お前のような踏み台がいるか!(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
誘拐事件があった日から、俺の回りで大きな事件が起こらなくなった。変わったことと言えば、アリサとすずか、イリヤが誘拐事件の後から妙に世話を焼いてくれるようになった。
例えば、右腕がギブスをつけてノートをとれないのでアリサが写してくれたり、右腕が使えず箸が持てなくなりイリヤが食べさせてくれたり(なのはも食べさせてくれる)、体育の時間に右腕にギブスをつけて着替えにくい時にすずかが着替えさせようとしたり(身の危険を感じたのでお断りさせてもらった)等々、そして俺へのスキンシップ?が増えた。
クラスの女子と話しているとすずかに足を踏まれたり、面倒になって人の話を聞き流すとアリサに頬を捻られたり、イリヤがやたらと手を繋ぎたいと言ってくる。
君たち、確かに可愛い子にそんなことしてもらえれば役得だけど、そういうのはオリ主君にやってくれよ。それに、アリサは最近まで優しかったのに暴力的になってきてるし、すずかは最近俺を見る目が怖いし、イリヤは......そこまで変わってないな。自分から手を繋ぎたいとか言ってたけど、繋いだら茹で蛸みたいになって可愛すぎる。なのは?ああ、最近絞め殺そうとする時間が増えたくらいかな?
そんなこんなで、原作まであと数日となる三年生になる日が近づいてきた。
「えっ、転校生?」
「そうなんだ、三年生になると同時に転校生がくるんだって先生たちが話しているのを聞いたんだ。」
昼休み、俺達は屋上で話しているとイリヤから転校生が来るという話を聞いた。多分、そいつが赤井烈斗だと思う。俺は皆に話を聞いてみることにした。
「お前ら、その転校生って気にならないか?」
今の間に、オリ主君に興味を持つように働きかけておこう。俺の問いに、皆は笑いながら答えた。
「私はあんまり興味ないよ。朱音君がいるし」
「私もそこまで興味ないわね、あんたがいるし」
「私は気にならないかな?朱音君しか興味ないし」
「私は気にはなるけど、朱音と比べると絶対に朱音がいい」
上から順番になのは、アリサ、すずか、イリヤである。ちくせう、お前らヒロインなんだろ、少しはオリ主君に興味もてよ。お前らの未来の旦那になるんだろうからさ。
「そんなことより朱音、あーん」
「いや、何でまだこんなことしてるんだよイリヤ。俺の腕はとっくの前に治ってるぞ。」
「あーん」
「だからさ、「あーん」......あーん」
俺は、壊れたレコーダーのようにあーんと言い続けるイリヤから、卵焼きをもらう。やっぱりうまい。粗塩が卵のいい味を出している。
「「「朱音君、あーん」」」
「......勘弁してくれ、俺は食が細いんだ。」
そう言うが、俺の口の中には三種の食材が一気に放り込まれ、不味かった。踏み台は、こんなこともしないといけないのか、ちくせう。
昼飯も終わり、まだ昼休みの時間がある。俺は残り時間でなのはに膝枕を頼んで寝ることにした。
「嫁よ、一眠りしたいから膝枕しろ。」
「うん!」
俺が膝に頭をおいて見上げると、嬉しそうな顔をしたなのはだった。少しは嫌がれよ。
最近もしかしてと思ったが、俺からの嫌がらせに慣れてきてないかこいつ等。仕方ない、嫌がらせも少しスパイスが必要だな。
「おい、アリサとすずかとイリヤ。今からお前らは俺の嫁だからな、異論は認めん。」
「なっ、何言ってんのよあんたは!?」
「そ、そうだよ!私と結婚しないって言ってたのに、いきなりどうしたの!?」
「朱音!複数相手に勝手に嫁発言するのは失礼だよ!やるなら一人一人にしてよ‼」
うんうん、嫌がってる嫌がってる。
アリサは顔を真っ赤にして怒り、すずかはショックを受けた顔をしている。イリヤも怒ってはいるが、俺の想像していたのとは違う。違う、そうじゃない。
突然、膝枕をしていた俺の後頭部が、地面に激突した。痛い。
「なのは、どうした?」
「ふん!朱音君の事なんて知らないの!」
何故かはわからないが、俺の嫌がらせは対象ではないなのはには効果覿面だった。何故だ?
これが、踏み台のいる俺たちの日常である。
オマケ
逃走スキル
危険から逃げることに特化したスキル。回避にも使えるが、本人のスペックの問題で銃弾避けのようなチート染みたことはできない。相手と言う危険を排除する際は、近接に使うことはできる。
防御スキル
文字通り、防御するスキルである。しかし、銃弾等が飛んできた場合、本人のスペックの問題で無意味である。近接戦闘による防御が一番の使いどころ。しかし、本人が弱いせいで耐久力がない。
カウンタースキル
皆お馴染み、倍返しのスキル。こちらも近接に特化したスキル。遠距離には無意味。(笑)vividならワンチャンあった筈......。一応頑張れば、魔法攻撃を弾き返せることが可能。