比企谷八幡、提督に着任する!?   作:しーや(厨二全開)

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何も気にせず薄着で外に出たら死ぬほど寒かった事に気づきました。
誤字報告や感想をありがとうございます。大変励みになってます!


彼は朝食でもマッ缶をいただく

大淀「ユーさんを秘書艦に?」

 

八幡「あぁ。それが一番手っ取り早いと思ってな。」

 

昨日の話し合いの結果を大淀に説明する。

 

大淀「彼女が提督を襲うとは思いませんが…。大丈夫なんですか?」

 

大丈夫…。これは俺に向けられた言葉なのかそれともアイツに向けられた言葉なのか。

 

八幡「どうなるかは分からんが…。やってみるしかないだろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「皆いるな?今日も悪いが話がある。」

 

いつもより不機嫌な艦娘が目立つな…。流石に話が出回ってるか。

 

八幡「まあそんなピリピリすんな。今回ばかりは俺に非がある。」

 

龍田「貴方は別に何もしてないじゃない。」

 

八幡「そういうわけでもない。そいつがブラック鎮守府出身で、メンタル面問題があると言うことは簡単に推理出来たんだ。なのに出撃させた俺にも非はある。」

 

全員分かっていた事だ。だから今は何もせず艦娘同士に任せようと、提督の自分が何をしても感じるのは恐怖だけだから、故に距離をとったことも。

 

響「誰も君を責めてはいないよ。それなりの考えがあっての事だとわかっているさ。」

 

八幡「それでも浅はかだった。」

 

その張本人はいつも通り無表情で窓の外を見ている。

 

八幡「U-511。」

 

ユー「はい。」

 

八幡「今日からしばらく秘書艦をやれ。作業とかは加賀に教われば何とかなるだろ。」

 

ユー「それは私がやらなくてはならない仕事ですか?」

 

八幡「拒否権はない。分かったな?」

 

ユー「了解です。」

 

表情は特に変わらないままそう告げる。

 

八幡「全員思う所はあると思うが…。」

 

長門「提督が決めた事ならば文句は言わんさ。」

 

天龍「次はねぇけどな。」

 

あいつがどんなに目に遭ってきたか、理解してるんだ。だから何もしないし何も言わない。怒りはあるが責めはしない。

 

大淀「それでは、いただきます!」

 

「「いただきまーす!」」

 

 

 

 

 

 

 

時雨「ゴーヤ、もう大丈夫なのかい?」

 

ゴーヤ「もう傷は癒えたでち。念の為とちょっと休みを貰ったでちが、何をしようか悩むでち。」

 

天龍「アイツが休みをくれただと?明日は雨だなこりゃ。」

 

イムヤ「確かに常に休みたいって言ってるものね。」

 

はははと笑いが生まれる。

 

龍田「それで〜?彼はなんて言ってたのかしら?」

 

全員気になるのはそこだ。結局どういうふうに対応していたのか。普段より些か無理矢理な行動ではあった為、余計に気になってしまっていた。

 

イク「多分本気ってほどじゃないけど、怒っていたの。」

 

怒っていた?あの提督が?嘘だろ。だなんて声が挙がる。

 

大淀「加賀さん。本当ですか?」

 

加賀「えぇ、確かにアレは…怒っていたわね。」

 

思い出したのか少し顔色が優れない。

 

イムヤ「ぶっちゃけめちゃくちゃ怖かったわ。話が終わったらケロッといつも通りになったから、余計にね。」

 

前任がいた頃でも、一番反抗的だったイムヤですら怖かったというのだ…。

 

電「想像出来ないのです。」

 

響「感情を普段そこまで表に出さないからこそ怖いのかもね。」

 

ゴーヤ「天龍だったら多分チビってるでち。」

 

天龍「はぁ!?アイツごときに世界水準を軽く超える俺がビビるわけねーだろ!」

 

イク「イクは漏れそうだったの…。」

 

実際トイレに行きたかったのもあり、少し出てしまったのは内緒である。

 

八幡「お前らご飯時になんつー話してんだ。」

 

時雨「珍しいね。こっちにいるだなんて。」

 

天龍「ベストプレイスとやらに行かなくていいのかよ。」

 

八幡「雨が降ってきてな。流石に濡れながら食べるのは嫌で中に戻ってきたんだよ。」

 

そう言って隅っこの空いてる席に座る。

 

ユー「前、いいでしょうか。」

 

トレイを持ち八幡の元へ行こうとしていた睦月がえっ、と素っ頓狂な声を出す。

 

八幡「…どうぞ。」

 

本人も予想外だったのか何故か丁寧に返す。

 

ユー「失礼します。」

 

何も気にせず目の前に座るユー。

 

八幡「どうしたんだ?」

 

ユー「いえ、なんとなくです。」

 

特に理由は無いのかよ、とその場にいる全員が思ったが八幡は違う。驚いているのだ。

 

八幡「秘書艦だからってご飯時も一緒に居なくちゃいけないわけじゃないぞ?」

 

ユー「分かっています。」

 

彼女が自分の意思で出撃以外の行動を取った事に驚いているのだ。

 

八幡「そうか。」

 

ユー「はい。」

 

会話は無い。ギスギスしてる訳でもない。ただ周りから見れば不安でしかない。

 

ユー「あの…、」

 

八幡「ん?なんだ、秘書艦の話か?」

 

朝食も食べ終わり締めのマッ缶を飲みながら返事をする。

 

ユー「それは加賀から聞いたので大丈夫です。」

 

八幡「じゃあなんだ?」

 

ユー「私は、どうすればいいのでしょうか…。」

 

何をどうしたらいいか分からないから、答えが出ない。いや、分からないというのが答えなのかもしれない。

 

八幡「お前は沈みたいのか?」

 

首を横に振る。

 

八幡「沈みたくないなら無理な突撃は止めろ。」

 

ユー「私は敵を倒すために生まれてきました。なので、」

 

八幡「なら1人で全員倒せるくらい強くなってから言え。」

 

ユー「それは…。」

 

八幡「無理だろ?」

 

コクりと頷く。

 

八幡「確かにお前ら艦娘は深海棲艦とやらを倒す為に生まれたのは事実だ。だからといって自分の命を粗末にしていいわけじゃないだろ。出撃したらちゃんと帰ってくる、それがここのやり方だ。」

 

ユー「分かり、ました。」

 

八幡「俺が命令して行ってもらってるんだ。兵器でも沈まれたら目覚めが悪いしな。自分が兵器だと言うならこの命令は必ず守れよ?」

 

ユー「2つ質問をいいでしょうか…。」

 

八幡「いいぞ。」

 

ユー「何故アドミラルは、そんな目で見てくれるのですか?」

 

八幡「そんな目?」

 

ユー「言葉には表しにくいです。ただ前のアドミラルとは違って、怖くないんです。」

 

抽象的な質問だった。ここの鎮守府の皆が思ってることではある。目は腐っているが、何故か怖さはない。不思議で仕方ないのだ。だからその質問に対しての答えを、その場にいる全員が耳を向ける。

 

八幡「分からんの一言に尽きるな。人はそれぞれ価値観がある、お前がそう感じるって事はそうなんだろう。それか俺がお前らを怖がってるからかもしれん。」

 

ユー「アドミラルが、私達を?」

 

八幡「だってそうだろ?お前らが本気を出せば俺なんて一瞬でお陀仏だぞ?怖くて仕方ないね。」

 

ユー「不思議な答えです。私はアドミラルに何かする気は無いのに…。」

 

八幡「お前は前の提督が安心しろ何もしないからと言って信じたか?」

 

なるほど…と納得する。

 

八幡「で、二つ目の質問は?」

 

ユー「私は逃げてもいいんですか?」

 

逃げるな!戦え!と、以前の提督に散々言われてきたのだ。ここの鎮守府もユーの鎮守府もどちらも変わらない。

 

八幡「あぁ、逃げろ。無様でも逃げてたっていい。」

 

ユー「でも、」

 

八幡「逃げる事は悪い事じゃない。いいか?逃げるって事はつまりは回避しているんだ。冷静に分析して、無理だと思ったら逃げる。つまりは頭の良い奴がとる行動だ。」

 

ユー「悪い事じゃない…。」

 

八幡「逃げるなとかいう馬鹿には、お前は1度も逃げたことは無いのかと聞いてやりたいね。俺は何度もある。最早逃げるのが人生まである。」

 

長門「良い事を言ってるはずなのにバカに見えるな。」

 

八幡「うるせえ。もし他の誰かが文句を言ってもほっとけ。これが俺のやり方だ。逃げたいと思った時には逃げていいんだよ。ただ、逃げちゃダメだと思ったら絶対に逃げるなよ。」

 

小町の事を思い出すな。小学校の時だったか…。いや、今それは関係ない。いつか話す機会があったら話そう。

 

八幡「さて、時間だ。遅れると大淀に怒られるから行くぞ。」

 

ユー「はい。アドミラル。」

 

俺が出来るのはここまでだな。後はお前らの役目だぞ?と潜水艦達に目を向ける八幡。

 

イムヤ「空き缶捨てなさいよ。」

 

八幡「はい。すいません。」

 

 




台風が、来ているだと!?電車が止まる。会社が休み?

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