アキバ神拳伝承者の異世界譚(ハイスクールDxD+A)   作:グリムリッパー02

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今回短め。
焼き鳥編突入じゃぁぁぁぁあ


クーデレっていいよね

ソーナと出会って数日がたったある日。

朝日が眩しく照りつけ、吸血鬼体質にはちっとばかし厳しい今日このごろ。

俺はいつものように学校に来ていた。

 

桜は散ってしまったとはいえ、季節的にはまだ春だ。

心地よい春風がパーカー下の髪を撫でる。

日差しは億劫だがこの風は、嫌いじゃない。

平和だ。そう感じる。

 

 

「おや、ナナシくんではありませんか」

 

「ん?お、ソーナじゃないか。おはよう」

 

 

登校途中、ソーナに出会った。

いつも通りキリッとした姿はさすがは生徒会長様だと印象を改められる。

 

 

「早いですね。日直ですか?」

 

「まぁな。そういうソーナこそ早いな。やっぱり生徒会長と王の二足の草鞋生活は忙しいのか?」

 

 

並んで登校しながらそう問う。

そう。なんとソーナは悪魔だったのだ。

しかも眷属の王。部長さんに聞くと悪魔の中でも貴族の出で将来を期待されているらしい。

ケーキの件から2日後、ソーナ達は悪魔としてオカ研の部室へやってきた。

なんでもソーナは俺が夜咬だということも知っていたらしい。

だったら早く言ってくれればいいのに。

そしてそこで眷属にならないか?とも聞かれた。

周りのソーナの眷属は驚いていたが、丁重にお断りさせていただいた。

やっぱり俺の主は雫だけだからな。

それからいつの間にか呼び名が七瀬くんからナナシくんに変わっていた。

まぁ俺としてもナナシの方が言われなれてるからいいんだけどね。

 

そういえば、あの時来てたソーナの眷属から何か変なことを言われたんだよな。

「形だけ良くなっても意味無いのよ!」だったけか。

なんのことだったんだろうな。

 

 

「そういえば、最近のリアスの様子はどうですか?」

 

「部長さん?別にどうってことねぇと思うぞ?強いていうなら少しピリピリしてるくらいか」

 

「そうですか。やはり……」

 

 

そう言って顎に手を当てて何か考え事を始めてしまった。

やはりってことはなにか気になる節でもあるのだろうか。

 

 

「なにかあったのか?」

 

「……まぁ、ナナシくんなら大丈夫ですか。実はリアスにお見合いの話が来ているのです」

 

「お見合い!?でも部長さんはまだ高校生だろ?」

 

 

一般的な高校生が出すお姉様オーラとはかけ離れているが。特に胸部装甲。

 

 

「えぇ。ですが悪魔の上流階級ではよくある話なのですよ。親同士の決めた結婚相手。

家の為、名誉の為の政略結婚。

私達が生まれる前から決まってる場合もあります」

 

 

それはなんとも、息の詰まる話だ。

普通の一般市民からすれば、それは怒りすら抱く事態だが、彼女達貴族は違うのだろう。

アニメやゲームでもよく見るがそういうもの。生まれ持った抗いようのない設定の様なものなのだと思う。

 

 

「お前にもそういうのあるのか?」

 

「私は、ついこの前チェスの対戦で相手を打ちのめしてしまったので破談となりました。しかしリアスの相手は……」

 

 

おい。今なにか不穏な言葉が聞こえたんだけど?

なに?打ちのめした?

 

 

「リアスの相手はとある上流階級の貴族で、名のある大物悪魔の三男です。

相手はリアスをいたく気に入っているのでそう簡単に破断することも出来ないでしょう」

 

「そいつが今すぐにでも部長さんを貰いに来ると?」

 

「その可能性が高いとしか、今は言えませんね」

 

「……そいつの名前は?」

 

「ライザー・フェニックス。元72柱フェニックス家の悪魔で炎と風を操る不死の悪魔です」

 

 

不死の悪魔……?

つか悪魔なのに名前がフェニックスって…

フェニックスって確か聖獣の名前じゃなかったか?大丈夫なのそんな名前で。

滅せられたりしない?

 

 

「不死とはその名の通り死なない能力。伝承のフェニックスのように彼はどんな傷でも瞬時に治すことが出来ます」

 

「まさにチート乙って感じだな」

 

「フフ、そうですね」

 

 

そう言って笑うソーナ。

なんとなく二人の時はよく笑う気がする。もっと眷属の前では笑ってやればいいのに。

特に匙くんとか。明らかに好意を持ってたぞ。

恋愛ゲームマスターの俺が言うんだから間違いない。

 

今どこかで「君がいうんじゃない。いつも好感度教えていたのは僕じゃないか」って声が聞こえてきた気がした。

 

 

「何か変なことでも言ったか?」

 

「あ、いえ。……貴方ならリアスの縁談も、私が思いもつかない方法でご破産にしてしまうのでしょうね」

 

「……なんか過大評価が過ぎないか?俺は人間じゃない以外は普通のオタクだぞ?」

 

「いえ。順当な評価ですよ。それにもしかしたらオタクだからこそ出来ることがあるのかもしれません」

 

 

オタクだからこそ、ねぇ。

まぁ確かに、知り合いの女の子がピンチ。相手は結婚を迫る貴族。その女の子を颯爽と助けるなんてカッコイイ妄想、オタクなら1度はするだろうけどな。

 

ソーナ突然頭を下げる。え?どしたの急に。

 

 

「お願いします。どうかリアスを助けてあげてください」

 

「…………」

 

「リアスは、この縁談には乗り気ではありません。私としても、親友の殿方には心から愛する人になってもらいたい。

私が頼むのも、筋違いなのかもしれませんが…お願いします」

 

 

必死に頼み込むソーナ。普段のクールな姿からは想像出来ない姿だ。

それほど部長さんを友人として大切に思っているのだろう。

まったく、そんな顔されたら断れないじゃないか。断る気もないけどな。

 

俺はソーナの頭を撫でる。サラサラと綺麗な髪だ。

 

 

「大丈夫だ。任せとけ。俺がなんとかしてやる」

 

 

そう言って笑いかける。お前のその願い、アキバ自警団の誇りにかけて叶えてやるぜ!

 

 

「あ、ありがとうございます。ただ、その…………頭を撫でるのは

……」

 

「あ、悪い!つい妹にやるくせで」

 

 

慌てて手を離す。でも綺麗な髪だったな。

なんかずっと撫でていたくなるようなそんな髪だった。

 

 

「い、いえ別に撫でていてもいいのですが……」

 

「ん?そうか。ほれ、よしよし」

 

「くぁwせdrftgyふじこlp!?!?」

 

 

か細い声が聞こえたのでご期待に応えて頭を撫でる。

「そこは聞き流す場面じゃ…?」なんてのも聞こえたけど、生憎と夜咬は耳がいいんだ。

 

そうして撫でること数十秒。

 

 

「も、ももももうこんな時間ですね。い、急がなければ」

 

「え?おい!!」

 

 

急にソーナが走り出してしまった。

呼びかけた時には既に遠く、豆粒のようになっていた。は、はええよホセ。

僅かに見えた赤くなった耳は、多分見間違いだと思う。

 

 

「………にしても、縁談か」

 

 

ふとつぶやく。

ソーナと約束してしまった以上、なんとかしてぶっ壊さなければいけないが…どうするべきか。

部長さんの親御さんが決めた以上、どうしてもその親御さんの顔に泥を塗る結果が想像に難しくない。

どういう御両親か知らないが、最悪の場合部長さんの居場所や援助が無くなってしまう可能性がある気がする。

 

 

「まぁ今考えても仕方ないか」

 

 

事態は一刻を争う。わけでもない。

ソーナもその可能性があると言っていただけだし、そのライザー・フェニックスのことも何も知らない。

そもそも情報が少なすぎる。

実際に動いた後で、「余計なお世話です。本当にありがとうございました」なんてことになったらそれこそ大変だ。

 

と、ホントにもうこんな時間か。

俺も日直の仕事があるし急がないとな。

 

そうして走ろうと思ったその時だった。

 

 

ドドドドドドッ!!

 

 

何かが猛スピードでこっちに来る。

え?なにあれ怖っ!!

なにかは直前で止まるとズザーッと前で停止する。

あれ?これってイッセー?

 

 

「聞いてくれナナシ!!俺部長に夜這いされた!」

 

 

勢いのまま肩をつかんでくるイッセーに頭を抱え、早く手を打たなくてはと目を瞑りこれからのことを考えることにした。

 

 

 

あぁ、せっかくの平和が……音を立てて崩れていくのが聞こえた気がした。

 




ナナシくん。
フラグ回収のはやい主人公

ソーナちゃん。
ヒロイン入り?を果たしたクーデレ系メガネ美少女。
「わ、私の影がどんどん薄く」とは某白猫さんのセリフ。

イッセーくん。
寝言は寝て言え。



気づけばお気に入り数も100件を超えていました!これもみなさんのおかげです!!
目標の100件を超えたし、今後はのんびり更新していこうかと思います!
あ、活動報告の方にアンケートを載せてるのでそちらも是非お願いします!!

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