ユー「出来ました。」
八幡「あいよ。」
書き上げた書類を受け取り、内容を確認する。
八幡「字が汚ねぇよ。」
ユー「初めて書きました。」
八幡「なんでちょっと嬉しそうなの?」
執務をしながら少しの会話をしているうちに、感情が段々と出てくるようになってきた。
ユー「嬉しくは無いですよ?」
八幡「さいですか。」
コンコン。。
八幡「どうぞ。」
天龍「失礼するぜ。お、ちゃんとやってるな。」
八幡「仕事だからな。というか俺の休日が無いんだけどどういう事?」
天龍「とりあえず報告書にまとめといたからよ。損傷無し以上。」
そう言ってそそくさと出ていってしまった。
八幡「無視かよ…。」
貰った書類に印鑑を押し、パンパンになった大淀行きと書かれた箱に入れる。ちなみに数は4箱。
ユー「アドミラルは休みが無いのですか?」
八幡「まあな。考えてみたらここに来てから無いかもしれん。」
え、俺完璧に染まってるよ。真っ黒に染まりきっちゃってるよ。
ユー「大変…ですね?」
八幡「気にすんな。」
そういえば初めてそんな事を言われたかもしれない。
長門「失礼する。」
八幡「そう思うならせめてノックをしろよ。」
長門「あぁ、忘れていた。すまないすまない。」
八幡「んで、何の用だ?」
早く本題に入ってくれ、仕事が溜まってるんだ。
長門「授業をだな、」
八幡「却下。帰っていいぞ。」
長門「いや、最後まで聞いてくれ。」
八幡「俺はやらんぞ。」
ほぼ質問攻めで終わるし、準備しといた事なんも出来ないし、てか準備してる俺偉いな。
長門「あの子達の要望なんだ。頼む。」
八幡「はぁ…。分かった分かった。そのうちな。」
長門「絶対だぞ?そのうちまた来る。」
八幡「分かってるよ。」
ユー「出来ました。」
いや空気読んで?明らかに話の最中だよね?
いいか?と長門に目を向ける。
長門「話はそれだけだ。すまないな、時間を取らせて。」
そう言って出ていってしまった。
八幡「どれ、見せてみ。」
ユー「はい。」
手渡された書類には汚い字と何故か兎?の絵が書いてあった。
八幡「いや、字は仕方ないとして、この兎は何?」
ユー「加賀が時々絵を描くといいと言っていましたので。」
八幡「へぇ〜。で、どういう意味合いで書いたんだ?」
ユー「兎です。」
八幡「おう?兎だな。」
ユー「兎です。」
八幡「もういいです。兎ですねはい。」
そう言って大淀ボックスに突っ込む。後は任せた。ボールペンで書いちゃってるんだもんこの子。
八幡「兎はもう書かないでいいからな?」
ユー「了解です。」
なんというか…子供を相手にしている気分だ。知ってる知識を見せびらかそうとする子供。きっと今までこういう経験をした事がないからなんだろうが…。
八幡「ん、とりあえず一段落だな。」
ユー「はい。」
八幡「もう3時か、腹減ってるだろ。なんか食べてきていいぞ。でも夜が食べれなくなるから多いのはダメな。」
ユー「アドミラルは?」
八幡「俺はとりあえず書類を整理しないとだから、それが終わってから食べるわ。」
それを聞いて何故か黙ってしまう。
ユー「アドミラルと食べたいです。」
予想の遥か斜め上の返事が来て一瞬固まってしまう。
八幡「そう、か?」
ユー「はい。」
何故?という考えが頭の中を巡るが一向に答えが出ない。
八幡「んじゃまぁ…行くか。」
断る理由も無いため一緒に食べる事を選んだ。
間宮「あら、今日はお連れがいるんですね?」
八幡「はい。んで、何食べるんだ?」
ユー「カレーが食べたいです。 」
間宮「カレーですね。提督さんはどうしますか?」
八幡「同じので。」
カレーを受け取り空いている席に座るが、
八幡「なんで隣に座るんですか?」
ユー「ダメでしょうか?」
授業で習わなかったんですか?男子とは適切な距離感で話さなくちゃいけないって。じゃないと勘違いした男子が告白してくるんだぞ?お、俺の話じゃないからな!
八幡「好きにしろ…。」
だからといってダメと言えないのが男子の辛いところだよな…。
睦月「あれれ!?司令官が他の子とたべてる!?」
如月「明日は吹雪ね…。」
八幡「吹雪になったら出撃停止…ってことは仕事がない?如月、天才だなお前。」
如月「貶してるのよ。」
知ってます。
睦月「ユーちゃん、でいいんだよね?」
ユー「…。」
睦月「あれ?無視?睦月ちゃん泣いちゃうよ?」
八幡「どうした?」
気分でも悪いのかと不安に思い顔を覗く。
ギュッと袖を掴んできた。
八幡「?」
普段ならラブコメかと突っ込みたくなるところだが、どうやら違うらしい…。
八幡「あー、悪いな睦月。あんまり他人と話すのに慣れてないらしいんだわ。だからそんなにグイグイ来られると気負うらしい。」
察しろ。と目で訴える。
睦月「あ、あ〜!ごめんね!そこまで考えて無かったんだ〜!また今度話そ?」
どうやら伝わったらしく、その場を離れてくれる。
八幡「これでいいか?」
ユー「すいません…。私、」
八幡「逃げてもいいって言ったのは俺だ。気にすんな。」
なるほどな。こいつに何があったのか大体把握出来てきた。
八幡「さて、ご馳走さん。戻るぞ。」
ユー「はい。」
八幡「うわ、大淀のやつ。お返しと言わんばかりの量だな。まあ、結局確認のために自分に戻るんだけど。」
席に着き、書類の内容を確認していく。ユーに引き継いでも問題ない物を探すためだ。
八幡「こんなもんか。おい、これ頼んでもいいか?」
ユー「zzz…」
八幡「ご飯食べて寝るとか赤ちゃんかよ。」
きっと何も気にせず寝れたのは久しぶりなんだろう。それを分かっていて起こすほど俺は鬼じゃない。
そう思いながらユーを横にして布団をかける。
八幡「はぁ…。世話のかかる妹をもった気分だ。」
ま、小町には勝てんがな。
誤字報告、感想等ありがとうございます!
ちゃんと見て、返せる時に返しますのでこれからもよろしくお願いします!