アキバ神拳伝承者の異世界譚(ハイスクールDxD+A)   作:グリムリッパー02

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ナナシくん。脱がせます


first strip

「………………ふぅ、」

 

 

お茶を飲んで心を落ち着ける。

辺りには異様な静けさで満たされており、全員が全員、俺の言葉を待っているようだ。

 

 

「さて………話す前に」

 

 

あたりを見回す。

窓はあるもののカーテンが閉じらており外の確認はできない。

入ってきた扉も今は閉ざされている。

入ってきたときに確認したがここは2階。

周りにここ以外で人がいる気配はない。

 

俺は、静かに口を開く。

ゴクリと、生唾を飲み込む音が聞こえる。

 

 

「すんません、お茶のお代わりお願いできますか?」

 

 

ずっこけた。

それはもう使い古された芸風の様に綺麗に。

いや、正直オタクにこの手の緊張は厳禁なんだって。

あの咄嗟に声をかけられた時、教室で先生に質問を当てられた時、あの独特の雰囲気はオタクにとってまさに毒と言える。

喉が渇くのも仕方ない。

 

 

「……七瀬先輩真面目にやってください」

 

 

ごめんね塔城!!でもできる限り空気をソフトにしないとお兄さん持たないんだ。

 

 

「どうぞ」

 

「あ、どうも」

 

 

と、横から姫島さんが追加のお茶を用意してくれる。

うん、上手い。カティが煎れてくれるお茶も美味しかったけれどこの人が煎れるお茶も負けてはいない。

 

 

「さて、それじゃあ話してくれないかしら。流石に堕天使の光の槍を掴んでおいてタダの人間ですじゃ済まされないのは分かるわよね?」

 

 

そういうグレモリーさんの目がきつくなる。

うぅ、そういう目が苦手なんだがなぁ。

 

んー、この際ある程度ホントのことを話していいかもしれない。

その方が疑われなくて楽になりそうだ。

 

 

「まぁ、まず第一に俺は人間じゃない。それは確かだ」

 

「ではあなたは何者?あなたからはあまり変な気配を感じないんだけれども」

 

「俺は夜咬という種族だ。と言っても、俺もそこまで詳しいわけじゃない」

 

「どういうこと?」

 

 

首を傾げるグレモリーさん。俺は一度お茶で口を濡らす。

 

 

「俺も元は人間だった。とある事件が原因で人間をやめて、そこから夜咬になったんだ」

 

 

あの日、フィギュアにつられて変な工場へと連れていかれた日。

俺は人間から魔骸者になった。

ベットに縛られ、天羽から廃棄処分されそうになった時、俺を助けてくれたのが何を隠そう雫だったんだ。

 

 

「正確には夜咬の眷属になって、その後正式な夜咬になったんだけどな」

 

「…悪魔以外にもそうやって種族を増やす者達がいたのね。その夜咬というのはどういう種族なの?」

 

「基本的には、和風吸血鬼って言えば大体あってると思ってくれていい。

太陽の光が苦手で全身に光を浴びると消滅しちまう。

それ以外だとめちゃくちゃ長命らしいけどな。

身体能力だって人間以上だし、グレモリーさんが見たのはその夜咬の力だ。

吸血鬼と違うのはニンニクだとか十字架が弱点じゃないところ。

血じゃなくて人の生命エネルギーや過度な食事で賄えること。

それから服さえ来ていれば日中でも動けるところかな」

 

 

実際に吸血鬼を見たわけじゃないからなんとも言えないけれど、伝承とかアニメに出てくる吸血鬼との相違点だとこんな感じだろう。

 

 

「俺は、いや、俺と俺の主人。そして元々俺の仲間だったメンバーは魔骸者と呼ばれる人造の吸血鬼達を狩り、元の人間に戻すため戦っていた。

色々あって今は別れちまったが、それでも俺達は切っても切れない仲間だ」

 

 

と、こんなところだろうか。

話し終え倒れは再びお茶を飲む。

やっぱり長い間話すのは好きなアニメやゲームを語る時に限るな。

素面では辛い。

とはいえ、流石にアキバのことを話すとこの世界のアキバと相違点が出てしまうから伏せておく。

嘘は言ってないしな。

 

 

 

「夜咬…魔骸者…私の聞いたことない種族だけれど、それならあの力にも納得ね。

…ところでその魔骸者って聞いていると大した弱点もなさそうに聞こえるのだけど、どうやって戦っていたのかしら?」

 

「ん?いや普通に服を剥ぐだけだが?」

 

「ん?」「は?」「へ?」

 

 

真面目な雰囲気だった部室の空気が途端に軽いものへと変わる。

あれ?俺なんか変な事言ったっけ?

 

 

「…ごめんなさい。も、もう一度だけ聞いてもいいかしら?どうやって倒していたの?」

 

「だから服を脱がすんだよ。身ぐるみ全部」

 

「「「「………………」」」」

 

 

今度は黙り込んでしまった。俺はそんなに変なことを言っただろうか。

服を脱がさなきゃ倒せない敵だから脱がす。

当たり前のことだろう?

 

 

「……あなたもしかしてふざけてるのかしら」

 

「??なんでそうなるんだよ」

 

 

なんかお怒りのようだが、なぜだろう。

あ、まさかそんな芸当が出来るとは思われてないのかな?

まぁ脱がすとは言えそう簡単なものではないし、

最初の頃は俺も戦闘しながら脱がすって難しかったけな。

 

 

 

 

よし。ならば実践してみせるか。

 

 

 

イッセーside

 

 

ナナシが言ったことは俄には信じ難いものだった。

服を、脱がすだと!!??

見れば部長の顔にも青筋が浮かんでいる。

 

た、確かにふざけた戦い方だけどもしそれが本当ならなんて素晴らしい能力なんだ!!

もし本当なら俺はナナシに弟子入りを懇願しているだろう。

それほどやつの技は恐ろ…いや、夢とロマンで溢れている!!

 

 

(まぁ流石に冗談だよな。俺でもそんな巫山戯た戦い方しないぜ)

 

 

そうしてナナシの方を見れば、何故か目が合った。

 

「………」

「………」

 

ニコリと微笑むナナシ。俺もニコリと返しておく。

何故だろう、すごく嫌な予感が………

あのナナシさん?なぜ指をパキパキ鳴らしてるんでせうか??

 

 

「悪いなイッセー」

 

「………へ?」

 

 

その瞬間、ナナシの身体がブレる。

いや、比喩なんかじゃなく、本当にその場から、なんか残像のようなものを残し消えた。

あれ、なんか力が抜け………

 

 

バタン

 

 

俺の身体は重力に従う様にうつ伏せに崩れた。

な、何故…いや、それよりも。この肌に触れる感触、ゴワゴワと、しかし少し柔らかいこの感触は…絨毯!!そして背中を撫でる冷たい外気。

それらがまるで直に触れているかのような感触。

まさか!!

 

 

「って脱がされてるぅぅぅぅうううう」

 

 

マジか!?ホントにあの一瞬で脱がされた!?

ってか起き上がれないんだけど?

力が身体に入らない。なんだこれ?

 

 

「いやぁ悪いなイッセー。お前が一番脱がしやすそうだったんだ」

 

 

その声の方を見つめれば、ナナシが俺の服を持っている。

あ、どうやらパンツは残っているらしい。良かった。美少女達の前でアレなんか晒したらお婿に行けなくなるところだった。

 

 

「あなた…まさか本当に…!?」

 

「驚いたね。まさかこの僕でも動きを捉えきれないなんて」

 

「あらあら、凄いですわね」

 

「…神業」

 

「いや、なんかめっちゃ賞賛してるけど俺全裸だからね!?動けないからね?!ちょ、マジで動けない何しやがったナナシぃー!!!」

 

 

倒れた俺には目もくれず、みんな思い思いの感想を述べていく。

いや、ホント動けないんですけど?!どうなってんのこれ。

つか寒っ!!

 

 

「あー、普通の人間だと生命エネルギーを少し持ってくので終わるんだが、悪魔とかだと別のを持ってくのか?まぁなんにしても、ごちそうさん」

 

「あぁ、それは多分魔力ね。悪魔の力の源でもあるの。今イッセーからすごい量の魔力が抜けたわ」

 

 

はぁ!?それじゃあ俺の魔力?食べられちゃったのかよ!

それでこんなに身体がダルイのか?

服と一緒に魔力も持っていくって、それ考えるだけで悪魔キラーなんじゃないか?

 

 

「それにしても、本当に服を脱がす戦闘スタイルなんて驚いたわ。最初はなんの冗談かと思ったわよ」

 

「まさか。この場で冗談言う度胸は俺にはねぇよ」

 

「…結構言ってると思うのだけれど…まぁいいわ。七瀬くん。いえ、親しみを込めてナナシと呼ばせてもらうわよ?」

 

「あー、呼び方はなんでもいいぞ」

 

「そう、ならナナシ。あなた私の眷属にならない?」

 

 

!!

まさかナナシを眷属に誘うなんて!

 

い、いや俺もいまいち眷属ってのがよくわかってないけどそんなにホイホイ誘ってしまっていいものなのだろうか?

それとも、ナナシは部長から見ても凄い能力を持ってるってことなのだろうか?

俺も気づいたら脱がされてたし……

っていうかそろそろ誰か助けてくれないかな?

俺、指一本も動かせなられないからずっとパンツ一丁で床にうつ伏せ状態なんだけど………。

 

 

「あー、悪いな。眷属は無理だ。俺の主は1人だけだからな」

 

「まぁ無理強いはしないわ。私こそ自分の居ないところで私の眷属がスカウトされてたらいい気はしないもの。誇らしくは思うけれどね。

貴方、余程その主様を大切に思っているのね」

 

「あったりまえだろ?俺の命を二度も救ってくれた、俺の大切な仲間だ。裏切るわけにはいかないさ」

 

 

そう言うナナシの目は、どこか遠くを見据えながらも場数を踏んできた漢の目をしていた。

それだけでわかる。コイツは本当に心から仲間を思って信頼していたんだってことが。

いつもは軽い調子だけど、こんな顔もできるんだな。

 

 

 

※今イッセーくんは地べたにうつ伏せで這いつくばっています。

繰り返します。イッセーくんは地べたにうつ伏せで這いつくばっています。

大事なことなので二回言いました。

 

 

 

「でも、貴方にはオカルト研究部には入ってもらうわよ?

貴方が人外ってことはそこまで知られてないにしても、もう堕天使にマークされている可能性もあるわ。

ここだと堕天使の情報も、いち早く入手出来る」

 

「イッセーも居て塔城も居るんだ。断る理由はねぇよ。それにここは楽しそうだしな」

 

 

そう言ってニカッと笑う。

さっきまでの真面目な雰囲気や今のノリのいい雰囲気。どちらもナナシで、それがこいつのいい所だと、俺は思う。

本人も一度殺されかけて人間じゃなくなってる筈なのに、それでも俺みたいに悲観的になる理由(ワケ)でもなく現状を楽しんでいるようだった。

俺もこいつを見習わなくちゃな。

 

 

「そう、その返事が聞けてよかったわ。改めてよろしくねナナシ」

 

「あぁ、よろしく。部長さん」

 

「よろしくね、七瀬くん」

 

「うふふ、よろしくお願いしますね、七瀬さん」

 

「…よろしくお願いします、七瀬先輩。あと私のことは小猫でいいです」

 

「おぉ、木場も姫島さんもよろしく。それから小猫もな。俺のこともナナシでいいぜ」

 

「じゃあ僕もナナシくんって呼んでもいいかな?」

 

「あらあら、それでは私も」

 

 

ワイワイガヤガヤと部員達が会話に花を咲かせる。

本当は悪魔と吸血鬼みたいな人外らしいけど、今この光景を見たらホントにただの部活動のようだ。

あぁ、微笑ましい。美少女美女の微笑む姿は美しい。

うん、大変美しいんだけどもね………

 

 

「いい加減、誰か助けてくれぇぇええええ!!」

 

 

「「「「「あ、忘れてた」」」」」

 

 

どうやら本格的に忘れられていたらしい。

このことは絶対根に持つ。

根に持つからなぁ!!!!

 

 

 

〜〇✕△□〜

 

ナナシside

 

「いやぁ、楽しかったな」

 

「…先輩はちょっと楽しみすぎです」

 

 

すっかり夜も深けた頃、俺と小猫は帰路についていた。

まさか悪魔とか堕天使とか、そんな超展開が待ってるとは夢にも思ってなかったわけで、俺としてはまるでアニメの世界に入ったような、そんな高揚感が消えないでいる。

 

なぁ、みんな。

これからまた、面白くなりそうだ。

お前らは何してるんだろうな。

 

そんなことを、遠い遠い星を見ながら思うのだった。

 

 

 

 

 

「ところで小猫くん?」

 

「なんですか先輩?」

 

「キミはどこまでついてくるのかな?確かキミの家はこっち方面じゃなかった筈だけど?」

 

 

昨日別れた時は確か逆方向に歩いていった気がするんだが…?

そういう俺をよそに、小猫は驚いたように少し目を見開いた。

結構無表情が多いから、珍しい表情だ。

 

 

「…部長に何も聞いてないんですか?」

 

「??特に何も聞いてないけど?」

 

「…そうですか、それじゃあ」

 

 

そう言ってクルリと振り向く。

その特徴的な白髪が、月光に照らされてより一層輝いて見える。

 

 

「本日付で先輩の家に住むことになりました。不束者ですがよろしくお願いします」

 

 

ペコリと会釈。完璧な45度会釈だ。

これはどうもご親切に。

 

 

 

ん?

 

 

「はぁぁぁぁぁああ??!」

 

 

〈ウルセェーゾ!ナンジダトオモッテル

〈スンマセンッ!!

 

 

「それじゃあ早く行きましょう。お腹も空きました」

 

「え、おいちょっと待てよ!!」

 

 

…ほんとに大丈夫なんだろか。

いや、妹もいたし、俺がなにか手を出すなんてことはないけれど。

しかし、小猫自身は不安とかないのだろうか。

部長のことだから、案外楽しんで企画したものかもしれないけれど。

 

ずかずかと先を行く小猫の後ろ姿を見つつ、これから起こることを想像する。

まぁ、でももっと楽しくなりそうだ。

そう思う自分が、確かにそこにはいた。

ならば、何も問題ないだろ。

 

 

 

 

 

「あ、そういえば先輩」

 

「ん?どうした?」

 

「先輩が仲間になってくれて、嬉しいです」

 

 

……問題ない。多分、もしかしたら、、うん。

 

…見惚れるくらいは許して欲しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、家はそっちじゃなくてこっちだぞ」

 

「!?!?」

 

 

 

うん。大丈夫だと信じたい。

 




七瀬七志くん。
我らがシリアスブレイカーにして最強のアキバ神拳伝承者。
彼にかかれば素人の服を瞬き一つで奪い去ることなど造作もない。
「可愛い女の子(を脱がす)だと思った?残念イッセーでした!」

因みに眷属入りさせる案もありましたがボツとなりました。(使いにくいとか言えない)

使った技・ノーマルストリップアクション

兵藤一誠くん。
今回の被害者。
この後イッセーくんには毛布が渡されました。(だって動けない男子高校生に服を着せるのも…ねぇ)
神器とか悪魔とか色々あったのに、完全にナナシくんに食われちゃった可哀想な子。
強く生きてください。

塔城小猫ちゃん。
祝。メインヒロイン決定。
最後まで悩み続けた結果メインヒロインは彼女の手に。
ツッコミ役としても頑張ってもらいます。
彼女の活躍に期待あれ

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