ブラックワンサマー   作:のんびり日和

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えぇ~と、25話なんですが改めて読み返したり質問を貰って思ったのがこれ色々無茶な設定でやってるなと思って一度書き直して再度あげました。前の25話を読んでいただいて感想をくださった方、ならびに誤字修正をしてくださった方、大変申し訳ないです。


25話

一夏と束、楯無はMを連れて学園長室へと向かう。暫くして学園長室へと着いた4人は中へと入ると学園長と他の専用機持ち達が居ることに気づく。

 

「あれ、なんでお前らが此処に居るんだ?」

 

「実は学園長から此処に来るように言われてきたんだ。」

 

そうラウラが言うとセシリア達も頷く。

 

「所でそちらの方は?」

 

そうセシリアが聞いてきたため一夏が答える。

 

「こいつは臨海学校で俺たちを助けてくれたISのパイロットだ。」

 

そう言うとセシリア、ラウラ、鈴は驚く。

 

「つ、つまりその人はわたくしの国のISを奪った人ですの?」

 

そう言うとMがそれを否定する。

 

「奪った?あぁ、そう言えばこれは今強奪されたって事になってるんだった。けどこれの正式なパイロットは私だから何の問題は無いわよ。」

 

そう言うとセシリアが驚きながらもサイレント・ゼフィルスを取り戻そうと躍起になる。

 

「な?!正式なパイロットって、そもそもそれを決めるのは政府の役目です。あなたが決めることではありません!」

 

「もう、うるさいな。それを今から説明するから黙っててよ。」

 

そう言ってMは殺気を混じらせた目線で黙らせて学園長にある所にテレビ電話を掛けてほしいと頼む。場所を聞いた学園長は驚きながらも電話を掛ける。そして数コールした後画面に黒髪の男性が映る。

 

『皆さん初めまして。私はイギリス情報局ことMI6局長のムネアキ・タチバナと言います。そしてそこに居りますのが』

 

「MI6特別捜査官マドカ・タチバナって言います。」

 

一夏達は画面に映っている人物、そして一夏の妹かもしれない人物がMI6ことイギリス情報局の職員だとは分からなかったからだ。特にセシリアの反応が大きかった。

 

「あ、貴女イギリス情報局の職員でしたの?」

 

「えぇ、これが私がサイレント・ゼフィルスの正式なパイロットだという証拠。」

 

『マドカは確かにサイレント・ゼフィルスの正式なパイロットですよ、オルコット嬢。』

 

そう言われセシリアは頭を下げて謝る

 

「重ね重ね無礼を言ってしまい申し訳ありません。」

 

「別にいいよ、気にしてないし。」

 

そう喋っていると楯無が質問を投げてくる。

 

「えっと、それでマドカちゃんだっけ、貴女は一夏君の妹さんで間違いないの?」

 

「うん、私はお兄ちゃんの実の妹だよ。」

 

そう言われ一夏は画面に映っているムネアキに目線を向ける。

 

(つまりこの人が俺の父親?)

 

そう思っているとムネアキは優しそうな顔で一夏を見る。

 

『それにしても大きくなったな一夏。髪の毛は俺譲りだし、鼻はやはり母さんにそっくりだ。』

 

そう言われ一夏は驚く。

 

「つまりあんたは俺の・・・」

 

『そうだ。俺はお前の父親だ。』

 

そう言われ一夏は色々疑問だったことが頭の中に大量に湧いてくる。

 

なぜ家族を捨てて出て行ったのか

なぜ今になって妹を通して会いに来たのか

なぜ・・・・

 

そう思っているとムネアキは一夏が何を言いたいのか分かっているかのように言う。

 

『お前が言いたいことは分かる。なぜ今になってお前に会いに来たかだろ?』

 

ムネアキがそう聞くと一夏は首を縦に振る。

 

『お前に今頃になって会いに来たのはな、最初はある男の死に際で頼まれたからなんだ。』

 

一夏はある男?と聞き返すとムネアキは首を縦に振って答える。

 

『その男はある組織の手下なんだが上層部に裏切られて死にそうになっていたところを私が偶々見つけたんだ。そしてその男は死ぬ間際にある少年の話をしたんだ。』

 

――貨物船に誘拐した子供を木箱に入れて海外に逃がしたことがあるんだ。

 

――心残りがあるとすればその子供が無事に生きているかどうかだな。

 

『男はそう言って息を引き取ったんだ。』

 

ムネアキがそう言うと一夏には心当たりがあった。

 

(まさか、あの時の覆面のおじさんなのか?)

 

『それで私はその少年を探すことを決めた。それでまず男の仲間を探しだし、その子供について調べたんだ。その男の仲間はすぐに見つかり尋問したらすぐに吐いたよ。そして誘拐されたのは私の血の繋がった息子だと知り、そこからずっと足取りを探したんだ。だが見つかることはなかった。だがある日IS学園に男性操縦者が入学すると聞いてすぐにその男子を調べてた。そしてお前だと分かりぜひ会いたいと思った。』

 

「それじゃあどうして今まで会いに来なかったんだ?」

 

『俺も会いに行きたかった。だがお前の傍にはアイツが見張っていた。だから会いに行こうにも奴が邪魔をして会えなかったんだ。』

 

一夏はアイツと聞いてすぐに誰なのかわかる。

 

「アイツって織斑千冬のことか?」

 

『そうだ。お前と私たちを離れ離れにした女だ。』

 

「一体何の目的で?」

 

すると束が話に入ってくる。ムネアキは目を閉じながら説明する。

 

『千冬は一夏のあまりの可愛さに憑りつかれて自分だけのものにしたかったんだろう。奴が中学生の頃、友人を通して親しくなった人物の手を借りて私たちを殺そうとしたんだ。』

 

「その人物って一体?」

 

一夏がそう言うとムネアキは口開く。

 

『女性権利団体の創設者、袴田朋美(はかまだともみ)。奴の祖父、そして夫は政治界でかなりの権力者なんだ。』

 

そう言うと部屋にいた人全員が驚く。

 

『千冬は自分の中にある潜在的な力を貸すから自分の頼みを聞いてほしいと袴田に頼み、袴田も女性の権利を勝ち取るために千冬に手を貸したんだ。そして一夏が保育園児の時に動いたんだ。ある時、千冬が欧州に行きたいと言い出し、私は家族サービスもかねて旅行へと行ったんだ。そしてイギリスの空港へ着いた時、出発まで時間があるからか千冬は一夏を抱き上げてトイレに連れて行ってくると言い出したんだ。なかなか千冬が帰ってこないことに心配した私と妻は一緒に探しに飛行機から出たんだ。そしてそれから数分後、飛行機で爆発が起きたんだ。』

 

ムネアキがそう言うとセシリアが何か思い出したように呟く。

 

「・・・バーミンガム空港飛行機爆破テロ。」

 

そう言うとムネアキは首を縦に振る。

 

『あのテロは国際テロ組織によるものだと言われているが実際は違う。』

 

そう言われ全員すぐにどこの組織かわかる。

 

「まさか。」

 

『そうだ、袴田の理想に感銘を受けた者による犯行だ。それからは大変だった。私たちが死んだと日本で報道されていて帰ることが出来なくなってな。だから知り合いのイギリス人夫婦に助けてもらったんだ。そのイギリス人夫婦と言うのはなセシリアさん、貴女のご両親なんですよ。』

 

「わ、わたくしの両親?で、ですがお父様もお母様も貴方のことは何も教えてもらってないのですが?」

 

『それは私がお願いしたからなんだ。出来るだけ情報が広まらないようにするためにね。』

 

「それでどうやってMI6の長官までなったんですか?」

 

楯無がそう質問するとムネアキは隠す必要もないから言うか。と呟く。

 

『私は元々自衛隊の秘密諜報部に所属していたんだよ。その経歴を買われてMI6に所属、そしてそのまま昇進して今の地位にいるのさ。』

 

「ま、待ってくれ。保育園の時に両親がいた記憶がないなんだが、それはどういう事なんだ?」

 

『恐らく、袴田の知り合いが何かしらの方法で記憶を改ざんしたんだろう。』

 

「そ、そうなのか。」

 

『因みにそれから2年後にマドカが生まれたんだ。マドカには一夏のことは色々話していたからな。何時か会いたいといつも言っていたんだ。それが今叶ったようだが。』

 

そしてムネアキは一夏にあることを提案する。

 

『なぁ一夏、イギリスに来ないか?父さんも母さんもお前と一緒に暮らしたいと思っているんだ。』

 

そう言われ一夏はそれを断る。

 

「ごめん。俺は今住んでいる場所がすごく好きなんだ。それに俺には守らないといけない家族が居るから。」

 

一夏がそう言うとムネアキはそうか。と言う。

 

『それだったら偶にイギリスに泊まりに来て父さん達に顔を見せに来てくれよ。』

 

「わかったよ、父さん。」

 

一夏に父さんと呼ばれたムネアキは目頭が熱くなり始めるがそれを我慢してそれじゃあなと言って通信を切る。一夏はもう少し話したいと思っていたが、焦る必要はない、何時でも会いに行けると思っていると一夏の両手が握られる。

 

「優しそうなお父さんだったね。」

 

「本当だね~。」

 

鈴と束は一夏と手を握りながらそう言うと一夏もそうだなと。言う。

 

「さて、それではタチバナさん。貴女は本学園に特別入学ということでよろしいでしょうか?」

 

学園長がそう言うとマドカは首を縦に振る。

 

「うん、それでいいよ。あ、クラスって私何処になるの?出来ればお兄ちゃんと一緒の所がいい。」

 

そうマドカが言うと轡木は笑顔で答える。

 

「貴女のクラスなんですが先ほど送られてきたムネアキさんのメールの言う通り2組にしておきます。シルヴィア先生からは私がお伝えしておきますので篠ノ之先生、お願いしますね。」

 

学園長にそう言われ束ははぁ~いと言う。

 

 

 

 

人物

ムネアキ・タチバナ

一夏の実の父親で、マドカの父親でもある。イギリス情報局MI6の長官で愛妻家でもある。家族を二の次にすると言ったことはせず、常に家族、そして国を第一に考える人物でイギリス女王もその働きっぷりには感心している。セシリアの両親とは日本に旅行に来ていた2人を案内人として行動していたことで友人となる。

 

 




次回予告
マドカが学園に入学することが決まり、一夏はマドカに頼まれて近くのショッピングモールへと買い物へ行く。その頃、学園では千冬と箒が荷物をまとめ出て行くところだった。そしてモノレール駅に行くと箒の両親が迎えに来ており一緒にモノレール駅に乗り家へと帰る。そしてショッピングモールで買い物を終えた一夏達がモノレール乗って帰ろうとした時4人と鉢合う。
次回永久の別れ~許してくれ?何を言ってるんだアンタは?~

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