のロボットがこちらへ向かって歩いてくる。

「荒士、戦闘モードに入るぜ!」

 そう言い背中に背負っていた大剣を抜刀する。鞘は少し特殊な作りになっており、一部が開き、そこから素早く抜刀する仕組みになっている。

 そんな説明はさておき簡単に向こうは銃をこちらへ向けて構える。それに応じて大剣を盾にして走り出す。撃ち放たれた銃弾は盾となった大剣の前では無力に等しい。

「はあ!」

 掛け声とともに二足歩行ロボットを裁断した。そのまま二足歩行ロボットは破壊される。

「次行くか!」

 そう言い再び大剣を背負い、走り出す。「また目の前にあのロボット!」と思いきやあることに気がつく。

「ん?」

 足を止めて確認する。壊れていたのだ。銃弾を撃ち込まれたのだろう。確認するが幽紀が使ってるショットガンの可能性はない。

「ショットガンならもっと全体的に弾が当たるはず…。そんなことより早く幽紀を探さなきゃ!もしもこの弾が他のトレジャーハンターだったら!」

 そう言いすぐさま走り出した。

 施設内を移動するとなにやら奇妙な緑色の生物か平気かよくわからないものに遭遇する。口のようにパクパクと開いた部分と、四足歩行の足。まるで某リフォームの匠の亜種的なものに出会う。

「うわ…気持ち悪…。」

 するとその物体が首を伸ばし、荒士を飲み込もうとする。

「おっと!」

 すぐさま後方へと退がる。

「こいつも放っておくと危ないかもな…」

 そう言い大剣を引き抜き、突撃する。緑色が首を伸ばし、再び飲み込もうとするが、回避し、首を裁断する。そしてそのまま胴体に大剣を突き刺し、引き抜いた後に横に真っ二つにする。すると力なくそのまま倒れ込んだ。

「この感触からしたらおそらく生物か….しかしこんな生物を見たことがない…。……ここは一体……?」

 ここの研究施設は一体何を研究しているのか?それが気になってしまった。確かにここは色々な噂が立っているが、こんなものを生み出していたとは思っていなかったのだ。

「さて、早く行かなきゃな!」

 そう言い再び走り出した。

 

 次々襲いかかる兵器たちを全てなぎ倒していき、大分進んだところか、リフトがあったので荒士はそのリフトにのり上へあがる。

 その先には広い空間があり、そこにはアームの生えた奇妙な戦車があった。

「ん?」

 しかしよく見るとその戦車は起動し、ちょこまかと動く何かと交戦しているのがわかる。

「あれは?なんだ?」

 荒士はあらかじめ持ってきていたスコープで確認する。するとそこには。

「あ!」

 そこには見覚えのある顔があった。拳銃を持ち、戦車の攻撃をかわしながら戦う一人の少女がいた。白いショートヘアー、セーラー服のジト目の少女。そして彼もその存在と名前を知っていた。

「天崎…奈々?」

 天崎 奈々(あまさき なな)。16歳。度々幽紀がトレジャーハントをした時に会うライバル天崎 涼子(あまさき りょうこ)の妹だ。基本的に彼女とは会話はしたことがあるがそっけない反応を見せている。それでも悪い人ではないとあの時は判断し、むしろお互い振り回されてる者同士(?)として共感はしていた。

「助けなきゃ!」

 何故かはわからないが荒士は唐突にそう思い、高く飛び上がり叫んだ。

「退がって!」

「⁉︎」

 その声に気がつき奈々は後方へと退がる。しかし、その戦車が奈々に向かってアームを伸ばす。

「しまった…!」

 奈々は回避が間に合わないと思い覚悟したのか目を瞑る。その瞬間。

 キーン!

 凄まじい金属音が辺りにこだます。奈々が目を開けるとそこには、

「!」

 戦車の伸ばしてきたアームを大きな剣で裁断する一人の男の姿を見た。もちろん奈々はそれが誰かを気がつく。

「どうして…?」

 しかしそんなことを気に留めず荒士は連撃へと持ち込もうとする。反対側のアームで掴もうする戦車、しかしアームは回避され、荒士が高く飛び上がる。そして勢いをつけ、全体重を乗せ、大剣を下にして急降下。そのまま大剣が突き刺さり、戦車の行動は止まった。

 すぐさま大剣を引き抜き飛び上がると、そのあと数秒後に戦車は大爆発を起こし、大破した。

 

 戦闘を終えると、すぐさま荒士は奈々に話しかけた。

「ええと…まあ、久しぶり。」

「…はい、お久しぶりです…。」

(相変わらず口が少ないな…)

 少し話しにくい相手だとはわかっていたが、せめて久々に会ったのだからもっと仲良くはしておきたい。そんなことを考えている荒士に予想外なことが、

「その…ありがとう…ございます…。」

「え?」

 珍しいことに奈々の方から話しかけてきたのだ。慌てて荒士は、

「あ、ああ。どういたしまして。それと、いつも幽紀が迷惑かけてすみません…。」

 返事と普段の詫びをした。

「…気にしないで下さい……。……お姉ちゃんも割と嫌いじゃないみたいですから……。」

 そう言われて気がついた。普段なら姉の涼子のサポートに回ってる奈々が今回一人でここにいるのだ。

「ええと…奈々ちゃん?涼子さんはどうしたの?」

 すると少し暗い顔をする。まあ元からジト目だからそんな風にも見えるが…

「実は…」

 

 二日前、

 涼子はいつも通りのテンションで宝の情報を耳にした。

「奈々!またお宝の情報を手に入れたよ!」

「…うん。」

 奈々は普段通りに反応する。熱血で血の気の多い姉、それに相反して冷静沈着な妹。本当に姉妹なのだろうか?

「それでね!私行こうと思ってるんだけど!奈々はどうする?」

「…いかない。」

 すると涼子は「えー!」と少し残念そうに反応する。

「宝の8割はあげるよ?」

「…いかない。」

 涼子は「はあ…」とため息を吐く。すると諦めたのか。

「わかったよ奈々。無理強いしても奈々が嫌がるだろうし、準備が出来たら私いくね!」

「…うん…気をつけてね。」

 そう言い手早く準備を済ませて、涼子は出て行った。

 しかしそこから二日後、未だに涼子は帰ってこない。いつもなら遅くても1日で帰ってくるのだが…

「…帰ってこない…。」

 奈々は少し涼子のことが心配になった。血の気の多い涼子は熱血だが、脳筋で単純なため、罠にかかって捕まってないだろうかと。

 そして、奈々は決意した。

「…行かなきゃ…」

 そう言い家の中を弄ると、以前姉のトレジャーハントについて行った時に家の蔵から発掘されたハンドガンを手に取る。

「…」

 そして姉を探すために家を出て行った。

 

「なるほど…その涼子さんが向かった場所がここ?」

「多分…」

(多分⁉︎)

 その一言に荒士は驚愕した。どう考えたって調べたりするだろうが、調べもせず勘を頼りにここにきたのだ。なんと恐ろしい…

「まあ、でもよくあの二人はいっつもこういう時に出会うから二人ともここにいる可能性は高いな…」

「….ショットガンの人も…?」

 どうやら幽紀のイメージはショットガンを持ってる人らしい。警察に言ったらそれまずくない。

「まずいね。」

「?」

「いや、何も。とにかくせっかくだし一緒に行動しよう。お互いに何かあった時にカバーし合える。宝も山分けする。悪い話ではないだろう?」

 すると奈々はこくりと頷く。しかし、一言だけ静かに添えた。

「わかりました…ですがお宝はいらないです…。」

「え?じゃあなんでトレジャーハンターなんかに?」

 すると奈々は少し考えてからこう答えた。

「お姉ちゃんがしてたから…。」

「は、はあ…。」

 こうしてしっかり者の荒士と無口で少し不思議な天崎姉妹の妹奈々の二人のミッションが開始された。




どうも!光陽です!
ある程度溜まっているのでちまちまと投稿して行こうと思います。
奈々ちゃんかわいいですね、最高です><
榛名嫁とか言ってましたが最近久々に妖夢の方向に傾きつつもあります。
全く艦これ出来なくなってから、徐々に熱が冷めたんだと思います。
それでもまだ榛名嫁を続けて行くつもりですので、皆さんよろしくお願いします!
では、次回もお楽しみに!

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