お前のような踏み台がいるか!(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
また書けて良かった。
俺の名前は、伊織朱音。
俺は今、最初からクライマックスに突入中である。主人公である高町なのはの兄、恭也と決闘することとなった。
恭也は睨みをきかせ、二本のの木刀を構えながら挑発してくる。
「早く剣を構えろ。お前がどのような奴なのか、なのはの友達に相応しいのか、証明して見せろ。」
「あれ?可笑しいですね。何で竹刀ではなく木刀なのですか?怪我したらどうするんですか?」
「ごちゃごちゃうるさいぞ!お前の言葉など聞く耳は持たん!剣士なら剣で語れ!」
いや、その理屈は可笑しい。そもそも俺は剣士と言うより拳士ですし。
それに、普通の木刀だと重いから小太刀用の木刀で、貴方よりリーチも短いんですけど。
「............行くぞ!」
恭也はそう言って、襲いかかってきた。あれ?動きが全く見えないんですが、もしかして神速使ってませんか!?頑張れ!俺の逃走スキルと防御スキル!
どれくらい続いたのであろう。
俺は、シスコンの攻撃を変態的な格好で避け続ける。カウンタースキルすら、速すぎて攻撃なんて出来ない。
お互いに無傷の用にも思えるが俺は身体中、無理な動きのせいでボロボロである。
「ふん、見かけ通り逃げてばかりで本当に情けない。お前のような奴がなのはを守ることは出来ないな。お前がいくら頑張ろうと、俺には一太刀浴びせることもできん。お前がもうなのはに近づかないと言うならこの闘い、やめてやってもいいぞ」
恭也はそう言って、俺をゴミを見るような目で見てくる。......気に入らない。本当に気に入らない、こいつの考えが!
俺は、小太刀を逆手に持ち構える。
「......あんたは間違ってる」
「なん...だと......?」
根本的に間違っている。
友達を決めるのに、こんな方法をするなんて。体格差のある相手に本気で挑みやがって。そして、何より気に入らないことがもうひとつある。
「なのはは弱くなんかねぇよ!あんたは守るって言ってるけど、まったくまもってないじゃねぇか!」
「子供が知った口を利くな!俺は何時だってなのはや家族を守るために全力だ!」
俺は、ここで初めて恭也の一撃を防御した。
受け止めた小太刀から、強い衝撃が体にまで響く。だが、ここで引くわけには行かない!
「全力を出すところが根本的に間違っているんだよ!あいつは...なのはは、頑張っていたんだぞ!父親が入院して家族が忙しいときに、家族の迷惑にならないように甘えないように、ずっと一人だったんだ!なのはは、誰かのために自分を圧し殺しちまうような、不器用だけど強いやつなんだ!可笑しいだろ!まだ小さいのに、甘えたい年頃なのに......。これでもなのはは弱いのかよ!弱くて守ってやらなといけない存在なのかよ!あんたの中では!」
俺の言葉に小さな動揺を見せたら恭也に、俺は小太刀で受けた木刀を滑らせていなし、恭也の股の間を潜り抜け壁に向かって走り出す。恭也は、すぐに気を持ち直して俺の後を追いかける。
「それでも!俺は!なのはを、妹を守ると誓ったんだ!」
恭也は、そう叫びながら壁に向かって走る俺の背中を木刀で横凪ぎにしようとした。俺は、跳んだ!壁に向かって跳ぶ。そしてそのまま壁を蹴った。
「このっ、わからず屋!」
壁を蹴った反動で、俺の体は恭也の頭の高さまで左回転をしながら飛び上がった。そして、その回転を利用して恭也の頭に斬りかかる。
恭也は、予測しているのであろう。もう片方の木刀で弾き、返す刃で俺を倒すと。俺は、左腕を振るった。恭也は、木刀を持ったもう片方の腕を振るった。しかし、木刀のぶつかり合う音は聞こえることはなかった。空振りしたのだ、恭也の弾こうとする刃が!
俺は、左腕に木刀を持っていなかった。ブラフだったのだ。俺は、右腕で小太刀を逆手に持って無防備になった恭也の頭に斬りかかる。恭也は、加速して避けようとするがもう遅い。俺の刃は、振るわれた。
『恭也の額を掠めて』
その小太刀は、あまりにも短かった。五歳の子供が持つには丁度良いが、長さが普通の木刀よりも短かったのだ。俺の一撃は、見事に空振りしたのだ。
俺は、回転しながら勢いよく頭から地面に体を叩きつけられた。薄れ行く意識の中、残り後からを振り絞って呟いた。
「そんなに大切なら、もっと信じてやれよ。なのはを......」
そして、俺は気絶した。
目を覚ますと、なのはの顔が目の前にあった。
なのはは、俺が目を覚ましたとわかると、いきなり絞め殺しにかかった。フィニッシュを決めようとしているようだ。
なのはにあのシスコンはどうしたのか聞くと、俺が気絶した後に仕事に戻ったらしい。
外に出ると、夕日があった。俺は帰る前に、挨拶をしようと店にはいるとおでこに絆創膏を張った恭也がいた。何でも、名誉の傷らしい。
こうして、踏み台転生者である俺の初戦は、見事に自爆して敗北だった。