夏休み終わりの2日に旅館からロアナプラへと戻り学園へと戻る準備をし、バラライカや張達に出発の挨拶を済ませロアナプラを出立した。
IS学園へと戻ってきた鈴と一夏は寮へと行き、部屋に入ると荷物やお土産などが入ったキャリーケースを開け荷物の仕分けなどをして翌日に備え早々にベッドに入り眠った。翌日、一夏と鈴は朝食を済ませ、クラスメイトたちに配るお土産を持ってクラスへと向かう。そして2組のクラスに入ると何人かの生徒たちがいて、一夏達に気が付くと挨拶をしてくる。
「あ、鈴に天ノ川君久しぶり~。」
「本当だ、2人とも久しぶり~。」
クラスメイト達からの挨拶を返しつつ空港で買ってきたお菓子を配り、SHRが始まるまで夏休みをどう過ごしたか談笑しているとチャイムが鳴り、それぞれ席に着くと教室の前の扉が開きシルヴィアが入ってくる。
「は~い、皆さんお久しぶりです。この中の何人かはおはようございます。」
そうシルヴィアが言うと何人かが肩をビクッと跳ね上げさせて挨拶をする。その中にティナの姿もあった。その光景を見た一夏はあることを思い出す。
(そう言えば、赤点が3個あると補習学習で夏休みのほとんどが潰されるんだったけ。赤点取らなくてよかった~。)
と、心の中で必死に勉強して良かったと安堵していた。
「さて実は今日からこの2組に新しい生徒と副担任が来ることになったわ。」
シルヴィアがそう言うとクラスが騒然となった。
「先生、その転校生は男の子ですか?」
そう聞かれシルヴィアは苦笑いで答える。
「残念ながら女の子よ。因みに副担任も女性よ。」
「何だ~、残念。」
「あんたどんだけ男子が入ってきてほしいのよ。」
とみんな笑いながらしゃべっているとシルヴィアは手を叩きながら静かにさせる。
「はいはい、お喋りは休み時間でね。それじゃあ入ってきてください。」
「はい。」「は~い。」
そう言うと廊下から返事が聞こえてくると、一夏と鈴はえ?と声をあげ、顔を見合わせる。
「な、なぁ今クーちゃんと束さんの声が聞こえなかったか?」
「う、うん。聞こえた。まさか。」
そう言って前を向くと扉が開かれ入ってきた人物たちに驚く。
「「やっぱりクーちゃんに束さん(束お姉ちゃん)?!」」
「こらこらそこ2人、驚くのは分かるけど訳は後から聞きなさい。」
シルヴィアにそう言われ鈴と一夏は席に着く。
「さてそれじゃあ自己紹介等お願いします。まずはクロエさんからお願いします。」
シルヴィアにそう言われクロエは返事をし、1歩前に出て挨拶をする。
「1度お目にかかったと存じますが改めて自己紹介の方をさせていただきます。クロエ・k・天ノ川と言います。名前から察しますように天ノ川一夏の娘です。そして篠ノ之束、鳳鈴音は私の母です。目を閉じているのは事情の方がありまして目が見えないのです。ですが特別に許可を頂きISのハイパーセンサーを使用していますのでわかるのですが、まだ不慣れなところもあるのでその時は助けていただくとありがたいです。それでは皆さんどうかよろしくお願いします。」
そう言って頭を下げると拍手が起こる。
「こちらこそよろしくねクロエちゃん。」
「よろしくね~。」
とみんな歓迎的だったためクロエは少し呆けてしまうがすぐに笑顔を向けありがとうございます。と返事をし1歩後ろに下がる。
「はい、ありがとうございます。それじゃあ篠ノ之先生お願いします。」
「は~い。」
シルヴィアに呼ばれた束は返事をして1歩前に出て挨拶をする。お決まりのポーズを決めて。
「ハロハロ~、朝はみんなのアイドルで夜はいっくんだけのアイドル。そして今日からみんなの副担任になります、いっくんの奥さん事篠ノ之束先生だよ~。担当教科はISの技術指導と国際宇宙論だからよろしくね~。分からないことはそのまま放置せず素直に聞きに来てくれたら分かりやすく、そしてすぐに応用できるように解説するからね。と言う訳でよろしく!」
と言うと生徒たちは拍手と喝采が上がる。
「こちらこそお願いします!」
「私篠ノ之博士みたいなIS開発者になるのが夢なんです!」
クラスの多くは束が入ってくることに拒否せずむしろ大歓迎と言いたげに言っているとシルヴィアが手を叩く。
「はいはい、他のクラスはまだSHR中なんだから騒がないの。さて1限目からは早速篠ノ之先生の国際宇宙論の序論だからしっかり受けるように。特に夏休みに補習を受けた人たち、冬休みにまた補習を受けないようにしっかり勉強するのよ。」
そう言ってシルヴィアはSHRを終わらせる。一夏と鈴はクロエと束を連れて屋上へと連れて行く。クラスに残った生徒たちは恋人同士の大切な話だろうと聞きに行きたいという欲望を抑えながら授業の準備をする。
屋上に来た一夏と鈴は誰もいないか確認し、束とクロエがどうしてここに来たのか聞く。
「それでどうして2人は此処に?」
「いきなり来たもんだからびっくりしちゃったじゃない。」
そう言われ束はにゃははと笑いながらごめんごめんと謝る。
「いや~、本当はクーちゃんだけを学園に通わせようと思ったんだけど張さんが―――」
『ついでならお前も行ったらどうなんだ?一夏達のクラスは副担任がいないらしいから副担任として入れば一夏達と一緒に居られるぞ?』
「そう言われてついOKしちゃったんだ~。」
そう言われ一夏と鈴は張に感謝しつつこの学園の学園長によく受け入れたなと考える。
「なんで此処に居る束!」
そう大声が聞こえ、一夏達は屋上の扉を見るとそこには千冬が立っていた。
「あれ、精神病院に入院してたんじゃないの?」
束は笑顔でそう聞くと千冬はそれを無視してもう一度聞いてくる。
「コッチが質問をしているんだ、答えろ!」
そう言われ束はやれやれと言った感じで手をあげながら答える。
「此処に居るのはいっくん達のクラスに副担任がいないらしいから前から興味があった教師をやってみようかなと思って此処の学園長にお願いした。そしたら軽くOKを貰えたから此処に居るんだよ。と言うか今朝の会議で私のこと言われて無いの?あ、束さんが言わないようにお願いしてたんだった。忘れてたや。」
そう言ってケラケラと笑う。
「ふ、ふざけるな!お前が教鞭をとるだと?ふざけるのも大概にしろ!」
「ふざけてるも何も、束さんはマジだし。と、そろそろ時間かな。」
そう言って束はポケットから懐中時計を取り出し時刻を確認する。
「さていっくん達、そろそろ教室に戻るよ。束さんの楽しい楽しい授業の始まりだからね。」
そう言われ一夏達ははぁーい。と返事をして屋上を出るため千冬の横を通り過ぎていく。
「い、いち「いっくんに声を掛けるな。」?!」
千冬は一夏に声を掛けようとしたが束が銃を取り出して、銃口を千冬に向けそれを阻止する。その光景を見た一夏は
「束さん、そんな奴放っておいて早く教室行きましょうよ。」
そう言われ束は銃を仕舞い一夏達と共に屋上を後にする。残された千冬はもうあの頃に戻らない。と痛感しその場で泣き崩れ暫く動けなかった。
次回予告
ある日、一夏は鈴から何処かの部活に所属しないのかと聞かれ、一夏は入るより部活を作るかと言い束を顧問とした部活を設立する。そして入部してきたのは1組の専用機持ちとシャルロット、そして布仏本音と更識簪だった。一夏と鈴は2人にどうして入ってきたのか聞くことにする。
次回~武装部設立 私は変わりたいの、姉の付属品じゃないってことを。~