亡国機業が崩壊して2年の月日が経ち、そしてその2年で世界は大きく変化した。まず世界中に蔓延っていた女尊男卑の風潮が消え去った事。多くの国で女性権利団体が潰れたことによって政府は男女平等社会を掲げあげたことにより今まで虐げられてきた男性達、そして反女尊男卑の女性達が手に取り合ったことによって女尊男卑と言う風潮は消え去ったのだ。
次にISの運用方法がもう一度見直された事。ISを自国防衛として配備されているIS以外を全て宇宙開発専用として打ち上げようとIS委員会が動き出したのだ。その際、篠ノ之束に宇宙開発チームのリーダーになって欲しいと頼みに行ったが
「君達は雛鳥のままでいるつもりなの?鳥は何時か自分の羽で巣を飛び立つように、束さんは君達に宇宙に飛び出すための羽を与えた。なら後は君達自身がその羽をバタつかせて飛び出すだけだよ」
そう言って断られ、IS委員会は仕方がないと了承し別のチームリーダーを探すことにしたとのこと。そしてISを使用して戦うモンドグロッソも廃止、これによりIS学園は国連の直轄学園となりISの知識、技術そして宇宙に関する知識を学ぶための学園となった。
そしてロアナプラにある教会では結婚式が執り行われようとしていた。
「あら、レヴィがドレスを着ているなんて珍しい物を見たわ」
そう言っていつものリクルートスーツから真紅のドレスに着替えたバラライカが黒色のドレスを着たレヴィに言うとレヴィはしかめっ面になる。
「仕方ねぇだろ、姉御。今日はあいつ等にとって大事な日なんだぜ。アタイだけいつもの服装でいたら明らかに場違いって雰囲気になっちまうじゃねぇか」
「それもそうね」
そう言い、バラライカは辺りを見渡す。辺りにはスーツを着た張、そして普段の服装からスーツ姿へと変えているダッチ達ラグーン商会の面々、一夏の実の家族のムネアキとその母親と妹のマドカ、そしてチャイナ服ではなく青色のドレスを着たシェンホアなど、今回の主役たちと仲のいい人達が集まっていた。するとマイクを持ったシスター姿のエダが話し出す。
『えぇ~、それでは新郎新婦たちの登場だ。盛大な拍手で迎えてやってくれ!』
そう言うと同時に教会の扉が開かれそこから現れてきた人物たちに全員拍手を送る。教会から出てきたのは白いタキシードを着た一夏と純白のウエディングドレスを着た束と鈴、そして同じく白い服装をしたクロエだった。
「一夏~、おめでと~」
「おめでとう、束さ~ん」
「鈴~、
「ぐす、かっこいいぞ~、一夏!」
「何泣いているんだ、張。まぁ確かにかっこいいぞ一夏」
「うぅぅ、まさか生きて息子の結婚式を見れて、父さんは嬉しいぞ!」
「あらあら、貴方ってばそんなに泣いていたら一夏に笑われますよ。ほら笑顔を向けてあげて下さい」
「そうだよ、お父さん。お母さんの言う通り笑顔で送ってあげようよ」
一夏達は辺りを見渡し、多くの人たちに祝福されていることに感動し目元から涙が出てくる。
「まさかこれほど多くの人たちに祝福されるなんてな」
「そうだね。沢山の人たちが私たちの門出を祝ってくれているんだから笑顔を向けなきゃいっくん」
「そうよ。あんたを育ててくれたロアナプラの人たちや、あんたを産んでくれた家族にちゃんと笑顔を向けてあげなきゃ」
鈴と束にそう言われ一夏は、そうだな。と言い笑顔を向け手を振って答えた。そして最後に全員で教会前で記念撮影が行われ結婚式はお開きとなった。
そしてそれから数年後、ロアナプラから少し離れたところにとある食堂が建っていた。そこの食堂は料理が美味しいことで有名でロアナプラの住人、更にそれを食べに危険を承知で来る美食家などがいた。
「はい、焼き野菜定食と生姜焼き定食お待ちどうさん」
そう言ってエプロンを着たツインテールをした女性が料理を運んでくると待ってましたと言わんばかりに割り箸を手に取り料理を食べ始めるお客。すると1組の男女が店に入ってくる。
「あ、張さんにバラライカさんいらっしゃませ!」
「よぉ、今日も来たぜ」
「それにしてもここは相変わらず人気ね」
そう言って張とバラライカはお気に入りとしている席へと着くと女性はお冷を二人の前に持って行き、注文を聞く。
「それで注文は何時もの日替わり定食でいいですか?」
「あぁそれで頼むよ、鈴」
張はそう言い、鈴は厨房に注文内容を言いに行く。
「一夏~、張さん達に日替わり定食お願いね~!」
「あいよ~!」
そう言って厨房にいる一夏が料理を作り始める。そして暫くして鈴はトンカツ定食を持って張達の前へと持って行く。
「お待たせしました、日替わり定食です!」
「お、今日はトンカツ定食か」
「昨日来たときの焼き魚定食も美味かったし、今日の料理も楽しみだ」
そう言って2人は料理を食べ始め、何時と変わらない美味しい料理だと舌鼓していると張はもう一人の嫁さんはどうしているか聞く。
「そう言えば束はどうしているんだ?」
「束さんだったら今家で子供たちの相手していると思いますよ」
一仕事を終えた一夏がミネラルウォーターを飲みながら張達の席へと近づきそう言うとバラライカが思い出すように言う。
「そうか、もう歩けるくらいになっているのか。今度どれくらい大きくなったか写真を送ってくれないか」
「えぇ、構いませんよ。そうだ今これ位大きくなってるんですよ」
そう言って鈴はスマホの写真をバラライカに見せる。そこには茶髪の子供と黒髪の子供が寝っ転がっている写真だった。
「あら可愛いわね」
「確かに、こっちの黒髪の方は何だか一夏に似てイケメンになりそうだな」
そう言いながら鈴、そして束の子供の写真を見ながら談笑し始めた。そして暫くしてバラライカと張は自分たちの事務所へと帰っていき、一夏と鈴は午後の仕事の準備に入り
、そして食堂の閉店時間となり一夏と鈴は後片付けをし、家へと帰る。家へと帰り扉を開け中へと入ると、最初に出迎えたのは背が伸びたクロエが出迎えた。
「お父様、鈴お母様お帰りなさいませ」
「ただいまクロエ。束さんは?」
「居間で春斗と楓夏の二人と遊んでおります」
そう聞き、三人は居間へと入ると茶髪の春斗がヨチヨチ歩きで一夏の足へと抱き着く。
「とぉとぉ、とぉとぉ」
そう言い、一夏は春斗を抱き上げる。
「ただいま~、春斗。いい子にしてたか?」
そう言っていると黒髪の楓夏を抱いている束が一夏の元へと近寄り頬にキスをする。
「お帰り、いっくん。春斗も楓夏もいい子にして待ってたもんね~?」
そう言うと春斗と楓夏はキャッキャッと笑う。
「それじゃあ今日は私が食事当番ね」
そう言ってエプロンを付け、鈴はキッチンへと向かう。
「クロエも手伝います」
「それじゃあその間に束さんは春斗と楓夏をお風呂に入れてくるね」
そう言って束は2人を抱き上げて風呂へと向かう。一夏はすることがないなと思いテレビでも見るかと呟き、テレビの電源を入れる。テレビには日本の番組が流れており暫く見ていると番組が終わりニュースへと変わった。
『八時になりました、ニュースの時間です。今日未明、○○県○○市にある一軒家から腐敗臭がすると警察に連絡が入り、中へと入ると死後数ヵ月が経っている死体が発見されました。警察の会見によると死亡していたのはこの家に住んでいる「一夏~、準備出来たわよ~。」「お~う。」…ピッ』
テレビを切って一夏は席へと着くと風呂から上がってきた束と春斗と楓夏も席に着き、全員席に着きご飯を食べ始めた。
一夏はこの幸せを絶対に離さないと常に心に思いながら愛する妻の料理を楽しんだ。
終わり
人物(その後)
天ノ川一夏
IS学園を卒業後、束と鈴と結婚。その後ロアナプラからほど近い所で食堂《天ノ川食堂》を開店した。人気はすぐに出て、常に黒字を叩き出していた。
自分の子供である、春斗と楓夏を可愛がっており束と鈴から親バカになるわよと言われた事がある。
天ノ川鈴
IS学園卒業後、中国代表候補生を降り一夏と結婚。その後、一夏がシェフを務める食堂のウエイトレスをしている。春斗を産んでから胸が大きくなり始めたことに感動していた。
天ノ川束
鈴と一夏が学園を卒業してから学園に退職届を出し、その後一夏と結婚。一夏の家でISの研究を続けながら一夏との子供である楓夏の子育てをしている。
クロエ・K・天ノ川
数年のうちに身長等が伸び、綺麗な女性へとなった。多くの男性が告白したが全員撃沈。本人曰く「お父様に勝てた人なら考えてあげます。」そう言われほぼ無理ゲーと思われている。
これにてブラックワンサマーは終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございます!
最初はブラックラグーン要素が余りないなと思いながら書いておりましたが多くの方がお気に入り登録していただき本当にありがとうございました。
次回作は活動報告でアンケートをとっているので答えていただくとありがたいです。
それでは再度感謝の言葉を言わせていただきます。
皆さん、本当に最後まで読んでいただきありがとうございます!!