仕事が落ち着きましたので、また書き始めようと思います!
ブランクあるので、シリアスは何話か後で書きますので許してください…。
暫くは艦娘との日常シリーズ書いていきます!
提督の朝は早い。
身支度、スケジュール確認、執務状況、遠征報告、艦娘の健康管理、今後の侵攻計画など、文字で表すとそこまでだが、毎日新しい情報が入ってくるため、留まることなく仕事がなだれ込んでくる。
自他共に認めるレベルでブラック。真っ黒すぎて何も見えなくなっている。深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいているのだとか言ってるけど、本当の深淵をのぞく時は何も見えないのだ。いや、見えないからこそ覗かれてるのが恐ろしいのか?でも見えないならわかんなくね?そもそも深淵ってなんなの?
大淀「おはようございま…何してるんですか?」
おっと…。思いに耽っていたら我らが大淀が俺を起こしに来たようだ。
八幡「ちょっと考え事をな…。」
大淀「そうですか。準備出来てるなら早く来てください。」
どうせくだらないことをって目をされたんだが?え、俺提督だよね?偉いんだよね?男尊女卑の概念ひっくり返っちゃったよ。
八幡「疲れてんのかな…俺。」
とりあえず行かない訳にもいかないので、とぼとぼと食堂へ向かう。
長門「おはよう。いい朝だな。」
ま、眩しい…。朝日のように煌めいている。
八幡「おう、おはようさん。珍しく遅いな。」
長門「朝のトレーニングを少しな。今日は子供達の訓練に付き合う日だから、入念に体を解しておこうと思ったら止まらなくなった。」
ふぅ…。と息を着く長門。
八幡「そうか。ご苦労さん。」
長門「提督も訓練に顔を出してはどうだ?指揮にも役立つだろう。」
え、ヤダめんどくさい。何が楽しくて外に出なくちゃいけないんだ。やる気に満ち溢れるヤツら訓練なんて見たら、自己嫌悪に浸って泣くぞ?
八幡「あ〜。俺には仕事が沢山あってな。」
長門「そうか?昨日加賀に聞いたのだが、1週間分の執務は終わらせたと言っていたぞ?途中で入ってくる執務をやれば問題ないとな。」
八幡「……あ〜。アレがアレで忙しいんだ俺は。」
長門「そ、そうなのか。やはり提督は大変なのだな。」
え、嘘信じちゃったよ。皆俺の話聞いてすらくれないのに。もはや決定権すら無い始末なのに。お前…良い奴なんだな。
天龍「おせーよ。腹減ってんだからはや…ってなんで泣きそうな顔してんだ?」
気づいたら食堂に着いていたようだ。
八幡「いや、気にすんな。」
長門「提督よ。気が向いたらでいいので、見に来てくれ。」
八幡「はいよ。」
そう言って長門は自分の席に向かって歩いていった。
八幡「特に報告することは…無いな。じゃあいただきます。」
「「いただきます!!!」」
ユー「お隣いいでしょうか?」
八幡「おう。今日は鮭か。」
ユー「はい。皮が美味いです。」
渋いな…。
八幡「そ、そうか。俺の食べるか?」
ユー「良いのですか?」
八幡「別に特別好きなわけじゃないからな。ほれ。」
ユー「おー、ダンケ。」
如月「なら身も頂戴?」
八幡「おい、俺の朝食が味噌汁と漬け物だけになっちまうだろうが。戦後じゃねーんだぞ。」
戦中ではあるけども…。
如月「そ、残念。ならこれだけ貰っていくわ。」
と言いながら身の半分を持ってかれた…。スリのスペシャリストかよ。俺じゃなくても見逃しちゃうよ。
ユー「…ユーの、いりますか?」
八幡「いや、いいよ。」
善意で断ったわけじゃない。凄い残念そうで、でも可哀想だからっていう顔で言われたら貰えるもんも貰えんだろ。ていうかあげる気無くね?
八幡「はぁ…なんか疲れたなぁ。」
加賀「何もしていないのにですか?」
八幡「ばっかお前。俺だって色々してるぞ。」
加賀「例えば?」
八幡「ほら…アレとか?アレとか、アレとか?」
加賀「ジャンクフードと言われるものを食べてみたいですね。」
無視…。泣く通り越して何も感じなくなってきたわ。
八幡「どこで知ったんだよ。まあ頼んでみるか。」
加賀「…提督は変わりましたね。」
八幡「俺が?」
加賀「はい。言葉で伝えるには難しいですが、とても変わりましたよ。」
変わったか…。今までの俺なら、何を分かった気でいやがると思っていただろう。だが、今は自覚をしてしまっている。きっと変わりたいと思ってしまったから。
加賀「昔は私達と関わりたくないって言っていたのに、不思議なものですね。」
八幡「それは心からの本音だ。関わって欲しいとも思っていない奴と関わるとかドMだろ。」
加賀「そうでしょうか?そういう割には積極的とは言いませんが、それなりに関わってきてくれた気がしますが。」
八幡「気の所為だろ。ある程度は仕事だから割り切ってたのもあるだろうけどな。」
嘘だ。これは俺が1番嫌悪していた偽り。本気で割り切っていたら、あそこまで関与しない。保身に走って如月も助けなかっただろう。
加賀「貴方はきっと強くて弱いのでしょう。」
八幡「矛盾過ぎて返す言葉もないぞ?」
加賀「こう言うと貴方は嫌がるでしょうが、似ていると思います、私達と。」
八幡「俺が?そこまで酷い仕打ちをされた事が無いから違うだろ。過大評…この場合過小評価なのか?」
加賀「酷く汚れた部分を理解し変えようとはせず、受け入れるためにそんなものだと思って過ごしている貴方は似ていますよ。」
以前、誰かに言ったことがある。人間そんなもんだ、と。私利私欲にまみれ、己の欲求に忠実。猿より話せるからまだ人間という名前があるが、話せない人間はただの猿と何ら変わらない。だがそれが動物であり、人間なのだ。それを理解した上で俺は過ごしているし、俺もまた人間なのだ。
八幡「あんまり信用し過ぎるのも…「わかっています。」」
加賀「ただ、貴方のような人間は初めてだからこそ近しく感じてしまうのでしょう。」
八幡「…そうか。」
加賀「私は役に立っているのでしょうか?」
その時の加賀の顔は一生忘れることは無いだろう。普段は何事にも動揺せず(食事以外)、達観した様子を見せている。そんな加賀が、何かを求めている顔をしていた。承認欲求?存在意義?同調心理?そんな生易しいものでは無い。これは強迫観念だ。忘れるな比企谷八幡。コイツもまた汚れた過去を持っているのだ。
八幡「そうだ…な。何を持って役に立っていると称するかは分からんが、少なからず俺は助かってる、と思ってる。」
加賀「…っ。ふふ、捻デレというのはこれの事を言っていたんですね。」
八幡「おいそれどこで聞いたんだ?子供の教育に悪いから、即廃止したいんだが?」
俺はここに来て初めて加賀の笑った顔を見た気がする。作り笑いではない本物の笑顔。
ガチャ!
睦月「失礼しま〜…なんかお邪魔しちゃいました?睦月は察せる子なので〜。」
バタン。
【スクープですよー!!!】
睦月の嬉々揚々した声が聞こえる。
八幡「さて…加賀。仕事は終わってるな?」
加賀「勿論です。」
八幡「そうか。悪いんだが、一つ頼まれてくれるか?」
加賀「勿論です。」
八幡「そうか。やり方は任せる。」
加賀「勿論です。」
睦月「う〜…。もうお嫁に行けない〜。」
その後、食堂にはあられもない姿になったがバカがおり
葉風「流石にやり過ぎじゃないかな?」
八幡「はい。後悔はしていませんが。」
たまたま来た上司に正座で怒られている八幡がおり
如月「あぁ〜睦月ちゃん!可愛いわ〜♡」
変態がいて、
長門「まさか…提督にあんな趣味が…。負けていられんな!」
駆逐艦の人形を抱きしめ、犯罪臭溢れる表情をしている犯罪者予備軍がいて、
ユー「楽しそうです。」
縄を握りしめ楽しそうな顔をする純粋少女。
各々反応はそれぞれだが八幡は心の底からこう思った。
八幡「やっぱり俺の提督生活はまちがっている。」
葉風「何馬鹿なこと言っているんだい?」
なんか節目みたいな終わり方してしまいましたが、深い意味はありませんので!