ブラックワンサマー   作:のんびり日和

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12話

いきなり怒鳴ってきた箒に一夏はため息を吐く。

 

「いきなりなんだモップ。そんな大声上げなくても聞こえてるんだが。」

 

「お前、実の姉である千冬さんになんであんなことが言えるんだ!」

 

そう怒鳴ってくる箒に一夏はめんどくさそうな顔で答える。

 

「実の姉?それじゃあ弟が誘拐されたのをただの冗談と思っている奴が実の姉だと言えるのか?俺は思わないね。」

 

そう言って後ろを向きアイリスの機体性能をもう一度確認するためアイリスに話しかけようとすると

 

「ふざけるなぁー!・・?!」

 

そう叫んで箒は殴りかかろうとしたが銃声がし、箒の足元に銃弾が当たる。

 

「さっきからギャーギャー喚いて五月蠅いんだけど。叫ぶんだったらよそでやりなよ。」

 

撃ったのは束だった。手にはFN Five-SeveNが握られていた。いきなり撃たれたことに驚く箒だったが、すぐに怒りの矛先を束に向ける。

 

「姉さんも姉さんです!なんで私から一夏を奪うんですか!一夏は私の「いっくんはお前の物じゃない。束さんと鈴ちゃんの婚約者でクーちゃんのお父さんだよ。」?!」

 

真顔で言う束はまるでそのまま箒を殺そうとするような顔だった。

 

「お前がどれだけ叫ぼうがいっくんと束さん達の絆は切っても切れない関係なんだよ。お前が後から叫ぼうが何しようがどうすることもできないんだよ、愚妹が。」

 

束がそう言い終えると旅館から大声を上げながら走ってくる真耶。

 

「た、大変です~~!」

 

そんな姿を見たシルヴィアは真耶を落ち着かせる。

 

「山田先生、慌てた状態でどうしたんですか?」

 

「き、緊急事態です!」

 

そう言われたシルヴィアは顔が真面目になり生徒たちに指示を出す。

 

「一般生徒たちは至急、部屋に戻って大人しくしておくように。専用機持ち達は私についてくるように。」

 

そう言って動こうとすると一人の生徒が手を上げる。

 

「シルヴィア先生、織斑先生はどうしましょうか?」

 

そう言われシルヴィアは千冬を見るが未だに虚空を見つめた状態でいたためはぁ。とため息を吐く。

 

「山田先生、あれをお願いします。」

 

そう言って真耶に千冬を指さして運ぶようにお願いする。

 

「は、はい!」

 

そう言って真耶は千冬を立たせて旅館へと運ぶ。そして専用機持ち達もシルヴィアの後に続いて行く。束も一夏の隣に付き一緒に行く。

 

旅館の一室に設けられた指令室には多くの教員が空間ディスプレイで状況を確認したりしている。その後ろでは専用機持ち達とシルヴィアが集められた理由を聞かさせれている。

 

「さて集まってもらった理由なんだけど先ほどアメリカ、イスラエルの極秘研究していた軍事ISが暴走し、こちらに向かっていると先ほどアメリカから連絡があり、私たちIS学園が目標から最も近いため、専用機持ちであるあなた達を今回召集させたの。」

 

軍事ISの暴走と聞いた瞬間専用機持ち達に緊張が走る。

 

「もちろんこれは命を落とす可能性があるわ。ここから退室しても別に恥じることはない。どうする?」

 

そう聞かれると全員退室せずその場にジッとしていた。

 

「そう、分かったわ。では今作戦に関してなにか質問はあるかしら?」

 

「はい。目標のスペックなどをお願いします。」

 

そう言って手をあげたのはセシリアだった。シルヴィアはそれを了承する。

 

「分かったわ。ただしこのことは公表しないように。万が一世間に情報が漏れた場合はあなた達に監視が設けられるから注意するように。」

 

そう言ってシルヴィはアメリカから渡された情報を空間ディスプレイに投影する。

 

「オールレンジ型ですか。」

 

「しかもレーザー搭載型か。厄介だな。」

 

そう言って一夏達はう~んと悩んでいると、束が話に入ってくる。

 

「今アメリカの軍事ネットワークにハッキングして情報を洗ったけど、特に改竄はされていないようだね。」

 

「なんか静かだなと思ったらそんなことをしてたんですか束さん。」

 

一夏と鈴は苦笑いになりながら束を見ている。

 

「まぁ~、アイリちゃんなら問題なくやれると思うけどね。」

 

「アイリスがですか?」

 

一夏は最初は分からなかったがアイリスが説明する。

 

[マスター、私の機体は隠密と機動性に優れていると博士が言っていたはずだぞ。]

 

「あ、そっか。」

 

アイリスにそう言われた瞬間一夏は思い出したように手を叩く。

 

「それだったら天ノ川君が攪乱で時間を稼いでもらい、その間に他の専用機たちが攻撃する。これで行きましょう。」

 

そう言ってシルヴィアは専用機持ち達に準備をさせ5分後に作戦開始と言って解散させる。部屋の会話を盗み聞ぎしていた者はひっそりと旅館を部屋の前から立ち去る。その後をつける者に気づかずに。

 

盗み聞きしていた者は学園が持ってきていた打鉄に乗り込もうとすると背後から声を掛けられる。

 

「そこで何をしているんですか。篠ノ之様。」

 

打鉄に乗り込もうした箒は動きを止め後ろを向くとそこにはクロエがいた。目は閉じられていたがISのハイパーセンサーのおかげで目が見えなくても分かるのである。

 

「お前は。ふん、邪魔をするな。」

 

そう言ってISに乗り込もうとした箒にクロエは銃を構え箒の足元に1発撃ち込む。クロエが握っているのはワルサーPPKである。

 

「お父様の邪魔をするならば容赦は致しません。」

 

クロエは銃口を箒に向ける。

 

「えぇい邪魔するな!」

 

そう叫んで箒は羽織っていた上着をクロエに投げつける。クロエは投げつけられた上着に構わずにPPKを撃ち続ける。そして上着が落ちると箒が打鉄を纏っている状態で立っていた。

 

「ふん。さぁそこをどけ!」

 

そう言ってブースターで迫ってくるがクロエは冷静だった。

 

「はぁ~、お母様からは出来たら無傷で取り押さえるようにとおっしゃられましたし、この服、お父様が選んでくださったお気に入りですが仕方ありません。」

 

そう言ってクロエはPPKを仕舞う。箒は道を開けると思ったが

 

「力を御貸しなさい、不知火。」

 

そう言ってクロエは黒色の機体を身に纏い持っていたブレードで箒の左肩からばっさりと切り落とした。

 

「うがぁーーー?!??!!」

 

ISを強制解除された箒は血をまき散らしながら転げまわる。

 

「あまり動かないで貰えませんか?血が飛び散って服につくかもしれないので。」

 

そう言ってクロエは箒の腹を足で押さえつける。

 

「?!!?は、離せ!」

 

箒はそう言って足をどかそうと必死にもがくが退くはずがない。そしてクロエはレーザーライフルを取り出し切り落とした左肩に銃口を向け発射する。

 

「!!!!!????!??!?!?」

 

レーザーを掠めた傷口はジュウジュウと音を立てて周囲には肉の焼けるにおいが満ちる。血が流れ出るのは止まったが激痛が左から走り、痛さで箒は気絶した。

 

「ふぅ~、ようやく静かになりました。」

 

ISを解除して地面に降り立つとポケットに入れていた携帯が鳴る。

 

『クーちゃーん、電話だよ~。』

 

「もしもし、お母様。今ですか?学園が用意したISの保管場所近くにいます。はい、お父様たちの邪魔をしようとした人を退治したところです。分かりました。」

 

電話を切ったクロエは気絶した箒の服の襟を掴んで引きずりながら束がいる場所へと向かう。

 

その頃、一夏達は出撃し銀の福音と対決していた。




次回予告
一夏達は海上で銀の福音と対決し全員で何とか撃墜したが、第二形態移行をして襲い掛かってくる。そして辛くも撃墜したが所属不明のISと遭遇する。
次回激突銀の福音その2~ようやく会えたねお兄ちゃん~

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