学園祭開始3日前の日、学園に備えられている会議室に学園長と教師たちが集まり学園祭の準備状況の報告会が始まろうとしていた。
「ではそれぞれのクラスの進行状況の説明をお願いします。」
学園長がそう切り出し、1年1組から状況説明を始める。
「1年1組はコスプレ喫茶をやることになっております。準備はほぼ済んでおり後は当日に出す料理等を調理しておくだけです。」
そう言い席に着く。
「1年2組は中華喫茶をやります。こちらも準備は済んでおり当日に出す料理を調理しておくだけです。」
シルヴィアも報告を終え席に着く。
それ以降も他のクラスの準備状況の報告をし、最後のクラスの報告を終える。
「クラスの準備状況についてはよく分かりました。では報告会を終えようと思います。」
そう言われ教師たちは椅子から立ち上がろうとするが学園長がそれを止める。
「皆さん少し待ってください。実は皆さんに言っておかないといけないことがあるのです。」
そう言われ教師たちは席に戻る。
「実は学園祭が終了の後、篠ノ之箒さんを退学させようと思っています。」
「な、なぜですか?!」
そう言って立ち上がる千冬。周りの教師たちも騒然となる。
「何故も何も彼女は色々問題を引き起こしており、そのほとんどが政府の指示でお咎め無し、もしくは短期の謹慎処分にされてきました。ですが」
そう言って束に目をやる。
「篠ノ之先生とは既に縁を切られているとのことなのでせめて学園祭だけは参加させこの学園から去っていただこうと思ったからです。」
「な!お前、自分の家族と縁を切ったというのか!」
「そうだけど何か?」
お前には関係ないだろと言わんばかりの表情で言い返した束は空間ディスプレイ型のPCでデータの整理を続ける。
「学園長、私は反対です!あいつの性格は私が何とかして見せます。ですので退学は待っていただきたい。」
「そう言われましても既に決まっていることですし。それに私自身、彼女をこのまま此処に居させてもよろしくないと思っています。」
「?!」
「彼女の成績を見ても圧倒的に他の生徒より低いですし、それを改善させようとする気配もなさそうですしね。」
「わ、わたしがそれでも「そもそもお前の教え方が悪いんじゃないの?」な、何を!」
口を挿んできたのは束だった。
「1組の人から聞いたけど、言うことを聞かない生徒や勉強できない生徒に対して出席簿で頭を叩いてるらしいじゃん。しかも力一杯。そんなんだから生徒たちはおかしな風潮に染まったりするんじゃないの?」
「っ。そう言うお前はどうなんだ!聞いたところによると2組以外では授業を行っていないと聞いている。それこそどうなんだ!」
そう怒鳴ってくる千冬にシルヴィアが代わりに説明する。
「確かに篠ノ之先生は他のクラスでは授業を行ってないわ。けど学園長がそれを認めているんだから問題ないわよ。」
「な、なに?!」
そう言って千冬は学園長の方を見る。学園長は首を縦に振って説明する。
「えぇ、彼女の言う通りです。篠ノ之先生には教鞭をとってほしいとしか言っておらず、どのクラスでとは言っておりません。ほとんど篠ノ之先生の独断でどのクラスで授業を行うか決めてもらっているのです。」
そう言うと一人の教師が手をあげて質問をする。
「で、では篠ノ之先生の授業を受けるには何か条件があるのですか?」
そう聞かれ束は答える。
「うんとね~、クラスに一人も女尊男卑と言う糞風潮に染まっていないクラスだったら考えてもいいよ。」
そう言われた瞬間、ほとんどのクラスが思い当たる生徒がいるのか無理だと言わんばかりの顔になる。
「あ、因みに1年1組は条件とか関係なく拒否するからね。」
そう言われ真耶が困惑しながら聞く。
「ど、どうしてですか?」
「だって授業を真面目に聞こうとしない生徒がいるし、いちいち文句を言ってきそうな先生が居るからね。」
束はそう言って千冬に目線を向ける。
「お前ふざけているのか?」
そう言って睨む千冬。
「ふざけてないよ。大真面目。」
「やはりお前は教師に向いてない。さっさとこの学園から出て行け!」
そう叫んできた千冬に束はため息を吐いて立ち上がる。
「さっきからギャーギャー喚いてさ、子供じゃないんだしちょっとは大人の対応をしなよ。」
「う、うるさい!お前は教師に向いてない!いずれお前のクラスの成績は落ちるのが目に見えて「それは無いわよ。」し、シルヴィア先生?」
「篠ノ之先生が2組の副担任として赴任後、夏休みで補習を受けていた生徒の多くが苦手としていた教科を克服したわ。」
「そ、そんな馬鹿な!」
「だったらこれを見れば。」
そう言ってシルヴィアは会議室のディスプレイを起動し2組の生徒の小テストの結果を見せる。
「右は1学期の小テストの結果よ。そして左が2学期で行った小テストの結果。明らかに点数が伸びてるわ。」
そう言われ多くの教師がディスプレイに釘付けになる。ディスプレイに映し出されていた小テストの点数は確かに右の表に出ている点数の多くが平均点ギリギリの者や平均点以下の者が多かったが左の表はほとんどが平均点越えをしており明らかに学力が向上していることが見て取れる。
「見て分かるように篠ノ之先生が赴任して来てくれたおかげで我が2組の学力は飛躍的伸びたわ。」
「確かに。篠ノ之先生、学園長としてお礼を言わさせていただきます。ありがとうございます。」
「別にいいよ~。補習を受けてた子達は初歩でミスってただけだからそれさえどうにかできれば後は楽だしね。」
教師たちは是が非でも束の授業を自分のクラスに入れようと思いクラスに蔓延っている風潮をなくす方法を考え始める。
「こ、こんなものカンニングとかをしたに決まって「それ本気で言ってるの?」?!」
シルヴィアは殺気の篭った目で睨む。
「他のクラスを貶したりするのはいいけど私のクラスを貶す様なことは許さないわ。」
「だ、だがこんな飛躍的に上がるはずがないだろ!」
そう叫んでくる千冬に束はイライラが募り遂に爆発する。
「あぁ~、さっきから叫んでさ五月蠅いんだけど。と言うか暴力で人を支配しようとするやつの方が教師向いてないじゃん。ねぇ、ISにもう乗れないブリュンヒルデさん。」
そう言われた瞬間会議室が驚きで一杯になる。
「ISに・・・乗れない?」
千冬がそう呟くと束は黒い笑顔で言う。
「そうだよ。1学期の時学園長から言われて無かったの?いっくんの詮索はするなって。あの時はISを全部止めると脅したがそれでもお前は調べると思った。だから2度といっくんの目の前に現れないようにするにはどうすればいいかと思って考えたんだ~。そして思いついたのが2度とISに乗れないようにすればいいんだと閃いたんだ。」
そう言われ千冬は束に掴みかかる。
「そ、そんなデマ信じんぞ!」
「まぁ信じるかどうかはお前次第だよ。あ、因みにこのボタンが―――」
束はそう言いながらボタンの説明をしようとすると千冬はすかさずボタンをひったくりボタンを押す。押した瞬間千冬は安堵するが束はそれを見て大笑いをする。
「アハハハハハ!それは解除するボタンじゃなくて実行するボタンだよ。なんで自分で押すのかな?アハハハハハ!」
そう言われ千冬は信じられないと言わんばかりの顔となり手からボタンが落ちる。
「あ、ついでにそのボタンにはある所に真実が送られるようになってるよ。」
「あ、ある所?」
千冬がそう聞いてくると束がさっきよりも黒い笑顔で答える。
「お前が追い出して売国者の汚名を着せられ自殺した女性秘書の遺族達。」
そう言われた瞬間、千冬の顔が青くなる。
「真実を知った遺族たちはどうするだろうな~?」
そう言いながら千冬に笑顔を向ける束。
「織斑先生。」
そう言われ千冬は学園長の方を向く。
「貴女も学園祭終了後この学園から退職していただきます。理由は言わなくても分かりますね?」
そう言われ千冬は膝から崩れ落ちる。それを見た束はせいせいとしたと言わんばかりに腕をあげて体を伸ばす。
(もうこの学園にはお前の居場所なんて無いんだよ。)
次回予告
学園祭当日、中華喫茶を開いた2組。女子生徒の多くはチャイナ服を着ていくが一夏は制服でいいかと思っていると束が衣装を持ってくる。そして一夏が衣装をきて2組の生徒たちの前に出てくると、全員歓喜する。そしてそのまま学園祭が始まり休憩時間の時、一夏が一人になったのを見計らって現れてきた巻紙と言う女性。一夏は瞬時に侵入者と分かり対峙する。
次回学園祭始動!~なんでこの格好なんだ!~