お前のような踏み台がいるか!(白目)   作:ジャック・ザ・リッパー

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今日、最後の投稿。
一週間で思い出せる限界まで思い出したつもり。

多分ですけど、初見さんの方が多いですか?


第三台

俺の名前は、伊織朱音。

踏み台転生者を目指して日々、頑張っている。あの決闘事件後、俺はなのはの家には行っていない。また襲われたら怖いのだ。だが、なのはとはまだ隠れて遊んでいる。

 

そんな俺も明日から学校に入学することになる。

学校に行けば、なのは以外の原作キャラと会うことができる。そのキャラに踏み台の魔の手(貧弱)をチラつかせてオリ主君に助けさせてモテモテにさせるのだ!他人の恋愛事情を見る、こんな楽しいことはない。

明日が楽しみだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

失敗した。いきなり計画が破綻した。

学校にオリ主君らしき人が居なかった。全く、何処にいるんだまだ見ぬオリ主君。俺が踏み台頑張っているのに、全く仕事していないなんて!

仕方がない、今のうちに踏み台やって適当に過ごすことにしよう。

 

クラス分けが終わり、決まった席につく。確認したところ、このクラスに原作キャラは全員揃っていた。アリサ・バニングス、月村すずか、高町なのはの三人全員だ。

一時間目はクラスメイトへの挨拶だった。俺は、前から二番目の席なので一番目の人の挨拶を参考に無難な挨拶を考える。

 

「アリサ・バニングスです。よろしくお願いします。」

 

おやおや?目の前の席が原作キャラなんですけど。

まぁ当然か、名前の順だし。さっきみたいな挨拶をすればいいか。俺はクラスメイトに挨拶をする。

 

「伊織朱音だ、これからよろしく頼む。」

 

うん、これくらいが丁度いいよな。原作キャラと同じ風に挨拶をした。心の余裕もできたことだし、クラスメイトの名前を覚えないと。

そう思い、後ろの席の銀髪の女の子が挨拶する。

 

「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンです!私の目標は、たくさん友達を作りたいです!」

 

んん?今この子、イリヤスフィールって言った?

き、きっと同姓同名の別人の筈......、銀色の髪にウサギみたいな真っ赤な瞳、そしてロリ可愛い。はい、紛うことなくfateのイリヤさんです。

 

君、魔法少女は魔法少女でも、出演作品全然違うんですけど。(白目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後は、本当に何事もなく挨拶が終わった。他にも混ざってないかヒヤヒヤしたが、イリヤスフィール以外は普通の名前の人だけだった。魔法少女はなのはさん達だけでお腹一杯です。

 

挨拶が終わると、もう学校は終わりだった。まぁそうだろうね、初日だし。なのはを誘って帰ろうとしたとき、後ろから声をかけられた。

 

「あの、伊織君。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、ついてきてもらえないかな?」

 

声の主は、イリヤスフィールさんだった。俺が彼女の顔を見ると、緊張したような表情を浮かべていた。

もしかすると、彼女は転生者で俺が見た目から踏み台だとわかると正義のためとか言って『お前のような存在は邪魔なんだよ!』と消されるのかもしれない。

俺は、逃走スキルと防御スキルを最大にしてついていくことにした。

 

「手短に済ませてくれ、友達と帰る約束があるんだ。」

 

「っ!うん、二人だけになれる場所で話そう。」

 

何だ?俺の言葉に少し動揺した?確か『友達』と言ったときだったな。同じ仲間がいると思って警戒してるのか?

俺は彼女についていくと、そこは屋上に上がる階段の踊り場だった。彼女は振り返り、俺に質問した。

 

「手短にする約束だからね。単刀直入に聞くと、伊織君って転生者かな?」

 

「......仮にそうだとしたら、どうして俺が転生者であると?」

 

「神様に聞いたんだ。転生者は私を入れて三人、一人は赤い髪に赤い瞳の赤井烈斗君と、もう一人は銀色の髪に二色の眼を持った伊織朱音君だって。」

 

神様、あなたこの子には気前いいのね。俺の時は、急かしたのに。俺は彼女の問いに答えた。

 

「確かに、俺は君と同じ転生者だ。」

 

そう彼女に告げると、彼女は安心したように俺の手を握ってきた。まるで、恐ろしいものから解放されたように。

 

「良かった!本当に良かったよ!同じ仲間がいて!」

 

「そうか、ならもう用はないよな。友達を待たせている。確認質問に答えたので帰らせてもらう。」

 

「ッ!お願い、待って!」

 

彼女は必死な表情で俺の手を離してくれない。まるで、俺が離れると恐ろしいものが襲いかかってくるみたいに。仕方がないので、もう少し話を聞くことにした。

 

「......わかった、もう少し話を聞いてやる。どうしてそこまで怯えているのか話せ。」

 

「......うん。私は、転生する前は病院の中が私にとっての世界だったの。」

 

 

 

イリヤスフィールさんの話を聞くと、彼女は転生前は病弱で、病院の外に出たことがなかったらしい。物心ついた時には、病院が自分の家のようなものだったそうだ。病院の外については、テレビに映る映像が彼女にとっての未知の世界であったらしい。学校、行事、友達、当たり前のようなものが彼女にとっては叶わない夢だった。

 

彼女は闘病生活12年目の冬に、死んでしまい神様に転生してもらったらしい。彼女は初めは喜んだそうだ。テレビに映る世界に自分も行けるのだと。

だが、彼女にとってその世界はある意味地獄であった。病院の中でしか生活したことのない彼女が新しい環境に中々ついていけなかった。初めての環境に慣れず、彼女は弱っていたようだ。

 

そんな時、神様が自分以外の転生者の存在がいることを思い出した。彼女は縋った。同じ転生者なら、自分を助けてくれる筈だと。

 

 

 

その話を聞いて、俺は思った。この子、問題のレベルが重いと。こんなこと、踏み台転生者を頼るのではなくオリ主君に頼むような問題である。

仕方がないか、オリ主君が登場するまでは代役を俺が勤めることにしよう。

 

「最初に言っておくが、俺に出来ることは殆どない。それでいいなら可能な限りは助けてやる。」

 

「う、うん!ありがとう!」

 

彼女は、花のような可愛らしい笑顔をした。始めてみた時は、緊張したような表情しか見なかったが、この表情は初めて見た。

その後も彼女は、モジモジしながら話しかけてきた。

 

「それで伊織君、その、わ、私と友達に......」

 

俺は感心した。彼女は他の転生者に助けを求めながらも、自分でも変わろうと、なんとかしようと頑張っているみたいだ。

俺は彼女の気持ちを汲み取ることにする。

 

「イリヤスフィールさん、友達になろう。」

 

「えっ!いいの!?やった~!初めての友達だ~!」

 

彼女は跳び跳ねながら喜んでいた。

 

教室に戻ると、なのはが友達を作っていた。原作通りアリサ・バニングスと月村すずかを友達にしたようだ。

なのはがイリヤスフィールさんについて聞いてきたので友達だと話すと、なのはが俺を絞め殺しにかかってきた。解せぬ。


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