アキバ神拳伝承者の異世界譚(ハイスクールDxD+A)   作:グリムリッパー02

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オタク訪問

「やぁ、こんにちは」

 

 

異世界生活3日目。学校生活だと2日目の今日、俺とイッセーは目の前のイケメンくんに呼び出されていた。

 

それから何故かクラスの方から黄色い声援が止まらない。いや、黄色ってより腐った声援が止まらない。

内容??知らない。知らないったら、知らない!!

 

 

「リアス・グレモリー先輩の使いできたんだ」

 

 

え?リアスなんだって??

俺は知らない名前に首をかしげる。

よく見ればイッセーの方は驚きもしつつ、合点がいったような納得したような顔だ。

え?なにまたハブなの?昨日に引き続きまた取り残されるの?

 

 

「えっと、七瀬七志くん、でいいんだよね。キミにもついてきてほしい」

 

「お、おう。OK」

 

 

あまりのイケメンスマイルについつい英語で返してしまった。なんなのこの人ほんとに日本人?爽やかすぎるだろ。

 

「それじゃあ行こうか」というイケメンくんを先導に、俺とイッセーは後を付いて行った。

それを見た松田がイッセーにエロビデオを掲げていたが、あいつの周りに配慮しないその姿勢はオタクとして、ある意味見習うべきところかもしれない。

 

 

 

〜〇✕△□〜

 

 

 

「ここに部長がいるんだよ」

 

 

連れてこられたのは校舎の裏手にある旧校舎、そのとある一室だ。

見た目に反して綺麗にしてあり、壊れたところもない。わりと頻繁に掃除がされているらしい。

そしてここにそのリアス某がいるらしいのだが、部長ってことは何かの部活の勧誘なのだろうか。

 

 

そのまま歩を進め階段を上がり、更に進む。

どうやら奥の部屋に行くようだ。

扉には「オカルト研究部」とかいてある。

 

 

「部長、連れてきました」

 

 

イケメンくんが中に確認をとり扉を開ける。

そこには………

 

 

「…七瀬先輩、昨日ぶりです」

 

 

中は薄暗く、これでもかと魔法陣が辺りに書き連ねられており、端々にはオカルト系のグッズが並んでいた。

中々本格的なようだ。

 

そして中央の机には、昨日会った後輩、塔城小猫がいた。

ここの部員だったのか。オカルト研究部って柄ではないように見えるけれど。

お菓子研究会でお菓子食べてる方が似合いそうだ。

 

 

「…先輩失礼なこと考えてませんか?」

 

「いや、全然」

 

 

ただお菓子を黙々と食べる白髪ロリは絵になるなと思ってただけだ。

決してそこにやましい気持ちなどない!

純粋な萌への探究心のみだ!

 

 

「おいおい、ナナシ!いつの間に学園のマスコット、塔城小猫ちゃんとお近づきになったんだよ!」

 

「昨日この街を案内してもらったんだよ。つか離れろ近い」

 

 

胸ぐらをつかみ悔し涙を浮かべるイッセー。こいつはどんだけ女に飢えているんだろうか。

そういえば朝、松田たちがイッセーがめちゃくちゃ美人な女の人と一緒に登校してきたとか言ってたはずだが………

 

 

シャーー

 

と、そこで水の音に気づいた。

どうやらこの部室はシャワーまでついてるらしい。

いや、ついてたところで入らないだろ、誰だよ入ってるの。

 

 

「部長、これを」

 

「ありがとう、朱乃」

 

 

と、部屋の端で黒髪の女性がタオルを渡していた。

 

 

「いやらしい顔…」

 

 

塔城の呟きにイッセーをみると鼻の下を伸ばしていた。

シャワーの音でこれなのか。

 

 

「まぁイッセーだしな。仕方ない」

 

「うるせぇやい!」

 

「変態」

 

「エロ魔人」

 

「鬼畜」

 

「全女性の敵」

 

「ねぇ君たち何か俺に恨みでもあるの!?」

 

「あらあら仲がよろしいですわね」

 

 

いえーいと塔城とハイタッチ。

当の本人は泣き崩れてしまった。

と、そこでシャワーの音が止まる

 

 

「ごめんなさいね。イッセーの家に泊まったからシャワーを浴びてなかったの」

 

 

そう言い、カーテンの奥から赤髪、いや紅い髪の女性が出てきた。

湯上りのせいか髪は湿っており制服に張り付いている。頬にも赤みが刺さっていた。

 

 

「………先輩も変態さんですか」

 

「そりゃ人並みは、な」

 

「………そうですか」

 

 

塔城にこずかれる。軽く痛い。

 

 

「全員揃ったようね」

 

 

紅髪の女性はあたりを見まわし、全員がいるのを確認したあと、俺たちに向き直る。

 

 

「ようこそ、オカルト研究部へ。私の名前はリアス・グレモリー。貴方達ふたりを歓迎するわ」

 

 

そう言うと、イッセーを含めた俺以外の背中から、コウモリのような羽が飛びだした。

 

 

「────── 悪魔としてね」

 

 

 

 

…最近のコスプレイヤーはホントにすごいな。

 

ってかやっぱりハブられてんじゃんか。

 

 

 

〜〇✕△□〜

 

曰く、自分達は悪魔である。

曰く、悪魔は普段冥界、地獄で生活しており同じく冥界で生活している堕天使と覇権争いが行われている。

曰く、更にそこに神の命で、問答無用で悪魔と堕天使を消し去りに来る天使が天界、天国にはいて、まさに三竦みの状態である。

曰く、三種族は大昔の対戦でその数を減らし、悪魔側は打開策として人間を悪魔に転生させる技術を開発。

それを使い、イッセーは死にそうなところを悪魔に蘇ることで助かったという。

 

 

 

つまり、

 

 

 

「あの時のあの子達はレイヤーじゃなかったのか……」

「…そこじゃないと思います」

 

 

愕然とする俺に塔城からの鋭いツッコミが飛ぶ。

まぁそう言われた方がそこそこ納得なんだけどもね。

なんでレイヤーさんは空飛べるのに一般人は飛ばないんだろうかとか色々考えてたところだし。

そんな漫才をしつつも、ちらりとイッセーの方を覗く。

 

 

「…………」

 

 

と、やはりその表情は暗かった。

 

【天野夕麻】

 

イッセーに出来た初めての彼女で、少し前まで付き合っていた女の子らしい。

が、その正体は堕天使。イッセーに近づいた理由は彼を殺すため。

そしてその殺人現場に、俺は出くわしてしまったらしい。

 

 

「…辛いかもしれないけれど、これが現実よ。貴方も、理解が及ばないかもしれないけれど……」

 

「いや、俺の方は大丈夫だ。ちょっと訳ありでこういうことには慣れてるんでな」

 

「そ、そう……やっぱり変わってるわね」

 

 

最後のつぶやきは聞かなかったことにしよう。

 

 

「あの、」

 

 

と、そこでイッセーが口を開く。

全員の視線がイッセーの方へ向けられる。

 

 

「なんで、俺が殺されるはめになったんですかね、なにか理由があったんですか?」

 

「……そうね、まだそれを話してなかったわ。あなたが殺された理由はあなたが持っている特別な力によるものなの」

 

「特別な力?」

 

 

確かに、イッセーは見たところ普通の人のように感じる。

だが、実は隠された力というのがあるらしい。

 

 

「それは、見てもらった方が早いわね。

イッセー、貴方が1番強いと思うものを、その存在を真似なさい。弱くではなくて強く思うのよ」

 

「強く、思うもの………」

 

 

そう言い、掌を見つめるイッセー。

あ、どっかからか電波を受信したぞ。

 

イッセーはその両方の掌を上下に合わせて腰の方へと持ってくる。

その瞬間、俺の中で何故か熱いものがこみ上げてくる。

イッセー、お前まさか…!

 

 

「ドラゴン波!」

 

 

シーン…

 

 

勢いよく突き出された掌。そして何も起こらないことでプルプル震えるイッセー。

でも俺にはわかる。

イッセー、お前は男だ。

誰だって一度はやったことのあるそのポーズ、ドラグ・ソボールの主人公、孫悟空の必殺技。永遠の男の夢。

 

そしてそれをこの静かな部屋で、しかもみんなが見ている前で高らかと叫ぶお前のその姿勢…。

負けたよ、お前がナンバーワンだ。

 

 

「さぁ目を開けて。この部屋の魔力なら神器も容易に発言するはず」

 

 

カッ!!

 

 

「うぉぉぉぉおおお?!」

 

「な、なんだこれ!!」

 

 

リアス・グレモリーの言葉に呼応するかのように、イッセーの左腕が光り出す。

 

その光は部室全体を満たし、そして光がやんだその先には…

 

 

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁあ」

 

 

イッセーの左腕が赤い籠手で覆われていた。

試しに触ってみるが金属のように硬い。

どうやらマジで籠手が出てきたようだ。

 

 

「それが神器(セイクリッド・ギア)。一度発言すればあなたの意思で自由に出せるようになるわ。って七瀬くん、あなたは何してるのかしら??」

 

「ん?あぁ、俺にも出ないかなとドラゴン波を撃ってみてるんだが、んー、一向に出ないな」

 

「そ、そう」

 

 

素振りのようにドラゴン波を撃っているんだが、それらしいものは出なかった。

 

ボッ!

 

あ、ちょっとドラゴン波が出た。こっちは出るのかよ。

 

 

「…まぁいいわ。とにかく、貴女はその力を狙われ堕天使に殺された。そして、私の眷属として生まれ変わったのよ」

 

 

手に持っているのは、チェスの駒だろうか。紅く光っていて彼女に似合っているとは思う。

アレが悪魔に転生させる悪魔の駒《イーヴィルピース》ってやつなのだろう。

 

 

「改めて紹介するわ。祐斗」

 

俺たちを案内したイケメンくんが一歩前に出てスマイルを飛ばす。

 

 

「僕は木場祐斗。君たちと同じく2年生だよ。えーと、悪魔です。よろしく」

 

「………1年生。塔城小猫です。……悪魔です。七瀬先輩羊羹食べますか?」

 

「お、ありがとう」

 

 

貰った羊羹を一口食べて頂いたお茶を飲む。

うん、なんともMIYAVIな感じがいいよね。

 

 

「三年生、姫島 朱乃ですわ。一応、副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ」

 

「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくねイッセー」

 

 

そう言いリアス・グレモリーは笑う。

その顔は自身に満ち溢れており、カリスマ性が見て取れた。

なるほど、王を自称するのも頷ける。

 

 

「は、はい!!兵藤一誠です!えっと、いつの間にか悪魔になってましたけど、よろしくお願いします!!」

 

 

イッセーの方もそのカリスマ性に押されて改めて自己紹介をした。

いやぁ、何はともあれめでたしめでたしでいいのかな?

 

うん。本人達満足そうだしきっとそうに違いない。

 

良かった良かった。

 

 

 

「で、」

 

 

 

そう呟いたリアス・グレモリーの視線が真っ直ぐ俺を貫く。

や、やめろよぉ。そんな目で見るなよ。泣きたくなっちゃうだろ。

 

 

 

「あなたはいったい何者なのかしら?教えてくれるわよね?七瀬七志くん」

 

「………おぅふ」

 

 

 

どうやらまだまだオタク訪問は終わらないらしい。

 




七瀬七志くん。
説明会に少し眠くなってきた主人公。
因みにこの世界の有名なアニメは既に網羅している。
次回はナナシのターン!

兵藤一誠くん。
孫悟空に憧れる少年。
今回は彼メイン。


リアス・グレモリーさん
我らがオカルト研究部の部長。
原作見てて思ったけど、イッセーの家から帰って直ぐにシャワーを浴びれば良かったのでは?

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