比企谷八幡、提督に着任する!?   作:しーや(厨二全開)

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もう何も言いません。いや言えません。頑張ります。


彼は思う。グループディスカッションほどぼっちが嫌いなものは無い。

 

大淀「えっと…本当に如月さんを連れて行かれるんですか?」

 

予想外の人選に、少し慌てたように言う。

 

八幡「ああ、そのつもりだ。ある意味適任だと思ってるけど?」

 

如月「明らかな人選ミスね。私が大本営のヤツらに嫌われてるって想像つかないの?」

 

八幡「安心しろ。俺も嫌われてる。」

 

大淀「その謎の自信は一体どこから来るんですか…。」

 

気持ち呆れられているようにも見えるが、しっかり理由もあるんだぞ?後付だけど。

 

八幡「別に付き人として連れていくわけじゃない。それ兼ボディガードだ。俺は軍人に嫌われてるんだぞ?倉庫裏に呼び出されて射殺されたらどうするんだ?これは慎重に選んだ結果であって、完璧なリスクマネジメントだ。」

 

大淀「な、なるほどです。」

 

如月「アンタ私に頼んだ時に、最初に会った艦娘にお願いしよう、とか言ってなかったかしら?」

 

はて?なんの事かしら?

 

大淀「とぼけないでください。はぁ、もう迎えが来るので任せますが、絶対に迷惑はかけないでくださいね!?」

 

八幡「なんで心の中読めんだよ。こえーよ。あともうセリフがかーちゃん見たくなってるぞ。」

 

そんな問答を繰り返している内に迎えの車が来たようだ。

 

??「お疲れ様です!私本日運転手を務めさせて頂く塚本と申します!」

 

八幡「お疲れ様です。比企谷と言います。どうぞよろしく。」

 

一応、俺の方が偉い立場って認識でいいんだよな?間違ってたら射殺とかないよね?

 

塚本「時間にはまだ余裕がありますが、出発なさいますか?」

 

八幡「そうですね。大淀、後は頼んでいいか?」

 

大淀「いつもの事なので問題ありません。早く行ってきてください。」

 

それ言っちゃったら俺の立場ないやん。ここは俺を立てておくれよ大淀ママ。

 

塚本「かしこまりました。それではご乗車ください。ちなみに付き添いの艦娘はどなたでしょうか?」

 

如月「私よ。」

 

塚本「っ、かしこまりました。どうぞ。」

 

明らかに顔が引きつったな。やっぱり如月の件は大本営全体に広まってると思った方が良さそうだ。ここで心配なのは如月のメンタル面だが…。

 

如月「ふふふ、見た?今の顔。滑稽過ぎて笑えてくるわ。」

 

生粋のサディストだから問題なさそうだな。と言うか周りの目気にしなさそうなタイプだし…。

 

八幡「お前、その顔は他に見せんなよ?怖いから。」

 

如月「ハァ?」

 

その顔だよその顔。

 

 

 

 

 

 

車に乗って1時間くらいたっただろうか。

 

八幡「後どのくらいで到着しますか?」

 

塚本「そうですね、道も混んでいませんので、恐らく後1時間くらいで着くかと。」

 

八幡「そうですか、ありがとうございます。」

 

いえいえ、と会釈して運転に集中する塚本。

 

車に乗った所を襲撃とかは無さそうか。まあそんなこと葉風さんがさせないだろうけど、俺の立ち位置を考えれば慎重になりすぎて丁度いいくらいか。

 

如月「アンタはドンと構えてなさい。何かあったら守ってあげるから。」

 

思いもしない一言で驚く八幡。

 

八幡「そうか、頼りにしてる。」

 

いやほんとにマジで頼りにしてるからね?

 

如月「着くまでまだ時間がかかるんでしょ?いまのうちに寝ておけば?」

 

八幡「急に優しくすんなよ、ビックリするだろうが。」

 

地味に大人っぽいから尚のことやめて欲しい。ボッチの心にダイレクトアタック&効果は抜群だ状態になるから。

 

如月「アンタにはアンタの仕事に集中して欲しいだけよ。気持ち悪いからそう言うのヤメテ。」

 

さいですか…。

 

八幡「じゃあお言葉に甘えて軽く寝させてもらう。」

 

如月「えぇ、着いたら起こすから。」

 

そう言われ目を閉じると、今までの疲れが取れていなかったのか、直ぐに寝息を立ててしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ペシッ!

 

八幡「イテッ!?」

 

如月「着いたわよ。早く起きて。」

 

八幡「もう少し優しい起こし方はなかったのかよ…。」

 

如月「おかしいわね…。睦月ちゃんからビンタして起こすと喜ぶって言われたのだけど。」

 

それを馬鹿正直に信じるお前もおかしいよ…。

 

八幡「次からは揺すってくれれば起きるから、ビンタはやめて…心臓に悪い。」

 

如月「頑張るわ。」

 

何を?

 

 

 

 

塚本「こちらが会議室です。恐らく皆さんお揃いだと思いますので、どうぞ。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

そう言われて中に入る。

 

葉風「やあ、長旅ご苦労さま。」

 

八幡「いえ、思ったより近い位置にあって驚きました。」

 

葉風「じゃあ席に着いて。早速作戦会議を始める。」

 

 

 

 

 

 

 

 

説明が長々としていたが、大まかな行動計画は決まっているようだ。作戦会議と言うより、共有と言った方が正しい。ここから細かい部分のすり合わせを行うのだろう。

作戦内容としては、部隊編成としては前線、中衛、後方で組む。まず中衛部隊が空母を活用し長距離索敵、安全を確認しつつ進行。敵を発見次第前線部隊に連絡、他の鎮守府と連携し撃滅。それの繰り返し。恐らく最終地点に海域の頭が予想し、全勢力を持って叩く。

 

後方部隊の役割は中衛部隊から前線部隊にかけての区間の索敵。上手く行けば接敵せずに済むらしい。

 

 

 

葉風「以上が作戦内容だが質問は?」

 

八幡「1ついいでしょうか?」

 

葉風「ああ、なんでも聞いてくれ。」

 

八幡「恐らく後方部隊は索敵に力を入れた編成になると思うんですが、もし何らかのイレギュラーが起きて深海棲艦に裏を取られた場合の対処は?」

 

葉風「その時は共有し、他の鎮守府の援護の元対応してもらう事になる。そうならないように索敵漏れは無いようにしよう。」

 

八幡「ありがとうございます。」

 

質問の仕方が悪かったか…。俺が言いたかったのは、明らかに後方部隊への配慮が足りない、という事だったんだが。まあそこはこっちで対応するしかないか。

 

葉風「他に質問は?」

 

??「俺から良いか?」

 

葉風「達磨君。君から質問とは珍しい。」

 

見るからに性格がひん曲がって意地汚そうな奴だが、こんなんでも提督って務まるんだな。

 

達磨「まあな。質問と言うより提案なんだが、もし接敵した時に前線部隊は出来るだけ損傷はない事が望ましいだろ?」

 

葉風「その通りだね。出来るだけ被害は少ない方が作戦もスムーズに進むだろう。」

 

達磨「そうだろ。だからよ、囮を配置しようって提案だ。」

 

コイツ…性格がひん曲がって意地汚いどころじゃない。タダのクソ野郎じゃねぇか。

 

葉風「達磨。僕がそういうのをあまり好まない事を知っての発言かい?」

 

艦娘の事が好きであろう葉風さんにする提案では無いだろう。少々気が立ったのか言葉が荒くなる。

 

達磨「そう怒んなよ。艦娘を使おってわけじゃねぇ。」

 

葉風「どういうことだい?」

 

達磨「そこに適任がいるじゃねぇの。艦娘モドキがよ?もしかしたら仲間って認識して攻撃してこねぇかもしれねぇぜ?」

 

ハハハ!と笑いながら言った言葉は聞くに耐えないものだった。

 

葉風「それもダメだ。彼女には彼女なりの役割がある。それに彼女も艦娘だ。」

 

達磨「何言ってんだよ。大本営を脅した張本人だろ?そこの冴えねぇ提督が脅したって聞いたが、多分そこのモドキが脅迫なりしてやった事に決まってる!そいつを真正面から排除出来るいい機会じゃねぇか!」

 

何を言ってんだ…こいつは?

 

葉風「いい加減黙れ。その案は聞き入れられない。」

 

達磨「そういうなっての。ほらお前からも言ってやれよ。邪魔だろ?ソイツ。姉妹艦やら何でもいいから使って、無理矢理命令させれば済む話だろ?」

 

如月「ゲス野郎が…!」

 

八幡「如月、待て。」

 

罵詈雑言に耐え切れず前に出ようとする如月を静止する。

 

如月「ハァ!?何を待てって!?」

 

八幡「如月…お前は黙ってろ。」

 

如月「っ!」

 

怒りたくなる気持ちも分かる。自分だけでなく睦月の事も言われたのだ。俺だって小町の事を言われたら怒らずにいられる自信はないしな。だが、今回に関してそれは

お前の仕事じゃない。俺の仕事だ。

 

達磨「なんだぁ?ビビって何も出来ねぇかと思ってたらそういう訳でもねぇんだな?」

 

八幡「達磨さんでしたっけ?如月を囮に使うとか言ってましたが、本気ですか?」

 

達磨「あぁ?本気じゃなきゃ言わねぇだろうが。」

 

八幡「なるほど。別にその案は反対ではありません。」

 

如月「えっ…。」

 

葉風「ひ、比企谷くん?」

 

達磨「へぇ、お前はこっち側って事か。意外だったな。」

 

何を勘違いしているんだ?頭の中ハッピーセット詰まってんじゃないか?

 

八幡「効率面であったり、成功の可能性を高めるのであったら実に良い提案だと思いますよ?ただ、」

 

達磨「?」

 

八幡「前線部隊の方々は意外と大したことないんだな、と。」

 

達磨「アァ?」

 

八幡「だってそうでしょう?囮を利用しないとたかだか雑魚の深海棲艦に勝てないからそういう案が出た訳なのだから。意外とレベル低いんすね。」

 

達磨「んだと…舐めてんのか?」

 

八幡「舐められなくないなら、舐められない発言してください。勘違いしちゃうじゃないですか。後如月を囮に使ってもいいですけど…噛み付かれても知りませんよ?」

 

達磨「それはお前が…っ!」

 

俺が言った言葉の意味を理解出来たようで、言葉が詰まる。

 

葉風「そこまで。今身内で争っても仕方ない。達磨君の案は無し。それでいいね?」

 

達磨「ちっ!」

 

八幡「いえ、その案使いましょう。」

 

予想外の発言に周りがどよめく。

 

葉風「どういうことだい?艦娘は囮には使わないと言ったはずだが?」

 

八幡「それはさっき達磨さんが言ってたじゃないですか。艦娘以外を囮に使うって。」

 

如月「それって…。」

 

八幡「如月にやってもらう訳じゃない。」

 

達磨「じゃあ誰に…。」

 

八幡「何でもいいです。遠隔操作が効く物なら。それに爆発物、煙幕なんかを搭載して、発見次第突貫。意表も突ける。上手く行けば損傷、更に上手く行けば轟沈。まあ意表を突くのが目的なので、慌ててるところを遠距離から叩く。それでだけでかなりリスクが減ると思いますが?」

 

思わぬ提案に息を呑む。確実性は無いが、ある事に越したことはない。今まで誰も試したことがない作戦であった。やる価値は…大いにある。

 

葉風「なるほど。いいね、やってみよう。上手くいかなくとも情報収集として割り切ればいいし。少なからず意表は突ける。」

 

達磨「…お前、こんな作戦考え付くとか、気持ち悪いな。」

 

お前に言われる筋合いは無いんだが?

 

八幡「後ろから突貫されないように精々気を付けてくださいね?」

 

達磨「はっ!よく言うぜ。」

 

葉風「2人ともそこまでだよ。とりあえずその提案はこっちで精査しておく。後日共有するつもりだからよろしくね。」

 

作戦名はなんちゃって神風特攻にしよう。立案者俺だから別にいいよね?いややっぱり辞めておこう。不謹慎すぎたわ。

 

葉風「他に何も無ければ会議は終わりにする。各々帰ってもらって構わない。」

 

その一言で1人また1人と部屋を後にする。

 

如月「一瞬、私の事を見捨てたのかと思ったわ。」

 

少しだけ、声が震えているような気がするが、気のせいだろう。

 

八幡「馬鹿言え。そんな事したら睦月に俺が殺される。それに、」

 

如月「それに?」

 

八幡「俺の優先順位として1番上にあるのは勝利じゃない。失敗したとしてもお前らが無事に帰ってくるのが最優先だ。そこだけは約束してやる。」

 

如月「…そう。ならいいわ。」

 

兎にも角にも、無事?会議が終わってよかった。経験上絶対変な輩に絡まれるのは分かってたけど、思ったより軽いヤツで助かった。最悪本当にこの場で解体、俺は射殺とかあったかもしれないからな…。そう思うと如月を連れてきて本当に良かったわ。帰ったらMAXコーヒーを報酬として与えよう。

 

 




自分の仕事に余裕が出てきたので、頑張って更新します!

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