お前のような踏み台がいるか!(白目) 作:ジャック・ザ・リッパー
第十七台
改めまして、踏み台転生者の伊織朱音です。
今、俺たちがいる場所について解ったことがある。建物にくっついている大型のディスプレイから、聞き覚えのある単語がニュースから聞こえたのだ。
ミッドチルダ、時空監理局、高町なのは、以上の事からここはミッドチルダで、十数年後の世界だと言うことがわかった。そして、理解した。ジュエルシードは、願いを少し歪めて叶えると言うことを。
つまり、ジュエルシードはフェイトのプレシアを治すと言う願いを、技術力の進歩した未来に俺たちを飛ばす事で叶えたと言うことなのだろう。プレシアが疑問を口に出した。
「ここは、ミッドチルダなの?私のいた頃よりも、技術が発展しているけど。」
「多分、ジュエルシードに未来へ飛ばされたんだと思います。プレシアさんを治せるほどの技術が発展している未来に。」
「なら、私が治れば過去に帰ることができるって都合のいいように終わればいいけど。それよりも、フェイト!」
プレシアさんは、フェイトに近付いてフェイトの頬を叩いた。
「あなたは何でこんな危険なことをしたの!あなたがあの空間に呑み込まれた時、私がどれだけ心配したのか解っているの!?」
「ごめんなさい。でも私、お母さんと一緒にいたいもん......もっと抱き締めて欲しいもん!うえ~~~ん!!」
フェイトはそう言って、プレシアに抱きついて泣き出した。仕方がない、大好きな家族が死ぬかもしれないという時に、治せるかもしれないものがあるならば使ってしまうのも無理はない。フェイトは、まだまだ子供なのだ。そうしている間に、美遊が冷静に現状を言った。
「でも、この時代に飛ばされて、私達には手持ちは殆ど無い。治せる時代に来たとしても、お金がなければ治療を受けることもできないし生活すら危うい。これからどうするの?」
それもそうだ。今の俺たちは、何もないのだ。ここが未来なら、未来の自分に助けてもらう等してもらえないかと考えるが、連絡手段も無い。正直な話、積んでいた。
「そう言われても、手っ取り早くお金を稼げればいいんだけどなぁ。」
『唯今より、腕に自信のある格闘家達の熱き戦いが始まるぜ!非公式だが、優勝賞金はなんと50万ミッド!腕に覚えのあるやつは、挑戦してくれ!』
「あ、俺挑戦しまーす!」
「「「えっ?」」」
俺でも稼げる可能性のある手段があった。格闘技なら、俺に任せてもらおうか!
『さて!この戦いも、これが最後!赤コーナー!圧倒的パワーで多くの格闘家達を薙ぎ倒してきた男!クリームヒルト・バラン選手!
そして、青コーナー!すべての試合をカウンター一撃で勝利という謎のカウンターヒッター!スカーレット選手!この試合、勝者が賞金の50万ミッドを手にします!』
俺は、この大会にスカーレットという偽名を使って参加させてもらった。それにしても、俺の試合はすぐに終わった。観客として見たら皆強かったんですけど、俺のカウンタースキルが仕掛けてきた人を全員オートで倒せてしまったせいでなんとも言えない状態である。
そんなことを考えていると、対戦相手に声をかけられた。
「お前、スカーレットっていったな?この試合、俺が勝つのは明白だ。今すぐ棄権しな!」
「まだ戦ってもいないのに、自信があるんですね?」
「当たり前だ!お前は、カウンターヒッターだろ?つまり、パワーの無いファイターだってことだ。だが、俺は見てわかるようにパワータイプだ!耐久力のある俺に、拳の軽いお前のカウンターをいくら打ち込まれようが、無駄なんだからなぁ!」
『それでは両者、構えて!......試合開始!』
「一気に終わらせてやる!クリーム!ウルトラファイティング―」
「断空」
俺は、一気に近付いてクリームの腹に左腕で肘を叩き込んだ。クリームは、そのまま崩れ落ちた。
『試合終了!まさかの決着!あのクリーム選手が一撃で倒されました!優勝は謎のファイター、スカーレット選手だ!』
『『『スカーレット!スカーレット!スカーレット!』』』
「多分、聞こえてないだろうけど、勘違いしてるみたいだから教えておくよ。俺は、生粋のパワーファイターなんだ。」
俺は、倒れたクリームヒルトにそう伝えて、リングから降りていった。
大会も終わり、賞金を受け取った頃にはすっかり夜になっていた。俺達は、そのまま泊まれるホテルを探していた。
「何とか、50万ミッドを手に入れることができたな。」
「アカちゃん、お疲れ様!」
「フェイト、アカちゃんはやめろ。プレシアさん、これだけあれば生活の方はどう思いますか?」
「四人で50万ミッドなら、ホテルで生活しても1ヶ月は大丈夫だと思うわ。物価が変わっていなければだけど。」
「なら、出来るだけ節約ですね。」
今日は、ある意味疲れた。多分、培養液の中から出たばかりなので、少し体がなまっているのだろう。こういう時には、早く寝るに限る。
すると、突然背後から声をかけられた。
「今日の非公式大会優勝者のスカーレット選手とお見受けします。あなたにいくつか伺いたいことと確かめさせていただきたいことがあります」
振り替えると、そこにはバイザーを付けた銀髪の女性が立っていた。
「あの、どちら様ですか?バイザーを付けた不審者さんですか?」
「それは、失礼しました。」
女性はバイザーを外すと、俺を見て名を名乗ってきた。
「カイザーアーツ正統、ハイディ・E・S・イングヴァルト。覇王を名乗らせていただいています。」
そして、ハイディは俺に質問する。
「あの大会で、貴方が最後に使った技は覇王流の技でした。どうして貴方が、覇王流の技を使えるんですか?」
あかん、バレテーラ。(白目)
そして、新たな物語が動き出した。