比企谷八幡、提督に着任する!?   作:しーや(厨二全開)

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俺は..もう何も言うことはないです。


彼は変わらない

 

あれから1週間ほど経った頃、大本営からの招集がかかった。恐らく..如月の件の今後の方針と、俺の処遇。監視役として頑張れと言われたが、それだけで済むほど世の中甘くはない。

 

時雨「ほんとに付き添いが如月で大丈夫なのかい?」

 

八幡「ん?あぁ、とりあえず呼び出されたのが俺とアイツだからな。ついでに付き添いとして来てもらうことにした。」

 

本音は何を言われるかわからないから連れていきたくないんだがな。如月は仕方がない..そう、仕方ないのです。

 

如月「アイツ呼ばわりするの止めてくれる?」

 

八幡「ハイハイそのうちな。それじゃあ行ってくるわ。」

 

 

 

ーー大本営ーー

 

提督A「おい、あれって..」

 

提督B「やめとけって。見たら潰された鎮守府の提督みたく殺されちまうぞ?」

 

提督A「ははは、冗談キツイぜ!」

 

ここでもこういう陰口ってのはあるんだな。やはり社会に出ようが、学校であろうが、人ってのは根本的には皆同じなんだな。優劣をつけて他者を侮辱する。

 

如月「あいつら屠ってきてもいいかしら?」

 

屠るって..。なかなか聞かない言葉使ってくるな。多分この前睦月と一緒に国語の勉強してたからその時覚えたのか?あれか、覚えたてのカッコイイ言葉使いたくなっちゃうアレだわ。俺も昔それで恥ずかしい思いをしたことが....これ以上はやめとこう。

 

八幡「ダメに決まってるだろ。ここで問題起こしたら俺の責任になっちまうだろ。」

 

如月「私はその責任に関してはどうでもいいだけど?」

 

少しでも意外と可愛いところあるなって思った俺が馬鹿でした。

 

八幡「はぁ..。もう何でもいいから大人しくしてくれ。」

 

 

コンコン..

 

平野「入りなさい。」

 

八幡「失礼します。」

 

平野「おぉ、君が比企谷君かね?思ってたよりも..なんというか犯罪者予備軍的な雰囲気を醸し出してるね」

 

如月「ぶふっ!」

 

おいコラ。開幕早々失礼だな。あとそこ、笑うんじゃありません。事実だけども..流石にそこまでどストレートに言われたことないんだけど?そこまで酷くないでしょ..。え?酷い?

 

八幡「この目はデフォルトなんで気にしないでください。」

 

平野「そうかの?まぁいい。それじゃあ..本題に入るとするかの。」

 

電話の時とは大違いだ..。葉風さんとは違う、上に立つ人間の威圧感がある。

 

平野「さて..比企谷君。」

 

比企谷「はい。」

 

平野「君..一体何をしてくれたのか、分かってる?」

 

ゾクッ....。

 

あの如月ですら震えてるんだ。俺がこの状態で普通にしてられるわけないだろ。

 

平野「我ら大本営に喧嘩をふっかけたのだよ。葉風君も言ってたよね?こちらにもそれなりの面子があると。」

 

比企谷「は、はい。」

 

平野「本来ならば君の処遇は良くて禁固刑、普通なら実刑のはずなのだが..監視役という任もある為それはできん。」

 

ということは..他に処罰があるってことだよな。

 

平野「さて、ここで君に幾つか質問させてもらおうか。もちろん君からの質問も受け付けよう。ただし、嘘偽りなく応えた方が身のためだ。」

 

やばい..想像以上にやばい。嫌な汗が止まらねーよ。いや落ち着け、話を聞けば実刑はない方向で考えてるらしい、ならここで変に行動するよりこの元帥の言うことを聞いた方がいいのかもしれない。

 

如月「気を付けなさい。さっきから色々な所から殺気を感じるわ。恐らく艦娘..何が言いたいか分かるわよね?」

 

八幡「下手したら死ぬって事か..。」

 

平野「ふむ。今置かれてる状況は理解出来たかね?では質問だ。何故、その如月を守ろうとした?」

 

八幡「じ、自分の身を守る為の最善手だったからです。」

 

平野「ならば自分の艦娘に相手をさせればよかろう?」

 

八幡「それはきっと平野さんでもしないでしょう?」

 

平野「私は今..君の話をしているんだ。私の場合の話をしても何も意味が無い。ただ答えるとしたらyesだ。」

 

八幡「恐らく..理由は平野さんと同じだと思います。」

 

平野「そうか。なら次の質問だ。何故脅した?」

 

八幡「それは、如月達の処遇に関して良い返事を確実に貰えるようにする為です。」

 

平野「それならば、監査役としてのメリットを提示すれば事足りたのではないかの?」

 

八幡「それは..確かにそうかもしれません。しかし、確実性に欠けます。それに自分がとった行動の方が効率的でした。」

 

平野「なるほど..。確かにその時には効率的だったろうな。だが..今後の事を考えれば脅すという行為よりも如月達にそれなりの価値があると理解させる方が良かったのでは?」

 

八幡「で、ですから..それだと時間がかかりますし..」

 

平野「そこまで急ぐ理由があったのかね?」

 

八幡「それは..」

 

いや、無い。事実、この人が言ってる事は間違ってない。多分..如月達を味方につけた事による大本営のメリットを提示すれば、この案は高確率で通ったはずだ。

 

八幡「もし、メリットを提示したとしても人と言うのは良い事よりも悪い事に目が行くものです。特に軍人といった職の人たちは敏感でしょう?」

 

平野「ほう?」

 

八幡「なので、メリットを提示したとしてもデメリットの面に着目されてしまい意見が通らない可能性があったからです。」

 

平野「ふむ。..正直な話だ。メリットデメリットの話を出されたとしても私達は君の案を採用させてもらっていた。」

 

八幡「それは..結果論でしょう?」

 

平野「そうだな。しかし、君達は我々を脅してきた。そのおかけで話がもつれてしまったのだよ。」

 

八幡「それはどういう?」

 

平野「葉風君が、比企谷君なら予想もつかない方法でなんとかしてくれるかもしれませんよ?と言っていた。」

 

八幡「それは..買いかぶりすぎですよ。」

 

平野「しかし君は監査役という予想外な案を出してきた。そこまでは良かったのだ..君が脅したおかげで如月君たちの話から君の信用云々の話に路線がズレてしまったのだ。その為、結局ワシが無理矢理この案を通したわけだ。」

 

八幡「そう..ですか。」

 

悪い事をした..。申し訳ない..なんて事は微塵も思っていない。それはアンタらが勝手に俺に期待したからだろ?

 

平野「さて最後の質問だ。君は今回の件悪い事と思ってるかね?」

 

八幡「確かに..自分のとった行動は決して誰かに褒められる行動ではないと思います。ですが、自分は褒められるために如月達を監査役した訳じゃありません。なので、非礼ながら微塵も悪いだなんて思っては..ありません。」

 

平野「..そうか。君からは何か質問は?」

 

八幡「何故..こんな意味もない質問を?」

 

平野「君という人間を知りたかったから..かの?」

 

ならもっと他にも色々あるだろ。好きなものとか、嫌いなものとか..。

 

平野「他には?」

 

八幡「無いです。」

 

平野「君はいいのかね?」

 

如月「私?」

 

平野「あぁ..そうとも。」

 

如月「..特に無いわ。」

 

平野「うむ。では比企谷提督。君に罰則を与える。まあ私との約束みたいなものだよ。」

 

八幡「はぁ..」

 

平野「私は艦娘が大好きだ。だから好き勝手に扱う輩がいると思うだけで反吐が出る。君は自分の下の艦娘達の為に全てを賭けろ。艦娘の為に全てを賭けられる者は極小数だ。君に..出来るか?」

 

八幡「自分は..自分のできることをするだけですから。」

 

平野「はっはっはっ!!それでいい!そしてもう一つ。君には穏健派に所属してもらう。いいかね?」

 

八幡「まぁ..はい。分かりました。」

 

平野「ならば話は以上だ。帰りたまへ」

 

 

 

 

 

 

 

八幡「つ、疲れたぁ..。」

 

なんなのあの人怖すぎでしょ!?電話の時のあのおちゃらけた感じはどこ行ったの!?ギャップが凄すぎて言葉が出ねぇよ..。

 

如月「ねぇ..」

 

八幡「んだよ。」

 

如月「本当はあのメリットの話..。お前なら分かってたんじゃないの?」

 

八幡「..さぁな。」

 

多分、分かってた。いや多分じゃないな。確実に上手く行くって言う自信もあった。もし失敗したら情報を流すという手を取れば良かったのだ。

 

如月「誤魔化さないで。」

 

八幡「なんというか..。メリット云々で話をつけたら結局お前らは大本営に良い様に使われるだけじゃないかって思ってな..。」

 

如月「つまり?」

 

八幡「単純に気に入らなかったから、嫌がらせがしたかっただけなのかもな。」

 

如月「そんな理由で..。」

 

八幡「いくらボッチでも見知った顔の奴が、良い様にコキ使われてるのは見たくないもんなんだよ。」

 

如月「睦月ちゃんが言ってた通り..これが捻でれって奴なのね。」

 

八幡「おい、変な言葉作るな。国語辞典に載ってる言葉を話しなさい。」

 

いやもしかしたら捻デレっていう言葉がもう辞典に載ってる可能性が..。最近の辞典はマジレスって言葉ですら乗ってるからな。

 

如月「そうね。でもそんな人に如月は少し期待してるわ。」

 

八幡「やめとけ。ボッチにどんな期待した所で分かるのは現実の辛さだけだぞ。」

 

如月「それでもきっとその現実は辛くても私にとっては幸せだと思うわ。」

 

八幡「なんだそりゃ。マゾヒストでも現実の辛さが幸せだなんて言わんぞ..大丈夫か?」

 

如月「殺すわよ」

 

八幡「はい、すいません。」

 

如月「まぁ..その..頑張ってね。司令官」

 

八幡「....お、おう。」

 

この少し微笑みながら笑う如月を見て俺はきっと間違った事はしていないんだと、なんとなくだが思えた気がする。無論俺は悪い事をしたと思うつもりは毛頭ないが、それでも誰かに自分のした事を認められるというのはいくらボッチを極めた俺でも嬉しいものだ。

しかし..だ。俺だって、いつかは変わるのだと思う。必ずいつか変わる。変えられてしまう。俺自身の心はどうあれ、その見られ方、捉えられ方、評価のされ方はきっと変わる。その時、こいつらはどういう風に俺を見るだろうか..。今の俺はその時が怖いのかもしれない。故に俺は変わらない。だから俺は変われない。

 




亀更新面目ない。皆様は春休みですか?そろそろ桜が満開になる季節がやってまいりましたが、俺の心の桜はもう散ってしまったようです。

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