お前のような踏み台がいるか!(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
確か、書いたのはこの辺りまでだった気がする。
クリスマスに書いた番外編、みなさんの反応がないので、思い出すのはやめておきます。
アローラ!踏み台転生者の伊織朱音だぜ!
現在、ハイディさんに俺が覇王流の技を使ったことで物凄く疑われています。俺は、笑って誤魔化すことにした。
「あはは、えっと、何の事ですか?」
「そうですか......では、もう1つ確かめたいことが。貴方の拳と私の拳、一体どちらが強いのかです。」
そう言いながら、ハイディさんが俺に向かって構えをとった。俺は慌てて拒否する。
「止めろよ!俺達が戦う理由なんて無いはずだろ!?」
「...強さを知りたいんです。」
やだこの子、ヤル気満々じゃない!(白目)
こっちは、今日の連戦でかなり疲れてるんですけど。
「そんな一方的な理由―」
「防護服と武装をお願いします。」
この子、人の話を聞かないタイプの子だわ。(白目)
仕方無く、俺はそのまま構えをとった。
「残念ながら、俺にはデバイスや武装はないんだよ。」
「それでは、いきます!」
ハイディさんは、弾丸のような速度で一気に距離を積め、殴りかかってきた。俺は、攻撃を避けてカウンタースキルで応戦すると、ハイディさんはカウンターを腕を摑んで防御した。
逃走スキルが、このままでは危険だと判断してハイディさんの腹めがけて蹴りを放つが、ハイディさんも蹴りを放って相殺し、距離をとった。
距離が出来たので、俺はハイディさんに質問した。
「強さを知りたいって、正気なのか?」
「正気です。そして今よりもっと強くなりたい。」
「嫌、あんたは正気じゃないな。こんな方法で、一方的な理由で襲い掛かってくるような奴が正気なら、世の中の犯罪者が一般人になるぞ。こんなことするよりも、 真面目に練習するとか、プロの格闘家になるとかする方が、普通だと思うんだけど?」
「......私の確かめたい強さは、生きる意味は、表舞台には無いんです。」
そう言って、ハイディさんは構え直した。
「私には成すべき事があります。列強の王達を全て倒しベルカの天地に覇を成すこと。それが私の成したかったことです。」
「何でそんなことを?戦争は、もう終わったんだぞ。もう戦わなくていいんだ。他の王達だって、皆死んでいる。王達の子孫達だって、今頃は普通に暮らしている筈だぞ。」
俺がそう言うと、ハイディさんは悲しい顔をしながら答えた。
「...弱い王に...生きる意味はありますか...?」
俺はその言葉を聞いて、何故か怒りが爆発した。
「この、馬鹿野郎が!」
俺は、ハイディさんに向かって殴りかかる。ハイディさんは、俺の拳を払いながら冷静に対処する。
「弱いから、生きる意味がない?ふざけんな!今だって精一杯生きてる奴がいるのに、弱者は生きる意味はないだと!?聖王戦争も、ベルカの時代も終わったんだよ!今を生きることができない奴が、勝手なことを言ってんじゃねぇ!」
「...弱さは罪です。弱い拳では、誰も守れないから。覇王!」
俺の拳を払いのけて、ハイディさんは断空拳の構えをとった。俺は、それに何とか反応して左腕で構えた。
「「断・空・拳!」」
お互いの覇王断空拳がぶつかり合い、相殺される。
しかし、それだけでは終わらなかった。
「やはり、覇王流の技を使えるんですね。それも、私と体格差のある状態で、同じ威力で。」
「同じ威力?バカも休み休み言いやがれ。自分の拳を見てみろよ。」
「なっ!?」
断空拳を放ったハイディさんの右拳からは、血が滴り落ちていた。対して俺の拳は無傷だったのだ。
「...何をしたんですか?」
「物理を習ってないのか?同じ威力で物体が衝突すると、エネルギーは相殺されて消滅する。だけど、それはぶつかり合う物体が同じであることが条件だ。俺達の場合は、同じ力がぶつかり合えば、固い拳の方が勝つ!」
ハイディさんは、一旦離れようと後ろに飛ぶが、俺は逃がさない。ハイディさんに向かって走り、右腕の義手を外して左手で持ち武器にして殴った。
ハイディさんは、俺の右腕が外れたことに驚いて反応が遅れ、もろに頭を殴られた。離れたハイディさんが、殴られた場所を手で押さえながら俺を睨み付けてくる。
俺が義手をまた付けて殴り合おうとしたその時、声がかけられた。
「お前ら!こんなところで何してるんだ!」
女の人がダッシュでこっちに向かってくる。多分、ノーヴェ・ナカジマだ。丁度良く、フェイトから念話が入った。
『アカちゃん!勝手に判断して先にホテルに行ってるけど、そっちは決着ついた?』
その言葉を聞いて俺は周りを見回すが、本当にフェイト達は俺を置いていったようだ。その時、俺とハイディさんが仲良くバインドされた。
「お前ら!公共の場で暴れやがって!決闘罪で現行犯逮捕だ!」
俺はその言葉を聞いて、フェイトに返信する。
『フェイト、たぶん今日は帰れそうにない。明日、夜ごろこの場所に迎えに来てくれ。一応、念話が無かったら迎えに来ないでくれ。それと、アカちゃんやめろ。』
『うん、わかった!』
ああ、もう俺を休ませてくれ。
踏み台転生者の俺は、そう願わずにはいられなかった。