アキバ神拳伝承者の異世界譚(ハイスクールDxD+A)   作:グリムリッパー02

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前回本編も一緒にあげると言ったな。
あれは嘘だ

いや、すいません。リアルが忙しくて作業が遅れてます。
ごめんなさい


番外編 白の日常 その1

小猫side

 

 

「ふぁ……」

 

 

朝、カーテンから差し込む陽の光に起こされます。

短く欠伸。

そしてあたりを見渡します。

 

 

「……流石に人の家というのも慣れましたね」

 

 

先輩、ナナシ先輩の家に住み着いてもう1週間が過ぎました。

最初は男の人と同棲ということもあり、私なりに緊張もしていたのですが…

やはりそこはナナシ先輩の出す独特なオーラというのでしょうか?

その雰囲気の影響でいつの間にか素の自分で接することが出来ていました。

本人はどうしようもないオタクですけれど…

 

それから意外にもナナシ先輩は紳士でお風呂の取り決めなんかも進んでしてくれました。

まぁ家が大きくてあまり心配もいりませんでしたけど……なんでこの家1階と3階にお風呂があるんですか。しかもすごく大きな。

他にもゲームルームや漫画ルーム。映画ルームなんてのもあったりするです。

一般家庭の、しかも一人暮らしの高校生が住む家じゃないと思います。

 

とにかく、ナナシ先輩には謎が多いです。

 

私は、軽く伸びをし、部屋の鏡で軽く髪を梳かしたあと部屋を出ます。

私の部屋は3階なので目的の1階へ行くには少し降りることとなります。

階段を降りている最中、鼻腔をくすぐるいい匂いが漂ってきました。

これが問題の謎、一つ目です。

 

 

「お、小猫おはよう。朝飯はもう出来てるぞ」

 

 

そういう先輩は眼鏡をかけ、パソコンを開いていました。

その横にはコーヒーと、まるでタワーのように積み重なったサンドイッチ。どうやら待たせてしまったようです。

 

 

「…おはようございます。先輩。すいません、お待たせして」

 

「いやいいさ。丁度作業も終えたところだしな」

 

 

そう言ってパソコンを閉じる先輩。あ、眼鏡も外してしまいました。

朝のこの時間しか見れないのでもう少し見ていたかったのですが残念です。

 

…………なにか自分が変なことを口走った気がしますけど気のせいですね。

とにかくこれ以上待たせては行けないので朝ご飯にしましょう。

 

先輩は私が席に着くのを見て手を合わせます。

私もそれに続いて手を合わせます。

 

 

「「いただきます」」

 

 

そうして私はサンドイッチを口に運びます。

中にはシャキシャキのレタスとトマト。それからこれは炙ったチキンでしょうか……

多分自家製であろうマスタードもいいアクセントになっていて、しつこくなく、朝の食事に適しています。

 

流石に先輩程多くは食べれませんが。

私も、この体型の割に食べるほうだと、恥ずかしいですがそう思います。

それでも先輩の食べる量は異常です。

別に汚く食べている訳では無いのにあぁも早く無くなっていくサンドイッチを見ると、やはり魔法かなにかなのでは?と思ってしまいます。

 

そして何より、このサンドイッチがナナシ先輩の謎その1です。

先輩は料理がすごく上手なのです。

一緒に住み始めた初めての日に知ったことなのですが、なんでも元々妹さんと二人暮らしで料理は先輩が担当していたらしいのです。

しかし先輩が今の体質になって物凄く燃費が悪くなり、しかも行きつけの喫茶店の料理はそんなに美味しい訳では無い。

そこで料理を一から勉強し直したそうです。

先輩の境遇はあの後も少し聞きましたが、先輩は完全に被害者でした。

それでも明るく前向きに過ごしている姿を見ると、少し羨ましくも思えます。

能天気とも言えますけど。

 

 

「ごちそうさん。それじゃ俺は準備してくるわ」

 

「あ、はい。食器は洗っておきます」

 

「おー、いつも通り終わったら置いといてくれ」

 

 

そう言って先輩は自分の部屋に入っていきました。

この家では家事は分担して行うようにしています。

最初は先輩も私も自分が負担すると言って聞かなかったのですが、最終的に分担して行うことになりました。

大体は当番制で日毎に交代して行うのですが、料理は先輩が、その後の後片付けは私がしています。

先輩の料理が美味しすぎるのが悪いんです。

 

お皿を洗った後は私も準備をします。

先輩は紳士なので制服に着替えてる時も覗いたりしません。

前に間違って着替え中に鉢合わせした時も床に穴が開くほどの勢いで土下座していました。

ただ、顔は赤かったので、別に私に女としての魅力がないとか、そういう話ではないようです。

………別に女としての魅力があってもなくても変わりませんね。

何を言ってるんでしょうか私は。

 

と、先輩を待たせても行けません。

私は手早く準備を終えて玄関に向かいます。

 

玄関ではもう先輩が準備を終えて待っていました。

お気に入りのパーカーの上に制服のブレザーを羽織っています。お気に入りの格好らしいです。

 

 

「んじゃ、行くか」

 

「はい。先輩」

 

 

「「いってきます」」

 

 

そう家に告げ学校へ向かいます。

これがいつもの朝の流れです。

それからは一緒に登校します。

最初は嫌じゃないかとも聞かれましたけど、ナナシ先輩はなんというか、気を使わずに話が出来るので私としても話すのが楽しいです。

 

とはいえ、流石ナナシ先輩と言いますか、登校も一筋縄ではいきません。

というのも………

 

 

「あ、お婆さん。それ持ちますよ。何処までですか?」

 

 

道行くお婆さんの荷物を運んだり。

 

 

「ほーら怖くないよ〜。降りといで〜」

 

 

降りれなくなった猫を助けたり。

 

 

「きゃー!ひったくりよ!」

「任せろッ!!」

 

 

果てはひったくり犯を捕まえたり。

 

まぁ何が言いたいかというと、ナナシ先輩は困っている人を見捨てられないみたいです。

これも以前のお仲間さん達の影響らしいのですが、自警団として街をパトロールしていた時のことが癖になってしまって、人助けが趣味のようになってしまったらしいのです。

これもナナシ先輩の謎の一つです。…いえ、美徳でしょうか。

 

でも、そんな先輩も素晴らしいと思います。

まだ先輩と出会って数日しかたっていませんが、先輩の人となりは理解できました。

超がつくようなオタクですけど、凄くお人好しで、物事をいつも楽しんでいて、変なところ紳士的で本人はそんなことないって言いますけど、すごく優しいくて、まるでお兄さんのような人です。

 

そういえば先輩には妹さんがいると言っていました。

妹さんのことを話す時の先輩は凄く楽しそうで、世間一般ではああいうのをシスコンというのでしょう。

聞いている分だと、その妹さんもブラコンのようですけど。

でも、先輩がお兄さんならなんとなくわかる気もします。

頼り甲斐があって、優しくて、まるであの頃の姉様のよう。

 

 

…………黒歌姉様…今一体どこにいるんでしょうか。

私は、姉様がいるだけでよかったのに、それだけで幸せだったのに、

力に飲まれた姉様は、姿を消してしまいました。

私を捨てて。

 

先輩も、いつかそうやっていなくなってしまうのでしょうか?

 

 

 

 

「おーい。小猫ー?小猫さーん?」

 

「………」

 

「おかしいな。おい小猫。ほっといたのは悪かったから機嫌直してくれよ」

 

 

「……?、ナナシ先輩?」

 

「おぉ。良かった。やっと気づいてくれ ーーー どうした?なんかあったか?」

 

 

…ッ!!

そういう、察しがいいところも、姉様にそっくりです。

 

 

「……大丈夫です。なんでもないですよ?」

 

 

あぁ、私はちゃんといつも通りの顔が出来ているでしょうか。

先輩は少しの間真面目な顔で私の顔を見つめていましたが、やがて「そっか」と呟きまたいつもの笑顔に戻りました。

 

多分バレているのでしょう。

それでも言わないのは、多分私から話すのを待っていてくれてるんだと思います。

 

 

「………でさ、そん時の主人公がすげぇかっこよくてさ。ドリルは俺の魂だって生身で敵のボスに殴り掛かるんだぜ?ロボットアニメなのによ。あれには痺れたね………」

 

 

先輩は変わらず楽しそうに話しています。

 

 

大丈夫です。

いつかちゃんと話します。

だから、先輩。待っていてください。

それまでは、先輩を見習わさせて下さい。

私も先輩のように、自分の境遇にまけず、笑っていられるように…

 

 

 

そう心に誓い、先輩と一緒に学校へと向かいます。

とりあえずは、今日をめいいっぱい楽しみましょう。

 

そうすれば、いつか先輩のようになれますよね?




小猫ちゃん。
番外編の主人公。
ナナシくんの独特な雰囲気が気に入っているご様子。
気持ちに気づくのはいつになることやら。


ナナシくん。
今回はサブ。
割となんでもできるハイスペック主人公。
ただしオタク趣味と妹が絡まない限り人並みかそれより少し出来る程度。

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