ブラックワンサマー   作:のんびり日和

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投稿が遅れて申し訳ありません。


30話

修学旅行は中断となり一年生達はIS学園へと戻ってきた。修学旅行中にまた襲撃にあったがそれでも一息つけたため、一年生達は顔に若干笑顔が戻ってきたそうだ。

スコールとの戦いに勝った一夏達は寮の部屋でゴールデン・ドーンを解析していた。

 

「束さん、どうですか?」

 

「うん、確かに色々な情報が入ってるね。お、これなんてすっごく重要な情報じゃん。」

 

そう言ってスクリーンを一夏達に見えるように拡大して空中投影するとそこには亡国機業の施設の位置が映し出されていた。

 

「確かに重要ね。けどこの位置本当に施設あるの?」

 

鈴は敵から渡された情報だから信憑性に欠けると考えそう言うと、束はもう一つのモニターを起動して衛星をハッキングし、亡国機業があると思われる位置へと動かす。衛星が目的の位置へと移動し、モニターにその位置を映し出すとほぼ森林で覆われていた。

 

「やっぱりガセだったのね。」

 

鈴はガセだと思い、肩を落とすが束はモニターをサーモグラフィーに変えると所々から赤く染まったりしていた。

 

「これは?」

 

「所々から熱が出ているみたい。もしかしたら建物は地下にあるのかも。」

 

そう言って束は衛星で更に確認すると入口だと思われる場所を発見する。

 

「ビンゴ! 此処に施設があるみたいだね。このまま他の施設も見つけますか。」

 

束はそう言って他の施設を探し始める。

数時間後、束はゴールデン・ドーンに入っていた施設の位置情報を確認し、すべて発見し終えた。鈴とクロエはベットで寝ており、一夏は束にお茶の入った湯呑を手渡す。

 

「お疲れ様です、束さん。」

 

「うん、にしてもこれだけ多いとは思わなかったよ。」

 

そう言って束は一夏から受け取ったコップに入ったお茶を飲みながら画面を見る。そこには世界地図が映し出されており、至る所に赤点と青い点が付けられていた。

 

「束さん、この青い点と赤点は何か違うんですか?」

 

「青い点はダミーの施設で赤い点は人がいる施設だよ。ざっと数えただけでも赤い点は50以上、青い点は100近くあるね。」

 

束の説明に一夏は呆れるように息を吐く。

 

「これだけ多いと骨が折れるね。アメリカに頼んで潰していってもらう?」

 

「そうですね。束さん、亡国機業の司令官がいるだろうと思われる場所って絞れます?」

 

そう聞かれ束はキーボードを数回叩くと東南アジアにある施設が画面に映し出された。

 

「他の施設より此処の施設は結構大きいみたいだから此処が本拠地だと思うね。」

 

画面に映し出された施設はカモフラージュされているがサーモグラフィーで施設を見ると他の施設より赤い部分が多く出ていることが分かった。

 

「確かに排熱されている量が他より多いですね。」

 

「それじゃあ此処にアメリカ軍を送ってもらうの?」

 

「ついでに自分も送ってもらいます。」

 

一夏の発言に束は驚き一夏を見ると一夏の顔は真剣さを射していた。

 

「理由は?」

 

「俺の過去と決別するためですよ。あいつ等があの女の願いを聞かなかったら俺は家族と普通の生活が出来たかもしれないし、テロを何度も仕掛けてこられたから結構腹が立っていたんで。」

 

そう言うと束は行かせるべきではないと思ったがこの先また亡国機業が襲ってきたりするとうざいとも思う。

 

「分かったよ。でも束さんも一緒に行くからね。」

 

「…束さん。」

 

「いっくんは私の夫。なら夫の問題は妻である束さんの問題でもあるからね。鈴ちゃんもそうでしょ?」

 

「え?」

 

一夏は後ろに振り向くと鈴は不敵な笑みを浮かべながら立っていた。

 

「束お姉ちゃんの言う通り。あんたの問題は私の問題でもあるんだから私も行くわよ。」

 

「けど、クロエはどうするんだ?誰かがクロエの傍にいてやらないと。」

 

「クロエなら大丈夫よ。シルヴィア先生にしばらく見てもらえればいいから。」

 

「だが。」

 

一夏は娘であるクロエを一人残して行くのに抵抗があった。だが

 

「大丈夫ですよ、お父様。」

 

そう言ってクロエは起き上がる。

 

「クロエ…。本当に大丈夫なのか?」

 

「はい。お父様達としばらく離れるのは寂しいですが、2組の皆さんがいますし、大丈夫です。ですが無事に帰ってきてください。それだけが私の願いです。」

 

そう言われ一夏は決心し、クロエを2組のみんなに任せ、全てに終止符を打ちに東南アジアへと向かう。

 

~数日後~

「ではこれより『オペレーション・ファントムキラー』を開始する。」

 

アメリカ軍の海兵隊の前には軍の将校らしき人物が立って、作戦の説明を始める。

 

「本作戦の目標はテロリストグループの壊滅だ。そこで我々は正面から陽動攻撃を開始し、敵の注意を向ける。その間に背後から別動隊が内部に潜入し、敵リーダーを排除する予定だ。それとテログループにはISを配備している恐れがあるため空軍のIS部隊も作戦に参加する。以上で作戦の説明を終えるが何か質問はあるか?」

 

将校がそう聞くと海兵隊の一人が手をあげる。

 

「その別動隊はこの作戦指令室にいないのですか?」

 

「別動隊は軍の特殊部隊らしい。その為此処とは違うところで作戦を聞いている。」

 

将校がそう言うと作戦室内がざわざわと騒ぐ。

 

「質問は以上か?なら諸君、我々アメリカの誇りを胸にテロリスト共を薙ぎ払え!いいな?」

 

「「「サー・イエス・サー!!」」」

 

そう叫び作戦指令室から海兵隊たちは出て行く。将校は出て行く兵士たちを見て呟く。

 

「上層部の指令をそのまま部下に伝えたのはいいが、一体何処の特殊部隊なんだ。」

 

数時間後海兵隊の兵士達の攻撃が始まり、施設にいた兵士達が反撃を開始してくる。勿論ISを身に纏った敵も出てきたためアメリカのIS部隊も前に出てISの撃破を開始した。

それを遠くで見ていた3機のISは施設内部へと潜入する。

内部に潜入した3機のISはそのまま奥へと進み、障害となる敵やISを薙ぎ払って行き、コントロールルームだと思われる場所へと着き、一人がISを解除しコネクターにケーブルを挿し、ハッキングを開始する。

 

「施設のコントロール強奪成功っと。ラビットさんは此処で監視してるから2人は先に行ってきて大丈夫だよ。」

 

「「了解。」」

 

そう言って2人は先へと進む。コントロールの仲間の道案内を受けながら施設奥へと向かうとデカい扉へと行きつく。二人は中へと入ると逃げようと金庫から金などをカバンに詰め込んでいる老人がいた。

 

「なっ?!もうここまで来たというのか。えぇい!」

 

そう叫び効きもしないのに拳銃を二人に向けて発砲するが何の効果もなく装甲で弾は弾かれた。そして全弾撃ち尽くしたのか拳銃を投げ捨て逃げ出そうとするが一機のISに装備されていたアサルトライフルから弾が発射され、弾は老人の足へと命中し倒れ込む。

ISの弾を受けた足は足首から抉られており、ドクドクと血が流れ出ていた。

 

「がぁぁ!足が!ワシの足が!」

 

老人は必死に抉れた部分から噴き出す血を止めようと手で押さえるが止まることなく大量に出てくる。

老人の近くに一機のISが近寄る。老人は止めを刺されると思い、傷を抑えながら逃げようとするがもう片方の足を思いっきり踏みつけられる。踏まれた瞬間骨が砕かれる音が部屋中に響き渡り、老人は声にならない悲鳴をあげる。

 

 

「?!!!?!!あがぁぁぁぁ!」

 

老人の両足は使えなくなる。老人を踏みつけたISは突然解除され一人の青年が出てきた。

 

「き、貴様は?!」

 

ISを解除して降りてきたのは一夏だった。

 

「袴田源次郎、地獄へと落ちる時間だ。」

 

そう言って一夏はOPERATORの銃口を源次郎の頭に向ける。

 

「ま、待ってくれ!取引を―――」

 

「するかよ馬鹿野郎。」

 

そう言って一夏は引き金を引き源次郎の頭に弾を打ち込む。仰向けに倒れた源次郎に一夏はOPERATORに装弾されている弾を全部撃ち込む。

 

「ようやく終わったわね。」

 

そう言ってもう一機のISを身に纏っていた鈴が話しかける。

 

「あぁ、さて束さんと合流して帰ろうぜ。」

 

そう言って一夏はエダの仲介で知り合ったブックマンに報告を入れる。

 

「こちらリーパー、スペードのキングを倒した。繰り返す、スペードのキングを倒した。これより撤退する。オーバー。」

 

『ご苦労だね。そこから南に行った所に船が用意してあるからそれに乗って撤収してくれ。』

 

そう言うとブックマンとの通信が切れた。そして一夏は鈴と一緒に束の元へと行きそのまま施設から脱出しブックマンが言った南に向かうとそこにいたのはラグーン号が停泊していた。一夏達は疑問に持ちながらも船の近くに降りると船からダッチ達が出てきた。

 

「よう、三人とも。早く乗りな。」

 

「え?どうして。」

 

一夏は疑問で頭の中がグルグルとなっているとダッチが説明した。

 

「匿名の依頼が入ってよ。此処に来る人物たちを連れて出来るだけ現場から離れた場所へと届ければ50万ドルって言われてな。で、待っていたらお前たちが来たと言う訳さ。」

 

そう言われ一夏達は匿名の相手がブックマンだということはすぐに見当が付き、別に言わなくてもいいかと思いラグーン号へと乗り込み現場を後にした。




次回予告
あれから2年が経ち、一夏は束、鈴との結婚式を挙げようとしていた。幸せな生活を始めるために。
次回最終話 平和で幸福な日々の始まり~絶対に幸せにするからな、2人とも~

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