CrackleCradle 4人目の冒険家   作:光陽@海神

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前回のあらすじ
なんとかマッチョさんを倒した奈々達の目の前に移ったのは先ほど倒したマッチョさんがなんと黒色に変化したかと思いきや、形を変えて再び動き出したのだ。
涼子と幽紀は覚悟を決めて、奈々と荒士に逃げるように呼びかけた。それでも諦めきれなかった奈々は荒士の目を覚ますためにあの手この手を考える。その結論は愛。奈々は荒士に目一杯キスをする。
そんな意識を失っている荒士は聞き覚えのある声が聞こえる。その声に導かれるに連れて徐々に意識を取り戻す。そして、その果てに聞こえたのは奈々の声。
荒士は意識を取り戻すと、先ほどのダメージは嘘のように体が軽かった。そして、涼子と幽紀を助ける為に奈々と共に立ち上がる。
一方窮地に立たされた涼子と幽紀。幽紀が死を覚悟したその時だった。敵の攻撃を荒士が守ってくれたのだった。
完全に力を解放した荒士は荒士の病がキスの際に伝染した奈々と「共鳴」し、敵を倒すことに成功した。


十五話 真実

 蟹型の怪物を倒して下に降りた4人。たどり着いたのは脱出口だった。

「もしかしてこの先に出口が…」

 しかし、そこにはボートが一台しかなかった。奈々が近づいてボートを詳しく調べる。

「動くみたい。でも…」

「どうしたの奈々?」

「何かわかったかしら?」

 涼子と幽紀が尋ねる。奈々は答えた。

「このボート二人乗りみたい…。」

 今いるのが4人、だが、乗れるのは2人。残り2人をどうするか。

「幽紀は泳いだら?」

 涼子は冗談半分で言う、すると幽紀は怒る。

「嫌よ、あんたが泳ぎなさいよ!」

「でも、どうしよう…」

 奈々は何かないか周りを見る。すると後ろにボートの残骸や廃棄品などの山がある。

「何かあるかしら…」

 幽紀は後ろに溜まってたボートの残骸を漁る。

「!これならいけるわ。」

 そういい幽紀が取り出したのは一枚の板と一本のロープだった。

「荒士、あなたはこれを使っ」

「いや、幽紀が使ってくれ。奈々と涼子さんはそのままボートへ」

 荒士は何の躊躇いもなくそう言った。

「え?荒士さんはどうするんですか?」

「俺はヘリポートに行ってヘリでも盗む。ないならそこで…おしまいかな…」

 その言葉に全員が驚愕した。

「何を言ってんよ!もしそうだったら荒士君は、荒士君はそうやって簡単に命を捨てるの⁉︎奈々を置いて行って!」

「お姉ちゃん!」

 奈々のその一言に涼子は我に返る。

「その…ごめん…」

「いえ…自分の方こそすみません…俺はいつまでたっても弱い人間ですから…。」

 そういい荒士は背を向けた。だが、荒士は一言告げる。

「でも、今なら一つだけ言える…

 俺は、死なない。死ぬわけにはいかない!」

 幽紀はその言葉を聞いてまた、あの頃を思い出した。

(何言っても聞きそうにないわね…。昔からそうだった…)

 昔から荒士は頑固だった。勝負事にも負けず嫌いで、何が何でも根性で立ち上がった。

(だから私は、荒士が好きなのかもしれない…)

「じゃあ皆んな、無事でね。」

 荒士はそのまま去って行った。

「それじゃあ、私たちは脱出しましょう。」

 幽紀はボートの後ろにロープをくくり付けた。

 そして、エンジンを吹かし、ボートを走らせる。その後ろにつけたロープを手に持ち、板に乗った。

 

 少し進んだところだった。

「?」

「どうしたの奈々?」

 奈々が何かに気がついた。それに気遣う涼子、その後に涼子も気がつく。

「何…今の音…?」

「わからない…」

 もちろん聞こえたのは2人だけではなかった。

「何かしら…?」

 するとそれはようやく姿を現した。

 ギュオォォォオ!

「「「⁉︎」」」

 そこにいたのは全体が白い、巨大な脳みそだった。さらにそこには触手のようなものがぶら下がっている。

 そして脳みそはボートの前に立ち、涼子達に衝撃波を送りつけた。

 キィィィィィィン!

 甲高い音とともに放たれた衝撃波にボートはひっくり返り、三人が放り投げられる。

「ひゃっ!」

「ああっ!」

「きゃっ!」

 そのまま海に落っこちた。

 

「ようやくたどり着いたか…」

 荒士はようやくヘリポートへとたどり着いた。そこにはヘリコプターが一台だけ存在していた。

「よし、これでようやく脱出が」

 そう言った途端だった。何かが飛んで来るような音がする。するとそれはヘリコプターにあたり、爆発した。

「なっ⁉︎」

 唯一の脱出手段であったヘリコプターを破壊された。おそらく今のはロケットランチャーだろう。荒士はその飛んできた先を見た。するとそこには。

「待ってたぞ、東雲荒士…。」

 そこにはフードを被った男が1人いた。その男の足元にはロケットランチャーの打ち終えた残骸が置かれていた。使い捨てのものだ。

「誰だお前は!」

「お前も良く知る人間と言えばいいかな?」

「ふざけるな!もしかして涼子さんや幽紀を捕まえたのはお前か!」

 すると男は笑い出す。それにしても荒士は相手が知ってる人間なのか疑った。相手は機械音声で会話をしている。もしかして一方的に知ってるだけなのではないのかと。

「流石だな、その頭の回転はもっと俺みたいに勉強で使って欲しかったが…」

(俺が勉強嫌いだってことを知ってる…そんなのダチか身内しか…)

「知らないとでも?」

「⁉︎」

 さらに驚愕した。考えてることまで読まれていたのだった。

「お前は…一体…」

「まだわからないか。よかろう。私の正体を教えてやろう…」

 そういい男はフードを外した。すると男は仮面のをつけている。そして、その仮面が外れて、素顔が露わになった。

「っ⁉︎」

 荒士はその顔を見て驚愕した、

 そんなことがあるはずがない。荒士はそう思った。きっとこれは何かの間違いだと思った。しかし、その目の前にいるのは荒士が最もよく知ってる人間だった。

「…嘘だろ…そんな…」

「久しぶりだな…荒士…」

「…竜也兄さん……。」

 東雲竜也。元東雲家の次期当主であり、荒士のトレジャーハンターの師でもある。ある日のこと、仲間とトレジャーハントしに行った際に裏切られ、命を落とした…筈だった。

「さらにいいことを押しえてやろう。ここの研究所にいた、人狩りやマウント、そして、コードネーム「HITO」。あれは全て、私が生み出した。」

 嘘だ。荒士はそう言いたかった。何故なら竜也はそのようなことをする人間ではなかった。

「どうして…?兄さんはいつだって、誰かの為に生きてきたんじゃなかったのか!」

「私は知ってしまったのだよ…人の心の闇をな…。弟のお前に、説明してやろう…。」

 

 ニ年前

「何故だ…何故…?」

 ここまでは知ってるだろう。私は友人に裏切られたのだ。

「悪いな竜也。何かを得る為には、何かを犠牲にする必要があるんだ。その犠牲に、お前が選ばれたんだよ。」

 そう言い友人は私を置いて行った。

「ま、待ってくれ!…荒士ィィィィ!」

 最後に私は弟である、お前の名を叫んだのを覚えている。

 それからしばらくして目が覚めた。私はとある施設に運ばれていた。どうやら奇跡的に生きていたらしい。しかし、生命力はかなり低下していた為、私は体の一部を改造し、なんとか生命を維持した。そこで1人の男に出会った。その男は言った。

「お前のことは調べさせてもらった。気の毒だな…信じていた仲間から裏切られ、見捨てられた。お前には、人の心の闇を見える力を与えた。その力を持って、この世界を見てみろ。この世界がいかに醜いか、その目に刻め。よく理解出来たなら、私の元へ戻ってこい。」

 そう言い私は施設から出されて、街を放浪としていた。バレないようにと怪しまれないようにを重ねて俺は顔が見てないようしていた。

 だが、私の目には写っていた。人々の心の闇が、人々の底知れぬ欲が、人々の身勝手な考えが!

 私は絶望した。私は今まで何のために人のためを思い、尽くしてきたのか理解出来なかった。

 そして研究所に戻り、そのことを報告した。すると、男はこう言った。

「醜いか?世界を変えたいか?」と、

 私はその話に乗った。そして、その男と共に生物兵器や殺戮兵器を生み出した。

 

「だが、その男は生物兵器に殺された…。私の数少ない同士だった…。

 だから決めたのだよ、この生物兵器を使い、人を新たに歪めて正すと!」

 荒士は黙って聞いていた。そして、荒士は口を開いた。

「…違う…」

「?」

「そんなの違う!確かにどんな人にも心の闇はあるかも知れない!でも、全てが全て悪いというわけじゃない!いい人だっているはずだ!絶望だって諦めなければ希望になるはずだ!」

 荒士は全力で否定する。が、竜也も引く気はない。

「友にも裏切られ、何を信じろと言うのか!」

「大切な家族の存在を忘れたのか!」

「家族などいないに等しい!私は事実上死んだのだ!帰る場所などない!」

「そんなことはない!せめて…せめて生きてるって教えてくれたら…。」

 荒士は目をつぶる。目からは涙が浮かぶ。兄の闇堕ちっぷりに対する悔しさと、家族が生きてた嬉しさの二つの意味だった。

「ならばその身に刻み込んでやる…その理想論など、現実の前では無意味だと!」

「兄さん!また昔の兄さんに戻してやる!」

 そう言い荒士は大剣を構える。竜也の手には二本の脇差が握られていた。

「懐かしい武器だ…元々それは、私のだったな…。」

「…」

 お互いにしばらくの間、沈黙が走る。そして、風が吹き終えた途端に沈黙が終わりを告げた。

「行くぞ!愚弟!」

「こいよ…その歪んだ性格、捻じ曲げてやる!」

 

「いたたたた…」

「うう〜…」

「何よもう…」

 涼子たちは何とか足場にたどり着く。するとそこには大きな白い脳みそ(以降ブレイン)がいた。

 黒いコアの部分下からは長い触手がウネウネと動いている。

「何よこいつ!気持ち悪っ!」

 涼子は全力で気持ち悪がる。

「…!これってまさか…?」

 奈々はブレインを見てすぐに正体が分かった。それに合わせて幽紀が続きを言う。

「あの時のあの白いやつね…」

 そう、人型の次は蟹型、そしてその次は脳みそだ。

 するとブレインは何かを生成した。それは黒い塊であたりを吸い込もうと引力が発生している。

「っ!みんな逃げて!」

 涼子のその叫びに合わせて3人はその場から即座に避難した。

「何あれ?」

「ブラックホール?」

 奈々と幽紀は驚愕していた。涼子もその威力には驚愕していた。

「これは…厄介なのが相手になったわね…。」

 幽紀はブレインを見て言った。

 奈々と涼子がその横にきた。

「やるんでしょ、あいつ!」

「勿論よ。」

 涼子も幽紀もやる気満々だった。そして、その横で静かにしているが奈々も奮闘していた。

「終わらせます、全てを!」

 そう言い奈々は銃を構えた。

「やったろうじゃん!行こう!」

 涼子の掛け声と共に全員、戦闘態勢へと移行した。




今回も読んでいただき誠にありがとうございます!光陽です!
また、新しいコメントもいただきました!本当に感謝してます!
コメント欄で悩んでいたブラックホールの件は面倒だったので見えると言うことにしました。
今回は黒穴先輩は優しい世界なんです。はい。
あらすじを長く書いたので後書きは手短にと言うことでこの辺で失礼させていただきます。
それでは次回もお楽しみに〜!

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